(完全版)リュカとビアンカ、息子に愛を語る。 作:アロンの杖
リュカは最近、グランバニア王国の主城にある己が書斎に籠もる事が多くなっており、しかもその際は施錠をした上に周囲に結界を張り巡らせているらしく、彼の最愛の妻にして“天空の花嫁”たる“ビアンカ・エル・シ・グランバニア”でさえも容易に居場所を特定できずにいたのだ。
それだけではない、彼は書斎に籠もる理由をいくら聞いてもはぐらかしていたから、ビアンカは余計に気になって仕方が無かったのだが、そんなある日。
「ねえあなた。最近は良く書斎に籠もっているけれど・・・。一体中で何をやっているの?」
ここの所、あんまり構ってもらえていないばかりか、最愛の夫に秘密を持たれてしまった格好の愛妻王妃は堪りかねてリュカに問い質してみた。
「あなたが何か目標を持っているのは良いのだけれど・・・。いくらなんでも寂しいわ、たまには私も見て?」
「・・・・・っ!!!ご、ごめん。ビアンカ、そんなつもりは無かったんだけどね!!?」
結び目を解いて風に棚引きく長いハニーブロンドをストレートに垂らしつつ、少し悲しそうに微笑みながらそう告げるビアンカに対してリュカは流石に申し訳なさそうに謝罪した、普段はどんな難敵にも勇猛果敢に立ち向かって行くこの男も愛妻王妃に対してだけは優しい気持ちになれるのだろう、全体的に穏やかな雰囲気を纏っていた。
「実は書斎に籠もって絵を描いているんだ。油絵なんだけど風景画とか。あとたまには親しい人々を題材にした人物画とかも描いてるよ?国内の有名な画家の先生に教わりながらね。あとちなみに、なんだけど・・・。みんなには内緒で君の絵も何枚か描いているんだよ?」
「・・・私の?」
「う、うん。と言ってもそれは流石に先生にすら秘密にしてあるんだけど・・・。例えばドレスを着た君の絵とか、花嫁姿の君の絵とか。後は幼い頃のモノとか・・・」
「・・・・・?」
するとそこまで告げてリュカは少しだけ顔を赤らめたまま俯いてしまうがそれを見逃すビアンカでも無かった、もともと好きな男の事には良く勘が働くのが女性と言う生き物であり、しかもビアンカは“天空の花嫁”として生まれてからずっと不思議な能力を有していた。
かてて加えてこの時の彼女はリュカとの間で何度となくセックスを重ねて来ており、その最中には単に肉体や愛情を重ね合わせるのみならず、“
その結果。
「・・・・・っ!!?あなたっ。私のエッチな絵を描いているでしょっっっ///////////////」
「あ、あははっ?もうバレちゃった・・・」
多少、悪びれながらも謝る夫に対してビアンカは“もう・・・っ!!!”と言いながらも悪い感じはしていない。
彼女からしてみればリュカが自分の事や、自分との事を思い返しながら、それらを絵に落とし込んでくれるのはそんなに反目は無かったが、だけどそれでもエッチな絵は困ってしまった。
「・・・で、なんでそんなのを描いているのよ?」
「う、うん。僕もたまには君との事を反芻させて、“そう言う気分”になることだってあるしさ?それに君も“体調不良”だとか、疲労とかでいつもいつも相手が出来る訳では無いだろ?だからそう言う時には絵を見て、その・・・」
「・・・・・」
(要するに・・・。“
リュカの言葉を聞くのみならず、彼の心の内を覗き見て本心を語っている事を知ったビアンカは彼の己への情熱と、“夫が自分の事を考えてくれているんだ”と言う事実が嬉しくて恥ずかしいけれども取り敢えずは許してあげる事にしたのである。
ところが。
まさかそれを良いことにしている訳でも無いのだろうが、リュカはその後も何度となく書斎に閉じ籠もって3時間程度は出て来ない日々が続き、流石に心配になったビアンカが夫が書斎に入るタイミングで無理を言い、半ば無理矢理に己も室内へと突入を試みた、するとそこにはー。
確かに幼い頃の彼女や花嫁姿の彼女、そしてドレスを纏って晩餐会に出席した時の彼女の絵画がいくつかのキャンパスの上に立て掛けられていたのだ。
「・・・・・」
(あら?この奥にあるのは・・・)
そんな中でビアンカが目敏く視線を移すがそこには彼女の裸の絵が数枚、上から布を掛けられた状態で保管されていた。
「・・・もうっ。あなたったら、これはダメ!!!」
「う、うん。ゴメンよ?ビアンカ。だけどキレイだろ?凄く上手く描けたんだ・・・」
「・・・・・」
