今日も世話を焼く   作:ディアーリーズ

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読者募集ネタになります。


Ex.ジュンヨウにとってどんな存在?

配信タイトルは【雑談】夜更かし雑談。マロでも読みながら【JunY0u】

 

「よー、ジュンヨウだ」

 

画面にはいつもの配信部屋。

ゲーム画面も無く、BGMだけが静かに流れている。

 

「今日は特にやるゲームも決めてねぇし、マシュマロ拾いながら雑談してく」

 

─こんばんは

─雑談助かる

─作業しながら聞くわ

 

「今日は肩の力抜いていこうぜ」

 

飲み物を一口飲む。

 

「最近さ、かぐやがギター覚えようとしてんだけど」

─また爆発した?

 

「爆発はしねえよ」

「……『全然できない!』って癇癪起こしがちでな」

─してるようなもんw

─通常営業

 

「でもちゃんと成長もしてるぞ」

「最初はコードも怪しかったけど、今はFコードに挑戦中だし」

「義体だから指先が堅くなったり、とかはならねえけどさ」

「なるように出来たら応用も効きそうだし、今はその機序を……仕事の話になっちまった」

「話戻すけど、本人が楽しそうだから、まあ良いかなって」

 

コメント欄が微笑ましい空気になる。

その後は、

 

最近配信したゲームの話。

ツクヨミのイベント。

帝との筋トレ。

ヤチヨにまた無茶振りされた話。

彩葉が新しいレシピを覚えた話。

そんな他愛ない話が一時間ほど続いた。

 

ふと、マシュマロを一つ開く。

 

「次」

 

「……お」

 

少しだけ苦笑した。

 

「これはまた」

─なんだなんだ

 

 

                  

いろP、かぐやちゃん、ヤチヨにとってジュンヨウさんがどういう存在かという配信を見ました

逆にジュンヨウさんにとって三人はどんな存在ですか?

                  

 

コメント欄が一気に盛り上がる。

 

─きたw

─答えて!!

─逃げるなw

─配信見たの?

 

「……見たかって?」

 

少し笑う。

 

「まあ、そりゃ」

「全部見た」

─見たんかいw

─こっそり見てたんだな

 

「見ねぇ方がおかしいだろ」

「SNSで散々流れてきたし」

「……正直、恥ずかしかったけどな」

 

照れ隠しに頭を掻く。

 

「配信であんなこと言われるとは思ってなかった」

─照れてるw

 

「……まあ」

「せっかくだし答えるか」

 

一度姿勢を座り直す。

 

「まず彩葉」

 

少し考えてから言葉を続けた。

 

「一番付き合いが長いんだよな」

 

「最初は高校の同じクラスでさ、『すげぇ、完璧超人って居るもんだな』って思ってた」

「一人で上京してきて、バイトで生活費と学費を賄って、その上成績は文武両道ときた」

「バケモンだよバケモン。そう思ってた」

「それが……6月の半ばだったかな、ガッコの帰りに道の横にへたり込んでたんだよ」

「さすがにクラスメイトだから見て見ぬ振りも出来ねえし」

「家まで送ってったら、まさか隣の部屋でよ」

「道中で『見覚えのある道だな』とは思ってたけど、ビビったね」

「寝不足と空腹で熱中症っぽかったから、冷蔵庫開けたらエナドリしか入ってなかったんだわ」

「あん時はドン引いた」

「んで、そっからだな。配信で作ったメシを、作りすぎたって名目で差し入れ始めたの」

「そんなこんなしてたら向こうも配信始めてさ」

「ルームシェアまでし始めて」

「気付いたら、毎日いるのが当たり前になってた」

 

コメント欄が静かになる。

 

「だから今さら『大切』とか言われても」

「もうそういう次元じゃねぇんだよな」

「『家族』って言った方が、まだしっくりくる」

「いるのが普通」

「隣にいるのが普通」

「いなくなるなんて考えたこともない。考えたくない、か?」

─夫婦じゃん

 

「違う違う」

 

苦笑する。

 

「例えるなら……」

「家に帰ったら電気が点いてる」

「それくらい当たり前」

「そんな感じ」

 

少し笑って続ける。

 

「でもその当たり前って、失くしてから気付くもんじゃないか、大体」

「当たり前ってさ、気付きにくいけど、案外奇跡なんだよ」

「いま俺がそれに気付けてるのは、他の大事なモンを一度失くした経験があるから」

「だから失くしたくない」

「そう思ってる」

 

コメント欄が静かに流れる。

 

─重い……

─今までいろPの方が重いと思ってたんだよ

─もしかしてお互いに湿度高いのか……?

