今日も世話を焼く   作:ディアーリーズ

45 / 45
Ex.十年後④

目が覚めて一番に思ったのは、体のダルさ。

次に思ったのは、なんか重いな。

昨日は───

そこまで思い出して、勢いよく目を開いた。

 

同じ布団でまだ眠ってる、裸の三人。

……あー、全ッ部思い出した。

だからって朝イチで見るもんじゃねえだろこれ。

うわ、パリパリで気持ち悪い……。

朝風呂しよ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぃ~さっぱりした」

「あ~隼斗だけ先に起きてる~~~」

「お、はよさんかぐや」

「おはよ~」

 

 

最初に起き出してきたのはかぐやだった。

 

 

「風呂入ってこい、気持ち悪ぃだろ」

「……」

「どうした?」

「なんか今の良かったぁ」

「変なとこ刺さってんじゃねえよ。コーヒー淹れとくからさっさと行ってこい」

 

しっしっと手をやってかぐやを露天風呂に追いやる。

広縁から露天風呂に行ったかぐや……ん?戻ってきた?

 

「覗いても良いよ?」

「はいはい」

「ぶー、なんか隼斗余裕できちゃっててつまんな~い!」

 

肚も決まるわ、一気に三人だぞ。

 

 

 

「おはよー……お水ちょうだい」

「お、おはようヤチヨ……少しくらい隠せよ」

「隠す必要ある?」

「恥じらいってもんがあんだろ」

 

何も隠さずにミニキッチンまでやってきたヤチヨ。

一杯の水を渡したら、腰に手を当てて一気。

……温泉だけどさ、牛乳でねえのそれは。

 

「彩葉はまだ寝てんの?」

「うん、ぐっすり。わたしとかぐやは色んなのオフに出来るけど、彩葉は出来ないからね~」

 

けだもの~とからかうような笑いを向けてくるヤチヨ。

いや、う~ん……?

 

「お前らの方が彩葉に色々してたような……」

「あっ、お風呂入ってこよ~」

 

逃げやがった。

露天風呂に繋がるドアが開きっぱなしで、二人がわちゃわちゃしている音が聞こえる。

 

「風呂場で転ぶなよー」

 

一応声だけかけておいた。

……お、湯沸いた。

彩葉はまだ寝かせとくとして、とりあえず今起きてる三人分で良いか。

昨日も淹れたアメニティのコーヒーを三人分準備する。

 

 

 

 

 

 

 

 

淹れ終わったころに、丁度二人が髪を拭きながら戻ってきた。

隠せってだから。

せめてTシャツ着ろ。

あ、寒かったのか着た。

 

「ほれ、コーヒー」

「ありがと」

「ブラックぅ~?カフェオレに出来ないの~?」

「牛乳ねえからな。ミルクポーションとガムシロならあるけど」

「3つずつちょうだい!」

「ガムシロ3つは甘すぎるだろ……ほれ」

 

呆れながらかぐやに手渡す。

木製のマドラーも一緒に。

 

「……こーひーのにおいがする……」

「お、起きてきた」

「おはよ、彩葉」

「おはよー!」

「あんたら元気ね……私は腰が痛いわ……」

「かぐやたちはオフってるもん」

「クソ、ずるいな……」

「コーヒー淹れとくから、風呂入ってこい」

「……」

「どうした?」

「なんか今の良かったなって」

「変な刺さり方すんなってだから」

 

はよ風呂入ってこいって。

 

「今入ってくるんだったら髪乾かしてやるぞ」

「すぐ上がってくる」

「ちゃんとあったまってこいよ」

「え~かぐやの髪も乾かしてぇ~!」

「ヤッチョもヤッチョも~!」

「一人ずつな~」

 

言った途端にじゃんけんし始める二人。

何度かのあいこの果てに、勝利を勝ち取ったのは。

 

 

 

 

 

 

 

「イェーイ!ヤッチョの勝ち~」

「なんでっ……なんでかぐやはあの局面でチョキをっ……」

「じゃんけんに局面とかねえだろ……。ほれ、ヤチヨ来な」

「は~い♪」

 

洗面所に椅子を持って行って、ヘアブラシを持って待つ。

ヤチヨがてちてち歩いて、椅子にぽてっと座った。

 

「じゃ、乾かすぞ」

「お願いしま~す」

 

まあもうほとんど乾いてるようなもんだけど。

ヘアブラシで優しく髪を梳かす。

絡まりをほぐしたあと、ヘアミルクを馴染ませる。

しっかり馴染ませた後、ドライヤーの温風で乾かしていく。

 

「~♪」

「ぐぎぎぎぎ」

 

ヤチヨは鼻歌を歌ってご機嫌だ。

洗面所のドアから歯噛みしているかぐや。

どっからハンカチ出したそれ。

 

「ね、隼斗」

「ん?」

「今度はヤッチョが聞いていい?」

 

後ろに立っている俺を、見上げる形の上目遣いでヤチヨは聞いてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「いま、幸せ?」

「……お前らのお陰で、不幸になる暇なんてねえな」

 

 

 

 

 

 

 

 

答えを聞いたヤチヨと、それからかぐやも。

満面の笑みを浮かべた。

そんな顔をされると、こっちまで照れ臭くなる。

照れを隠すように艶のある白髪に手櫛を通して乾かして、冷風で仕上げる。

 

「ほれ、終わったぞ」

「ありがと」

 

手でばさぁっと髪を広げてご満悦のヤチヨ。

 

