今日も世話を焼く   作:ディアーリーズ

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Ex.ジュンヨウの配信─10 years after─①

① SETSUNAリスナー参加型対戦・レビュー配信

「よー、ジュンヨウだ。今日は久々に参加型SETSUNA。ゲスト解説もいるぞ」

「よう、子ウサギども。ジュンヨウに頭を下げて頼まれたお前らの帝様がゲスト解説に来たぜ」

「頭は下げてないんだが」

「いろっぴー。いろPで~す。今日は解説というか……観察日記かな」

「夏休みの課題か?」

 

配信タイトルは【参加型SETSUNA】久々にちゃんとやる【JunY0u×帝×いろP実況解説席】

─きた

─参加型SETSUNA!!

─帝とじゃなくていいの?

─いろPが観察日記って言ったの草

 

「ルール説明。初心者から上級者まで歓迎。ライン越えた煽りは俺が叩き斬る。

 帝といろPは観戦席で喋ってる。乗り込んでくんなよ」

「乗り込んだら面白そうだけどな」

「却下だ。キックすんぞ」

─帝さん乗り気で草

─解説席のはずが

 

「まあ……10年前と変わんねえなお前は。ちょっとは老いろよ」

「お前もアラサーだろ。なんならオーバーだろ」

「俺は風格が出た。お前は据え置きだ」

「うるせ~。さっさと始めるぞ。初心者から来い」

 

転送。

 

夜の川上ステージ。

崩れかけた橋の上で、篝火の灯りが周囲を照らしている。

 

「あ、ここ10年前もよく使ってたな」

「かぐやとの初戦やってたとこじゃん」

 

対面に現れたのは、短剣使いの参加者。

 

『よろしくお願いします!緊張してます』

「おう、緊張すんな。楽しまなきゃ損だぞ。来いよ」

─変わってないじゃん

─この言い方好き

 

開始。

参加者が左右に揺さぶりをかけながら距離を詰める。

思ったよりフットワークが良い。

 

「お、動き方知ってるな」

 

両手の短剣を逆手に構えて、ボクシングの要領で殴ると同時に斬りこんでくる。

体捌きで躱しながら、右へ回り込む。

 

「ただ」

 

一瞬、突きのラッシュが止まった。

そこへ斬撃。

斬りおとされた右腕から花弁が舞う。

瞠目しているプレイヤーの胸に、打刀を突きこんだ。

 

K.O.

 

「突きの後に必ず腕を戻す癖がある。そこを狙われるとキツイな」

『なるほど……!』

「フットワークは良いな。格闘経験者か?そっちを活かす方向で戦うと良いぞ。突きに頼りすぎ」

『ありがとうございます!』

「ま、そうは言ったがよ、フットワークもラッシュの速度も中々だった。

 上位ランカーでもなきゃ早々そこを突けるヤツはいねえよ」

─10年経っても教え方変わってない

─褒めてから指摘するやつ

 

「10年前より語り口が柔らかくなったな」

「そうか?」

「昔はもうちょっとぶっきらぼうだった」

「……まあ、教える機会が増えたからな」

─副所長だもんな

─研究所スタッフ指導してるし

 

「はい次ぃ」

 

次の参加者が転送される。

大剣使い。重量型。

 

「おっ、ロマン武器」

─10年前も言ってたやつ

─一撃マン来た

─……それこそ十年前に来てたプレイヤーじゃね?

 

開始直後。

大剣が縦に振り下ろされる。

風圧が画面越しにも分かるほどの一撃。

 

「おっと」

 

当たり判定ギリギリでの前進。

懐へ潜り込む。

 

「大剣は懐に入られると弱いんだよ、基本的にな」

『分かってます!』

「おっ?」

 

懐に潜り込まれた途端、大剣を手放した。

そのまま、格闘戦にもつれ込んだ。

 

「そっか、どっかで見た名前だと思った。かぐやとのコラボんときに来たヤツだな。久しぶり」

『潜り込まれた時に活かすために、格闘技習ってきました!』

 

言いながら、側頭部を狙った鋭いハイキック。

体を低くして避けるが、空を切る音が聞こえた。

 

─うわっ、蹴り!?

