④かぐや「みんなで海配信!」
「かぐやっほー!!!!!!」
声デッカ。
配信タイトルは
【コテージ泊まり】プライベートビーチで遊んでみた!!【かぐやいろP×JunY0u×ヤチヨ+特別ゲスト大集合】
……俺のチャンネルなのにかぐやの配信タイトルだろ、これもう。
「今日はね、プライベートビーチ付きのコテージに来てまーす!!」
「……よー、ジュンヨウだ」
「いろっぴー。いろPで~す」
「ヤオヨロ~。ヤチヨだよ~♪」
「「「「
かぐやがカメラを振り回す。
映し出されるのは、広いリビング、アイランドキッチン、大きな窓の向こうに広がる海。
「やばくない!?やばいよね!?キッチンめちゃくちゃ良いじゃん!ピザ窯もある!!」
「落ち着け。カメラ振り回すな、リスナーが酔う」
「サウナもあるんだよサウナ!!屋外スパもあって最高すぎ!!」
「それで、特別ゲストってのは」
「ROKAで~す」
「TSUGUM1で~す」
「まみまみで~す!」
「ほら、二人ともご挨拶」
「「こんにちはー!!」」
画面の外から、複数の声。
「まみまみさんご家族と、ROKA、TSUGUM1に来てもらいました!!みんなで来ちゃった!!」
「「「よろしくおねがいします!」」」
「……ご主人も来てくれてありがとうございます」
「そんなかしこまらないでよ、呼んでくれてありがとう、たかb……ジュンヨウ君」
「おう、配慮ありがとよ。……こ~ら、カメラに映りたいなら手だけにしとけ。顔は映すな」
「「は~い!」」
ひょこっと、二つの小さな手がフレームに入ってきた。
「……まあ、今日は賑やかになりそうだな。そんじゃ海行くか」
「「うみ!!!」」
「ROKAー!一緒に行こ!」
「もちろん。日焼け止め塗った?」
「塗ったよ!」
「ヤチヨちゃんは?」
「義体だから大丈夫~♪」
「そっか、羨ましいな」
「くそっ、ウチらが日々どれだけ肌のケアに気を使ってると思って……!」
「いや、義体も日焼けするように作ってるよ」
「だからかぐやは日焼け止め塗ってんだしな」
「ヤッチョ初耳!?」
「じゃあヤチヨちゃんには私が塗ってあげるね」
「お願いするよROKA~ヨヨヨ~」
「かぐやも転ぶなよ」
「転ばないもーん!」
「双子ちゃんも落ちんなよ」
「「おちないもん!!」」
「同じ返事だな。……
「いつの話してるの!?!?」
「隼斗~!砂浜ふかふかー!!」
「お前裸足で来るなよ砂熱いだろ」
「あちっ!!」
「だから言ったんだよ」
「あ~もうカメラ持ちながら走んな絶対落とすって……ヤチヨ頼む」
「は~い。三人ともこっちおいで~」
「やったー!ヤチヨと波打ち際行く!!」
「「かぐ姉まって~!!」」
賑やかな声が波音に混じりながら遠ざかっていく。
「……」
ひとまず砂浜に腰を下ろす。
少し離れたところでまみまみと旦那がレジャーシートに座りながら双子を見守っている。
ROKAが
かぐやとヤチヨが双子を連れて波打ち際ではしゃいでいる。
「……ほっとした顔してるね」
隣に彩葉が来る。
「……まあな」
少しだけ口元が緩む。
「これだけの人数、よくまとめたな」
「かぐやが呼んだんだよ。私はお膳立てしただけ」
「お膳立てが大変なんだろ」
「……よし。そろそろピザ窯の火起こしてくる。昼飯の準備だ」
「手伝うよ」
「ならバジル洗っとくのと、全員に声かけといてくれ。腹減らしとけってな」
「はいはい」
立ち上がりざまに、かぐやたちの方を一瞥する。