(つ~ぎ)か~ぐや!」

 

たったいまヤチヨが席を外した椅子にどかっと腰掛けるかぐや。

苦笑しながら、今度は金の髪にヘアブラシを入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいお湯だった……でも沁みた……」

「生々しいなおい」

 

髪をタオルドライしながら彩葉が戻ってきた。

……良かったちゃんとTシャツ着てる。

コーヒーのカップを渡しながら洗面所に誘導する。

 

「乾かしてくぞ」

「お願い」

 

椅子に座ってコーヒーを啜る彩葉。

コーヒーの香りが洗面所に広がる。

 

「……夢じゃないんだよね」

「まだ寝ぼけてんのか?」

 

……ったく。

ドライヤーをオフにして、後ろから抱きしめた。

 

 

 

 

「ちょっ、いきなり、んっ」

 

 

 

 

後ろから抱きしめながら、首元に跡が残るくらいの口づけ。

 

「これでもまだ夢だと?」

「もう……どうすんのよ、これ」

「冬だし目立たねえだろ」

 

これが残ってる間は、夢だなんて疑うこともねえだろ。

……あと、俺のものって牽制でもある。

…………ああ、いや。

それもある。

それもあるが。

そう言う意味なら、これが残ってる間に。

 

「指輪、買いに行くか。全員分」

「っ……」

「起きた時にそれ見りゃ、夢だなんて思わねえだろ」

 

四人で、なんて制度には当てはめられねえ関係だ。

だから、目に見える形で示しておきたい。

 

 

 

「じゃあ、帰りに見に行こ!」

「朝日のとこに行く前には欲しいよね~」

 

 

 

かぐやとヤチヨが洗面所に入ってくる。

まだヘアミルクの最中だぞ。

 

 

 

 

「おう、お前らはどんなのが良いよ。石ゴテゴテのは勘弁な」

「え~派手派手なのダメ~?」

「俺も同じの付けんだから当たり前だろ」

 

 

 

 

全員お揃いだろ。

でないと意味ねえ。

かぐやに呆れながら、彩葉の黒髪に手櫛を通す。

 

 

 

 

「俺はそれ以外希望とかねえから、材質とかデザインとかはそっちで決めていいぞ」

「……全員で決めなきゃでしょ」

 

彩葉が気持ちよさそうに目を細めながら、呟くように言った。

 

「四人のものなんだから」

「だってさ、隼斗」

「……了解。ただ俺にセンスを期待すんなよ」

 

 

 

 

冷風で仕上げる。

ドライヤーの電源を切って、彩葉の肩を叩いた。

 

「そしたら、まず朝飯食いに行くか」

「今日こそ朝食バイキング全メニュー制覇する!」

「太るよ」

「義体だもーん」

「……あんたたちの体、ちゃんと食べたら食べた分増量するようになってるからね」

「初耳!?」

「ヤッチョは知ってたよ~ん。その分昨日運動したもんね」

「あっ、じゃあかぐやも動いてるからダイジョーブ!」

「朝からよう食えるなお前ら」

 

 




キュケオーンさん、評価いただきありがとうございます。

ROSOさん、感想いただきありがとうございます。

お気に入り登録いただいた方々もありがとうございます。
とても励みになります。

活動報告の方でネタの募集も始めておりますので、ご一読いただければと思います。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

超人酒寄彩葉と借金貧乏男子が運命的な出会いをする話(作者:陸結)(原作:超かぐや姫!)

完璧超人女子高校生酒寄彩葉と莫大な借金を抱えて日夜バイトを繰り返す男子高校生有原泉が運命的な出会いをしてハッピーエンドへ向かう話▼作者の体調不良に付き更新が滞っています。ご了承下さい


総合評価:364/評価:6.07/未完:24話/更新日時:2026年05月31日(日) 22:21 小説情報

超かぐや姫! ヤチヨのかくれんぼ(作者:夜叉竜)(原作:超かぐや姫!)

 月見ヤチヨ、八千歳。得意な事はかくれんぼ。今日も彼女はかくれんぼをしている。大切な友達と。▼ 


総合評価:573/評価:7.65/連載:6話/更新日時:2026年06月02日(火) 21:00 小説情報

君の神様になりたい(作者:香椎)(原作:超かぐや姫!)

▼ 孤独だった。ずっと、ひとりだった。▼ 終わりたかった。誰かに見つけてほしかった。▼ 声が届くなら、歌でもよかった。▼ 温もりがあるなら、嘘でもよかった。▼ だから。▼ 永遠を生きる君を、救いたかった。▼ ──君の神様になりたかった。▼


総合評価:542/評価:8.36/連載:9話/更新日時:2026年06月12日(金) 00:00 小説情報

どうせなら、キャンバスは白いほうがいい(作者:中山の補題)(原作:超かぐや姫!)

赤ん坊のころに孤児院の前に捨てられていた男の子、清水眞白のお話。色んな人と関わって、沢山のことを知りながら成長していく。その先で、人生はどのようになっていくのか。▼


総合評価:424/評価:7.87/連載:14話/更新日時:2026年06月09日(火) 01:00 小説情報

彩葉の弟は様子がおかしい(作者:真球猫)(原作:超かぐや姫!)

彩葉に様子のおかしい転生者の弟が生えるだけ。▼ガバガバなオリジナル設定が出てきます。苦手な方はご注意下さい。


総合評価:1472/評価:8.45/連載:12話/更新日時:2026年06月11日(木) 20:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>