”ひとつなぎの大秘宝”なんかいらないわ、それよりケーキバイキングよ! 作:mooma
向かってくる相手から離れる様、とんとんとんとバックステップを踏んで距離を保つ
肘を曲げ腕を広げた状態から、右手を払いあげ
無茶のようにも見える行動に当然姿勢を崩して相手に背を向けてしまうことになるが、そのまま左手からも
「何ッ!?」
アンカーで身体を支えながら
「く…ッ!」
バク転をしたような形になったが、そのまま糸を繰って
正確に言えば壁と壁の間に張った糸の上に立っているんだけど、どうも糸の細さのせいで空中に立っているようにしか見えないらしい
「
戦いの場において、地の利を得ることは必須ではないものの、こうして糸を張り巡らせてしまえば地の利は当然オレに傾くし、奇想天外な動きで相手を追い詰める事も出来る
「おいッ!卑怯だぞ!?」
糸の張力を利用して跳びながら糸を張って陣の効果範囲を増やす
「むぅ…能力ありだって言ったのに勝負に乗ったのはお前だろ?」
攻撃自体はひらりと避けられるけど、壁も天井も、糸を巡らせればそこがオレの
「それは…そう、だが…!」
まだ時折操作を誤って繰っている糸を切ってしまうこともあるが、それでも大分能力には慣れてきたように思う
「それとも、お前ともあろう者が能力を使われたぐらいでオレに勝てないのか?」
能力を得たばかりの能力者は、多くの場合、始めのうちは能力に振り回されてしまうようだが…
「…でも、なぁ?ドフィは強ぇし…」
オレはブチギレて無意識に能力を使ってしまったあの日以外、能力が暴発するといった事はなくて
「お前だって十分強いじゃねぇか」
神様に頼んでいた通り、“自在に”能力を操れていた
「いや、でも、ただでさえ強いドフィに能力まで使われちまうと…」
自在にとは言ってもやはり慣れは必要らしく、だからこそ、今こうして能力ありの模擬戦をしているわけなのだが…
「そうか。わかった、なら能力は使わな…」
こいつは本当に、めんどくさい
「いや、使うなとは言ってねェよ!?おれぁドフィに能力を使われようが勝てるからな!!」
お前はダチ○ウ倶楽部かってェの!!!
「オレに勝てるだァ?フッフッフッ…背中ががら空きだぜ、おニィサン?」
「うおッ!?」
「降参だ…
「フッフッフッ!途中まではちゃんと警戒してたのになァ…その乗せられやすい性格、治した方がいいぜェ?」
糸を繰るために必要だからか、オレは能力者になった際に見聞色とも違った高度の空間認識能力をも得ていたらしく、自身を中心とした半径五メートルほどの範囲内なら何があるのか見なくてもわかるようになっていた
そんなオレとは違い、普通は1対1の戦闘中に背後にまで気を配ることはしない
だからこそ背後から
それに、
生半可な相手じゃ正面からだろうと勝てねぇっての!
「ああ…気をつけるとしよう」
今後オレのように正面から攻撃しつつ、背後からも攻撃できる奴が出てこないとも限らないのだから、そういうこともちゃんと想定しておかないと
こいつら全員、そういう意味では想像力が足りてないんだよなぁ…
ま、そこは追々オレが補ってけばいいんだろうけど!
「ベヘヘ…さすがはドフィだ。こうも簡単に能力を扱いこなすとはね~、んねーねードフィ、どう?ねー、能力を自在に扱えるってどんな感じ~?んね~?」
オレのイトイトとは違ってボスのベタベタは扱い辛いのか、不注意で予想外の時に溶けてしまうこともあって、ボスはそんな能力の暴発を嫌っていた
彼にとっては、初めての自分以外の能力者だから何か制御のコツのようなものが無いか聞きたいのだろうけど…
「…まだ、だな。能力に武装色が付かないから、まだ、使いこなしているわけじゃない。これじゃあまだ将クラスの海兵には敵わない…大将を相手取っても誰一人欠かすことなく勝てるくらいじゃないと安心できない」
まだ、他人に教えられそうなほど、オレ自身も能力に通じていないからなぁ…感覚的なものは説明し辛いし
…質を落とした海楼石で能力の一部を封じたりとかできないかな…?
