今日も世話を焼く   作:ディアーリーズ

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Ex.HappyBirthday②

 

「おみそしるおいしー!」

「しゃけおいしー!」

「オメーらその年で味の違い分かんのかスゲーな」

「食育してますから」

「……はあ。んで、何時まで預かっときゃ良いんだ?」

「えっと、18:00にはお迎えに来れるかな」

「丸一日かよ」

「その頃には終わってると思うから」

「何が?」

「……いや、用事の話。あと、これ」

「……ん?動物園の……オンラインチケット?」

「……買ってあったんだけど、今日しか使えなくって」

「連れてけってか」

「ホントごめん……」

「……まあ、アイツら悲しませるわけにいかんか。たまにはこういう誕生日も良いだろ」

「ごめん……。ところで、彩葉たちは?」

「早出で出勤してる。かぐヤチは義体の調整」

「そうなんだ……。あっ、そろそろ行かなきゃ」

「おう、気ぃ付けて行けよ」

「「おかーさん、いってらっしゃーい!」」

「……さて、そしたらどうすっかな。お前ら、動物園で食べるお弁当作ってみるか?」

「「つくるー!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「卵は強く叩きすぎるとカラが入っちまうから、ちょっとずつヒビ入れな」

「えいっ」

「つよすぎ」

「じゃあやって!」

「えいっ」

「かわんないじゃん!」

「喧嘩すんな~二人とも良く出来てるぞ」

「「いひひひ」」

 

 

 

 

 

「火は危ないから焼くのは兄ちゃんがやるけど、見たいか?」

「「みたい!」」

「そか、ちょっと離れてな。温めてからそっち持ってって巻くから。……よっ、と」

「「兄ちゃんじょうず!」」

「20年やってっからな」

 

 

 

 

 

「タコさんウィンナーと普通のどっちがいい?」

「たこさん!」

「ふつーの!」

「「む~!」」

「両方入れっか」

 

 

 

 

 

「おにぎりの具はなにが良い?」

「つなまよとしゃけ!」

「おかかとめんたいこ!」

「「あとこんぶとうめ!」」

「渋いな」

「兄ちゃんは?」

「辛子高菜」

「「しぶ~い」」

「よく言われる」

 

 

 

 

「ピクニックならから揚げ欲しいけど仕込みがなぁ。……あ、晩飯の余りあるじゃん」

「「からあげ!」」

「から揚げ好きか?」

「「だいすき!」」

「そか……あ、『かぐやの!』って名前書いてある。……ちっちゃい子優先~」

 

 

 

 

 

あとは彩りにプチトマトやらブロッコリーやらを適当に。

ブロッコリーのマヨネーズはラップと輪ゴムで簡易ソースパックを作って。

保冷材も忘れずに。

 

ふと時計を見ると、もう9:00だった。

動物園はもう開園時間。

 

「……あ、そういえば車使えねえや」

 

チャイルドシートなんて乗っけてねえし。

 

「モノレールか」

「「兄ちゃん兄ちゃん!」」

「ん?」

「「ん!」」

 

と、双子が子供用の交通系ICカードをどや顔で突き出してきた。

 

「準備いいな」

「「おかあさんにもらった!」」

「だろうな」

 

ただ残高が分からないので、スマホで確認できるアプリをダウンロード。

読み取ると問題なく残高もチャージされている。

 

「ホントに準備いいな」

「「んふー!」」

 

双子の頭を撫でてやった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モノレールの中。

平日の出勤ラッシュも終わった時間の車内は、ヒトもまばらだ。

下り路線だし。

両脇に双子を座らせて、双子の見たい動物を聞く。

大人しくて助かるわ。

多分かぐやより聞き分けいい。

 

「お前らはなに見たいんだ?」

「ライオン!」

「オオカミ!」

「「あとモモンガ!」」

「意外なのが出てきたな」

「おかーさんのつくよみのやつだから!」

「シカとか、うさぎとか、キツネとか、ハヤブサも見たい!」

「あー、なるほどね」

 

最初の二頭以外は全部俺らのアバターのモチーフのやつだわ。

……あー、でも。

 