─ジュンヨウの頭まで脚上がるの結構やべえぞ

─わいだと股関節いかれてる

 

「へえ、キックボクシングか?」

『はい!ジュンヨウさんに懐入られたら終わりだと思ったんで!』

「良い判断だな」

 

言葉とは裏腹に、ジュンヨウの姿がふっと消える。

 

『っ!』

 

反射的に後ろへ跳ぶ参加者。

その瞬間。

 

「今のは正解」

 

横。

真横にいた。

 

『えっ!?』

 

慌てて肘を振る。

防がれる。

 

拳。

 

蹴り。

 

膝。

 

格闘技らしい綺麗な連携。

 

だが、全部、当たらない。

 

紙一重。

本当に数センチ。

その距離だけで避け続ける。

 

─近い近い近い

─なんで当たらんの

─距離感おかしいだろ

 

『くっ……!』

 

再びハイキック。

今度はフェイント。

蹴りを途中で止め、そのまま回転して裏拳へ繋ぐ。

 

「おっ」

 

ジュンヨウが少しだけ感心した声を出す。

 

『当たれぇっ!』

 

裏拳。

 

拳。

 

膝。

 

怒涛のラッシュ。

その途中。

 

「今だな」

『え?』

 

一瞬、足が止まった。

呼吸を整えるための、ほんの一瞬。

その瞬間を狙って、踏み込んだ。

 

速度自体はそこまで速いわけではない。

なのに、気付いた時にはもう懐だった。

 

「格闘経験者の悪い癖」

 

打刀の柄が腹部に入る。

 

『ぐっ……!』

 

体勢が浮く。

そのまま肩を押される。

崩れる。

視界が揺れる。

 

「攻め続けると、自分のリズムで戦いたくなる」

 

地面へ倒れ込みそうになる参加者。

それでも踏みとどまる。

 

『まだっ!』

 

捨ておいていた大剣へ飛びつく。

握る。

振り上げる。

会心の一撃を叩きこもうと。

 

「それ待ってた」

 

ジュンヨウはもうそこにいなかった。

 

大剣が空を切り、切っ先が地面にめり込む。

 

次の瞬間、静かに首元へ添えられた打刀。

 

「ロマン武器は最後まで振り切らないとな」

 

参加者が苦笑した。

 

『参りました』

 

K.O.

 

「うっわ今の速くない?」

「速くはない。相手の意識外を突いてるだけ」

 

帝が少し黙った。

 

「……お前、10年前より反応遅れてないか?」

「眼は落ちてないんでご心配なく。眼帯も外してねえし」

「そういう話じゃなくてな。なんか……こなれてきてる」

「悪い意味か?」

「良い意味だ。余裕が出てる」

─帝がちゃんと褒めた

─確かになんか違う気がする

─10年分の貫禄

 

「昔なら多分、二発目のハイキックで斬ってた」

 

彩葉がぽつりと言う。

 

「今は相手が何覚えてきたのか見てる感じ」

「せっかく練習してきたって言うからな」

 

ジュンヨウは肩を竦めた。

 

「全部出し切らせてからの方がレビューしやすいだろ」

─教育者の顔出た

─副所長だなあ

─ちゃんと成長見てくれるの好き

 

『でも前より一杯戦えて嬉しかったです!』

「それなら良かった。キックはかなり良かったぞ」

『ありがとうございます!』

「次ん時は、帝を蹴ってみろ」

「待てコラ」

『はい!もっと鍛えてきます!』

「お前も待て」

「顔面な」

「いい加減にしとけ?」

─草

─帝巻き込まれた

─お前がやれwww

 

「はい次。中級者以上も来て良いぞ」

 

今度は双剣使い。

開幕から動きが鋭い。

ステップワークが速い。

 

「お、これは経験者だ」

 

双剣の連撃。

受けては流し、流しては返す。

攻守が入れ替わりながら間合いが揺れる。

 

「今の動き、右に重心かかったとこで踏み込んでるな」

 

帝が観戦席から呟いた。

彩葉が頷く。

 

「ジュンヨウそこ狙うんだよね、絶対」

「あ?」

「次の一手、もう分かるもん」

「……言うなよ」

「言わないけど分かる」

 

─いろPが解説席でジュンヨウを解説し始めた

─10年見てたら分かるわそりゃ

─というか「分かる」って言ってしまったのが笑う

 

「……ジュンヨウの癖、10年見てると全部分かるようになってきた」

 

