『さーあ始まりました!
『JunY0u争奪KASSEN選手権 feat.ヤチヨ』!!』
……どうしてこうなった?
『みんなのためにわんわんお!解説の忠犬オタ公で~す』
『実況の乙事照琴で~す』
『……景品のJunY0uで~す……』
俺の配信なのに、なんで俺が実況解説席に縛り付けられてんだ?
『ねえいまどんな気持ち?w』
『疑問符しか浮かんでねえよ』
『草』
『草じゃねえよ』
『本日のルール説明です!』
聞いたからには捌けよ琴コラおい。
オタ公も無視して進行すんじゃねえ。
『かぐや、いろP、ヤチヨがそれぞれSETSUNAにてリスナー参加型対戦凸待ちを行います』
『それぞれの対戦相手に勝利したリスナーは、JunY0uに好きな内容の配信を一つ!
させられる権利が与えられます!』
『俺の意見は?』
『配信内容は法律、常識、モラルに反しない限り、自由!』
『進行が鬼すぎる。俺の声乗ってる?ミュート?』
『乗ってますよ』
『じゃあ反応しろよ』
機材チェックしちゃっただろ。
『なお、かぐや、いろP、ヤチヨの三名もそれぞれ50勝達成した場合、
JunY0uに好きな内容の配信をさせる権利を獲得できます』
『待て待て待て待て』
『なお権利は重複しませんので、例えばヤチヨが100勝した場合でも
2回権利を得ることはできません』
「ざんね~ん」
『待てって』
『なんでしょう景品さん』
『景品さん言うな』
『なんで増えてんだよ』
『何がです?』
『俺に配信させる権利持つ奴がだよ』
『盛り上がるでしょ?w』
『盛り上がるの俺以外だろ』
『なんでリスナーも敵なん?』
『そりゃ普段JunY0uがしないような配信が見たいからでしょ』
『えーちなみに現在の対戦待ち人数ですが』
オタ公がちょっとひきつった顔で読み上げる。
嫌な予感しかしねえ。
『三千六百十三名となっております』
『配信切って良い?』
『ダメです』
クソッ、ストリームキー彩葉とヤチヨに教えるんじゃなかった。
なにが『隼斗が緊急事態のときに配信切れる人いたほうが良いでしょ?』だ。
『ちなみに、SNSではリスナーが希望している配信内容が幾つかバズっておりまして』
『聞きたくねえなぁ……』
『え~~~、『かぐいろジュンヤチまみROKATSUGUで一致するまで終われまテン』、
『『私は、わたしのことが好き』踊ってみた練習耐久 ※本人監修』、
『居酒屋隼鷹開店』、『ASMR配信』
『俺の負担がすんごい』
『あとは変わり種で『女装配信』なんてのも』
『と、いうワケで本日の配信はここまで。おつかれ~』
『終わりませんよ』
なんでだよ!アラサー男の女装なんて需要ねえだろ!!!
『需要あるからバズってんだよw』
『本当それです』
『まあまあってなんだ』
『なんでだよ』
『えー、ただいまコメントを確認したところ』
『いらん』
『黒鬼の乃依さんから』
『いらんって言ってるだろ』
『『衣装は任せて』とのことで』
『いらんっつったよな?』
『なおROKAさんからも』
『う~わこの流れでのアイツのは怖い』
『『可愛くしてあげる』とのことです』
『して欲しくねえのよ』
『コメント欄がうるせぇ。上手いこと言ってんじゃねえよ』
『お、ここで一戦目が終わったようです。対戦者は……かぐや!』
画面が切り替わり、かぐやの配信が映し出された。
『おおーっと!』
『強ぇなぁ。師匠冥利には尽きるけどよ』
『かぐや選手、本日一人目の人柱を打ち立てました』
『言い方ァ!』
配信画面の向こうで、かぐやが楽しそうに手を振る。
『ありがとー!また来てねー!』
『煽り性能高くね?』
『本人にそのつもりは無いんですよねぇ』
『なおさらタチ悪ぃわ』
その後も、危なげなく勝利を積み上げていく三人。
かぐや勝利。
いろP勝利。
ヤチヨ勝利。
勝利。
勝利。
勝利。
勝利。
『……これ終わる?』
『終わりませんねぇ』
『終わらねえのかよ』
『待機人数三千人超えてますから』
『地獄じゃねえか。あいつらの方が負担デケエだろこれ』
『イキイキしてますけどね』
『なんで???』
一時間後。
かぐや:18勝
いろP :21勝
ヤチヨ:19勝
『順調ですね』
『俺だけ順調じゃねえんだよ』
『受け入れたくねえ~』
さらに一時間が経ち。
かぐや:37勝
いろP :41勝
ヤチヨ:43勝
『おおっとここで!』
琴が声を上げる。
『ん?』
『参加申請に見慣れた名前が三つ』
『嫌な予感しかしねえ』
『こちらです』
画面に表示される。
Black onyX 乃依
Black onyX 雷
Black onyX 帝
『帰るわ』
『帰れません』
『まだ何も起きてねえだろ』
『起きます』
『断言すんな』
『対戦カードはこちら!』
かぐや vs 乃依
いろP vs 雷
ヤチヨ vs 帝