「おいおい、海軍の大将相手に勝てるくらいじゃないと安心できないとか…お前はナニをするつもりなんだ?」
オレの言葉が気になったのだろう、聞いてきた彼に、まあ、せっかくだし、彼らに教えてやってもいいかと悪戯な笑みを浮かべて、告げる
「最終的には…世界政府相手に戦争するつもりだ。って言ったら、どうする?」
一瞬呆けた彼らは、けれど笑みを深めるオレに、本気なのだと知るだろう…
「べ~っへっへっへっへっ!世界相手に、戦争かぁ!?大きく出たな、ドフィ!!」
「おれはドフィが何をしようと、ついて行くだけだ。ドフィの側が、おれの居場所だからな」
「ウハハハハ!!やっぱ頭のネジ、ブッ飛んでんなァお前!?ウハハ…でも、そう言うの、嫌いじゃねぇぜ?」
オレを止める事無く、むしろ付いてくる気満々の三人に、オレは嬉しくなってつい、満面の笑みを浮かべてしまったのだった
でも、オレが女だと知っても、そうあってくれるのか…?
沸いて出た疑問に、今は蓋をして…
匿って貰うだけではなんだから…と能力の修行も兼ねて森や海で食料を調達してきた帰り、組織の秘密基地のひとつへと繋がる入り口の辺りに、この国では明らかに浮いている、上等なスーツで身を包んだ男達の一団が居るのを見つけた
物陰に隠れ、やり過ごそうとしても、彼らは動くつもりはないようで、仕方が無いから糸を繰って中にいるメンバーに見張られていること、隠し通路から逃げた方がいいかも知れないことを伝える
中の人間の避難が始まったことを確認して、オレも、その場から逃げようとするが、その瞬間、男達のひとりと、目が合った
「どこに行こうというのです?ドンキホーテ・ドフラミンゴ
嫌味ったらしい言い方とスーツを飾る紋様に、コイツが天竜人からの命令で動いているのを察する
母上を害したのは…貴様らか…ッ!!
『
「どうか抵抗なさいませぬよう…ご家族に何があるかわかりませんので」
「くッ…!」
荷物を降ろし、敵意のないことを示すために両手を挙げる…
その間に、潜ませたままだった糸で奴らの狙いがオレらの様だと言う事を伝えると、連絡を受けていたメンバーの顔色が変わった
「お連れしろ」
目の前の男が言うと別の男が後ろに現れ、電気警棒を押し当てられる…抵抗する間もなく、オレの意識は落ちた…
バシャン!と水をかけられ、無理矢理叩き起こされた時、オレはどこぞの廃屋にいた
「気分はどうだえ?」
「…最悪だ」
「そうか、それなら良かったえ!」
目の前の電伝虫から響く声には覚えがある…たしか…奴隷を生きたまま捌いて内臓を引きずり出したり、親に子供を食わせたり、毒を使う以外でも猟奇的なことを沢山起こしていたやつで…
…母上に懸想しているようで…声をかけては、困らせていた…
ああ…あとロシィが女の子だったら貰ってやったのに、とか言っていたな…
そうか…コイツからオレを逃すために…!
なのにオレは…ッ!!
すみません、父上…もしかしたらすべて、無駄にするかもしれません…
これから起きる事を予想して震えそうになる身体を、根性で抑えつける…
「エッゲッゲッ!まさか、ひとりのガキのせいでここまで手間取るとは思わなかったえ…でも、逃げ続ける獲物を追わせるのは中々楽しかったえ!」
「それは、僥倖…」
糸を伸ばして廃屋の内外を探れば、三十人は
ああ、もう、駄目なのかもしれない…っ
「…お前はほんとに可愛くないえ。お前の弟はまだ可愛げがあったえ!」
舌なめずりの音に、血の気が引いた
「弟には手を出すな…!弟に手を出した奴は、神だろうと殺してやる…ッ!!」
まさかロシィも一緒に…!?
それともロシィの前でオレを暴くつもりか…!?
オレの前にロシィを暴いて泣き叫ぶオレで楽しむ事も考えられる…
クソッ!
腐った豚め!
絶対ッ、絶対貴様だけは赦してなるものか…ッ!!!
