斎藤ミヤコ、星野アクア、星野ルビーが暮らすマンションの一室。其処でルビーは、とある動画をスマホで観ていた。動画名は『闇落ちした子役の怪談奇譚:八尺様』というものだ。ルビーはユーチューブでは怪談はあまり見ない方だが、とあるチャンネル名を見たから気になって確認したのだ。
ルビー「『有馬かなの怪奇譚』……まさか、あの時の重曹ちゃん?」
確認した時、黒いフード黒いパーカー、口元やマイクだけが映ってるだけの初期配信あるあるな動画だ。
しかし、怪談内容は洒落怖の怪談を語るだけではなかった。問題なのは語り方もそうだが、台詞の言い回しの上手さだ。
かな『縁側で寛いでいた。そしたら………『ポ……ポポポポ……ポ……ポ…』と、変な音が聴こえてきた。機械的な音ではなく、人が発している気がした』
ルビー「いやうま!?ホントに八尺様が発したみたいな鳴き声じゃん!」
その後も話を続けていき、主人公が祖父母に八尺様の事を話すシーンで、祖父母の演技も並の怪談と比べても演技力が一つ抜け出ている上手さがあった。
かな『『生垣より背が高くて、帽子を被ってて、ポポポとか、変な鳴き声してたし〜』……と言った途端、2人の動きが止まった。いや、本当にピタリと止まった。その後、じいちゃんが怒ったような顔で『いつ見た!?何処で見た!?生垣よりどのくらい高かった!?』と質問を浴びせてきた。じいちゃんの気迫に押されながらも、さっき見た事を話すと、急に黙り込んで、廊下にある電話の元まで行き、何処かに電話を掛けた』
ルビーはその怪談朗読に、夢中になって聞き入っていた。語り方もそうだが、登場人物の演技も異様な程に上手い。聴くだけでも情景が伝わって来る。
ルビーは暫く聞き入っていると、主人公が八尺様を一晩やり過ごす場面に入る。部屋の中で過ごしてたら新聞を張り巡らされた窓からのノック音を、机を叩いて再現したりしている。『ポポポポッ』という鳴き声も、まるで自分の元にでも来たかのように聴こえてしまえる。
BGMは必要無いのか、BGMは無い。ただ、語り手の声と時折自ら立てる物音位しかない。
かな『『どうしたぁ?こっちに来てもいいぞぉ?』。じいちゃんの声に限りなく似てるけど、あれはじいちゃんの声じゃない』
八尺様が真似た声らしい声も出してくる。初めこそ祖父の演技をしてたのに、祖父の声に限りなく近い声に変えたりしてる。声優でもやってるのか?そう思える位の上手さだ。
ルビー「ヒェッ……」
ルビーが動画を見て、かなりの時間が経った。『八尺様』の怪談が終えて、今度は『パンデミック』の話を話し始める。まるで、本当にあったかのように話す上に、台詞の演技力も非常に上手い。
ルビー「ハァ〜……怖かったぁ!」
かな『………今日は此処までとします。本日の怪談は………『八尺様』、『パンデミック』でお送りしました』
そして、ルビーは見てしまう。かながスマホをタッチしたけど、配信が切れてない為に黒いフードを脱いでポカリを飲む様子が丸見えの有馬かなの素顔が。
かな『ふぅ…………ん?あっ、ヤバッ!』
そして、配信を慌てて切った有馬かなを見て、ルビーは絶叫した。
ルビー「重曹ちゃん何やってんのー!?」
ルビーがそう叫んだ後、アクアがルビーに尋ねてきた。
アクア「どうしたんだ?」
ルビー「お兄ちゃん!これ見て!重曹ちゃんが動画始めたんだけど、顔出さないようにしてたのに最後にやらかしたんだよ!」
ルビーはアクアに動画を見せる。アクアは顔出し事故までの動画を見ていき、其処で思うのは有馬かながやはり演技力が化け物レベルであり、声だけで演じ方を分けたりしてるのは実に凄いと評価出来る。
そして、最後の顔出し事故。普通の人間ならあの有馬かなが!?となるだろうが、アクアはこれがかなの狙いである事がすぐに理解出来た。
アクア「わざとだな」
ルビー「えっ!?いやいや、重曹ちゃんそんな事しないでしょ!?」
