”ひとつなぎの大秘宝”なんかいらないわ、それよりケーキバイキングよ! 作:mooma
転生して早二年…
オレは、オレはお姉ちゃんになったぞぉぉぉぉっ!!!
やっぱりチビちゃんは可愛いよなぁ、ほっぺぷにぷにだし、おててふにふにだし
し、か、も!
髪は金色、目は青い!!
ほんと、もう、なにこの天使?
白人系のチビちゃんとか!
天使以外の何者でもない!!
こんな可愛い子が、血の繋がった実の弟とか、ご褒美にしかならないよね?ね!?
「ふふふ…ドフィは本当ロシィが好きね」
「うん、ははうえ、オレはロシィが大好きえ~」
「ふふふ…」
いくら見てても飽きないんだよな~
手を近づけると指をぎゅっと握ってくるし、オレが動けば視線で追っかけてくるし?
チビちゃんてのはあっという間に大きくなるからなぁ…
いや、まあ、オレもまだチビちゃんではあるけどさ?
でも…
ここがオレの知るワンピースとほとんど変わらない歴史を辿るなら、今はまだ遠い未来でオレたちは仲違いをして…
ありえねぇな!
オレがロシィを傷つけるなんて、オレがオレである限り、ありえない
それはもちろん、オレが父上を害するのも同じくらいありえないことだ
“原作”なんてものは存在しない
オレはアイツとは違うから、あんな風にはなりはしない
男として育てられていても、オレは女なんだ…アイツと同じには成りようがない
そう思いたいが、同時に言いようの無い不安がオレを苛んでいく
生まれ変わって二年…
この聖地マリージョアでオレが目にしてきたのは
人を人と思わない扱いに、よくこんな事を政府は許しているなと本気で思う
現代日本で育った価値観があるオレはこの状況がおかしいと言えるけれど…
でも、それを口にしようとは、まだ、思えない
価値観なんてものは国や時代によって大きく変わるもの
日本では仕事が一番大事だけど、欧米では仕事より家族大事だとか、
宗教のためなら人を殺してもいいだとか、
劣等種は一人残さず“駆除”した方が世界のためだとか…
そんな価値観が生まれては淘汰されてきた歴史があって、だからこそ、オレたちはある程度の良識を持っていたのだと思う
けれど、今その価値観を作っているのは世界政府だ
勝てば官軍負ければ賊軍の言葉のように力のあるものの考えは絶対視される
その中で、それに異を唱えれば賊軍として切り捨てられるのは目に見えている
だからこそ、異を唱えても切り捨てる事が難しくなるまでは大人しくしているべきだとオレは判断した
それができるだけの血筋ではあるし、オレが大きくなる頃には海賊王がこの世の全てを知っているはずなのだ
血統、知識、腕力、話術、資金力…そう言ったチカラを集めれば世界だって変えられる
オレはそれを知っている
時が来るまでチカラを蓄えて、最善の好機でもって世界を改変する…
確かに、それまでの間にも多くの人間が犠牲になっていると思う
だが、改変を起こそうとして失敗し、締め付けが厳しくなる事を思えば、心苦しくても彼らには時代の礎になってもらうほかないだろう
いつだって、革命は血に塗れていたのだ
それを良しとするつもりはないが、今のオレにはまだどうする事もできない
オレ自身がまだ親の脛をかじるしかできない幼児だからな
でも、どうせなら志は大きく、だ!
目標はなるべく若いうちにオレの思想に賛同してくれるようなステキな旦那さんと結婚して、可愛い子供達に囲まれて、可愛い甥っ子姪っ子にも囲まれて、むしろチビッ子ハーレムで、孫が生まれる前には綺麗な世界にして、すべての人間が平等に自由で幸福な生活をおくれるようにするんだっ!!
…個人的な欲望が色々増えている事についてはツッコんではいけない
オレだって女の子だもん、ステキな旦那様と結婚して幸せな家庭を築きたいって気持ちだってあるさ
皆の為に頑張るんなら、オレだってちょっとくらい自分の幸せ味わってもいいと思うの
まあ、なんにせよ、オレはまだこの世界のことはよく知らないからまだまだ沢山の事を学ばなきゃいけない
せっかく父上も暇なんだから本でも読んでもらおうか
うん、でもその前に、もう少しだけロシィと居ようかな…
ぼくの兄上はとってもすごい…
今日もむずかしそうな本をよんでて、みけんにしわがよってる
兄上みたいに本をよんでる子はほかにはいない
べんきょうはつまらないからきらいだってみんないってる
でも兄上はべんきょうがだいすきだっていってた
ぼくはそんな兄上がだいすきだ
兄上はいつもぼくにやさしくて…
「…あにうえ…」
「ロシィ。どうした?」
べんきょうのじゃまをしても兄上はぼくにおこらない
やさしくわらってぼくのはなしをきいてくれる
ほかの子とはぜんぜんちがう
なにをされてもぼくにいじわるしない
「…これ…」
「絵本?読みたいのか?」
うなづいたぼくに兄上はほほえんだ
あかるいと目がいたくなるから兄上はいつもいろのついためがねをつけてる
でもぼくに本をよんでくれるときはそれをはずしてくれる
兄上は本をよむときぼくをひざにかかえてよんでくれるけど、
そのときぼくがけがをしないようにめがねをはずすんだって母上がないしょでおしえてくれた
やっぱり兄上はやさしいからだいすきだ
うれしくてだきつけば兄上もよろこんでくれた
そのあと母上と父上にみつかってみんなでぎゅっぎゅだきしめあってた
ぼくはみんながだいすきです!
