今日も世話を焼く   作:ディアーリーズ

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Ex.いろかぐヤチジュンWithROKAまみTSUGU&黒鬼ライブ《ray》③

ギターが鳴る。

 

彩葉のキーボードが重なる。

 

スクリーンに映し出された星空。

ネオンが輝く未来都市。

まるで宇宙と都市が溶け合ったような景色だった。

 

歓声が少しずつ静まっていく。

誰もが次に来る曲を理解していた。

 

そしてジュンヨウと彩葉が煽り始めた。

 

「ライブ後半始まったばかり!お前ら付いて来れてんのかァ!?」

「私たちは走っていくから、置いて行かれないようにね!!」

 

「「「うおおおおおおおおおお!!!!!」」」

 

歓声が爆発する。

 

緑。

水色。

 

二色のペンライトが大きく揺れた。

 

「ジュンヨウーー!!」

「いろPーー!!」

「待ってたぞーー!!」

「後半戦だぁぁぁぁ!!」

 

客席の熱量が一気に跳ね上がる。

スクリーンの未来都市を流星が駆け抜ける。

そして落ちた光が巨大な数字を描いた。

 

1,000,000

 

その瞬間。

 

「「「うおおおおおおおおおお!!!!!」」」

 

さらに大きな歓声。

イントロが来る。

誰もがそう確信していた。

 

TSUGUM1がスティックを打ち鳴らす。

彩葉の指が鍵盤に触れる。

ジュンヨウがマイクを握った。

 

──遠い宇宙(そら)の星 平衡したまま 同じ夜を願いながら見上げた──

 

力強くも優しい声。

続いて彩葉。

 

──全てを繋ぐ線は 音を立てて崩れて 深く交ざり合う程に 夜明けを望んでいる──

 

客席から歓声。

スクリーンには無数の光の線。

離れていた星々が結ばれ、そして再び交わっていく。

まるで誰かと誰かの運命のようだった。

 

TSUGUM1のドラムが加速する。

 

ジュンヨウのギターが唸る。

 

いろPとジュンヨウが同時に前へ出た。

 

────手を伸ばしてる────

 

二人の声が重なった、サビ前の盛り上がり。

その瞬間、客席のペンライトが一斉に揺れた。

 

一気に照明が爆発する。

 

──1000000/1(ひゃくまんぶんのいち)でも夢が叶うなら 僕は何度でも何度でも闘い続けて行くから──

 

会場が沸く。

 

ヤチヨが舞台袖で思わず息を呑んだ。

 

八千年。

 

八千年歩いて。

 

何度も諦めそうになって。

 

それでも辿り着いた。

 

まるで自分のための歌みたいだった。

 

──主役(あなた)がいなきゃ始まらないよ──

 

ジュンヨウがいろPへ手を伸ばす。

 

応えるように、いろPもまた叫ぶように歌いながらジュンヨウへと手を伸ばした。

 

────「僕」と「君」の物語には────

 

────「誰」も「何」も言えやしないよ────

 

歓声。

 

──ありきたりな世界を──

──型破りな世界へと──

 

そして二人同時に。

 

────変えれる────

 

────一人じゃないから────

大歓声。

 

 

 

 

 

 

舞台袖。

ヤチヨが静かにステージを見つめていた。

隣ではかぐやがリズムに合わせて身体を揺らしている。

 

──真っ直ぐな道を進むときさえ 不安だけは消えずに付き纏ってた──

 

不安なんて数え切れないほどあった。

何度もあった。

それでも歩いた。

 

──いつの間にか外から 心を固く閉ざし 自分さえも忘れて 誓いを破っていた──

 

その歌声が過去の自分を思い出させる。

 

孤独だった日々。

長い旅。

置いていかれ続けた時間。

 

 

 

──100億年も前から光はあるから 僕は最後まで最後まで 望みを捨てずにいるんだ──

 

スクリーンの星空が一気に広がる。

 

無数の光。

 

宇宙。

月。

地球。

八千年。

それでも届いた想い(ハッピーエンド)

 

 

────「君」と「僕」の結末なんて────

 

────「白」か「黒」じゃ決められないよ────

 

──ありふれてる奇跡を──

──待ち受けてる運命(さだめ)でも──

 

────変わらない────

────一つじゃないから────

 

 

 

歓声が響く。

 

だが、その熱狂を切り裂くように照明が落ちた。

 

ドラムも消える。

残ったのはキーボードとギターだけ。

 

 

ヤチヨの脳裏に、今までの思いが去来する。

 

楽しかったコラボライブ。

 

とても楽しくて、でも哀しかった卒業ライブ。

 

自分を置いて飛んで行ってしまったジュンヨウ(隼斗)

 

月へと届いた彩葉の歌。

 

八千年を旅する自分。

 

出会い。

 

別れ。

 

再会。

 

守れなかったもの。

 

守れたもの。

 

そして、並んで立つ彩葉と隼斗。

 

その隣で笑うヤチヨとかぐや。

 

ステージの上では彩葉と隼斗が背中合わせになっていた。

 

何も言わない。

ただ演奏だけが続く。

まるで、あの日交わした約束を確かめるように。

 