 

「重くねえよ。次」

「かぐや」

 

自然と表情が柔らかくなる。

 

「最初は守る相手だった」

(な~ん)も知らなくて」

(な~ん)も出来なくて」

「放っといたら危なっかしくて」

「……いや、今でも大概危なっかしいけど、それは置いといて」

─否定できないw

 

「でもさ」

「気付いたら」

「守るだけじゃなくなってた」

「守るつもりで手を伸ばしたのに」

「気付いたら俺の方が助けられてることも、ままある」

「本人はそんなつもり、一切無いんだろうけど」

「……いや、どうだろ。案外計算づくかもしれんが」

「とにかく。俺が落ち込んでる時とかもさ」

「一番最初に気付くの、だいたいアイツなんだよ」

「もちろん、いろPもヤチヨも気付きはする」

「でも、真っ先に気が付いて、真っ先に空気を軽くしてくれんのはアイツ」

「本人は無意識だと思うんだけどさ」

「変に勘がいい」

「だから」

「支えてるつもりが、支えられてる時も結構ある」

─泣く

 

「本人には言わねぇけど」

「ありがとな、とは思ってる」

 

一瞬だけ笑った。

 

「……調子に乗るから、面と向かっては絶対(ぜってぇ)言わねぇけどな」

─切り抜き確定

 

「鳩やんなきゃいいよ、切り抜きたきゃ切り抜け」

「最後、ヤチヨ」

 

少しだけ間を置く。

 

「正直」

「最初はツクヨミの管理人、としか思ってなかった」

「AIっていう触れ込みだったしな」

「だから人間と同じように接するべきか、俺も迷ってた」

「でも、コラボライブと、かぐやの卒業ライブの後にさ」

「ちょっとした事情があって、色々話したんだ」

「話して」

「怒って」

「悩んで」

「笑って」

「そういう姿見てたら」

「いつの間にか、他人とは見られなくなったんだよ」

 

静かな声で続ける。

 

「ヤチヨってさ」

「設定上は八千年生きてるだろ」

「だから季節も」

「人との思い出も」

「色んなもんを知ってる」

「でも長い間、身体が無かった」

「だから」

「味とか」

「匂いとか」

「暑いとか寒いとか」

「そういう『身体で感じる当たり前』が、全部久しぶりだった」

「だから出来るだけ」

「誰かと一緒に経験してほしかった」

「一人じゃなく」

「誰かと」

─優しいなぁ

─八千年なぁ

─ちゃんと設定守ってるの好き

─その設定ちゃんと拾うジュンヨウ好き

─配信者同士そういうとこ大事よね

─そういう設定でやってるんだから野暮なことは言うんでないよ

 

「ま、かぐやもいたから一人じゃなかったけどさ」

「八千年」

「俺には想像も出来ねぇ時間を生きてきたワケで」

「だからこそ、これから先」

「普通に飯食って」

「普通に遊んで」

「普通に笑って」

「そういう当たり前を、今度は四人で増やしていけばいい」

「俺はそう思ってる」

 

少し沈黙が流れる。

コメント欄も珍しく静かだった。

ジュンヨウは笑って肩をすくめる。

 

「……で」

 

「結局三人まとめると」

「俺が今こうして笑って配信出来てる理由」

「それがあいつら」

「誰か一人欠けても」

「今の俺はいないと思う」

─……

─泣いた

─これは重い

─お互い様なんだな

 

「だからさ」

「守りたいとか」

「支えたいとか」

「恩返ししたいとか」

「そういうの全部(ぜ~んぶ)ひっくるめて」

「これからも四人で笑ってられたら、それで十分」

 

一拍置く。

 

「……ま、こんな真面目な話するつもりじゃなかったんだけどな」

─照れてるw

 

「うるせぇ。照れるだろそりゃ」

「今日はこれで終わり」

「恥ずかしくなってきた」

─逃げたw

─切り抜き確定

─本人たちに届けます

 

「鳩は禁止。切り抜き動画は勝手に作れ」

「本人たちがそれを見る分には、なにも言わん」

「ただ、鳩は禁止。これ絶対だぞ」

 

そう言いながらも、口元には小さな笑みが浮かんでいた。

配信終了の画面へ切り替わっても、コメント欄にはしばらく。

 

「四人でずっと笑っててほしい」

「この関係性ホント刺さる」

「てえてえ」

「末永く幸せになれ」

「また四人の配信見たい」

 

そんな言葉が流れ続けていた。

 

 

 

 

 




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