時間が過ぎるのは早いですね
うちの弟は相変わらず天使です
あっという間に歩けるようになって、今ではトコトコオレの後ろをついてくるようになりました
なにこの天使!!
オレが本を読んでると絵本とか持ってきて読んでもらおうとするんです
もうッ、
ダメだ、もう天使以外なにも言えない…
でも?
そんなうちの天使に?
イジワルする馬鹿共がいると聞きまして?
フッフッフッ…
オレの威信に懸けてバレないように仕返ししちゃったんだよねぇ
オレの家族に手を出すヤツは泣かすだけじゃあ、許さねぇから★
ガキ相手に精神的には大人なオレが本気出すのは大人気ないとは思うけどな
それでも自重できない姉心…いや、周りから見たら兄貴ですけども!
ちょっと本気で将来「弟泣かしたらぶっ殺す★」って言うようになりそうで怖いんだけど…
いや、待てよ…?
仮にそうなったとしても被害を受けるのは
…問題ないえ~、ロシィを泣かすやつは皆殺しアマス~って事でオケ!
しっかし…ほんとマリージョアにゃクズしかいねぇな
本もまともに読めやしねぇ阿呆が偉そうにのさばりやがって
貴族ってのはなぁ、
ノブレス・オブリージュって知らねぇのか?
権利には付随する義務があって、義務を果たしているからこそ贅沢をする権利が得られるんだぞ?
本来ならちゃらんぽらんに遊び呆けてないで海軍の前線で働いてるべきなんだぞ?
オレは権力に媚売ってる奴らしかいないように感じられる今の海軍は好かないけど!
よくもまあこんなところで父上のようなまともな人が出来上がったと思うわ
…ほんの一握りなら、まともな人間もいるってことだけが救いだな
こんな荒んだオレの心を癒してくれるのは本と天使と女神しかいない!
そうだ!ロシィと一緒に母上のところでお昼寝しよう、そうしよう!
世界はいつだってこんなはずじゃない事ばっかりで、犠牲になるのはいつだって女性や子供たちで、出すぎた杭はいつだって叩き折られてきた…
性善説なんてものは幻想なのかもしれない…あるいは知恵の実こそが悪の根源なのか…
楽園という名の籠から飛び出した天子は羽を切られている事を知らなかったために地に堕ちる
オレはまだ、そのことを知らない
母の寝室で
本編とはあまり関係はありません()←
「あなたあなた!はやくいらして!今とっても可愛いものが見られるのよ!」
「…なに?一体、何が…」
「しーっ!静かに…そぉっと、そおっと、ドジらないようにいらしてくださいな」
「…?…ああ…これは…ふふっ、確かにとても可愛いものだな…」
「でしょう?二人ともぎゅっぎゅぎゅっぎゅ抱きしめあっててとっても可愛い…ねえ、あなた?」
「ふっ…カメラならここだよ、ドゥルシネーア」
「!わたくしたち…やっぱり意見が合いますわね?」
「そうでなければ私達は出会っていなかっただろう?…ううむ…しかし、アングルが…」
「…そう、でしたね…貸してくださいな、上からならあなたがわたくしを抱き上げれば撮れるでしょう?」
「ドゥルシネーア、私もさすがにそろそろ腰に来始める年なのだが…」
「二コッ!わたくしが、重い、ということですか…あ・な・た?」
「い、いや…そういうわけでは…!」
「うふふふふふふ…ちょ~っとあちらまでご一緒願いますわね、ホーミングさま」
「え?いや、ちょ…!?違っ、うわぁぁ~……!!」
「うふふ…★…幾つだろうと、女の子相手に年と体重の話は禁句でしてよ?ご理解いただけまして?ホーミングさま…」
「…ずびばぜんでじた…ごんご、ぎをづげばず…」
ホーミング聖は多分三十後半から四十始め、母上(仮名:ドゥルシネーア)は精々二十半ばなイメージです