アクア「する」
ルビー「即答!?」
アクア「見てみろ。有馬がフードを被って撮影を始めた場面を」
アクアはスマホを操作して、動画の序盤を映す。
かな『始めまして。久し振りの人は久し振りです。元子役で現在はフリーで活動してる元子役です』
この言葉が意味するものは、元子役である事を匂わせている。
次に怪談朗読。ただ読むだけでなく、演技力も見せているのだ。
そして最後、顔出し事故を起こした。それで有馬かなであると証明され、以降のチャンネル名も『有馬かなの怪奇譚』に変更されているのだ。
アクア「コメント欄も、『今の有馬かなじゃね?』というコメントが溢れている」
ルビー「ホントだ!」
アクア「つまり、今回の配信は『宣伝』だ。恐らく炎上さえも利用するつもりだろう」
ルビー「重曹ちゃんすごーい!コメントしちゃおー!」
ルビーは純粋にかなの事を評価している。アクアは、まさか有馬かなが怪談朗読を始めるとは思いもしなかっただろう。とはいえ、怪談を行う有馬は楽しそうであり、意外にも向いているようにも見えた。
その日の夕方、夕食後にミヤコさんにも動画を見せてみた。
ミヤコ「あの有馬さんがね………確かに上手いわね。怪談の朗読、登場人物、物音、全て一人で演じ分けているわね。BGMも派手な編集も無い。なのに最後まで聞けてしまうなんて」
元とはいえ、天才子役と呼ばれていたのは伊達では無かった。子役時代の演技力の高さは目にしていたが、此処までとは思わなかった。
そして、例の顔出し事故も見た。ミヤコも初めは何をしてるのかと思ったが、あまりにも完璧過ぎる流れに違和感を感じた。
ミヤコ「確かにわざとね。あまりにも流れが完璧過ぎるわ」
ルビー「ミヤコさんも!?」
ミヤコ「普通にやってもただの怪談朗読で終わるからよ。それに元子役である事も匂わせて、ただの怪談読むだけじゃなくて演技力も発揮した後に、自然に顔を見せてるのよ?普通の人なら何してるの!?ってなるけど、こういう業界に長く居る人なら分かるわよ。今のが演技ってことくらい」
ミヤコもそれなりに芸能界は知り尽くしてる。もしここに夫が居たとしても、有馬かなの顔出し事故が狙ってやったものだと見抜くだろう。
ルビー「あっ、もう次の宣伝とか挙げてる」
ルビーがかなのチャンネルを確認すると、もう次の怪談やホラゲーの実況も視野に入れているようだった。コミュニティへの投稿では、次回の配信で語る怪談のタイトルが記されている。また、ホラゲーも近い内にやる予定らしい。
ルビー「更新日は決めてるみたい。重曹ちゃん活き活きとしてるね」
ミヤコ「天才子役と言われてから急に人気が落ちても、めげずに頑張ってるのね。そしてその経験を、怪談朗読で発揮するなんて、やるじゃない」
アクア「そうだな」
星野家の皆はその後、入浴後にそれぞれ自室でやるべき事を済ませた後に眠りに入る。有馬かなの再起を動画越しで見た彼等の物語は、ここからどのように変わるのだろうか。
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かなは学校帰りの夜。夕食を軽めに済ませた後に再び怪談配信を行っていた。
今回読んだのは『ヒッチハイク』という有名な話だ。掻い摘んで話せば、悪友のカズヤと主人公の2人が全国ヒッチハイクの旅に出て、美味しい名物や一期一会の出会い、そしてナンパもしていくというもの。しかし、その道中で乗せてもらったキャンピングカーに乗っていた変態一家による恐怖で、人生最大のトラウマを植え付けられたというのだ。テンガロンハットのイカれた初老男性、バカ殿かコウメ太夫みたいな白化粧の妻、双子の中年男性2人、ナイフを持った大男、そして腫れ上がったと言わんばかりの異形の赤ん坊。そんな変態一家からなんとか逃げ延びたという話だ。読んでるかな自身も、変態一家を演じる間も嫌悪感しか無かった。確かにこれは、文章越しでも気持ち悪いと理解出来る。もしこの目で見たら、確かにトラウマ確定だと分かる。