「残念。キツネとハヤブサはいねえみたいだ」

「「え~」」

「その代わり、ライオンバスがあっからそれ乗るか」

「「バス?」」

「バスに乗って、ライオンさんのおうちに入れんの。ガラスの向こうにすぐライオンさん」

「「乗りたい!」」

 

そしたら着いたらすぐチケット買うかぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「着いたー」

「「ついたー!」」

 

両手を伸ばして背を逸らせると、双子も真似して伸びをした。

なんコイツら可愛いな。

 

「さて、そしたらライオンバスのチケット買うか。時間は……お弁当の後くらいで良いか」

「え~!」

「いちばんさいしょがいい!」

「分かってねえなあお前ら」

 

ちっちっち、と指を振りながら双子に言う。

 

「楽しみは後に取っておいた方が良いんだぜ?

 この時間の方が、ライオンさんがご飯食べてるところを見れるんだ」

「「!」」

「今行ってもぐで~んと寝てるところしか見られないぞ?」

「「あとにする!」」

 

……良かった。

出遅れたせいで朝イチの回のチケット売り切れてるとは言えんかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「兄ちゃん、オオカミ!」

「おう」

「つよい?」

「強い」

「ライオンより?」

「それは知らん」

「しらないの?」

「兄ちゃんはライオンともオオカミと戦ったことねえから」

 

でっけえヤシガニとはよく戦ってんだけどな。

KASSENの牛鬼だけど。

 

 

 

 

 

 

「兄ちゃん、モモンガとぶ?」

「飛ばねえ」

「え?」

「正確には空を滑んの」

「すべる?」

「木から木へビューンってな」

「すごい!」

 

かっこつけて落ちてるだけとも言うな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「兄ちゃん兄ちゃん」」

「おうなんだ」

「あれなにー?」

「しろくろ」

「あれか、バクだな」

「「ばく?」」

「こわ~い夢見たらバクさんが食べてくれんの」

「ほんと?」

「たぶん」

「たぶん?」

「兄ちゃんも食べられたことねえから」

「な~んだ」

「食べられたことを覚えてないだけかもな」

「「きゃ~!」」

 

楽しそうで良かったわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

広場の芝生にレジャーシートを広げると、双子がごろんと寝ころんだ。

そのままレジャーシートを上に持ち上げると、双子がごろごろ転がりながら

「「きゃ~♪」」と声を上げる。

 

「ほら、お弁当食べるぞ」

「「はーい!」」

「おなかすいたー」

「からあげ!からあげ!」

 

レジャーシートの上に弁当箱を広げる。

二人に「手ぇ綺麗にしな」と使い捨てのおてふきを渡すと、素直に手を拭く。

ホ~ントいい子ら。

 

「さ、手と手を合わせて」

「「「いただきます(ま~す!!)」」」

 

 

 

 

弁当を食べていると、突然双子が思いついたようにしゃべり始めた。

 

「そういえば兄ちゃんきょうおたんじょうびなの?」

「ん?ああ、そういえば」

 

朝から怒涛で忘れてたわ。

 

「おいくつ?」

「28歳。おじさんだな」

「兄ちゃん!」

「おじさん」

「兄ちゃん!」

「おじさん」

「「にいちゃん!」」

「……兄ちゃんです」

「「んふ~!」」

 

二人して勝ち誇った顔をしてやがる。

 

なんだその顔。

満足気だな。

写真撮って真実に送ってやるか。

 

パシャっとな。

 

双子が夢中でから揚げと卵焼きを頬張る。

 

「おいしい!」

「兄ちゃんのたまごやきすき!」

「そりゃどうも」

 

もう一枚パシャっとな。

……まあ。

朝から子守の誕生日ってのも、悪くねえか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お昼ごはんも食べ終わり、いよいよお待ちかね。

 

「「らいおんばすー!」」

「元気だなお前ら」

 

おじさんは飯食ってちょっと眠いです。

 

「きた!」

「らいおん!」

「おっきい!」

 

木で作られた高台の横をバスが通る。

その時。

 

ベロン

 

と、メスのライオンが、バスのガラス窓を舐めた。

おーサービスいいな。

 

