産廃スキル『性転換』で魔法少女になったら戻れなくなった   作:ぷに凝

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35 3人、4人、5号

「流石はイトナね。正直、ここまで可愛くなるとは思わなかったわ〜」

「うぅ……」

 

 右手でお腹を隠し、左手でスカートを引き伸ばす。

 

 そうしないと、丸出しのお腹と短すぎるスカートがあまりにも心許なかった。

 

「スカート短い……肩出てて恥ずかしい……」

「こういう服は初めてかしら? 気に入らなかった?」

 

 いや、かわいいと思うよ? かわいいんだけどさ。

 

 ちょ、ちょっと……かわいすぎるというか……。

 

「私には、この服似合わないんじゃないかなぁ……」

「とんでもないです! ヒロさん!! それはまさしくあなたのためにデザインされた服ですよ!!」

「イトナは天才デザイナーなのです! よくやったのですよ!!」

「ふふん〜、普通に嬉しい〜」

 

 大興奮のヒカルくんとハカセ。

 

 なんで二人がこんなにテンション上がってるんだろう……。

 

「私もすごく似合ってると思うわよ? スポーティな感じがヒロちゃんの雰囲気に合ってるもの」

「最初に見た瞬間ビビッときたんだよねぇ。あ、この子ストリート系似合うなぁって。ドンピシャだったよねぇ〜。スタイルもすっごいし」

 

 うーむ、プロの審美眼ということか。

 

「でもいいの? こんないい服貰っちゃって」

「いいよぉ〜。ヒロちゃんみたいな可愛い子が地味な服着てるの我慢できなかっただけだから〜」

「そ、そうなんだ」

 

 ……ユウナさんから貰った服もだいぶ攻めてたと思うけどな。

 

 中々、常識離れした価値観だ。

 

「ヒロちゃん。あのプリムノヴァなんでしょお? 私、大ファンなんだぁ。本物に会えてとっても嬉しい〜」

「そ、そうだったの?」

「うん。元々、地上にいた頃はコスプレ衣装とか作って自分で着てたからぁ。その頃の写真見るぅ?」

「こらこら。後にしなさい。ヒロちゃんたちには今、この屋敷を案内してる最中なんだから」

「あっ、そうだったぁ。ごめんなさぁい」

 

 ユウナさんがヒロトとイトナの間に入り、「それじゃ、着替えたところで次に行きましょう?」と話を進める。

 

「じゃあね〜」

 

 それを手を振って見送ってくれるイトナ。

 

「ね? 面白い子だったでしょ?」

「まぁ……けどまさか、いきなり脱がされるなんて」

「いやぁ、いいものを見ました。“魔道銃”を抜いた甲斐があったというものです」

「なのですなのです」

「……“魔道銃”?」

 

 会話の流れの中で、聞きなれない単語が飛び出てヒロトは首を捻る。

 

 その瞬間、ヒカルくんとハカセがビクッと肩を跳ねさせて硬直した。

 

 そういえば……。

 

「ヒカルくん、さっき手に何か持ってたよね」

「……」

「あれ、なぁに?」

 

 ヒカルくんの顔色がどんどん悪くなる。

 

「そういえば、揉めてるような声が聞こえたけど」

「……プ、プリムノヴァ。これにはワケが」

「なにしてたのかな?」

 

 にっこりと笑って、ヒカルくんを詰問する。

 

 カタカタ……と、ヒカルくんは真っ青になって震え始めていた。

 

 

 数分後。

 

「うぅ……」

「ヒロって怒ると怖いのです……」

 

 ヒカルくんとハカセが肩を落として項垂れていた。

 

 ヒカルくんは武器でユウナさんを脅した件でヒロトが叱り、ハカセはヒカルくんを止めなかったことを叱った。

 

 ユウナさんとイトナが寛大だったから良かったけど。

 

 普通に追い出されてもおかしくなかった。だからキツめの注意だ。

 

 そんなことになったら、一番危ないのはヒカルくんとハカセなんだから。

 

 と、そんな一幕もありつつ。

 

「ここはダイニングね。皆、ここで食事を摂ってるの」

 

 ヒロトたちはまた新しい部屋へと案内された。

 

「おぉ、すごい綺麗……」

「屋敷の中は大体綺麗よ? シズクがよくやってくれてるからね」

「凄まじいワンオペ能力……」

 

 ヒロトたちはダイニングとキッチンが一体となった一室に案内され、その部屋の綺麗ぶりに驚く。

 

 優に10人くらいは席に着けそうな長いダイニングテーブルに、シワひとつないテーブルクロス。

 