そして、考察のしがいがある怖い話でもある。
今回は序盤で、悪友のカズヤと主人公がヒッチハイクで日本横断をしようと話し合う所からスタートしていた。
かな「このカズヤって奴はとんでもない女好きで、頭と下半身は別………最低ね。でも根は底抜けに明るく、女関係のトラブルは抱えてても男友達は多かった。まあ居るわよねそういう奴」
かなはその後も読み続ける。ヒッチハイクの話に戻すと、その計画は北海道まで空路で行き、そこからヒッチハイクで地元の九州まで戻ってくるという計画だ。読んでて思うのだが、かな自身もそれを実行しようと思うこの主人公とカズヤには感心した。
かな「『通った地方の、最低でも一人の女と合体する!』まあ最低だけど中々一貫してるわね。筋は通ってんじゃない?」
かなはカズヤが女好きとしてかなり真っ直ぐな性格してるなと、読んでて感じていた。無理矢理するようなタイプではない事くらいは読んでて分かるのだ。主人公もカズヤとナンパして良い思いはしてたらしい。
その後、かなは主人公とカズヤのヒッチハイクの旅を満喫して各地の名物を味わったり、一期一会の出会いを楽しんだり、初めは大雑把だったヒッチハイクのコツを掴んだり、女好きとしてナンパしたりと、読んでて楽しそうと少し笑いながらも読み続けていた。
しかし、此処から怪談らしく読み上げる機会も増えていく。生涯トラウマになる出来事に出会うからだ。
それは、主人公とカズヤが出発して2週間後の、甲信地方の山深い田舎で起こった出来事が切っ掛けだった。田舎のコンビニで立ち往生してたら、キャンピングカーが降りてきてそこから降りてきた一人のカウボーイみたいな鍔広の帽子を被った初老男性に乗せてもらった所からだった。
かな「キャンピングカーに乗せてもらった時、『しまった』とと思った。『おかしい』………なにが?と言われてもおかしいからおかしいとしか書きようがないかもしれない。ドライバーに家族が居る。なるほど……で、キャンピングカーだし同乗者が居る事は予想してたけど、父親がドライバーでおよそ60代、母は助手席に座ってて見た目は70代、双子の息子はどう見ても40過ぎ。うわぁ……まあ確かにおかしく感じても無理ないわね」
かなも知ってるとはいえ、この家族の異常さは読んでても理解出来る。特に双子は分かりやすい例だ。全く同じギンガムチェックのシャツ、同じスラックス、同じ靴、同じ頭頂ハゲの髪型、同じ姿勢で座る同じ顔の双子の中年男性。しかも喋らずに笑ってるだけ。2リットルのコーラを全く同じペース、同じ飲み方でラッパ飲み、そしてゲップまで同じタイミングというものだ。別にこういう双子は居るだろうし、悪い訳では無いものの、異様な雰囲気を纏ってたと示すような描写はかなり多い。そして名前も異常だ。頬が赤く染まった男性が『赤』。青痣がある男性が『青』。付けるにしても異常である。
母も異常だ。ウェディングドレスみたいな真っ白なサマーワンピース、顔はバカ殿みたいに真っ白過ぎる白粉をベタ塗りした老婆なのだ。そして名前も、『
夫の方は『聖ジョージ』。最早名前だけでも異常だ。
適当な所で降ろしてもらおうとしたのだが、この変態一家は一向に降ろしてくれない。
かな「『まだ乗ったばかりじゃないかぁ』と父は運転しながらそう言った。母も『熊が出るから!今日と明日は!』と意味不明な事を口にした。それでも降ろしてもらおうと、半分腰を浮かせ手本当にもう結構ですとしきりに訴えかけたが、『せめて晩餐を食べていけ』と言って、降ろしてくれる気配はない……いや晩餐って何よ!何食べさせる気よ!」
読んでいても異常さが伝わる変態一家。
かな「『聞こえたかぁ!!』」