双子が波に足を取られてきゃあきゃあ声を上げている。
かぐやが同じように声を上げている。
ヤチヨが二人を支えながら笑っている。
「……全員楽しそうだな」
誰に言うでもなく呟いて、コテージのキッチンへ向かった。
⑤いろP「セッション配信」
「いろっぴー。いろPで~す」
「かぐやっほー!かぐやだよー!」
「ヤオヨロー!ヤチヨだよ~」
「……よー、ジュンヨウです」
配信タイトルは
【セッション配信】ギター×キーボード×Wボーカルやってみた【かぐやいろP×JunY0u×ヤチヨ】
「今日は~隼斗のギターと彩葉のキーボード、かぐやとヤチヨのボーカルでセッションするよ!」
「メン限で弾き語りはやってたけど、こういう形は初めてだな」
「初めてじゃないでしょ」
「あ?」
「ほら、復活ライブの時」
「……まあ、あれとはちょっと違うけどな。……弦の確認してくる」
レスポールのチューニングをする。
カメラには映っているが、手元だけ。
「いろPのキーボードはいつも通りだけど、今日はギターに合わせてもらうからよ。
かぐやとヤチヨは好きに乗ってきてくれ」
「「は~い!」」
「それから一点だけ言っておくが」
低い声で続ける。
「……ギターを配信でやるのは初めてじゃねえど、
ミスったら笑ってくれや」
「緊張してる?」
「してない」
「してるじゃん」
かぐやに即座に指摘される。
「……少しだけ、な」
「大丈夫だよ!ジュンヨウのギター最高だから!」
「……そりゃどうも」
チューニングが終わる。
「……じゃあ行くか。一曲目は『COLORS』から」
イントロが始まる。
深緑のレスポールが、アップテンポを奏で始めた。
彩葉のキーボードが重なる。
──自分を、世界さえも変えてしまえそうな──
──瞬間はいつもすぐそばに……──
そこへかぐやと、ヤチヨの声がハモる。
四人の音が、揃った。
⑥ヤチヨ「雑&ガチ料理配信」
「……よー、ジュンヨウだ。今日は料理配信。リクエストが多すぎんのでまとめてやる」
配信タイトルは【リクエスト全部作る】ヤチヨからの権利行使、受けて立つ【雑料理~ガチまで】
「ヤオヨロー!ヤチヨだよ~♪今日は隼斗の料理を全部食べるよ!!」
「かぐやっほー!かぐやも食べる!!」
「いろっぴー。いろPで~す。
……私も食べる側なんだけど、一応言っておくとジュンヨウを手伝う気はあるから」
「お前も手伝いより食い気の方が強そうだけどな」
「否定はしないけどね」
「まず確認だ。今日のメニュー、ヤチヨから読み上げてくれ」
「はーい!ミートドリア、和風ミート釜玉うどん、虚無釜玉、ビーフシチュー、タンシチューと夏野菜のグリル、手作りバゲット、苺のパンナコッタ、焼肉タレ雑炒め丼、手打ちうどんと天ぷら、隼斗の手作りプリン!以上!」
「……改めて聞くとすごい量だな」
「足りないくらいだよ?」
「足りてる」
「足りてるよ~」
「足りねえのは胃袋の容量だろ」
「そういや、他は分かるんだけどよ」
「なんだいなんだい?」
「手打ちうどんと天ぷら、それと焼肉タレ雑炒め丼のときの配信って、
コメントに来てなかったよな、ヤチヨ」
「あっ、あー……」
「確かに!他の配信のお料理のときは彩葉がとんでもない顔してたからめっちゃ覚えてる!」
「とんでもない顔言うな」
「なんか理由あったか?」
「んん~……言わなきゃダメ?」
「言いたくなきゃ言わなくても良いんだけどよ。単純に気になっただけだから」
「いや~……ほら、あの頃はさ?
