翌日。
刃覇は昨日の全校集会で暴れ散らかした件で烏間先生から説教を受けていた。
「校長の話やプリントのくだりは見ていて気分がいいものではなかったが、それにしても言い過ぎだ。」
「ちょっとやりすぎたなって自覚はしてます」
「パスタのくだりは言わないんだな」
「!?」
「本校舎の教師の指導中に何故かライフハックの話をし出したと理事長から聞いてな。不満であろうと指導は聞いておくことだ」
「ハイ.....気をつけます」
「良し。そろそろ授業だろう、行きなさい。」
教室に戻ると殺せんせーは何故か分身していた。
「なんこれ」
「理事長先生にいろいろ言われたみたいで」
渚に尋ねると、刃覇が説教を受けてる間に起こったことを教えてくれた。
ふーん、と尊が教室を眺めていると、不穏な空気を感じ取った。
「俺たち、エンドのE組だぜ殺せんせー」
「テストなんかより暗殺の方が、よほど身近なチャンスだよ」
生徒たちのネガティブな言葉の数々に、ふいに真剣に「そうですか…」と殺せんせーは言葉を発する。
「なるほど、よく分かりました。今の君たちには暗殺者の資格がありませんね。全員、校庭に出なさい」
そう言った先生の顔は紫色の×マークが浮かんだ。
殺せんせーは烏間先生と、ビッチ先生が来たことに気付くと、しゃべりだす。
「イリーナ先生。プロの殺し屋として伺いますが」
「?なによ、いきなり…」
「あなたはいつも仕事をするとき、用意するプランはひとつですか?」
「いいえ、本命のプランなんて思った通りいくことの方が少ないわ。不測の事態に備えて、予備のプランをより綿密をつくっておくのが暗殺の基本よ」
「では烏間先生。ナイフ術を生徒に教えるとき、 重要なのは第1撃だけですか?」
殺せんせーは続いて烏間先生に聞く。
「第一撃はもちろん最重要だが、次の動きも大切だ。強敵相手では第一撃は高確率で躱される。その後の第二撃、第三撃を高精度で繰り出すかが、勝敗を分ける」
そんな殺せんせーの質問の意図が分からないE組の生徒たち。
「結局、何が言いたいんだよ…」
まだ疑問符が抜けてない前原に対し、真意に気づいた刃覇が殺せんせーの考えを伝える。
「オレはさ。この魔剣バイスやケルベロスみたいに幾つか武器を使い分けてる。まー要するに、ケルベロスがダメならバイスみたいに、次の手を持っておくと不足事態に対応しやすいってことだね。…お前らは暗殺一本に絞ってる。それでいいのか?暗殺がダメになった時,お前たちは何になる?」
すると、殺せんせーは校庭の真ん中でぐるぐるとまわり始めた。
「伝えたいことの大半は刃覇くんが言ってくれました」
殺せんせーがぐるぐる回ることで、凄まじい暴風が吹き荒れ、E組の生徒に襲いかかる。
「もし先生がこの教室から逃げたら? もし殺し屋が先に先生を殺したら? 暗殺というよりどころを失った君たちには、E組の劣等感しか残らない!
そんな危うい君たちに先生からのアドバイスです」
第二の刃を持たざる者は、暗殺者の資格なし!
竜巻が校庭を平らにしてしまった。生徒達は殺せんせーの力に恐怖する。
「もしも、君たちが自信を持てる第二の刃を示せなければ、先生に値する暗殺者はこの教室にいないとみなし、校舎ごと平らにして、先生は去ります」
「第二の刃!? いつまでに?」
渚が言うと、殺せんせーはこう答えた。
「決まっているでしょう。明日です。明日の中間テスト、クラス全員、50位以内をとりなさい。ぬるい教え方はしていないはずです。自信を持って挑みなさい」
まだ重い空気の中、刃覇がふと思い出したかのように呟く。
「本校舎の奴らに一発かました手前、下手な点数は取れねぇなぁ」
それを聞いた矢田が口を開く。
「あっ…そういえば、刃覇くん壇上で「E組を舐めるなよ」って。少し嬉しかった」
「うんうん!カッコよかった!」
「スカッとしたよなー」
「へー。面白いことしたんだね尊。オレも行けばよかったかも」
カルマが話に入ってきた。
「それで?啖呵切ったお前がドベだったらどうすんだよ?」
寺坂が絡んでくるが、刃覇は寺坂の肩に手を置く。
「そん時はそん時よ寺ちゃん」
「誰が寺ちゃんだ!タラちゃんみたいに言うな!」
「お前ら、時間はまだある。研ぎ澄まそうぜ、学力って名前の刃をな。そんで本校舎にカチコミかけるぞ!」
「「「お、おー!」」」