「第二ラウンド開始!」
《パチパチパチ》
オタ公がスケッチブックを掲げる。
『第二種目 ペアコーデ対決』
「今回は自分の服を選びます!」
「テーマは――」
一枚めくる。
『一番勝負の相手との休日デート』
「違うって言ってただろ!!」
ジュンヨウが即座にツッコむ。
「ペアコーデです!」
「つまりデートじゃねぇか!」
「ペアコーデです」
「言い換えただけだろ!」
仕方ないなぁ、と言いたげなオタ公がマジックでキュッキュと雑に修正する。
『一番勝負の相手との休日デートペアコーデ』
「今更書き直すな!!!」
「一番勝負で自分がコーディネートした相手に合わせて、自分のコーデを考えてください!」
「無視すんじゃねえ!」
ROKAが苦笑する。
「まぁまぁ」
「ペアコーデって恋人だけじゃないから」
「兄妹でも」
「友達でも」
「夫婦でも」
「親子でも成立する」
「だから『二人並んだ時の完成度』を見る種目だよ」
彩葉が小さく頷く。
「なるほど……」
一方、かぐやは元気よく手を挙げた。
「質問!」
「はい」
「お披露目のとき、手ぇ繋いでもいい?」
「駄目だ」
「えぇーーー!」
スタジオ爆笑。
即答したジュンヨウは額を押さえる。
「そこ確認すんな」
「それではスタート!」
三人は再び衣装ラックへ向かった。
ヤチヨは早い。
「今回はね~」
「色を合わせようかな」
迷わず淡いベージュを手に取る。
「ジュンヨウはネイビー」
「私はベージュ」
「同系色でまとめる」
ヤチヨは淡いベージュのワンピースに、白いショートジャケットを合わせる。
足元はアイボリーのパンプス。
「ジュンヨウがネイビーだから、私はベージュ♪」
「色がケンカしないでしょ?」
ROKAが感心したように頷くその横でTSUGUM1がメモを書く。
「リンクコーデですね」
「そうそう♪」
「完全なお揃いじゃなくて、色だけ合わせるの」
その頃、彩葉はまだ動かない。
また考え込んでいる。
ROKAは今回は声を掛けなかった。
「(今度は自分で考えさせようかな)」
彩葉はラックを見渡したまま、小さく考え込む。
「隼斗はネイビーだから……」
「同じくらい暗い色だと重たいかな」
「でも白だけだと、浮いちゃうし……」
「私が目立つのもちょっとな……」
「俺を主役にする前提なの?」
「少しだけ色を拾って……グレージュなら丁度良いかな」
ボソッと漏れたジュンヨウのツッコミは耳に入っていないらしい。
手に取ったのは、オフホワイトのブラウス。
続いて、柔らかなグレージュのロングスカート。
最後にネイビーのロングカーディガンを重ねる。
「……これなら」
「並んでも自然に見えるかな」
ROKAは少しだけ目を細めた。
「なるほど」
「完全に『隣に並ぶこと』を考えてる」
対照的に。
「できたー!」
かぐやは元気よく服を抱えて振り返る。
アイボリーのパーカー。
ライトブルーのデニムジャケット。
ベージュのプリーツスカート。
足元は白いスニーカー。
「ジュンヨウのコートがベージュだから、私はアイボリー!」
「デニムもおそろい!」
「沢山歩くからスニーカー!」
「いっぱい遊べるもん!」
「なるほど、そこは説得力あるな」
ジュンヨウが頷く。
「ジュンヨウ、すぐ走るし!」
「走らねぇよ」
「走る!」
「走んねぇって。お前が走るから付いてってんの」
「だから私も走れる靴!」
「そこだけは理にかなってんのが悔しい」
コメント欄が流れる。
ROKAは三人を見比べながら微笑む。
「面白いね」
「ヤチヨちゃんは『完成図』を考えてる」
「彩葉は『隣に立った時のバランス』」
「かぐやちゃんは『一緒に何をしたいか』」
TSUGUM1も感心したように頷く。
「同じペアコーデなのに、三人とも見ているものが違いますね」
「それがファッションの面白いところだよね」
「──残り五分です!」
オタ公の声がスタジオに響く。
「最終調整に入ってくださーい!」
「はーい♪」
ヤチヨは鏡の前でジャケットの裾を整える。
「……うん」
「これで大丈夫かな♪」
彩葉もロングカーディガンの丈を確認しながら、小さく息を吐く。