話の中で、父と母がしきりに話しかけてくる中で、返事を返さなかった時に父がそう剣幕上げて怒鳴ってきた。双子の中年男性は『ヒッヒッヒ』と笑っている。
山道に入ったから降ろしてもらおうとしても、降ろしてもらえない。こうなったら、車が止まったら逃げようと二人で決意する。
そして、小川の開けた場所にキャンピングカーが停止した。
その時、キャンピングカーの後部のドアから声がした。小さい赤ん坊のような声だ。
かな「まだ誰か乗っていたのか?そう思うと、『マモルもお腹空いたよねぇ〜』と言った。マモル。家族の中ではまだマシな名前だ」
そして、かなは少し息を吸って声をあげた。
かな「『マモルは出したらだ・あ・めぁー!!』」
と、双子の中年のおっさんに近い声にして叫ぶ。
かな「『そうねぇ!マモルはお体が弱いからねぇ!』母親がそう言うと、『ハッハッハッ!』と父親が笑い出す。もうダメだ。完全にイカれてる。そりゃそうよ……気持ち悪いわね……」
上手く出来たか?そう思いながら、かなは朗読を続けた。
もう一人変態一家の家族が居て、2メートル位のテンガロンハットにスーツ姿の大男が大型の獣をナイフで解体してる。晩餐と思われるものであろうが、そんなものは食う気になれない。
大男の口笛で演奏してるのは、某ネズミのマーチだ。
かな「こうかしら?『〜♪』」
かな自身は自覚してないが、コメント欄は『上手い』といったコメントで溢れていた。
そして、これから晩餐という時にかなは声を上げて『ションベンしてきます!』『じゃあ俺も!』と声を上げる。いよいよ主人公とカズヤが逃げ出す場面に入ったのだ。
2人はトイレと称して、その場から逃げ出し始めた。
かなはこれまでの経験を活かした演技力で、登場人物を演じていく。
そして、マモルらしい子供がキャンピングカーの後部の窓に張り付く演技も忘れない。因みにマモルと呼ばれてた子供は、異様におでこが突出し、両目の位置が異様に低く、両手もパンパンに膨れ上がった容姿だ。いくら赤ん坊と言っても、病気を疑いそうな見た目をしていると言った方が良いだろう。
かなは声をこれでもかと張り上げる。
かな「『マーマッ!!』」
それで主人公とカズヤは限界を迎えて、一目散に逃げ出した。夜間とはいえ、山道を1時間も爆走し、途中で休んで早朝の4時になるまで眠りこけ、再び走り出して古びたトイレのある駐車場まで来た。
カズヤがトイレで用を足してる時、ふいにこんな事を言い出した。
かな「『紙はあるけどよ〜ガビガビで蚊とか張り付いてるよ……うぇぇ、無いよりマシだけどよ……』文句を垂れ流しだした。何よ蚊張り付いてる紙とか………絶対嫌よそんなの!………しかし、その後だった。『なぁ…誰か泣いてるよな?』とカズヤが大声で言い出した。『何?』と俺が問いかける。『いや、隣の女子トイレだと思うんだが、女の子が泣いてねぇか?』……女の子?」
かなは読んでいくと、どうやら女子トイレから女の子の泣き声がするらしい。主人公は確認の為に女子トイレに赴き、ノックして泣き声のする個室に質問するけど反応が無い。
すると、キャンピングカーが山道を降りてくるエンジン音が聴こえてきた。
かな「『おい!出ろ!!』俺は声を上げる!変態一家かもしれない!そう思った俺はカズヤの居る個室のドアを叩いた!『何だよ!?』カズヤが声を上げた。『車の音がする!!万が一の事もあるから、そこから出ろ!!』『わ、分かった!』」
カズヤが個室から出てきた後、2人はトイレの裏側に隠れる。変態一家はその間に用を足したり、談笑したりしている。
父の言葉、双子のグズり泣く声、平手打ちを両手で打って再現、そして母の『◯◯ちゃん来たよー!』を声高めにして叫ぶ。
かなはその場面を読み上げながら、大男がやって来た場面の演技を始めた。
その時、女の子の泣き声の演技も混ぜる。伊達に10秒で泣ける天才子役と呼ばれたのは伊達ではない。それは、大男が男子トイレに入って小便をしている場面に来た時だった。
