今日も世話を焼く   作:ディアーリーズ

45 / 75
Ex.十年後④

目が覚めて一番に思ったのは、体のダルさ。

次に思ったのは、なんか重いな。

昨日は───

そこまで思い出して、勢いよく目を開いた。

 

同じ布団でまだ眠ってる、裸の三人。

……あー、全ッ部思い出した。

だからって朝イチで見るもんじゃねえだろこれ。

うわ、パリパリで気持ち悪い……。

朝風呂しよ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぃ~さっぱりした」

「あ~隼斗だけ先に起きてる~~~」

「お、はよさんかぐや」

「おはよ~」

 

 

最初に起き出してきたのはかぐやだった。

 

 

「風呂入ってこい、気持ち悪ぃだろ」

「……」

「どうした?」

「なんか今の良かったぁ」

「変なとこ刺さってんじゃねえよ。コーヒー淹れとくからさっさと行ってこい」

 

しっしっと手をやってかぐやを露天風呂に追いやる。

広縁から露天風呂に行ったかぐや……ん?戻ってきた?

 

「覗いても良いよ?」

「はいはい」

「ぶー、なんか隼斗余裕できちゃっててつまんな~い!」

 

肚も決まるわ、一気に三人だぞ。

 

 

 

「おはよー……お水ちょうだい」

「お、おはようヤチヨ……少しくらい隠せよ」

「隠す必要ある?」

「恥じらいってもんがあんだろ」

 

何も隠さずにミニキッチンまでやってきたヤチヨ。

一杯の水を渡したら、腰に手を当てて一気。

……温泉だけどさ、牛乳でねえのそれは。

 

「彩葉はまだ寝てんの?」

「うん、ぐっすり。わたしとかぐやは色んなのオフに出来るけど、彩葉は出来ないからね~」

 

けだもの~とからかうような笑いを向けてくるヤチヨ。

いや、う~ん……?

 

「お前らの方が彩葉に色々してたような……」

「あっ、お風呂入ってこよ~」

 

逃げやがった。

露天風呂に繋がるドアが開きっぱなしで、二人がわちゃわちゃしている音が聞こえる。

 

「風呂場で転ぶなよー」

 

一応声だけかけておいた。

……お、湯沸いた。

彩葉はまだ寝かせとくとして、とりあえず今起きてる三人分で良いか。

昨日も淹れたアメニティのコーヒーを三人分準備する。

 

 

 

 

 

 

 

 

淹れ終わったころに、丁度二人が髪を拭きながら戻ってきた。

隠せってだから。

せめてTシャツ着ろ。

あ、寒かったのか着た。

 

「ほれ、コーヒー」

「ありがと」

「ブラックぅ~?カフェオレに出来ないの~?」

「牛乳ねえからな。ミルクポーションとガムシロならあるけど」

「3つずつちょうだい!」

「ガムシロ3つは甘すぎるだろ……ほれ」

 

呆れながらかぐやに手渡す。

木製のマドラーも一緒に。

 

「……こーひーのにおいがする……」

「お、起きてきた」

「おはよ、彩葉」

「おはよー!」

「あんたら元気ね……私は腰が痛いわ……」

「かぐやたちはオフってるもん」

「クソ、ずるいな……」

「コーヒー淹れとくから、風呂入ってこい」

「……」

「どうした?」

「なんか今の良かったなって」

「変な刺さり方すんなってだから」

 

はよ風呂入ってこいって。

 

「今入ってくるんだったら髪乾かしてやるぞ」

「すぐ上がってくる」

「ちゃんとあったまってこいよ」

「え~かぐやの髪も乾かしてぇ~!」

「ヤッチョもヤッチョも~!」

「一人ずつな~」

 

言った途端にじゃんけんし始める二人。

何度かのあいこの果てに、勝利を勝ち取ったのは。

 

 

 

 

 

 

 

「イェーイ!ヤッチョの勝ち~」

「なんでっ……なんでかぐやはあの局面でチョキをっ……」

「じゃんけんに局面とかねえだろ……。ほれ、ヤチヨ来な」

「は~い♪」

 

洗面所に椅子を持って行って、ヘアブラシを持って待つ。

ヤチヨがてちてち歩いて、椅子にぽてっと座った。

 

「じゃ、乾かすぞ」

「お願いしま~す」

 