「これなら……」
「自然に見えるかな」
その隣では、かぐやが自分のスニーカーを見つめていた。
「……やっぱり」
何かを思いついたように振り返る。
「スタッフさーん!」
「黄色い靴ひもってある~!?」
「何に使うんです?」
「ジュンヨウの赤と青に合わせて三色にしたい!」
「信号機に戻すな!」
「違うもん!春は明るい色なんだもん!」
「まだ春なのかよ。別に季節は春の設定じゃねえだろ」
コメント欄が一斉に流れる。
ROKAは思わず吹き出した。
「でも、その発想は嫌いじゃないなぁ」
TSUGUM1も笑う。
「色で遊ぶのは、かぐやらしいですね」
「──終了一分前!です」
「急いでくださーい!」
三人は最後の仕上げへ入る。
鏡の前で全体のバランスを確認するヤチヨ。
隣に誰かが立った姿を想像する彩葉。
そして、完成したコーデでその場をくるりと一回転するかぐや。
「タイムアップ!!」
《ピンポーン♪》
オタ公が大きく両手を広げた。
「それでは第二ラウンド!」
「ペアコーデ対決!」
「発表です!!」
《パチパチパチパチ》
「お相手さんも着替えに行ってくださいね」
「じゃあ拘束解けよ」
「あ、忘れてました。スタッフさん、縄お願いしまーす」
「ほどくんじゃねぇのかよ!」
「ほどくだけだと逃げそうなので」
「………………逃げねえよ」
「じゃあその間はなんだ。……まあ良いです。まずは現在トップのいろPさんから!」
「え、私から?」
彩葉が少し驚いたように目を丸くする。
「はい!」
「一位は最後じゃないんですか?」
「後攻にプレッシャーを与えるためです!」
「そんな理由!?」
コメント欄が流れる。
「それではモデルさん!」
「はいはい……」
椅子から解放されたジュンヨウが更衣スペースへ入っていく。
「私も着替えてきます」
彩葉もスタッフに案内され、反対側の更衣室へ向かった。
スタジオでは静かなBGMが流れる。
ROKAは腕を組みながら小さく笑う。
「この種目、面白いのはね」
TSUGUM1が頷く。
「何ですか?」
「服そのものより、『二人並んだ時』が採点対象」
「だから一人ずつ見ても意味がない」
「並んで初めて完成するの」
「なるほど……」
オタ公も大きく頷く。
「それでは!」
「ペアコーデ、最初のお披露目です!」
更衣スペースのカーテンが、ゆっくりと開いた。
最初に姿を現したのは、ジュンヨウだった。
グレージュのシャツにダークネイビーのジャケット。
黒のスラックス。
第一ラウンドで彩葉が選んだコーディネート。
そこへ、反対側のカーテンも静かに開く。
「失礼します……」
彩葉が少し照れたように歩いてくる。
オフホワイトのブラウス。
柔らかなグレージュのロングスカート。
ネイビーのロングカーディガン。
髪は軽くまとめられ、普段より少しだけ柔らかな印象になっていた。
「……おぉ」
最初に声を漏らしたのはジュンヨウだった。
「なんか……並ぶと自然だな」
スタッフの指示で二人が横へ並ぶ。
誰かが前へ出るでもなく、
誰かが目立つでもなく。
二人並んだ瞬間、まるで最初からそういう組み合わせだったような落ち着きがあった。
「……」
ROKAが満足そうに頷く。
「これ、すごくいろPらしい」
TSUGUM1も何度も頷く。
「主張し過ぎないのに、お互いを引き立てています」
まみまみも笑う。
「休日に街で見掛けたら、『仲のいいカップルだなぁ』って思っちゃうかも」
「ちょっ」
彩葉の顔が一気に赤くなる。
「ま、まみまみ!」
「例えだよぉ例え♪」
ジュンヨウは苦笑しながら頭をかいた。
「まぁ……確かに歩きやすそうではある」
「……それだけ?」
彩葉が少しだけ頬を膨らませる。
「いや」
ジュンヨウは改めて彩葉を見て言った。
「似合ってる」
その一言だけで、彩葉には十分だった。
彩葉は照れ臭そうに目を逸らし、小さく笑う。
「……ありがと」
コメント欄が一気に流れ始める。
ROKAは小さく笑った。
「これが『ペアコーデ』」
「服だけじゃなくて」
「並んだ時の空気まで含めて、コーディネートなんだよ」
オタ公が採点ボードを掲げる。