「「きゃーーー!!!」」

 

反射的にか、双子が両脇にしがみついてきた。

 

「なんだ、怖かったか?」

「こわくないし!」

「びっくりしただけ!」

「そうかそうか」

 

そう言いながら頭を撫でる。

すると、

 

「……でもおっきかった」

「おう」

「らいおんさん、兄ちゃんよりつよい?」

「そりゃ強いだろ」

「兄ちゃんまける?」

「負ける」

「えっ」

「即負ける。パクパクよ」

「兄ちゃんよわい!」

「ライオン相手なら誰でも弱いわ」

 

しがみつきながらもライオンを見る双子。

これはこれでいい画になるかもな。

腕を限界まで伸ばしてパシャっと。

 

「ね、兄ちゃん」

「お、なんだ」

「なんでらいおんさんは、もふもふがないのとあるのがいるの?」

「それな。モフモフがあるのが男の子、モフモフが無いのが女の子」

「えー、じゃあほとんどおんなのこなんだ!」

「あー、そうだな。ライオンさんはな、一人の男の子に女の子がいっぱいで家族作るんだよ」

「「へー」」

「なんか兄ちゃんのとこみたい!」

「……あー、そうか?」

「うん!だっていろは姉ちゃんとかぐ姉とヤチ姉いるもん!」

「ちょっと大きい声で言うの止そうかそれ」

 

周りのご家族の視線が痛いから。

違うんです。

そういうんじゃないんです。

全員納得の上で一緒にいるんです。

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、バスから降りるまで。

いやバスから降りても双子はしがみついたままだった。

 

こら足にしがみつくな、あーもうこのまま降りるぞ。

「「きゃ~♪」」

足に双子をくっつけたまま、えっちらおっちら歩いていると。

 

「兄ちゃんもらいおんさんみたいにつよくなってね!」

「ううん、らいおんさんよりつよくなって!」

「ライオンさんより強くかぁ。難しいなぁ」

「「え~~~」」

「兄ちゃんはライオンじゃなくてハヤブサだからなぁ。眼は誰よりいいぞ?」

「じみ~」

「酷いな、兄ちゃんの数少ない取り柄なんだぞ」

「兄ちゃんはやさしいじゃん」

「ライオンさんより好き!」

「……そうかい」

 

思わず笑ってしまう。

照れ隠しにぐりぐりと双子の頭を撫でまわした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

色々回り終わって、時間は16:30。

閉園時間まであと30分だ。

最後に正門すぐのところにある、お土産ショップに双子を連れていく。

 

「ほら、お前ら。欲しいもんあったら買ってやるぞ」

「「ほんと!?」」

「誕生日だしな」

「兄ちゃんのたんじょうびなのに?」

「だからだよ」

「「?」」

 

分かってなさそうだった。

それでも双子は目を輝かせながら売り場へ駆けていく。

 

ぬいぐるみ。

キーホルダー。

お菓子。

 

あっちへ行ったりこっちへ行ったり。

その様子を横目に見ながら、近くの商品棚を冷やかしていた。

すると。

 

「ねえ」

「うん」

「なにあげる?」

「ライオンさん?」

「でもおおきい」

「かえないかも」

「じゃあこっち?」

 

ひそひそ話。

……まあ大体聞こえてるんだけどな。

なに買うんだアイツら。

親への土産か?

しばらくして。

 

「兄ちゃんこれー!」

「これも!」

 

両手いっぱいに商品を抱えて戻ってくる。

ぬいぐるみやらお菓子やら。

欲張りどもめ。

まあ、子供が抱えられる量なんてたかが知れてる。

 

「はいはい」

 

会計列へ並ぶ。

すると。

双子が顔を見合わせた。

 

「「いま!」」

 

トテトテトテ

 

別の棚へ走っていく。

 

「お~い、どこ行くんだこら」

 

その時。

近くにいた女性スタッフに、

 

「あ、すみませんお客様」

 

と声を掛けられた。

 

「ん?」

「こちら今日限定のイベントやってまして」

「イベント?」

「動物クイズなんですが――」

 

フリップ片手に説明を始めるスタッフ。

あー、まあ入り口は見えるから外出てくことはねえだろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃。

双子は目的の商品棚の前で。

 

「これ!」

「これがいい!」

 

小さなハヤブサのキーホルダー。

展示は無いが、グッズはあったようだ。

 

「兄ちゃんだ!」

「兄ちゃんだね!」

 

値札を見る。

 

「かえる?」

「だいじょうぶ!」

 

交通系ICカードを取り出す。

朝見せびらかしていたやつだ。

おかあさんがこれあればだいじょうぶっていってた!