『なんでこいつらは待機時間なしで対戦してんだ』
『面白そうだったので』
『絶対それだけじゃねえだろ』
最初の対戦カードはかぐやvs乃依。
『おーっと!早速かぐやのウナギ電磁砲と乃依の弓の激しい打ち合いです!』
『かぐやも食らいつくな』
『乃依さん相手によくやってますね』
かぐやが一本先取した。
コメント欄爆発。
しかし、プロゲーマーもそう甘くはなく。
二本目、三本目。
立て続けに乃依が勝利した。
『いぇ~い』
『くっそぉおおお!!』
『おめでとうございます!』
『ありがとうございま~す』
『で、獲得した権利は?』
乃依が満面の笑み。
嫌な予感が止まらねえ。
『アバター女装配信♡』
『あー』
『あーじゃねえ』
『来ちゃったw』
『来ちゃいましたねぇ』
『来るな』
『衣装は任せてね~』
『任せねえよ』
『ROKAちゃんもノリノリだったよ?』
『聞きたくなかった情報だわ』
続いて、いろPvs雷。
『これは良い勝負ですね』
『流石だな』
『いろP頑張れー!』
だが、地面を隆起させてルートを絞られ、雷の地雷に引っかかってしまう。
ならばとワイヤーでの立体機動を試みるも、隆起させた地面で直接ワイヤーを押し上げて妨害。
タンク職の雷とサポートアタッカーのいろPでは、そもそも
『よし』
『権利内容は?』
『釣り』
『普通だ~。良かった……』
『二人で船釣り』
『普通じゃなかったわ』
『なんで俺なんだよ。なんで船なんだよ』
『他に誰誘えって言うんだ』
『……乃依とか?』
『あいつが釣りすると思うか。アキラは外出すと迷子になる』
『……う~ん』
『だろ。船なのは船釣りしてみたかったんだ』
『納得させられたの腹立つ~』
そして最後の対戦カードはヤチヨvs帝。
『うわ』
『うわですね』
『うわだな』
コメント欄まで同じ反応になる。
しかし、ヤチヨも粘る。
一本先取した。
『おおっ!?』
『強い!』
『ヤッチョ頑張れー!』
だが、その後二本連続で取られてしまった。
『お疲れ』
『お疲れさまです』
『で?オメーは俺になにさせてえんだ』
帝が少し考えて、にやりと笑った。
『黒鬼一日加入配信』
『おお!』
『それは需要ありそうw』
オタ公と琴の反応も、リスナーの反応も頭に入ってこない。
『……』
『景品さん?』
『今な』
『はい』
『配信者人生で五本の指に入るくらい嫌な予感がした』
『なお』
『まだなんかあんの?』
『あります』
画面が更新される。
かぐや:50勝達成
いろP :50勝達成
ヤチヨ:50勝達成
『あ』
『あ』
『あー……』
『おめでとうございまーす!!』
『待て』
『おめでとうございまーす!!』
『待てって』
『かぐや選手!』
『海!』
『早ぇよ』
『いろP選手!』
『セッション配信』
『即答だなおい』
『ヤチヨ選手!』
『料理~♪』
『お前絶対前から決めてただろ』
ヤチヨがニコニコしながら答える。
『虚無釜玉!』
『おう』
『ビーフシチュー!』
『おう』
『タンシチューと夏野菜のグリル!』
『……おう、とりあえず最後まで聞くわ』
『手作りバゲット!』
『焼けと』
『苺のパンナコッタ!』
『おう。……まだあるのか?』
『うん!焼肉タレ雑炒め丼に、手打ちうどんと天ぷら、それに隼斗の手作りプリン!』
『おう。……そんなに食いたかったのかよ』
『そりゃもちろん!』
ヤチヨが胸を張る。
『指を咥えて見てたよ~』
『……まあ、そう言ってもらえるのは料理配信者冥利に尽きるんだがよ、一回でやれと?』
『毎回枠取って!』
『さいですかぁ……。……で、なんだが』
俺は指折り数えて、現時点で確定した配信内容を数える。
『女装』
一本。
『船釣り』
二本。
『黒鬼』
三本。
『海』
四本。
『セッション』
五本。
『料理』
六本。
『俺だけ罰ゲーム六本立てなんだが?』
琴とオタ公が一瞬黙って、顔を見合わせた。
『言われてみればそうですね』
『確かにw』
『否定しろよ!!!!』
『それでは今後のJunY0uチャンネルの配信スケジュールは』
『やめろ』
『女装、船釣り、一日黒鬼加入、海、セッションライブ、料理となります!』
『やめろって』
『皆様お楽しみに~!』
『誰か俺の味方いねえの?』
『……配信切るぞ』
『ヤチヨ経由でストリームキー知ってるので無理ですよ』
『クソがァ!!!!』
『ちなみにまだこの選手権続くんで、勝敗によっては全然追加ありますからね』
『俺だけ過労になるわ』
『なんで俺の枠なのにリスナーの大半が敵なん???』
なぎひろさん、かけはしさん、感想いただきありがとうございます。
お気に入り登録いただいた方々もありがとうございます。
とても励みになります。
活動報告の方でネタの募集も始めておりますので、ご一読いただければと思います。