「それでは審査です!」
「まずはROKAさん!」
ROKAは二人を見比べながら頷く。
「すごくまとまってる」
「派手さはないけど、それがいい」
「ジュンヨウくんを引き立てながら、自分もちゃんと馴染んでる」
「『二人で完成するコーデ』っていうテーマを、一番素直に表現できてるね」
「私は──」
《カッ》
『9.5』
《おぉー!》
「9.5点!」
《パチパチパチ》
「10点満点方式で小数点ってありなの?」
「続いてTSUGUM1さん!」
「聞けよコラ」
TSUGUM1も静かに頷く。
「色の拾い方が丁寧ですね」
「グレージュとネイビーのつながりが自然で、休日らしい柔らかさがあります」
「全体の統一感も高いです」
「少しだけ冒険があっても良かったかな、という意味で……」
《カッ》
『9.3』
「9.3点!」
「お前もかTSUGUM1」
「最後はまみまみさん!」
「はい!」
まみまみは満面の笑みで二人を見る。
「私、この二人を見た瞬間ね」
「『普通に休日デートしてそう!』って思った!」
「ちょっ……!」
彩葉の頬が赤く染まる。
「自然なんだよね」
「無理してないし、すごく好感度高い!」
「だから私は!」
《カッ》
『9.6』
《おぉぉぉぉ!!》
「9.6点!」
オタ公が電卓を叩く真似をする。
「合計は──」
『28.4点!!』
「ありなの?なぁ、10点満点だよな?俺がおかしいのか???」
《パチパチパチパチ!!》
「現在トップ!」
「そりゃそうだろ一番手なんだから」
「もうツッコまなくて良いかな俺」
「それでは続いて!」
オタ公が手を叩く。
「ヤチヨさん!」
「はーい♪」
ヤチヨが笑顔で立ち上がる。
「ジュンヨウ、着替えお願いね♪」
「またかよ」
「モデルのお仕事だから」
「誰がモデルだ」
苦笑しながらジュンヨウは再び更衣スペースへ入っていく。
その隣ではヤチヨも軽い足取りで更衣室へ向かった。
数十秒後。
先に姿を現したのはジュンヨウだった。
ネイビーのカーディガンに白いシャツ。
黒の細身パンツ。
第一ラウンドでヤチヨが選んだ、清潔感を重視したコーディネートだ。
そのすぐ後。
「どうかな~♪」
ヤチヨがくるりと一回転して現れる。
淡いベージュのワンピース。
白いショートジャケット。
アイボリーのパンプス。
派手ではない。
けれど、二人が並んだ瞬間。
「おぉ……」
思わずスタジオから感嘆の声が漏れる。
ネイビーとベージュ。
白とアイボリー。
色味が自然につながり、お互いを引き立て合っていた。
「これ……」
TSUGUM1が思わず呟く。
「並んだ瞬間に完成しますね」
「そう」
ROKAも満足そうに頷いた。
「一人でも十分かわいい」
「でも並んだ瞬間に、一段完成度が上がる」
「これがリンクコーデ」
まみまみも笑顔になる。
「写真撮りたくなる二人だね」
「でしょ~♪」
ヤチヨは得意げに胸を張る。
「隣を歩くなら、お互いが主役じゃない方がかわいいんだよ♪」
「へえ」
ジュンヨウが少し感心したように頷く。
「意外とちゃんと考えてんだな」
「意外とは余計~!」
頬を膨らませた後、ヤチヨは少しだけ悪戯っぽく笑う。
「配信者だからね」
「画面に映った時も考えてるの」
「なるほど。……確かに隣歩くならこれだな」
「えへへ♪」
ROKAもそこを評価した。
「真正面だけじゃない」
「横並び」
「歩いてる姿」
「写真」
「全部想定してる」
「ライブ配信者らしい発想だね」
コメント欄も盛り上がる。
オタ公が頷く。
「それでは採点です!」
「まずはROKAさん!」
ROKAは二人を見比べながら笑った。
「うん」
「これは綺麗」
「色の繋がりが本当に自然」
「並んだ瞬間に『一組』として完成してる」
「写真映えまで計算されてるのが強いね」
《カッ》
『9.8』
《おぉーーー!》
「9.8点!高得点です!」
「続いてTSUGUM1さん!」
TSUGUM1は頷く。
「リンクコーデとして非常に完成度が高いですね」
「色数を抑えているので統一感があります」
「画面越しでもまとまって見える」
「色だけでなく、コントラストも揃っています」