まあもうほとんど乾いてるようなもんだけど。

ヘアブラシで優しく髪を梳かす。

絡まりをほぐしたあと、ヘアミルクを馴染ませる。

しっかり馴染ませた後、ドライヤーの温風で乾かしていく。

 

「~♪」

「ぐぎぎぎぎ」

 

ヤチヨは鼻歌を歌ってご機嫌だ。

洗面所のドアから歯噛みしているかぐや。

どっからハンカチ出したそれ。

 

「ね、隼斗」

「ん?」

「今度はヤッチョが聞いていい?」

 

後ろに立っている俺を、見上げる形の上目遣いでヤチヨは聞いてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「いま、幸せ?」

「……お前らのお陰で、不幸になる暇なんてねえな」

 

 

 

 

 

 

 

 

答えを聞いたヤチヨと、それからかぐやも。

満面の笑みを浮かべた。

そんな顔をされると、こっちまで照れ臭くなる。

照れを隠すように艶のある白髪に手櫛を通して乾かして、冷風で仕上げる。

 

「ほれ、終わったぞ」

「ありがと」

 

手でばさぁっと髪を広げてご満悦のヤチヨ。

 

(つ~ぎ)か~ぐや!」

 

たったいまヤチヨが席を外した椅子にどかっと腰掛けるかぐや。

苦笑しながら、今度は金の髪にヘアブラシを入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいお湯だった……でも沁みた……」

「生々しいなおい」

 

髪をタオルドライしながら彩葉が戻ってきた。

……良かったちゃんとTシャツ着てる。

コーヒーのカップを渡しながら洗面所に誘導する。

 

「乾かしてくぞ」

「お願い」

 

椅子に座ってコーヒーを啜る彩葉。

コーヒーの香りが洗面所に広がる。

 

「……夢じゃないんだよね」

「まだ寝ぼけてんのか?」

 

……ったく。

ドライヤーをオフにして、後ろから抱きしめた。

 

 

 

 

「ちょっ、いきなり、んっ」

 

 

 

 

後ろから抱きしめながら、首元に跡が残るくらいの口づけ。

 

「これでもまだ夢だと?」

「もう……どうすんのよ、これ」

「冬だし目立たねえだろ」

 

これが残ってる間は、夢だなんて疑うこともねえだろ。

……あと、俺のものって牽制でもある。

…………ああ、いや。

それもある。

それもあるが。

そう言う意味なら、これが残ってる間に。

 

「指輪、買いに行くか。全員分」

「っ……」

「起きた時にそれ見りゃ、夢だなんて思わねえだろ」

 

四人で、なんて制度には当てはめられねえ関係だ。

だから、目に見える形で示しておきたい。

 

 

 

「じゃあ、帰りに見に行こ!」

「朝日のとこに行く前には欲しいよね~」

 

 

 

かぐやとヤチヨが洗面所に入ってくる。

まだヘアミルクの最中だぞ。

 

 

 

 

「おう、お前らはどんなのが良いよ。石ゴテゴテのは勘弁な」

「え~派手派手なのダメ~?」

「俺も同じの付けんだから当たり前だろ」

 

 

 

 

全員お揃いだろ。

でないと意味ねえ。

かぐやに呆れながら、彩葉の黒髪に手櫛を通す。

 

 

 

 

「俺はそれ以外希望とかねえから、材質とかデザインとかはそっちで決めていいぞ」

「……全員で決めなきゃでしょ」

 

彩葉が気持ちよさそうに目を細めながら、呟くように言った。

 

「四人のものなんだから」

「だってさ、隼斗」

「……了解。ただ俺にセンスを期待すんなよ」

 

 

 

 

冷風で仕上げる。

ドライヤーの電源を切って、彩葉の肩を叩いた。

 

「そしたら、まず朝飯食いに行くか」

「今日こそ朝食バイキング全メニュー制覇する!」

「太るよ」

「義体だもーん」

「……あんたたちの体、ちゃんと食べたら食べた分増量するようになってるからね」

「初耳!?」

「ヤッチョは知ってたよ~ん。その分昨日運動したもんね」

「あっ、じゃあかぐやも動いてるからダイジョーブ!」

「朝からよう食えるなお前ら」

 

 




キュケオーンさん、評価いただきありがとうございます。

ROSOさん、感想いただきありがとうございます。

お気に入り登録いただいた方々もありがとうございます。
とても励みになります。

活動報告の方でネタの募集も始めておりますので、ご一読いただければと思います。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。