かな「『ぐず……ひぐっ………ううういぃぃぃぃぃぃぃぃ!!』女の子の泣き声が一段と激しくなり、唸り声とも悲鳴とも取れる泣き声に変わっていく。何故だ?何故気付かない?」
そして、かなは声を上げた。
かな「『ギャアアアぁぁぁっ!!』という叫び声と共に泣き声は止んだ。なになに!?なんかされたわけ!?しかし、大男は男子トイレに居るし、他の家族が女子トイレに入った形跡もない」
そして、大男がトイレから出た時だった。
かな「『ここだったよなぁー!!』と、大男が声をあげた。『そーだそうだ!!』と父が、『罪深かったよねぇ!』と母が声を上げた。一体何の話?『泣き叫んだよなあぁぁぁー!!』『泣いた泣いた!!悔い改めた!!ハレルヤ!!』うわぁ……気持ち悪いわよ!」
そして、変態一家がキャンピングカーで駐車場を去る。2人が確認したときには、女子トイレの何処にも女の子は居なかった。此処で2人は改めて、女の子は初めから居なかったと分かった。
そして、2人は激走の末になんとか昨夜のコンビニにたどり着き、店長に事の顛末を説明した。しかし店長は怪訝な顔をしながら、2人に返した答えは………。
かな「『キャンピングカー?いや、俺は君達を止めたんだよ?急に荷物纏めて店を出て、国道沿いに歩いていくもんだから、呼び掛けたんだよ。なのに、あんまり無視するもんだから、こっちも正直気を悪くしちゃってさ。どうしたのさ?』…………………………………はっ?いやいやアンタ会計してたでしょうが!?な、なんで?どういう事よ?」
かな自身も、店長の発言の意味が分からなかった。しかし、登場人物になりきってる内に、この主人公とカズヤみたいに疑問しか頭に残らなかった。
そして、主人公とカズヤはタバコをトラックの運転手に渡して市内まで送ってもらっていた、その時だった。
かな「トラックが、市内まで差し掛かろうとした、その時だった。俺は、ある物を見て戦慄した。『すみません!此処で止まってください!!』『はあ?』俺の言葉に、トラックの運転手が首を傾げる。『おい!カズヤ!アレを見ろ!!』カズヤを起こして、俺が見た物を見せる。『っ!?どういうことだよ!?』俺が見つけたもの。それは、ドライブインに乗り捨ててあった、あの時の変態一家が乗ってたキャンピングカーだった。しかし、それは何十年も放置されたかのように寂れてボロボロで、窓も割れてるし、タイヤも全てパンクしている。はぁー!?いやいやどういう事よ!?タイムマシンと言いたいわけ!?」
かなはツッコミながらも読み上げていく。主人公とカズヤがドアを開けて中身を確認すると、其処には自分達が放棄した荷物が、何十年も放置されたように朽ち果てた状態で置いてあった。
かな「はぁぁぁっ!?意味分かんないわよ!なんで急に過去に飛ばされてたみたいな感じになってんのよ!?」
かなはツッコミを入れながらも、ヒッチハイクの話を読み上げていく。すると、キャンピングカーの後部にある閉じた扉から物音がした。
かな「あれは多分猫の鳴き声だったかもしれない。そう思いたかっただけかもしれない。しかし、確かに俺達にはこう聴こえたんだ。『マーマァッ!!』いや、こわっ!?マモルだっけ?まだ車内に取り残されてんの?えっ?えっ?」
かなは読み続ける。トラック運転手の演技も忘れずに行う。2人がトラックまで戻った時、実はトラック運転手も摩訶不思議な光景を見たのだ。
かな「『いや、俺の見間違いかもしれないけど……あの廃車、お前等以外に、誰も居なかったよな?いや、やっぱいいわ』運転手の言葉が気になった俺は、『いや、気になります。教えてください』と聞いた」
運転手が言うには、キャンピングカーにカウボーイが被るような帽子を被った人影が見えたような気がした。その時に、とある口笛が耳元に聴こえてきた。