《カッ》
『9.7』
「9.7点!これまた高得点!」
「最後はまみまみさん!」
「かわいい!」
「街で見掛けたら写真撮っちゃうかも!」
「盗撮は犯罪なんだが」
「ちゃんと声掛けるよ!」
「しかも二人とも自然!」
「だから私は!」
《カッ》
『9.8』
「9.8点!」
「合計は──」
『29.3点!!』
《おぉぉぉぉぉ!!》
「トップ更新!!」
オタ公が大きく手を叩く。
「さぁ!最後はかぐやさん!」
《パチパチパチ》
「はーい!」
かぐやが元気よく返事をする。
「ジュンヨウ!最後だよ!」
「はいはい」
ジュンヨウは苦笑しながら立ち上がる。
「俺は今日、何回着替えりゃいいんだ……」
「モデルさんだから♪」
「だから違うって」
コメント欄が流れる。
二人が更衣室へ入る。
しばらくして。
先にジュンヨウが姿を現した。
ベージュとライトベージュのロングコート。
モノクロトーンのニット。
ライトインディゴのデニム。
そして左右で色違いの、赤と青のスニーカー。
第一ラウンドでかぐやが選んだコーディネート。
その直後、勢いよくもう一つのカーテンが開いた。
「じゃーーーん!!」
元気いっぱいに飛び出してきたのは、かぐやだった。
アイボリーのパーカー。
ライトブルーのデニムジャケット。
ベージュのプリーツスカート。
白いスニーカー。
そして、左右で色の違う靴ひも。
右は赤。
左は青。
そして、その二色を結ぶように。
それぞれの靴に一本ずつ、黄色い靴ひもが通されていた。
スタジオが一瞬静まり返る。
「……」
「……」
ジュンヨウがゆっくり靴元を見る。
「……」
「……黄色、見つかったんだな」
「うん!」
かぐやは満面の笑みで頷いた。
「春は一緒に遊ぶ季節だから!」
「まだ言うのか」
スタジオ爆笑。
《ドッ!!》
コメント欄も一気に流れる。
ROKAは笑いながら頷く。
「うんうん」
「これは、かぐやちゃんらしいね」
TSUGUM1も笑みを浮かべる。
「歩くことを前提にしていますね」
「うん!」
かぐやは元気よく頷いた。
「いっぱい歩く!」
「いっぱい食べる!」
「いっぱい遊ぶ!」
「そんで、いっぱい笑う!」
「ぜ~んぶ、ジュンヨウと!」
「……服じゃなくてプランだろ、それ」
「うん!」
「即答かよ」
スタジオが再び笑いに包まれる。
ROKAは微笑んだ。
「でも、それでいいんだよ」
「服はゴールじゃない」
「その服で何をしたいか」
「それを表現するのもファッションなの」
「このコーデは『一緒に一日遊ぶ』っていう気持ちが、そのまま形になってる」
かぐやは嬉しそうに笑った。
「えへへ♪」
オタ公が採点ボードを掲げる。
「それでは採点です!まずはROKAさん!」
ROKAは笑顔のまま二人を見つめる。
「技術や完成度だけなら、さっきの二人が一歩上かな」
「でもね」
「この二人を見てると――」
「一緒に遊びに行きたくなる」
「それが、このコーデの一番いいところ」
《カッ》
『9.4』
《おぉー!》
「9.4点!続いてTSUGUM1さん!」
TSUGUM1も静かに頷く。
「色合わせもしっかり出来ています」
「歩きやすさ」
「動きやすさ」
「休日というテーマにも合っています」
「少しだけ色数が多いので、統一感という意味では一歩譲りますが……」
《カッ》
『9.2』
「9.2点!最後はまみまみさん!」
「はい!」
まみまみは笑いを堪えながら言う。
「私ね、この二人見てたら」
「ショッピングモール行きたくなっちゃった!」
「なんでだよ」
「ゲームセンター寄って!」
「クレープ食べて!」
「途中でかぐやちゃんが走って!」
「ジュンヨウくんが追い掛けて!」
「完全に想像じゃねぇか」
スタジオ爆笑。
《ドッ!!》
「だから私は!」
《カッ》
『9.7』
「9.7点!」
オタ公が計算する真似をする。
「合計は──」
『28.3点!!』
《パチパチパチパチ!!》
「惜しい!高得点ですが、ヤチヨさんといろPには一歩届かず!」
コメント欄も流れる。
《パチパチパチパチ!!》
「第二ラウンド終了ー!」