レジへ向かう。

店員がしゃがみ込んだ。

 

「プレゼントかな?」

 

双子が頷く。

 

「「しー!」」

 

口元へ指。

店員は思わず笑った。

 

「分かった。秘密だね」

「「うん!」」

 

会計を済ませる。

 

「包装もできるよ?」

「して!」

「して!」

 

小さな包みが出来上がる。

それを受け取った双子は、片方のリュックを開けてそっとしまった。

 

「ばれない?」

「だいじょうぶ!」

 

顔を見合わせる。

 

「「いひひひ♪」」

 

 

 

 

 

 

 

「――というクイズでして」

「あーなるほど」

 

クイズの説明が終わる。

 

振り返ると、何事もなかったかのように立っている双子。

 

「終わったか?」

「「うん!」」

「なんか買ったんか?」

「「ひみつー!」」

「なんだそりゃ」

 

苦笑いしながら首を傾げる。

二人が妙に上機嫌な理由までは分からなかった。

 

「あ、ほら。クイズだってよ。正解したらご褒美貰えんだって」

「クイズ!」

「きょう兄ちゃんにいろいろおしえてもらった!」

「自信満々だね!それじゃあ問題です!」

 

『モフモフが付いているライオンさんは、男の子でしょうか?女の子でしょうか?』

「分かるかな~?」

 

双子が顔を見合わせて、くすくすと笑った。

 

「お~?わかってそうだね!じゃあ大きな声で、せーの!」

「「おとこのこ!!」」

正解(せいか~い)!」

 

スタッフが拍手する。

 

「すごーい!ちゃんと覚えてたんだね!」

「「兄ちゃんがおしえてくれたの!」」

「お兄ちゃんのこと大好きなんだね!」

「良く出来ました」

 

誇らしげな双子の頭を撫でる。

スタッフは景品のシールを二人へ渡した。

 

「はい、ご褒美!」

「「やったー!」」

 

ライオンのシールを受け取った双子が嬉しそうに飛び跳ねる。

 

「よし、そろそろ帰るか」

「「はーい!」」

 

帰りのモノレール。

朝とは違い、たくさん遊び回った双子は少し静かだった。

 

ただ、窓の外を眺めながら、時々。

 

ちらっ。

 

ちらっ。

 

と、俺の方を見る。

 

「ん?」

「「なんでもない!」」

 

なんだそりゃ。

悪戯っぽい笑い方しやがって。

 

そして最寄り駅へ到着。

改札を出たところで。

 

「じゅん兄ちゃん」

「おう?」

 

双子が立ち止まる。

なぜか少しだけ緊張した顔。

 

「おたんじょうび」

「おめでとう!」

 

そう言いながら。

リュックの中から、小さな包みを取り出した。

 

「……ん?」

 

思わず固まる。

 

「これおたんじょうび!」

「ぷれぜんと!」

「……俺に?」

「「うん!」」

 

包みには真っ赤なリボン。

多分スタッフが結んでくれたんだろう。

 

それを両手で大事そうに持っている双子を見ていると、妙に胸の奥が熱くなった。

 

「開けていいか?」

「「いいよ!」」

 

リボンを解いて、包みを開く。

中から出てきたのは。

 

小さなハヤブサのキーホルダー。

 

「……」

「兄ちゃんの!」

「ハヤブサさんいなかったから!」

「これならずっといっしょ!」

 

満面の笑み。

 

その瞬間、土産屋で妙に上機嫌だった理由も、

 

スタッフが不自然に話しかけてきた理由も、

 