拘束を引き千切って、逃げるつもりで暴れるけれど、寸での所で周りを囲んでいた男に組み伏せられる
海楼石を押し付けられ、顔を殴られるが睨み付けるのだけはやめない
身体から力が抜ける…男達を振り払おうにも押さえ付けられている四肢は欠片も動かせやしない
「ふん!悪魔でも血を分けた弟は可愛いのかえ?」
クズがオレを嘲笑する
「当たり前だろう!?オレは、弟を護るためなら悪魔にだってなってやる…!!!」
あの子をオレの
プチッ、プチッと腕が鳴る…でも気にせずに力を込め続ければ腕が動くようになって…
オレに海楼石を押し付けている男を吹っ飛ばすことができた
「そうかえ、そうかえ!なら…お前が余の命令を三つ聞いてくれたら、余の名誉にかけてお前の弟には手を出さないと誓ってやるえ!余はもちろん、余の奴隷にも手は出させないえ。余がお前の弟に手を出す様政府や海軍を頼る事もしないと誓うえ。どうだえ?やるかえ?」
こいつの言葉は信用ならない…が、ロシィの安全だけでも保障できるかもしれないことは魅力的過ぎる…
いま、この状況のことを思えば、話に乗らないわけにはいかないだろうし…
こいつらは秘密基地がある場所を特定していたのだ
覚悟してくれているとはいえ、ギャングのみんなをオレたちの因縁に巻き込みたくない…
でも、何を命令されるのか…
オレの貞操と、ロシィを巻き込まないことを秤にかければ結果は自ずと見えて…
「…わかった…取引だ。命令を聞けば、お前は直接的にも間接的にもロシィには手を出さないと誓うんだな?」
残る男達も糸を繰って壁に縛り付ける…無理をしたせいか、腕の痛みが酷い…まさか本当にどこか切れているのか?
顔には出さないように強がって、冷静であるよう、努める
これ以上、コイツに愉悦の材料を渡してなるものかっ!
「余の名誉にかけて、お前が三つの命令を聞けば、直接的にも間接的にもドンキホーテ・ロシナンテには手を出さないと誓ってやるえ」
電伝虫越しに、契約の言葉が響く…
オレを悪魔と呼んだからには、覚悟しての事だろうな…?
悪魔は、契約破りを許しはしねぇんだぜ…?
言葉を違えたなら、その日を貴様の命日にしてやる…
オレの
ほんの一瞬でも海楼石を外してくれれば、あとはほら、彼に任せればいい…
ああ、そうだ…糸を間に挟めば海楼石だって無効化できるかもしれない…今までは、考えもしなかったけど…
「…取引成立だ。最初の命令はなんだ?」
どうせオレで愉悦を得るようなことなのだろうが…聞かないわけにもいかない
出来る事なら…まだ“そんなこと”は命じないでもらいたいんだけどさ…
「余は、ワノ国の文化が面白いと思っているんだえ。それで一度見てみたいものがあるんだえ。お前もワノ国の文化はわかるだろうえ?」
マリージョアで手に入らないものなんてあまり無いからな…ワノ国の本などもいくらかあるにはあった…
当然、ワノ国出身の奴隷も…
「…ああ。ワノ国の文字が読める程度には…」
ワノ国の言葉は日本語と大差ないから、ただ読むのには苦労しなかった
ただ、どちらかと言えば古文に近いため、内容の解読には手間取ったけど
…まさかとは思うけど…四十八手とか…言わないよね…?
「なら丁度いいえ!余に、土下座して見せるえ。地に頭を擦り付けて、下々民らしく、余に敬意を見せるんだえ!!」
え…土下座…?土下座でいいの…?
正直、ちょっと呆けてしまいそうになった
土下座程度、オレが考えていた事に比べれば大した事じゃないから、いくらでもしてやるよ!
それでも相手の望みはオレの気分を害することだろうから、敢えて悔しそうな表情を浮かべながら、ゆっくりと土下座していく
「…これで、よろしいでしょうか…」
あとは綺麗な土下座になっていることを望むばかりだ…文句を付けられて、なかったことにされてはたまらない
「エッゲッゲッゲッゲッ!!良い様だえ…!生意気な下々民には頭を下げさせて、どちらが上かわからせてやるのが心優しい余の厚意だえ!!」
どこが、優しい、つもりだ?
優しいという言葉は、うちの両親にこそ相応しい…!
アンタみたいな他人の苦痛で快楽を得るようなクズが優しい訳が無いだろう!?
「ありがとう、ございます…!聖の優しさに、わが身の、矮小さを…思い知りました…ッ!」
それでも怒りを抑えて、相手に敬意を払うフリを続ける…今度は演技ではなく本当に悔しそうな顔になっていると思うが
「そうだろえ?そうだろえ!?次の、命令は…」
子供のように嬉しそうに、機嫌を良くしたヤツの声が響く…
ああ…気持ち悪い…その声は不快すぎる…
早く家に帰ってロシィに癒されたい…もう、最後、かもしれないし…
…帰ったら逃げようとしても捕まえて、そして思う存分抱きしめる事にしよう…
帰れるかどうかは…わからないけど…
「…っ」
…無駄に溜めるヤツに、イライラが募る
早く、何をすればいいのか教えて、オレを解放してくれ…!