オタ公が大きく手を叩く。
「面白かったな、三人の考え方が全然違った」
ROKAも笑いながら頷く。
「三人とも、同じテーマなのに全然違ったね」
TSUGUM1がメモを閉じる。
「価値観がそのまま服に出ていました」
まみまみも笑う。
「見てて楽しかったぁ♪」
オタ公がスケッチブックを一枚めくる。
『現在順位』
「それでは!」
「一番勝負、『私服コーデ対決』!」
「二番勝負、『ペアコーデ対決』!」
「ここまでの合計点を発表します!」
《ドンッ!》
『3位 かぐや 52.3点』
《パチパチパチ!!》
「第3位は、かぐやさん!」
「やったぁー!」
かぐやは両手を上げてぴょんと跳ねる。
「3位でも嬉しい!いっぱい遊べる服だったもん!」
「そこブレねぇな」
ジュンヨウが笑う。
コメント欄も流れる。
「続いて、第2位!」
《ドンッ!》
『2位 月見ヤチヨ 58.3点』
《おぉーー!!》
「惜しいーー!」
ヤチヨは目を丸くした。
「えっ!2位なの!?」
「何点差!?」
思わず頭を抱える。
「うわぁ~!惜しい!」
「これは次でひっくり返すしかないね~♪」
ジュンヨウが苦笑する。
「十分すげぇだろ」
「えへへ……でも悔しい♪」
《ドンッ!》
『1位 いろP 58.4点』
《パチパチパチパチ!!》
「現在トップは、いろP!!」
彩葉は少し驚いたように目を瞬かせた。
「え……ほんとに、私が……?」
ROKAが笑う。
「二種目とも安定してたからね」
TSUGUM1も頷く。
「どちらも『相手を引き立てる』という軸が最後までぶれませんでした」
彩葉は少し照れながら頭を下げる。
「ありがと……」
ジュンヨウも隣で笑う。
「おめでとう」
「……うん」
照れながら笑い返す彩葉。
オタ公がニヤリと笑う。
「ですが!まだ終わりません!」
《ジャンッ!!》
『第三種目』
ジュンヨウが嫌な予感しかしないという顔になる。
「……まだあんの?」
「もちろん!三番勝負ですから!」
オタ公は勢いよく最後のスケッチブックをめくった。
《ドンッ!!》
『最終決戦』
『料理対決』
一瞬。
スタジオが静まり返る。
「…………料理」
彩葉は小さく目を瞬かせる。
少しだけ困ったような笑み。
「久しぶり……かも」
高校の頃は、隼斗に教わりながら何度も作っていた。
けれど大学。
そして研究所。
かぐやとヤチヨが義体を得てからは、料理担当も三人に増えたワケで。
料理をする機会は、いつの間にか自然と減っていた。
「ちゃんと出来るかな……」
その隣で。
「料理かぁ」
ヤチヨは口笛を一つ吹いた。
「ひゅ~♪」
楽しそうに笑う。
「いいねぇ、昔取った杵柄ってやつかな♪」
八千年間。
身体は無かった。
味も感じられなかった。
けれど義体完成を前に、ツクヨミで味覚が実装されてからは、
料理も、
味付けも、
食文化も。
一通り学び直してきた。
そして義体を得た今となっては、実際に台所に立つこともある。
「久しぶりに腕が鳴るかも♪ちゃんと覚えてるかな」
そして、かぐやは。
「やったぁーーー!!!」
両手を突き上げて飛び跳ねた。
「料理だぁーー!!」
ジュンヨウは思わず笑う。
「お前だけテンション上がってんな」
「だって料理好きだもん!大得意!」
ROKAが静かに笑う。
「これは……」
「最後に一番、その人らしさが出る勝負かもしれないね」
オタ公が高らかに宣言する。
「勝負は、いよいよ最終ラウンド!」
「第三種目!」
「料理対決です!!」
《パチパチパチパチ!!》
三人は、それぞれ違う表情で料理台を見つめる。
彩葉は、不安を胸に。
ヤチヨは、静かな闘志を秘めて。
かぐやは、期待に胸を躍らせながら。
最後の勝負が、静かに幕を開けようとしていた。
藤の道さん、完全怠惰宣言さん、ROSOさん、感想いただきありがとうございます。
お気に入り登録いただいた方々もありがとうございます。
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活動報告の方でネタの募集も始めておりますので、ご一読いただければと思います。