全部が繋がった。

 

「……お前ら」

 

思わず笑った。

本当に、どうしようもなく、笑みが零れた。

 

「ありがとな」

 

そう言って頭を撫でると、双子はくすぐったそうに笑った。

 

「「いひひひ♪」」

 

 

 

 

 

駅からの帰り道。

双子は上機嫌だった。

 

「たのしかったー!」

「またいきたい!」

「そうか、そりゃ良かったよ」

 

俺もキーホルダーを指先で弄る。

小さなハヤブサ。

 

カバンに付けるか。

それとも家の鍵に付けるか。

 

そんなことを考えながら歩いて、スマホで時間を見る。

 

17:40

 

「ちょっと早いけど帰るか」

 

18:00に迎えが来る予定だし。

疲れてぐずられてもな。

 

「「かえるー!」」

 

マンションへ到着。

オートロックは自動で開き、エレベーターも呼ばれている。

 

「兄ちゃんちはいってもいい?」

「おう」

 

双子と手を繋いだまま中へ入る。

エレベーターの行き先は自動で最上階。

 

エレベーターから降りて、自宅の玄関前。

これまた自動で解錠。

 

ドアを開けて、双子の靴を脱がせてリビングへ。

 

「ただいまーっと」

 

次の瞬間。

 

 

 

パン

パンパンパンパンパン

 

大量のクラッカーの音。

 

色とりどりの紙吹雪。

 

視界が一瞬で埋まった。

 

「「「「「「「「「誕生日おめでとーーー!!!」」」」」」」」

「…………は?」

 

…………いや、は?

 

「隼斗くんありがと!はいおいでー!」

「「ただいまー!」」

 

真っ先に飛び出してきた真実が双子を回収。

そのまま抱き上げて、元の立ち位置に戻っていった。

 

「おかえり、隼斗。時間ピッタリ」

「……いや待て」

「うん?」

「待て」

「なにを?」

「全部だ」

 

追いつかない。

何も追いつかない。

 

リビングを見る。

 

彩葉。

鶫。

芦花。

真実。

真実の旦那。

黒鬼の三人。

 

なんだこれ。

 

「驚いた?」

 

彩葉が悪戯っぽく笑う。

 

「驚くだろ」

「大成功だねー」

「成功じゃねえ」

「成功だよ」

「成功か……?」

「成功成功」

 

 

 

その時、リビングに繋がる扉の向こう。

玄関を挟んで反対側から、重たい何かを担ぐ音。

 

ガチャ

 

「「Happy Birthday」」

 

聞き慣れた二人の、やけに発音のいい声に振り向く。

かぐやとヤチヨが星形レンズのサングラスを掛けて、満面の笑みを向けている。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、その肩には明らかに普通じゃないサイズのバズーカ型クラッカーが担がれていた。

しかも一人一本だ。

 

「おい待てお前ら」

 

嫌な予感しかしない。

彩葉がスマホを掲げて、号令をかける。

 

「いくよー!発射準備!」

「待て」

「3!」

「待てって」

「2!」

「話を聞け」

「1!」

「だから待――」

 

「Fire!」

「「どかーーーん♪」」

 

ドォォォォォォン!!!!

 

大量の紙吹雪と金テープにラメ。

視界が先ほど以上の圧力に埋め尽くされた。

 

「ぶはっ!?」

「わー!」

「すげえ!」

「大成功だな!」

「とーぜん、私が改造したもん」

「写真撮った~?」

「録画してるぞ」

 

紙吹雪まみれのまま、数秒固まった。

 

そして、ゆっくり、ゆっくりと。

 

うちの三馬鹿(彩葉とかぐやとヤチヨ)を見る。

 

「お前ら」

「ん?」

「なに?」

「やってくれたな」

「楽しかったでしょ?」

 

ああ、まったく。

とんでもねえ誕生日だ。

 

 




妃生さん、丘海さん、評価いただきありがとうございます。

ROSOさん、感想いただきありがとうございます。

お気に入り登録いただいた方々もありがとうございます。
とても励みになります。

活動報告の方でネタの募集も始めておりますので、ご一読いただければと思います。
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