今日も世話を焼く   作:ディアーリーズ

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35話

一機目の『もとひかる竹』を回収したその日から。

ようやく、俺たちの日常は少しずつ動き始めていた。

 

「よー、ジュンヨウだ。久々の配信だから雑談でリハビリしてくぞー」

─お前の配信を待ってたんだよ!

─かぐやちゃんの卒業ライブからSNSも配信も全く動かなくってさぁ!

─今日もゲリラで配信しやがってさぁ!

 

「わりーわりー。俺なりに色々考えることあってな」

─かぐやちゃんって今どうしてるの?

─いろPは?

 

「あー、かぐやは今ちょっと遠いところに行っててな。

 ライバー引退もそれ関係。詳しくは話せんけど」

─月に帰ったってコト!?

─ガチかぐや姫じゃん

 

「いろPは普通に一緒に住んでる。今後ちょっと生活変わるかもしれん」

─別居!?

 

『別れるわけないじゃん』

─おるやんけ!

─すみませんちょっとふざけただけなんです

 

「いろPちょっと言い方考えてくれ。カップルか夫婦みてえになる」

─ほぼそうやろ

─諦めろ定期

─でも子は鎹っていうしかぐやちゃんいない今どうなるか

 

「待て待てお前ら話脱線してる。俺が言いたいのは今後の配信頻度とかの話な」

─な~んだ

─いろPとカップルチャンネル作るって話じゃないんだ

『作る?』

「頼むからレールに戻した端から脱線させんでくれ」

─なんかいろPキャラ変わった?

 

「あ~……まず、多分配信頻度はか~な~り落ちると思う。俺も進路とか考え始めてな」

─高2だっけ

─高卒で専業ライバーじゃないの?

─まあ食っていけるよな

 

「まあちょっと、将来のことを考え出した結果、そこそこの大学には行っとかねえとな、と」

─えらい

─配信者も学歴あるに越したことない

─どの辺狙ってんの?

 

「どうせやるなら、狙える範囲で一番上かなと」

─にしても急だな

─かぐやちゃんのことでなんか心境の変化でもあった?

 

「……まあ、黙秘で」

─もう言ってるやんけ

 

「……まあ、かぐやだけじゃねえけどな」

 

流れるコメントを見ながら、ゲーミングチェアに深く腰掛ける。

彩葉に『自分のやりたいことを手伝ってほしい』と言われた時のことを思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヤチヨに体を作ってあげたいの。これから迎えに行くかぐやにも」

 

しかもそれだけじゃない。

ツクヨミに触覚、味覚、嗅覚まで実装するつもりらしい。

 

「……お前それ、とんでもないこと言ってるの自覚してるか?」

「分かってる。どれだけ難しいことかも、多分」

 

技術的にも茨の道だろうが、俺が言ってるのは───

 

「お前、文系選択だろ。今から理転すんの、かなりキツいぞ」

「それでも、やりたいの」

 

強い意志の籠った瞳で見つめてくる彩葉。

……あー、これはもう腹決めてるヤツだ。

 

「……で?それを俺に言う目的は?」

「……隼斗にも、手伝ってほしくて」

 

そんなこったろうと思った。

 

「俺のやりたいことは手伝ってもらうわけだしな、良いぜ」

「理転のことは、お母さんと先生にはもう話してて───ん?今なんて?」

 

なんだよ、聞いてなかったのか。

人に聞いてんだから、答え待ってから続き話せよ。

 

「『俺のやりたいことは手伝ってもらうわけだしな、良いぜ』って」

「え、言っといてなんだけど、良いの?」

「テメーが言ったんだろが」

「いや、そりゃそうなんだけど……将来のコトだよ。もっと考えなくて良いの?」

 

そもそも進路とかロクに考えてなかったからな、俺。

 

「細けえことはそん時考える」

「それより今は、『お前のやりたいこと』に付き合う方が面白そうだ」

「……どうせなら世界変えるくらい、デカいことやった方がいい」

「それに―――」

 

まあ、一番デカい理由は───

 

「オメーがやるって決めたことだろ。

 オメーは出来ないことを出来るたぁ言わねえ奴だが、無茶しがちだからな」

「んぐっ……。ひ、否定できない」

 

胸を押さえてダイニングテーブルに手を付く彩葉。

自覚が出てきたようで何よりだ。

 

「隣で支える奴がいた方が成功率上がんだろ。お前、一人だと平気で無茶すっからな」

「……ありがと」

「……今さらだろ」

「ほんと、後悔しても知らないからね」

「お前は後悔させてくれるような奴じゃねえだろ」

「……ばか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ま、そういうワケでな。

 受験対策だのなんだので、今までよりは配信頻度下がるって話。すまんね」

─俺らなんかより自分の人生優先してくれ

─なんなら活動休止してくれてもええんやで

 

「いや完全に止めると家賃払えなくて死ぬ。これで食ってるから俺」

─世知辛ぇ

─行きたい大学とかもう決まってんの?

 

「東大」

─配信してる場合じゃねえだろ!!

「理一」

─募集人数は一番多いけどさぁ!!




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本編はあと僅かになりますが、走り切りますので見守っていただけると幸いです。
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