そのまま続けて言ってしまった彩葉。

コメント欄が爆発した。

 

─全部

─全部って言った

─10年間じっくり観察してた人の発言

─いろPが自爆した

 

「……余計なこと言うなよ。対策されるだろ」

「言ってから気づいた」

「お前なぁ~」

─照れてる

─これがジュンいろか

 

帝が静かに笑っていた。

 

「ちょうど良い。ジュンヨウ、相手まだ待ってるぞ」

「分かってる!」

 

双剣使いとの攻防が再開する。

読み合いが続く。

相手のフェイントに一度だけ引っかかりかける。

 

「おっ、今惜しかった」

「うるさい帝」

「解説だ」

 

相手のフェイントの逆を取って、一気に詰める。

 

K.O.

 

『うわーーー!もう少しだったのに!』

「惜しかったな。フェイントは良かった。一回引っかかりかけた」

『え、本当ですか!?』

「本当だ。あと二手あれば分からなかった」

─素直に認めるの好き

─こういうとこ変わってない

 

中盤。

コメント欄から。

─帝さんとジュンヨウのガチ対戦見たい

─同じく

─それ見たくてきた勢も多いと思う

 

「……良いぞ」

 

帝がすっと手を挙げた。

 

「今日やるか」

「次の配信でな」

「今日やれ」

「やんねえ」

「なんでだ」

「今日は参加型だから」

「参加型に俺が参加すれば良い」

「お前が来たらリスナーが怯むだろ」

─論理的な断り方

─でも見たい

 

「じゃ、次回にしよう」

「俺は言ってないが」

「言ったろさっき」

「言ってない」

「決定した」

「してない」

─帝が勝手に決めた

─押し問答になってる

─でも次回帝戦確定では?

 

「……次の参加者来たぞ、集中しろ」

 

強引に話を切る。

 

転送。

今度の参加者はひと目で分かった。

動きが違う。

 

「……おっ」

 

帝も気づいた。

 

「これは上位の人間だな」

「そうだな、ランカーだ」

 

彩葉も黙った。

コメント欄もざわつく。

 

─え、なんか違う

─動きが別格じゃん

─これ強い人来たやつだ

 

開始。

相手は薙刀使い。

リーチを活かしながら、間合いを徹底的に管理してくる。

踏み込もうとする。

押し返される。

回り込もうとする。

先読みで塞がれる。

 

「……分かってるな、こいつ」

 

帝の声が低くなった。

 

「ジュンヨウの動きを事前に研究してきてる」

「多分な」

 

それでも。

右。

左。

フェイント。

本命。

 

「っ」

 

相手が初めて大きく動かされた。

 

「あ」

「今の速かった」

 

彩葉と帝が同時に呟く。

連続でプレッシャーをかけ、相手のステップの癖を見つける。

三回目のステップで確信する。

踏み込む。

相手の踏み込みと正面からぶつかる形になる。

が、ギリギリ体を逸らしながら刀の腹で弾く。

そのまま返しの斬撃。

 

K.O.

 

帝が静かに息を吐いた。

 

「……久々に本気になったな」

「まあな」

「良かったぞ。そういうお前が見たかった」

─帝の解説が途中から無言になってた

─それだけ見入ってたってことじゃん

─帝さんが「良かった」って言うの珍しい

 

『……強すぎる~』

「良い戦い方してたぞ。研究してきてたのは分かった」

『バレてましたか』

「最初の間合い管理で分かった。でもそれで序盤は完全に主導権取られてたな。あとはもう一手、

 予測を外す選択肢があれば面白かった」

『参考になります……!また来ます』

「おう。待ってるぞ」

─レビューが丁寧すぎる

─10年経っても変わらないじゃん

 

終盤。

「そろそろ〆にするか」

「そうだな。良い配信だった」

 

帝がカメラに向き直る。

 

「ということで次回は――」

「なんか言いそうで怖いな今」

「黒鬼全員参加型もやろうと思う」

「お前が決めるな」

「ジュンヨウも参加した方が良い。企画として成り立つ」

「参加型の俺に黒鬼全員乗り込んでくる絵面がまずおかしいだろ」

「面白いから良い」

─帝が勝手に予告してる

─絶対やれ

─見たいんだが

─ジュンヨウvs黒鬼三人同時とか最高すぎる

 

