詠唱のドイツ語、難しいわね。
ヴァルトルートの身体から、紫電が淡い輝きを放つ。詠唱が進むにつれてその輝きは増す。
本来恐怖を感じぬはずのスロウスも、ヴァルトルートから放たれる威圧感に身が竦むが、すぐに彼女に向って突進する。
だが、ヴァルトルートは退かない。もう詠唱を終えるのだから。
そして、ヴァルトルートは
スロウスの渾身の一撃は彼女の身体を
ヴァルトルートは
スロウスの巨体は魔力が込められた一閃で真っ二つにされた。
「う、ご…くの……めんど、くせぇ……」
「君自体に恨みはないけど、君の兄弟というべき奴に私は相当恨みやら怒りやらあってね。とりあえず、その足掛かりになってもらうよ」
ヴァルトルートは巨体を切り裂いた時に剥き出しになった賢者の石に刃を突き立てた。確かな手ごたえを持って、それは破壊された。
ホムンクルスは徐々に形を失い、やがて消えた。
「ご主人様。想定外でしたが、どうにか倒すことが出来ましたね」
キャスターが声をかける。確かに想定外だったが、この経験の価値は大きい。賢者の石のエネルギーを得て、本来のエイヴィヒカイトを運用出来るのだから。
彼らの計画を止める為にも、また色々やらなければならない。
「キャスター、錬成陣のラインになっているこの空洞、できる限り潰すよ」
宝石魔術や呪術でこの辺り一帯に地震のようなのを起こせば、このトンネル状の空洞は埋められる。それは、計画を頓挫させる要因にもなる。
「分かりました。ひとまず、外に出ましょう。いくら何処かと通じているとはいえ、酸欠になったら大変ですから」
そして、一旦外に出たヴァルトルート達は総仕上げとして、魔力を込めた宝石を媒介として地震を起こし、錬成陣として掘られていた穴を塞ぎ、キャスターが
これで原作からは離れてしまった。だがかまわない。弟の死を、この国の滅亡を回避するためならば、何だってしてやる。この世界は、自分達が生きている世界なのだから。
ヴァルトルートは踵を返してその場から去って行った。キャスターも霊体化して主人に付き従った。
なお、陣地に戻ったヴァルトルートはオリヴィエや他の兵士達に心配されて説教された。
アメストリスの何処か―――――――
「ブリッグスで地震があったぁ?」
「ええ。でも、どうやら自然的なものじゃないみたいなのよ」
「ふうん。どっかの錬金術師がヘマをやらかしたのかねぇ」
「でも、今あっちには“スロウス”がいるから、特には問題なさそうね」
「そうだね。そんじゃ、こっちもいつも通り行きますか」
「分かったわ、行きましょう」
「はーい」
黒い幾つかの影が、その仲間の消滅に気づかず行動していた。
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