 棚に納められた食器類もピカピカに磨かれており、隅々まで掃除が行き届いていることがわかった。

 

「スイホウ3号です。お料理はお任せあれ」

「スイホウ4号です。皿洗いは得意です」

「スイホウ5号です。二人を応援するのが仕事です」

「最後の子はなに?」

 

 ダイニングに着くなりトテトテとやってきたちびっ子3人組。

 

 揃いも揃ってメイド服を着ているのが非常に可愛らしいが、若干一名、ただの賑やかしがいた気がする。

 

「このスイホウちゃんって、シズクさんの分身だよね? 全部で何体いるの?」

「さぁ? 日によって増えたり減ったりするからわからないわね」

「そんな株価みたいな……」

「最大で30体です。ただ、それをすると本体が脆弱になってしまうので、大体25体前後で留めておくことが多いですね」

「25! あ、でも確かにさっきのスイホウちゃんが26号だったから、そうなるか」

 

 適当すぎるユウナさんの返答と、的確なスイホウちゃんの回答で管理能力の乱高下を感じつつ。

 

 ダンジョンのご飯ってどんな感じなんだろう……と興味が出てキッチンを覗こうとして。

 

 ぐぅ〜。

 

「……お腹空いちゃった」

「嘘なのですよ……」

 

 意識が食に向いたからか、ヒロトのお腹が大きな音を立てた。

 

「ここに着くまでにあんなにいっぱい食べたのですよ!? しかもモンスターを! 生で!! や、やっぱり何か変なものを食べてしまったんじゃ……」

「うーん、でもヒロちゃんの腹ペコはモンスターを食べ始める前からだったじゃない?」

「え。モンスターを食べた……?」

「この人、もしかしてヤバい人ですか」

「それであんなに育ってるのですか」

「ちなみに、劇中設定でのプリムノヴァは食べ過ぎを気にしていましたね。これは13話の『愉悦! 恐怖のマウントレストラン』で」

 

 狼狽するハカセ。反論するユウナさん。ドン引きのスイホウちゃんズ。誰も聞いてないヒカルくん。

 

「ねぇヒロちゃん。聞きたいんだけど」

 

 それぞれの意見を聞いて、ユウナさんは言った。

 

「なんですか。ちなみに体型は先日からこうでしたよ」

「そうじゃなくて。ヒロちゃんの“魔性”。本当に淫魔なのかしら? と思って……」

 

 そう聞かれて、ヒロトも反応に困る。

 

「う、うぅん……そもそも私、その“魔性化”っていうのがよくわかってないっていうか……それを治すためにここに来たみたいなところがあるので」

「……そうよね。ヒロちゃんが知ってるはずないか」

 

 ユウナさんが笑って「ごめんね」と言って笑った。

 

 なんていい人なんだ。

 

 会ってすぐに目の前で、ディープキス見せつけてきたエロお姉さんと同一人物とは思えない。

 

「でも、そうね。そういうことなら、もうすぐ早めに行っちゃった方がいいと思うわ」

「行っちゃった方が……って、どこに?」

「図書室よ」

「図書室?」

 

 その言葉の響きに驚く。

 

 この屋敷、図書室まであるんだ。

 

「……あれ? でもなんで図書室? そこに私の魔性化のことが書いてる本があるの?」

「それもあるけど、本を開くよりもっと確実な方法があるわ。ネットで調べるよりもね」

 

 そう言って微笑むユウナさん。

 

 ネット上で見られるようなダンジョンの情報は、多くの場合信用できないことが多い。

 

 スキルについての情報を始め、デマも多いし本人は正しいと思ってるだけの間違ってる情報なんてザラだ。

 

 真相を確かめるには、自分の目で見てみるのが一番。

 

 だけど同じくらい、一次資料に当たることも有効だ。

 

「地下の図書室にいる“魔法使い”は、気難しいけど物知りな子なの。きっと私たちの知りたい情報をくれるわ」

「魔法使い……」

 

 その言葉に目を見開く。

 

 一体、どんな人がいるんだろう。

 

「あ、でもその前にユウナさん」

「なにかしら?」

「ちょっとお腹空いたので、ここでご飯食べてもいいですか?」

 

 そう聞くと、ユウナさんは不意を突かれたように目を丸くした。

 

 この人でもこんな面白い表情することあるんだな……。

 

「……そうね、確かに。私もお腹空いちゃった。スイホウちゃん、ご飯作ってもらえるかしら?」

「わかりました!」

 

 急なお願いにも笑顔で答えてくれるスイホウちゃん。

 

 本当にいい子だなぁ。癒される。

 

「ファイト! ファイト! いけいけ3号ー!」

 

 ……この子は本当に何?

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