その~……かぐやが『月に帰る』ことをヤッチョだけ知ってたわけじゃん?」
「「「あ~~~……」」」
ホントは違うんだが、そういうことにしてるからな。
「だから、その……ちょっと、後ろめたくってさ。
ヤチヨカップの後くらいから配信は見ないようにしてたんだよね~」
「でも食いたすぎてアーカイブは見たと」
「じゃないとリクエストしないもんね」
「食いしん坊~!」
わざとからかって湿っぽくなった配信の空気を変える。
ヤチヨも恥ずかしそうにしながら、ふふっと笑った。
「なお、時間のかかるやつは昨日から仕込んであるから安心してくれ。
ドリアとうどんのミートソースは完成済でドリアは今オーブンでブンしてる。
ビーフシチューとタンシチューは温めるだけ、バゲットは焼くだけ。
パンナコッタとプリンは冷蔵庫で冷えてる」
「仕込んでたの!?」
「リクエスト見た瞬間から段取りしてたわ。うどんの生地も昨日捏ねといた。
製麺はいろPに頼む」
「私が?」
「前もいろPが製麺したしな」
「……あの機械、また使えるの嬉しいかも」
「まず最初はミートドリアな」
「「「やった((!!))」」」
三人の声が揃った。
「ヤチヨ、お前ミートドリア食ったことあるよな?」
「あるよ!懐かしくて食べたかったの!!」
「そうか。……かぐやもあるよな?」
「懐かしい!!隼斗に最初に作ってもらったやつじゃん!」
「……いろPも」
「食べたことあるよ。あの頃はなんかもう色々あって、余裕なかったけど……
美味しかったのは覚えてる」
「……そうか」
「……三人とも食ったことあるのか。じゃあ今日はちゃんと腰据えて食ってくれ」
「「「はーい((!!))」」」
言っているうちにオーブンがチン、と音を立てた。
ミートドリアが三人分完成する。
「はい、おまちどう」
「「「いただきます(ま~す!!!)」」」
我慢できないとばかりにかぐやが一口。
キラキラと目を輝かせた。
「ん~!!やっぱり美味しい!!あの時より美味しい気がする!!」
「あん時は時間が無かったからな。実際今回の方が出来は良いぞ。
バターライスに玉ねぎもちゃんと入ってるし、チーズの焦げ目もしっかり付いてる」
「えっ、適当に言ったのに!?」
「適当かよ」
彩葉が一口。
少しだけ目を細めた。
「……美味しい。あの頃より、落ち着いて食べられるな」
「あの頃はお前、心ここにあらずって感じだったからな」
「……そうだったっけ」
「そうだったよ」
「……まあ、否定はできないか」
そしてヤチヨが一口。
なにも言わずに目を閉じた。
「……」
しばらく、何も言わずに味わっている。
「どうだ」
「……ん~~~」
もう一口。
「……ん~~~~」
「……ヤチヨ?」
「ちょっと待って」
また一口。
「……ね、隼斗」
「なんだ」
目を開けたヤチヨが、少しだけ声を落とした。
「これ、食べたかったんだ、ずっと。ありがとうね」
「……そうか」
湿っぽい少しの沈黙。
それを破ったのは。
「かぐやもずっと食べたかった!懐かしくて!!」
「……お前は『懐かしい~!』とか言いながら、ついさっき台所で味見してただろ」
「それは美味しそうだったのが悪い!!」
「……悪くはねえだろ別に」
思わず吹き出す。
隣で彩葉も笑っている。
ヤチヨも釣られて笑った。
「……よし、次行くか。うどんは全部製麺してからだから、ビーフシチューだ。
温めながら彩葉に製麺してもらうぞ」
「小野式、久々だ」
「ハンドル回すの、結構重いから気ぃ付けろよ」
「知ってる。……久々だし、ちょっと楽しみかも」
「素直じゃん」
「うるさい」
鍋に火が入る。
彩葉が製麺機のハンドルを握る。
かぐやとヤチヨがそれぞれ首を伸ばして覗き込む。
「「おお~!」」
「うるさい近い、危ねえぞ。……いろP、均等な速度でな。焦んなくていいぞ」
「うん、……こう?」
「そう。綺麗に出てきてるぞ」
ローラーの隙間から、つやつやとした生地が細く伸びていく。
030さん、岩塩プレートさん、評価いただきありがとうございます。
お気に入り登録いただいた方々もありがとうございます。
とても励みになります。
活動報告の方でネタの募集も始めておりますので、ご一読いただければと思います。