 

 

 

 

ドラムが炸裂する。

 

照明が一気に解放された。

 

緑と水色。

二色のペンライトが波のように広がる。

 

──1000000/1(ひゃくまんぶんのいち)でも夢が叶うなら 僕は何度でも何度でも闘い続けて行くから──

 

客席は総立ち。

 

──主役(あなた)がいなきゃ始まらないよ──

 

ペンライトが揺れる。

 

────「僕」と「君」の物語には────

 

────「誰」も「何」も言えやしないよ────

 

──ありきたりな世界を──

──型破りな世界へと──

 

そして。

二人の声が完全に重なる。

 

────変えれる────

────一人じゃないから────

 

その瞬間。

 

スクリーンに浮かび上がっていた数字。

 

1,000,000

 

その数字が砕け散って、無数の星になって夜空へ広がる。

 

会場を埋め尽くす歓声と、ペンライトの光。

 

まるで無数の星が瞬いているようだった。

 

 

 

スクリーンいっぱいに広がる星空。

 

歓声はしばらく止まらなかった。

 

「ジュンヨウーー!!」

「いろPーー!!」

「最高だぁぁぁぁ!!」

 

緑と水色のペンライトが大きく揺れる。

ジュンヨウは苦笑しながら額の汗を拭った。

彩葉も少し息を切らしながら笑っている。

TSUGUM1はスティックを肩に担いだ。

 

「お前ら元気過ぎだろ」

 

客席が笑う。

 

「いやでもさ」

 

彩葉がマイクを握る。

 

「まだまだ終わらないからね?」

 

歓声。

 

「ここからもっと熱くなるよー!」

「「「うおおおおおおおお!!!!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

その時だった。

舞台袖から重い足音が響く。

 

ドン。

 

ドン。

 

ドン。

 

客席がざわつく。

 

そして、

 

「おいおいおいおい」

 

低い声。

 

一つ。

二つ。

三つと。

 

スポットライトが灯る。

そこに立っていたのは。

 

「俺たちを差し置いて盛り上がってんじゃねぇぞ」

 

 

 

 

 

帝アキラ。

 

雷。

 

乃依。

 

 

 

 

 

Black onyX(黒鬼)の三人だった。

会場が爆発する。

 

「黒鬼ぃぃぃぃぃ!!」

「来たぁぁぁぁぁ!!」

「待ってましたぁぁぁ!!」

「帝様ぁああああああ!」

 

帝はニヤリと笑った。

 

「後半戦なんだろ?」

 

ジュンヨウを見る。

 

「だったらもっと暴れろ」

 

TSUGUM1がスティックを回す。

ジュンヨウがギターを抱え直した。

 

「言うじゃねぇか」

「当然だろ、俺らが来たんだぜ?」

「帝ちゃんやる気満々~」

「まだ、盛り上がりが足りないな」

 

言いながら、全員がマイクを握った。

 

「今日は全員まとめてぶっ飛ばしてやるよ。子ウサギ共!お前らの帝様が来たんだぜェ!!」

 

大歓声。

彩葉が苦笑しながら、舞台袖にハケていく。

 

「ほどほどにね?」

「無理だな」

 

帝が即答。

客席爆笑。

ジュンヨウが前へ出た。

 

「それじゃあ次の曲だ」

 

ジュンヨウに目を向けられたTSUGUM1がカウントを取る。

 

スクリーンに映るのは夜の街。

 

走る光。

駆け抜ける風。

 

帝と雷、乃依の三人がマイクスタンドを掴んだ。

 

ジュンヨウがギターを鳴らす。

 

ジャカッ―――!!

 

その瞬間。

 

会場の空気が変わった。

 

「「行くぞォォォォ!!」」

 

ジュンヨウと帝が煽る。

そして。

 

──どっか上の空で さっぱり聞いてないんだろ?──

 

帝の低く響く歌声。

スクリーンに夜の街が流れる。

 

──わざとこぼすサイン 見逃す君──

 

雷が前へ出る。

紫のスポットライト。

 

──ほらいつだって同じで 分かり合ってる?…とんだ勘違いだよ──

 

乃依が客席へ指を向ける。

 

──ここに居る僕に気付けないんだろう──

 

ジュンヨウのギターが鳴り響く。

 

帝とジュンヨウが同時にマイクを客席へ向けた。

 

「「分かってるよなお前らァ!!?」」

 

「「「「「「「「「「「「Hey!!Hey!!」」」」」」」」」」」

 

会場全体が応える。

 

────応えて 誰かいませんか?────

 

「「「「「「「「「「「「Hey!!Hey!!」」」」」」」」」」」

────僕だけが僕を作るから────

 

さらに帝とジュンヨウのハモリ。

ペンライトが激しく揺れる。

 

「「「「「「「「「「「「Hey!!Hey!!」」」」」」」」」」」

 

そして四人同時に。

 

────サムライハート────

 

 

会場が爆発した。

 

同時に、スクリーンの夜景が加速した。

 

ネオンが流れ、高速道路の光が尾を引く。

まるで街そのものが疾走しているようだった。

 