こんな気持ちのまま時間が過ぎていくのは辛くて辛くて仕方が無い
絶対に帰れないと解っているなら舌を噛み切るコトだって選択肢にあげそうな精神状態に、吐気がする
「余は、ホーミングの首が欲しいえ。だから、お前、取ってくるえ」
「…え?」
なにをいわれたのか、わからなかった
思わず、顔を上げて電伝虫を見つめる
「頭が高いえッ!!」
響いた怒号にハッとして再び頭を下げた
「申し訳ありません…!」
こぼした謝罪に心が篭っているはずもなくて、オレはただ、やけに大きくなっていく心臓の音に、流れる冷や汗に、動揺を隠せなかった
「お前、弟のためなら悪魔にでもなるって言ったえ?なら、悪魔になるえ。弟の為に父を殺してくるえ!それができたら弟だけは助けてやるえ!!」
せかいが、ほうかいする、そんなおとが、きこえた
弟の為に父を殺すなど、正気の沙汰じゃない…!
ガチガチと、震えがとまらない…
これは、げんじつなのか…?
傷めた腕が熱を持って、悪夢であって欲しいとの考えを否定する
ああ、でも…じかんさえあれば…
「…期限、は…」
時間さえあれば、逃げられる…!
この国から逃げられる程度の船なら準備できている
時間まで誤魔化して、逃げてしまえば、コイツの言うことに従わなくても良い…!!
そう思ったけれど、現実は非情で…
「余は心優しいから、明日の正午まで待ってやるえ!でも、逃げられるとは思わない方がいいえ。海軍の軍艦にこの国を包囲させているえ、逃げようとすればバスターコールを発動させてやるえ!!」
この国の人々を人質にされ、オレの目論みは潰される
「…ッ!」
オレたちに暴力を振るってきたこの国の人々に対しては、正直いい思いは抱いていない…
でも、だからと言って、彼らを見捨てて、逃げるのか…?
逃げ場の無いことに、絶望して、膝を付いて崩れ落ちる
もう、どうすればいいのか、わからない…!
「ドフラミンゴを放してやるえ。明日、どんな結果になっているか、楽しみだえ!!エ~ッゲッゲッゲッゲッ!!!!」
殺してやる…ッ!!殺してやる…ッ!!!貴様だけは、絶対に!!オレの命に代えようとも!!見つけ出して、惨たらしく殺してやるッ!!!!!
口の中は血の味がして、硬い石の床に立てた爪が軋む
燃え滾る憎悪に、自分が人間では無いナニカになってしまった気がした…
翌日の、正午少し前…
オレは昨日の廃墟に程近い場所にいた
「兄上…っ!兄上、やめて!兄上…ッ!!」
ヴェルゴに見張りを頼んだのに、どうしてここに…!
父に向けている銃身がぶれる
「…ッ」
駆け寄ってきたロシィが父上に縋りつく…
でも、もう…決まったことなんだ
「ドフラミンゴ…」
父がオレの名を呼ぶ…
「ロシナンテ…」
せめてその瞬間を見せないよう、父がロシィを強く、強く、抱きかかえた…
「私が父親で、ごめんな」
たしかに、目が合って、告げられた言葉が、胸に突き刺さる
父上、愛していました…
ごめんなさい
パァーン!!
「…ッ!…ッ!!!あ、あ゛あ゛あ゛あああああぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!!!」
せめて、安らかに…
「まさか!まさか本当に父親を殺すとは思わなかったえ!!!さすが悪魔だえ!!清々したえ!!!!!」
狂喜乱舞するヤツの声が聞こえる…
手の感覚も、足の感覚も、なにもない
なにも、かんじない…
「次の命令は…?」
もう、すきにすればいい
でも、おまえはかならずころしてやる…
ただ、機械的に、最後の命令を待つ
それがおまえのはらのうえでおどることだろうと…かまわない
オレにくびさえついていれば、そののどをかみきれる
ただ、おまえを、ころしたい
「ああ、そうだえそうだえ、忘れるところだったえ!…そこに、お前の弟に飲ませてやろうと準備していた酒があるえ。それを飲み干すえ!」
「わかり、ました…」
ヤツがそう言うと周りにいた男達の一人が瓶に入った酒とゴブレットを持ってきた
瓶の口を塞いでいたコルクを引き抜いて、ゴブレットに注いだ…
そのゴブレットを受け取って中身を確認する…
中身はワインのようだが、ワインとは香りが違う
もう、どうなってもいい…
ゴブレットの中身を一気に煽ると、喉が、焼けた
思っていたものとは違う…
まさか…まだ、バレていないのか…?