「流石に黒鬼相手に1vs3は無理だわ。俺を過信しすぎじゃねえの」

「1vs3自体は昔やってたろ」

「あれは内二人が初心者だったからだわ。……まあ、いずれな」

「その『いずれ』は近いうちに頼む」

「分かった分かった。……今日はここまで。参加してくれた全員ありがとよ。おつかれ~」

「また来いよ、子ウサギ共」

「おつかれさまで~す」

─おつかれ~

─黒鬼参加型待ってます

─いろPの「ジュンヨウの癖全部分かる」発言が忘れられない

─今日の配信好きだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

② マシュマロ雑談

「よー、ジュンヨウだ。今日は雑談兼マロ消化。ゲストもいるぞ」

「いろっぴー。いろPで~す」

「かぐやっほー!かぐやだよ~!」

 

配信タイトルは【雑談】マロ消化しながら駄弁る【JunY0u×いろP×かぐや】

 

─きた

─三人だ

─マロ消化待ってた

─かぐやちゃんいる!!

 

「今日は重いマロは食わん。かぐやが居るんで空気が湿っぽくなんないとは思うが。

 ……まあ、軽めのやつから行くぞ」

「かぐやは重いマロも全力で答えるよ?」

「お前の全力が一番怖えんだよ」

─分かる

─かぐやの全力の破壊力

 

「はい一件目」

 

マシュマロのウィンドウを開く。

 

『好きな人に気持ちを伝えるのが怖いです。伝えて関係が変わってしまうのが嫌で、

 ずっと言えないままでいます』

「あー……」

「うっ」

 

ジュンヨウが少し椅子にもたれかかった。

何故か手で胸を押さえている彩葉。

 

「言っちゃえ!!」

 

かぐやが即答した。

 

─速

─0.1秒で答えた

「かぐや、もうちょっと考えて」

「だって言わないと伝わんないじゃん!」

「まあ、それはそうなんだけど」

 

ジュンヨウが続ける。

 

「気持ちを伝えて関係が変わるのが怖い、ってのは分かるけどな。

 ……ただ、言わないままでいるのもしんどいだろ?

 言って変わった関係が、言う前より悪くなるとは限らないし」

─まともなこと言ってる

─急に

 

「かぐやは好きな人には好きって言っちゃう!」

「お前が言えるのは度胸あるからだろ」

「なんも考えてないだけかも」

 

かぐやに向けて言うと。

 

「えへへ」

 

かぐやが照れたように笑った。

彩葉は、無言だった。

少し目を逸らしていた。

 

─あ

─いろP何も言わないんだ

─言えない側だったからな……

─揶揄いの範疇ならバンバン言ってたんだけどな

─まあでも言えたじゃねえか

 

「……いろPは何も言わないのか」

「……言うか言わないかは、人それぞれだと思う。言わないのも選択だよ。尊重する」

 

静かに言った。

 

「言えない気持ちは分かるから。ただ……言えた時は、良かったと思えるかもしれないよ」

─いろPが急に重みのあること言った

─経験者の言葉だわ

─なんか良い

 

「……まあ、そういうことだ。急がなくていいが、後悔しない方を選べ。以上」

「次いくぞ」

 

二件目。

 

『仕事と趣味のバランスが取れません。趣味の時間が全然取れなくて、最近しんどいです』

 

三人が同時に少し笑った。

 

「……これ笑っちゃうのよくないよね?」

 

彩葉が苦笑する。

 

「研究所時代そのままだもんな、俺ら」

「かぐやも義体の調整期間しばらく趣味どころじゃなかったし~」

「それは特殊な事情だろ」

─三人とも笑ったの草

─経験者すぎる

 

「あっ、好きなことを仕事にしちゃえば?かぐやみたいに!」

「それもまあ、やってる人はいるよね」

「まあ……好きなことを仕事にしたら、そもそも分けるのが難しくなるぞ」

 

ジュンヨウが言う。

 

「良いことかどうかは人による。仕事が好きすぎて趣味の時間を削っちまうやつもいるし、

 逆に仕事が嫌いになるやつもいる」

「ジュンヨウは?」

「……料理と配信は、完全に趣味と仕事が混ざってるな」

「バイクと車は?」

「あれは純粋に趣味だ。そこだけはっきりしてる。ま、たまに動画出すけどさ」

─乗り物は混ざらないんだ

─運転だけは守られてる

 