──すれ違った街のガラスに 寂しげに映った自分──

 

ジュンヨウが夜景の映るスクリーンへ目を向ける。

その横で帝がニヤリと笑った。

客席では既にペンライトがリズムに合わせて揺れている。

 

緑。

赤。

紫。

ピンク。

 

四色の光が夜空を埋めていた。

雷がマイクを掲げる。

 

すると客席から自然と声が返った。

 

「「「「「「Hey!!Hey!!」」」」」」

────応えて 誰かいませんか?ずっと探しても答えないや────

 

 

 

 

誰も煽っていない。

 

それでも止まらない。

 

────「どうだっていい」なんて思わないで 本当の声を────

 

帝が客席へ手を伸ばす。

 

数万の手が同時に上がった。

会場全体が歌の一部になっていく。

 

 

 

 

 

ジュンヨウがステージ中央へ歩く。

 

帝も前へ出る。

 

雷も。

乃依も。

 

四人が横一列に並んだ。

 

TSUGUM1のドラムが激しく加速する。

 

──ひとりじゃ生きられないだろ? ハート捨ててまでとけ込めない──

 

ジュンヨウが拳を握る。

 

────諦める理由はいらない────

 

歓声。

 

──君だって──

 

──踏ん張って──

 

──この街で──

 

 

 

────生きていくんだ────

 

ドォン!!

 

TSUGUM1が渾身の一打を叩き込む。

白い照明が客席を薙いだ。

 

 

もう煽らずとも、観客は自発的に「Hey!!Hey!!」とコールを叫んでいた。

 

────応えて 誰かいませんか?────

 

マイクを向けずとも、勝るとも劣らんばかりのコールが会場を揺らす。

 

────僕だけが僕を作るんだ────

 

 

 

──泣いたって、笑って 憎んだって 愛して生きていこう──

 

必要ないとは知っていた。

それでも、この熱量に煽らずにはいられなかった。

 

「オラお前らァ!!最後だぞ!!!」

「腹から声出せ!!!!せぇーのぉ!!!!」

 

「「「「「「「「「「「Hey!!Hey!!」」」」」」」」」」

 

────サムライハート────

 

 

 

ドォォォォォン――――!!

 

最後のクラッシュシンバル。

 

ギターが唸り、ベースが響き。

そして全ての音が止まった。

 

一瞬の静寂。

 

次の瞬間。

 

「「「うおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」」

 

会場が揺れた。

 

緑。

赤。

紫。

ピンク。

 

四色のペンライトが波のように揺れる。

 

「黒鬼ぃぃぃぃ!!」

「帝様ぁぁぁぁ!!」

「ジュンヨウーー!!」

「最高だぁぁぁぁぁ!!」

 

帝が肩で息をしながら笑う。

 

「はっ……」

 

汗を拭う。

 

「やっぱライブはこうじゃねぇとな」

 

歓声。

 

雷も乃依も満足そうに笑っていた。

 

ジュンヨウがマイクを握る。

 

「お前ら」

 

客席が静まる。

 

「まだ声出せるか?」

「「「「「うおおおおおおお!!!!!」」」」」

 

即答だった。

ジュンヨウが苦笑する。

 

「さっきも言ったけど元気過ぎんだろ」

 

客席が笑う。

帝が横から割り込んだ。

 

「当たり前だろ」

 

マイクを掲げる。

 

「今日は誰のライブだと思ってんだ?」

 

歓声。

 

「俺ら全員のライブだろォ!!?」

 

会場が再び爆発した。

 

TSUGUM1がドラムセットの後ろから笑う。

乃依が観客へ手を振る。

雷も軽く拳を上げた。

 

そして、舞台中央へ彩葉が戻って来た。

 

「みんなー!」

 

歓声。

 

「まだ終わらないからね?」

 

さらに大きな歓声。

彩葉は満足そうに笑った。

 

「じゃあ――」

 

そこで言葉を止めた。

 

ジュンヨウを見る。

帝を見る。

客席を見る。

 

そして。

 

「次は、少しだけ違う景色を見せてあげる」

 

客席がざわつく。

 

何だ?

次は何が来る?

そんな期待が会場全体に広がった。

彩葉は静かに微笑む。

 

「準備、できてる?」

 

「「「できてるーーー!!!!」」」

 

その返事を聞いて、ステージ上の全員が笑った。

 

そして、照明が一つ消える。

 

客席が静まる。

 

もう一つ消える。

歓声も少しずつ収まっていく。

 

最後のスポットライトが消えた。

 

完全な暗闇。

 

音もない。

光もない。

 

誰も声を出さない。

数万人が息を潜めていた。

 

次に何が始まるのか。

誰もが待っている。

 

闇の中、静寂だけが広がっていた。

 

 

 

 

 

 

 




訪貴さん、誤字報告いただきありがとうございます。

エルウェストさん、ROSOさん、雨飴天あめさん、感想いただきありがとうございます。

お気に入り登録いただいた方々もありがとうございます。
とても励みになります。

活動報告の方でネタの募集も始めておりますので、ご一読いただければと思います。
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