ゴブレットを差し出し、二杯目を注いでもらう…
これで、半分ほどか…
躊躇する事無く、二杯目も一気にいく
バレていないのなら…父はなんのために…
左手で、口を押さえて、中身を戻してしまわないようにしながら、三杯目を要求する
心なしか、周りの男たちが動揺しているように見られる…
覚悟を決めて、三杯目も流し込む
いよいよ男たちが煩くなってきた…
そうか…コイツはただ単にオレたちを苦しめたくて…
一滴遺さずゴブレットに注いでもらって、四杯目…これで、最後だ
喉の奥が痛くて堪らない…
それでも…!
空になったゴブレットを、男に返す
「ま゛ん゛ぞくが…?」
「…あ、ああ…や、約束どおり、お前の弟には手を出さないえ…!!絶対、絶対、手は出さないえ…!!!」
電伝虫越しに怯えた声がする…
おもってたのとかたちはちがったけど…
でも、これで、ロシィはあんぜんだ…
おもいからだをひきずって、はいきょをでる…
くずれそうなからだを、いとでくって、むかうさきは、
「ちち、うえ…」
まだあたたかい、ちちのからだのうえに、たおれこむ…
もう、なにも、したくない…
どうか、このまま…
「ごほッ!ごほ、かはッ…!!」
せんけつが、からだをそめる…
めをとじればおもいだす、ちちのこと、ははのこと、ロシィのこと…
しあわせだったひびのこと…
かみさま…
ねがわくば、オレのぶんのかごは、ぜんぶロシィに…
そして、らいせでは、ちちもははも、しあわせにくらせるよう…
ひとをころしたオレはきっと、もう、ゆるされないだろうけど…
どうか、かぞくだけは…
「けほ…っ」
いきをするのもつらい…
でもおやごろしのざいにんのまつろにはふさわしい…
「ドフィッッ!!!!」
やみにしずむせとぎわ、オレをよぶヴェルゴの、ひつうなさけびをきいたきがした…
天国?にて
本編とはあまり関係はありません()←
「ようこそあなた!子供達を見守る不思議な部屋へ!」
「ドゥルシネーア…?…ああ…そうか、私は…」
「とりあえず再会の挨拶も程ほどにして、わたくしやりたいことが出来ましたので、ちょっと席を外させていただきますね!」
「やりたいこと?やりたいこととは一体なんのことだ…?」
「あら、そんなの決まっているではありませんか!…わたくしの可愛いドフィに手を出した豚を呪殺しに行くんですわ…精々苦しむがいい、腐れ豚野郎めッ!」
「は?いやいや、ルシィ、
「…そこで呪うのは止めないあたり、あなたも随分と怒ってらっしゃるようですわね…」
「呪うと言うのなら、こういうのはどうだろうか?男としては屈辱的だぞ?」
「しかも生き生きとして呪い大全を確認しているあたり…ブチギレてますわね?あなた」
「ははは…なんのことだい?ドゥルシネーア。私はただいつも通り害虫を駆除するのに全力を出しているだけではないか!」
「…さすがドンキホーテ一族、敵と定めた相手に対しては情け容赦の欠片もございませんわね…あ、こんなのはどうです?」
「ふむ…それも悪くは無い…その通り。そういう血筋なのだよ、
「まあ、あなたのそういうところも、わたくしは嫌いではありませんが…あの子達がそれに苛まれる事がないよう、願いますわ。二人とも、とても優しいから…きっと自分の中にある苛烈さに苦悩するでしょうし…」
「万人に対して優しい事と、敵に対して苛烈なまでに非情な事は矛盾していないのだがな…何事も、大事なのはバランスなのだと言う事を、私は子供達に知ってほしいと思っているよ…」
「あなたがドジって調整を間違えたところですわね」ズバッ!
「ふぐッ…そう、だな…ああ、そうだとも…なぜ私はもっと早くに…ブツブツ」
「さて、出来ましたわね!我ら夫婦の最高傑作!ただし子供達は除く!うふふふふ…さあ、これで苦しみ抜いてくださいな★あの子に殺されるその日まで、お前には最早安眠など無いのですよ…!うふふふふふふ…!!」
「子供達以上の最高傑作など私達の間にはありはしないさ。…さぁ、ドンキホーテを怒らせた報い…その身に受けるがいい…!」
でろれろでんでろりん
まことにざんねんではありませんが、てんりゅうびとのブタは、ドンキホーテふさいにのろわれてしまった!