かな「『どんな感じの曲ですか?』俺が尋ねると、運転手は口笛を吹いた。その口から奏でられたのは、あの某ネズミのマーチだった。はっ?嘘でしょ?」
かなは益々気になりだした。主人公とカズヤは確かに、キャンピングカーに乗ってる。変態一家にも出会っている。大男が某ネズミのマーチを口笛で吹いていた。
運転手が暫く運転した後、主人公はあの山で何か事件が無かったか尋ねてみた。
かな「『国道の近くに山がありますよね?あそこで何か事件とかあったんですか?』俺がそう尋ねると、運転手は答えた。『事件?いや聞かねぇな。山つっても3つくらい連なってるからなぁ、あの辺りは。あ~、でもあの辺の山で大分昔に、若い女が殺されたって事件があったとか……それくらいか?後は普通にイノシシの被害だな。怖いぜ、野生のイノシシは』『女が殺されたところって……』『トイレすか!?』カズヤが俺の言葉に食い気味に入ってきた。『あぁ。確かそう。なんで知ってんだ?』……じゃあつまり、あの女の泣き声は幽霊で、あの変態一家に過去に殺されて、今も其処に留まってるってわけ?」
主人公とカズヤはその後、ホテルで爆睡した後に地元に帰って行った。その後、2人は何とか就職し、人生を謳歌していった。しかしトラウマは残ってしまい、カズヤはキャンピングカーを見るのが未だにダメで、主人公は某ネズミのマーチがトラウマになっている。
かな「………ふう。はい、今日は此処までよ」
かなは息を漏らし、近くに置いていた氷入りのコップにオレンジジュースを入れた後、ストローで飲み始める。飲み込む音とストローで限界まで吸い上げて、コップを置いた際のカランカランと氷がぶつかる音がする。
かな「『演技ウマすぎw』ありがとう。子役経験は無駄じゃなさそうね」
かなは自分の考えも話し出す。
かな「この洒落怖……この女の子の幽霊がやったなんて考察もあるわね。例の変態一家に殺されたから、自分の事を誰かに知って欲しくて同じ目に遭わせた。でも2人は助かってるけど……トイレから出たから?それに、荷物が朽ちてた理由だって分かんないわよ………ホントに考察のしがいがある話よね」
マモルという異常な姿をした子供。大男、変態一家、そして女の子の幽霊。タイムスリップ系なのか、それとも幻なのか、この世ならざる者のイタズラなのか、それも分からないまま配信を終えた有馬かな。
『ヒッチハイク』の話を投稿した直後、コミュニティにも次回の怪談で話すタイトル名を出した。タイトルは『空き家の子供(渦人形・ひょうせ)』である。呪物をテーマとした怪談だ。配信日を指定した後、コミュニティに予告を投稿し、かなは息を吐く。
かな「ふう……喉乾いた」
かなは冷蔵庫に向かい、開けて中のポカリスエットを飲んだ後、目薬をした後に眠りに入った。
翌朝は学校なのだ。休んではいられない。
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その後、かなは怪談配信を暫く続けて、漸くホラゲー配信のときが来た。
かな「今回やってくのは、この『スケアリーゲーム』というゲームよ。怖いゲームなんて、直球じゃない」
かなは早速プレイしていく。
単刀直入に言おう。
このスケアリーゲーム。主人公の太った男が、ピエロマスクの男から逃げるゲームなのだが、このゲーム、色々とおかしいのだ。
怖いどころか笑える要素満載なのだ。
かな「いや、ちょっと待ちなさいよ!逃げる奴が追い掛ける奴助けに行ってどうすんのよ!?」
他にも。
かな「鎖チャラチャラしてうるさいのよ!」
更に。
かな「マスク脱ぎ捨てんな!ってか階段登れないのなんでよ!?さっきエレベーターで逃げる主人公を先回りして捕まえてたじゃない!!」
かなのツッコミが炸裂した配信となりました。
洒落怖でも好きなエピソードの一つ。何気に人怖要素もあるよね。
最後は蛇足だよ。