透き通る世界に燃える蒼炎   作:タンの串焼き

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3話目です!


第3話

アビドス高校。

生徒会室。

「じゃあ、よろしくお願いします。」

燈矢がそう言った瞬間。

ユメの顔がぱあっと明るくなった。

「本当!?」

「はい」

「やったー!!」

勢いよく立ち上がるユメ。

そのまま両手を握られた。

近い。

近い近い。

「ありがとう燈矢くん!」

「いや、別に……」

むしろ助かるのは俺の方だ。

住む場所もある。

飯もある。

人もいる。

今の俺にとっては破格の条件だった。

そんな二人を見ながら、ホシノは深いため息を吐いた。

「はぁ……」

いかにも頭が痛そうな顔だった。

「どうした?」

「どうしたじゃありません」

ホシノは鋭い視線を向けてくる。

この頃のホシノは後のホシノよりずっと表情が出る。

そして目付きも鋭い。

まるで野良猫だ。

「素性も分からない人を入学させるなんて普通はありえません」

「まぁそうだな」

「認めるんですね」

「だって事実だし」

燈矢が肩を竦める。

するとホシノは少しだけ眉をひそめた。

反論されると思ったのだろう。

「でもよ」

「?」

「怪しい奴なのは自分でも分かってる」

「……」

「だから信用されなくても仕方ねぇよ」

その言葉にホシノは少しだけ黙った。

意外だった。

もっと言い返してくると思っていた。

ユメはそんな空気を吹き飛ばすように笑う。

「大丈夫だよ!」

「根拠は?」

「なんとなく!」

「一番怖い答え来たな」

「えへへ」

笑って誤魔化している。

やっぱりこの人はアクセル担当だ。

絶対にそうだ。

そんなことを考えていると。

――ドォォォン!!

突然。

校舎全体が揺れた。

窓ガラスが震える。

燈矢は思わず振り返った。

「何だ!?」

ユメの顔色が変わる。

ホシノも即座に立ち上がった。

「またですか……!」

窓へ走る。

外を見た瞬間。

ホシノが舌打ちした。

「ヘルメット団です」

「ヘルメット団?」

燈矢も窓から覗き込む。

校門付近。

ヘルメットを被った少女達が大勢いた。

銃を持っている。

そして。

普通に発砲していた。

ババババババッ!!

「うおっ!?」

思わず後ろに下がる。

何だあれ。

世紀末か?

いやブルアカだったわ。

知ってた。

「ユメ先輩はここにいてください」

ホシノはショットガンを担ぐ。

その姿はさっきまでの少女とは別人だった。

目付きが変わる。

鋭い。

真っ直ぐ敵を見据えている。

「ホシノちゃん気を付けてね!」

「大丈夫です」

そして。

ホシノは窓枠に足を掛けた。

「え?」

燈矢が固まる。

ここ三階だぞ?

ホシノは振り返った。

「燈矢さん」

「ん?」

「絶対について来ないでください」

真剣な声だった。

「危険です」

「いやでも」

「ヘイローも無いんでしょう?」

ホシノは少しだけ眉を下げた。

「死んじゃいますよ」

その言葉を残して。

ヒョイッ。

飛んだ。

「うおおおお!?」

燈矢が叫ぶ。

だがホシノは華麗に着地する。

無傷。

意味が分からない。

「マジかよ……」

ユメは慣れた様子だった。

「ホシノちゃん凄いでしょ?」

「いや凄いとかの次元じゃねぇ」

その時だった。

グラウンドで銃声が響く。

ババババッ!!

ホシノが走る。

速い。

とにかく速い。

敵の弾幕を掻い潜りながら接近する。

そして。

パンッ!

パンッ!

パンッ!

正確な射撃。

ヘルメット団が次々倒れていく。

「強っ」

思わず声が漏れた。

ホシノ一人で無双している。

だが。

燈矢は気付いた。

一人だけ。

倒れていない奴がいる。

グラウンドの端。

瓦礫の陰。

気絶したフリをしている。

そして。

ホシノの背後へ銃口を向けた。

「……あ」

まずい。

あれはまずい。

ホシノも気付いていない。

燈矢は辺りを見回す。

近くに置いてあった訓練用の拳銃。

たぶん予備だ。

手に取る。

ユメが目を丸くした。

「燈矢くん?」

「ユメ先輩」

「?」

「俺が当てたらジュース一本」

「え?」

「外したら俺の負け」

「今それやる!?」

やる。

なぜなら。

ホシノが危ないからだ。

燈矢は銃を構えた。

深呼吸。

狙う。

そして。

引き金を引いた。

パンッ!!

銃声。

次の瞬間。

背後から狙っていたヘルメット団員が倒れた。

「よし」

燈矢が拳を握る。

ユメは口を開けていた。

「当たったぁ!?」

グラウンド。

ホシノが振り返る。

倒れる敵。

そして。

窓から拳銃を構える燈矢。

目が合った。

燈矢は親指を立てる。

ホシノは数秒固まった後。

小さく息を吐いた。

「……」

そして。

ほんの少しだけ。

口元が緩んだ。

その後。

戦闘は数分で終わった。

ヘルメット団は撤退。

グラウンドには静寂が戻る。

生徒会室。

ホシノは椅子に座るなり言った。

「なんで来たんですか」

怒っている。

ちょっとだけ。

燈矢は肩を竦めた。

「ホシノが危なかったから」

「私は大丈夫でした」

「いや撃たれそうだったぞ」

「避けられました」

即答だった。

自信満々である。

たぶん本当に避けられたんだろう。

怖い。

「それでも見捨てられねぇだろ」

燈矢がそう言うと。

ホシノは黙った。

少しだけ視線を逸らす。

「……」

沈黙。

数秒後。

「変な人ですね」

ぼそりと言った。

「よく言われる」

燈矢が笑う。

するとユメが嬉しそうに言った。

「仲良くなったね!」

「なってません」

即答。

だが。

ホシノの声はさっきより少しだけ柔らかかった。

燈矢は気付かなかったが。

ユメはちゃんと気付いていた。

ホシノが燈矢を見る目が。

最初より少しだけ。

優しくなっていたことに。

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