今日も世話を焼く   作:ディアーリーズ

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33話

ツクヨミからログアウトし、マンションを後にする。

一度自宅へ戻った後、俺と彩葉はバイクで送電塔へ向かっていた。

 

 

 

「しっかりグリップ掴まってろよ。不安なら腰に手ェ回せ。そっちのが安心するだろ」

「うん、大丈夫」

 

 

 

公園に併設された送電塔は、当然ながら柵で囲われており、部外者が立ち入れるはずもない。

スマコンのARモードを起動し、タンデムシートのキーロックを外し収納部を開ける。

するとそこから白いモフモフがぽんっと飛び出してきた。

 

 

 

「あー窮屈だった!」

「サイドバッグなんか取り付けてなくてよ、悪ィな」

「ご、ごめんねFUSHI。私が一緒に行きたいって我儘言わなければ」

「腕輪が要るんだから彩葉も必要だろ!」

 

 

 

それに、二人と一緒にいれてボクも嬉しいんだ。

と、小さくそっぽを向きながら言うFUSHI。

なんだコイツあざといな。

 

 

 

 

公園脇の道路にバイクを停め、駐禁を取られないように俺は待機する。

 

彩葉はFUSHIを連れて送電塔へ向かった。

遠目に様子を眺めていると、FUSHIが彩葉の肩から飛び出し、柵の中へ入っていくのが見えた。

 

 

 

 

 

 

 

数分経って、しょぼしょぼした様子のFUSHIが彩葉の肩に戻った。

向かった時に比べて明らかに勢いが弱い。

 

俺が戻ってきた彩葉の目を見ると、彩葉はふるふると首を横に振った。

 

「ハズレか。ま、こっちじゃねえんじゃねえかな~とは思ってたとこだ」

「なんだって?」

「ヤチヨは『かぐやの身体を付与出来てた』っつってたからな。ならまあ、かぐやを拾ったっつう電柱の方だろな、と」

「言ってくれれば良かったのに」

「答え合わせは後の方が面白ぇだろ」

 

言いながら彩葉にヘルメットを放り投げる。

FUSHIをシート下の収納に押し込み、ARモードを終了。

放られたヘルメットをキャッチしながら、彩葉は拗ねたように唇を尖らせた。

 

「ほら、行こうぜ」

「……変なとこ子供っぽいんだから」

「男ってのはそういうモンらしいぜ」

 

ヘルメットを被り、あご紐をきちんと締めた彩葉。

タンデムシートに跨り、腰に手を回したことを確認すると、俺はアクセルを捻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十数分街中を走らせ、旧居のアパートへと向かう道中。

運転中の俺には直接見えなかった。

けど、腰に回された腕に力が入ったことで察した。

 

 

 

 

間違いない。

『もと光る竹』は、この先にある。

 

 

 

 

予感は、外れていなかった。

 

到着してすぐARモードを起動し、FUSHIを解放すると開口一番。

 

「……ある、そこに『ある』ぞ」

 

電柱にFUSHIが近づくと、途端に七色に光り出した。

昼の街並みの中で、それだけが明らかに異質だった。

昼間だから夜ほど目立ちはしない。

それでも、明らかに異様だった。

 

「え、これどうするの?どうしたらいいの?」

 

バイクから降りたものの、明らかにテンパってる彩葉。

 

「かぐやの時はどうだったんよ」

「あ、あの時は竹みたいな取っ手が付いてて、勝手に観音開きで開いて」

「彩葉、腕輪を付けてるほうの手で電柱に触るんだ」

 

落ち着かせるようにFUSHIが彩葉に声をかける。

 

「そ、それだけでいいの?」

「ああ、今の『もと光る竹』に実体は無いからな。腕輪に回収できる」

 

言われたとおりに彩葉が触れると、七色の光が吸い込まれるように腕輪へ集まっていく。

ほんの一瞬だけ腕輪がじん、と熱を帯びた。

七色の光が消えると、腕輪は何事も無かったかのようにちゃり、と音を鳴らした。

 

「……これで良いんだな?」

「ああ。もう一度ヤチヨのところに戻ってくれ。そこで実体化させて、機能を確認しよう」

「早くいこ、隼斗」

「おう。……法定速度でな」




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