揺れている。
…担がれている?誘拐?
状況を把握するにも、寝起きは目が開けにくい。
薄らと目を開けるが、目に映るは地面のみ。
能力で周辺の生物を探知する。
…自分を担いでいる中級妖怪1匹、周囲に弱めの中級妖怪3匹。
左右には木の生命が大量に感知出来た。
獣道でも歩いているのだろうか。
怪しまれないように脱出するためには…
左右にある木を部分的に急成長させ、獣道を遮断する。
「うおっ、何だ!?」
「誰だ!人間どもか!?」
耳元で叫ばれると、五月蝿いことこの上ない。
妖怪達は人間の仕業だと思っているようだ。
人間はこんなことが出来なかった筈だが、この際好都合だろう。
樹木をどんどん伸ばし、箱部屋を作る。
妖怪達は木を破壊しようとしている様だが、破壊された瞬間再生する樹木はそう簡単に破れない。
私は下を向きながらも、箱部屋の中に妖怪を召喚(創造)する。妖力は多めに。
大妖怪級の妖狐が表れる。
妖力は大妖怪級なのだが産まれたてなので一尾。(普通、妖狐の大妖怪は9尾)
「なんだこいつ!?」
「反逆者だ!やっちまえ!」
妖狐が妖怪達を追い払うよう念じる。
妖狐を中心に何かの術が発動したようだ。
「急げ!」
「お前らも早く!」
私が樹木を元に戻すと、4匹の妖怪は、急にどこかへ走って行った。
私と妖狐を置いて。
「幻術?」
「そうだ。主(あるじ)、無事か?」
創造した妖狐は白い毛並みをしており、青色の着物を着ていた。男物の着物だ。
顔といい声といい、恐らくオスの狐…もとい、妖狐だろう。
主、とは。伊邪那岐の時とデジャブを感じる。
「そうだ、伊邪那岐は最初から名前が付いてたから、貴方も何か名前が付いてるでしょ?」
「いや、俺に名前は無い。主が決めてくれ。」
ここは伊邪那岐と違うのか。何もかも伊邪那岐と比較していてはいけない。
私が他人の名前を決めた事は無いので、酷い名前になるかもしれない。
「そうだ、白銀(しろがね)って名前はどうかな。駄目?」
「主が決めた名前だ。拒否するはずが無いだろう。元々この体も主がくれた物だからな。」
遠回しに却下されている気がするが、いいのだろうか。
白いから白銀、なんて誰でも思いつくような名前。本人が良いならいいか。
「じゃぁ、これから仲間としてよろしくね。」
「主に従うのは当たり前のことだ。よろしく頼む。」
仕方なくやってる感じも無いことは無いのだろうか。私が創ったとはいえ、一つの生命。
休暇も多めに与えてやろう。
「…あれ?私なんで担がれてたんだっけ?」
書き溜めはこれでおしまいです。
新キャラ登場、原作キャラだと思った?残念、またオリキャラでした。
10話時点で原作2人とは…