「まあ、しんどいと感じてるなら無理しないことだな。

 趣味が息抜きになってるなら、意識的に時間を作った方が長続きする。

 それが難しいなら転職も視野に入れな。

 無理にバランス取れねえ仕事続けてもしんどいだけだぞ」

─それな

─ジュンヨウが言うと刺さる

 

「なんなら酒寄研究所に」

「勧誘すんな、変なん来られても困んだよ」

「タダでさえかぐやいろPとJunY0uの古参メンバーが多いのにね~」

「訂正、これ以上変なのいらん。優秀なのが尚のこと性質が悪い」

 

雑談タイムに入る。

コメント欄からの質問。

 

─かぐやちゃんは義体になって一番変わったことは何ですか

 

「あ、かぐや答えて」

「うん!えーとね~」

 

かぐやが少し考える。

 

「ご飯が食べられること!プリンが美味しい!」

─食べ物

─最初に来るのが食べ物なのがかぐやちゃんらしい

「もっとデカいことあるだろ」

「えー!?プリンはデカいよ!?」

「そうじゃなくて」

「んー……」

 

かぐやがもう一度考えて。

 

「彩葉とちゃんと仲良しのヤツできて、隼斗ともちゃんと仲良しのヤツができることかなぁ」

 

コメント欄が止まった。

数秒後、一気に流れ始める。

 

─え

─待って

─それをさらっと言うな

─ツクヨミだと触れないもんね

─かぐやちゃんがずっと言いたかったやつじゃん

 

「……」

 

ジュンヨウが一瞬だけ黙った。

 

「……そうか」

 

なんとかそれだけ絞り出した。

 

「え~それだけ~?」

 

かぐやが少し不満そうな顔をした。

 

「……まあ。俺もそう思ってるよ」

─素直か

─泣きそう

─今日の配信の中で一番良かった

 

「えへへ」

 

かぐやが笑った。

彩葉は何も言わなかったが、少しだけ目を細めていた。

しばらく雑談が続いて。

 

「そういえばさ」

 

彩葉が少し話題を変えるように言った。

 

「最近ジュンヨウ、どんな気分転換してるの?」

「ツーリングとドライブ」

「他は?」

「料理」

「仕事でも料理してるじゃん」

「まあ……配信かな」

─配信が気分転換なの?

─ちょっと待って

 

「配信が気分転換なの?」

「お前らと話してる時は確かにそうだな」

 

彩葉が少し黙った。

かぐやが「えへへ」とまた笑う。

 

─お前らと話してる時は

─つまりリスナーも含まれてる?

─いや「お前ら」はかぐやといろPのことでは

─どっちにしても嬉しい発言じゃん

 

「……そういう言い方しないでよ」

 

彩葉がぼそっと言う。

 

「なにが」

「気分転換って言ったら、なんか、それ以上の話しにくくなるじゃない」

「なんの話だ」

「……なんでもない」

─いろP??

─急に何

─気分転換以上のものを感じてる側の発言

─ジュンいろは永遠に焦らされる

 

かぐやがにやにやしている。

ジュンヨウは気づいていないのか、気づいているのか。

 

「……次のマロ行くぞ」

 

強引に進めた。

 

─気づいてる顔してる

─気づいてないわけないだろ

 

〆に近づいてきた頃。

 

「次は愛してるゲームやろ!」

 

かぐやが突然言い出した。

 

「配信でやんのかそれを」

「やらない」

 

彩葉が即答した。

 

「え~!!なんで!!」

「やらない」

「やりたい!!隼斗は!?」

「……そのゲームの結末、どうなるかよく知ってるから」

「え、どういう意味~?」

─ん?

─よく知ってる?

─引き分けの話か?

 

「配信外でやれ。今日はここまで。おつかれ~」

「え~!!説明してよ!!」

「おつかれ」

 

彩葉が静かに笑っていた。

 

─おつかれ~

─愛してるゲームの話が気になって仕方ない

─「一番よく知ってる」が意味深すぎる

─今日の配信好きだった

 

 

 

 




ROSOさん、海の坊主さん、感想いただきありがとうございます。

お気に入り登録いただいた方々もありがとうございます。
とても励みになります。

活動報告の方でネタの募集も始めておりますので、ご一読いただければと思います。
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