“そりゃ認めてあげるけど・・・”とビアンカは渋々同意するが、そうやって全ての絵を代わる代わる見つめている内に、ある事に気が付いた。
ビアンカの油絵は裸婦画も含めて全部で7枚ほどあったのだがその全てから何やら爽やかで、心安らぐ暖かさを感じた為に、愛妻王妃は思わず絵画に手を
するとー。
そこには“情欲”に加えて“初恋の思い”や“愛の温もり”、はたまた“共に有れる事への感謝と感動”とが渦を巻いておりビアンカの魂へと直接語り掛けて来るモノの、それだけではない。
“愛しい”、“嬉しい”、“守りたい”。
“大切なこの人に傷一つ付けさせたくない”。
そんな純粋にして暖かな気持ちが満ち溢れており、思わず彼女を芯から喜びで打ち震わせたが、それはリュカの真心であり紛う事無き“祈りの声”そのものであったのだ。
「・・・これって、あなた。私のために?」
「あ、いや。あの・・・」
一種の照れ臭さと“祈りは誰にも知られてはならない”と言う教えの為に、リュカが慌てて隠そうとするモノのもう遅かった、愛妻王妃には青年国王の偽り無き
彼女はこれ以上無い程にまで感動して余計に彼に夢中になり、心酔していってしまったのである。
(守ってあげたい、この子の事を。例え自分の全てと引き換えにしたとしてでも、ビアンカには幸せと安寧の光の中でいつまでも笑っていて欲しい・・・)
(この子は初めて僕に純粋なる愛と人の温もりを。そして優しさを教えてくれた人だった、だからね?ビアンカ。君が笑っていてくれる事こそが、君が幸せでいてくれる事こそが。何よりの僕の願い、希望なんだよ・・・?)
「・・・・・っっっ!!!!!」
そんな夫からの“精神的な言葉”を聞いた瞬間に、ビアンカの両の瞳からは熱い涙が溢れ出して顔全体に滴っていった。
「ううっ、グスッ。ヒグゥ・・・ッ!!!も、もうリュカったら。ちょっと服を貸しなさいよ・・・っっっ///////////////」
「あはは・・・。ビアンカ、もう泣かないでよ」
感極まって大粒の涙を流し、縋り付いて来る愛妻王妃に対して青年国王は、彼女を優しく抱き寄せながら言い放った。
「ごめんね?ビアンカ。本当はね?僕は君に、ただいつまでもいつまでも微笑んでいて欲しいだけなのにな・・・」
「ヒッグ、グス・・・ッ。ふ、ふえぇっ?」
「どうしてかな。どうやってもいつも君を泣かせてしまうんだよね。ごめんね?ビアンカ・・・」
「・・・・・っっっ!!!!!」
それを聞いたビアンカは夫の胸に思いっ切り顔を埋めながら“うわああぁぁぁ~んっっっ!!!!!”と人目も憚らず大声で泣きじゃくってしまっていた、リュカの優しさ、暖かさに触れた瞬間、狂ったように涙が溢れて後から後から止まらなくなってしまったのだ。
「うええぇぇぇ~ん・・・っ//////////ヒグゥッ、グスッ。うわああぁぁぁーーーっっっ!!!!!」
そんな“天空の花嫁”を花婿は、いつまでもいつまでも抱き止めたまま彼女が泣き止むまで微動だにせずに背中を摩ったり、頭を撫でたりしてあやし、落ち着け、宥め続けた。
「ウエッ、グスッ。ふうぅぅ・・・っ!!!リュカ、ありがとう・・・っっっ❤❤❤❤❤」
「・・・ビアンカ?」
それから暫く経った頃、ようやく少しずつ落ち着いてきたビアンカが、それでもまだ嗚咽を漏らしながらもなんとか息を整え、リュカに語り掛けて来た。
「嬉しいの。あなたの中で“私が一番キレイだったな”って感じた瞬間を、こんなステキな絵画にしてくれていたのが・・・っっっ❤❤❤❤❤」
「・・・それは」
「ううん、それだけじゃないわ?絵に意識を向けた瞬間に解ったの。あなたの絵に込めた思いが、私への真心が・・・。あの、それでその・・・っ///////////////リュカ、あなた大好きっ。今までも、これからも。誰よりも何よりも愛してるっっっ❤❤❤❤❤」
そう言うとビアンカは自分よりも20cmほど高いリュカの首筋に腕を回して抱き着き、その身をソッと寄り添わせる。
(私はもう、この人だけのモノなんだ・・・っ!!!)
夫にしがみ付きながら、ビアンカは改めて確信していた。
(今までも、これからも・・・。ううん、生まれてくる前からきっとずっとそうだった・・・・・っっっ❤❤❤❤❤)
その直感が間違いない事を、胸の内で感じ取りつつ、ビアンカはリュカに“ベッドに連れて行って?”と懇願した。
まだ日も高いと言うのに、今の彼女にはそんな事はまるで関係なかった、ただただ最愛のリュカを抱き締め、そして彼に抱かれること、それのみを