「ねぇ白銀、なんで私担がれてたんだろう?」
また封印を強めたためか、10cm程伸びた青緑色のポニーテールを揺らす。特に意味は無い。
話しかけているのは、先程創造した妖狐、白銀(しろがね)。白髪に青い瞳。
「前方に妖怪がいるぞ。かなりの量だ。」
能力で探知してみると、確かに妖怪がいた。かなり遠くに。
白銀、かなり目が良いようだ。
「どうする?行ってみる?」
「…待っていても何も得られないぞ。」
白銀が歩き出す。
ちなみに私は今、白銀に肩車してもらっている。視点がいつもより高い。時々、白銀の尻尾が首元に触れる。
しばらく歩いていると、獣道を抜けて開けた土地に出た。
大勢の妖怪たちが集まっている。
西を見ると、人間たちの街が見えた。
殆どの妖怪がこの広間に集まっているようで、周りの森には妖怪の気配がしなかった。
妖怪達の上を白銀と飛んでいると、見知らぬ妖怪が近づいてきた。
「おう、お前さんも参加するのか?ずいぶん遅かったじゃねえか、あと四半刻(現在では30分)しかないぞ」
「あと四半刻でなにするの?」
「知らなかったのか?あと四半刻で人間達が月に行くというから、儂等妖怪が奇襲を仕掛けるのさ。」
全く知らなかった。この広場に集まっている妖怪の量…数十万、いや、百万はいた。
人間たちも妖怪に対する対策はそれなりにあるようだが、数に押し負けるだろう。
恐らく人間たちはこの奇襲のことを察知できていない。
だとしたら、襲われたときに人間たちが取る行動…軍人たちがロケットを護り、その間に住民が逃げる。
これしか考えられない。
「白銀、付いてきて」
「分かった」
~~~~~~
私と白銀は今、人間の街の真上にいる。
本当は白銀をあの場所に残して行っても良かった。
しかし、白銀を連れてきた理由。
「人間に完璧に偽装する術、出来る?」
「ああ。すぐできるぞ。」
それは、私が出来ない程高度な術を発動してもらうため。
当然だが、妖精より妖狐の方が術に長けている。
私も人間に化けることはできるが、完璧ではない。少なくとも今の人間たちには見つかってしまうだろう。
「できたぞ。どうだ?」
私の姿は人間に化けたときと変わらないようだ。
白銀の姿は、茶が混じった黒髪で、瞳は茶色だった。
「流石。完璧だね。じゃぁ、人間の街にテレポートするよ」
私と白銀は、人間の街にワープする。
少し前に出会った人間の元へ。
偽装が完璧だったからか、無事ワープできたようだ。
少し先にロケットが見える。
ロケットの傍で、見覚えのある銀髪の女性が佇んでいる。
子供を連れているようだ。黒髪のロングヘアー。
「おーい、久しぶり~」
ロケットの傍に行って話しかける。
女性はこちらを見るなり
「誰…?久しぶり…?見覚えないわね。」
「森で2回あったでしょ?」
女性は少し考えた後、驚きの表情を浮かべた。
「その顔、あの時の妖精…!?」
「正解~。」
「ねぇえーりん、この人だれ?」
子供が口をはさむ。えーりん、というのはこの女性の名前だろうか。
「今度は負けられないわよ!姫様だけは守って見せる!」
「ちょっと、何?私は戦いに来たわけじゃないよ。ただ、伝えに来ただけ」
「妖怪の言うことは信用できない。けれど、貴女の話なら聞いてあげても良いわ。この前の戦いだって、元々は私が悪かったもの。」
なぜ上から目線なのか。
そんなことはどうでもいいが、話を聞いてくれるだけ信用されているのだろう。
そこだけは嬉しいところだ。また戦う前提で話されたけど。
「まぁ、伝えることは1つだけ。あと四半刻もしない内に、妖怪の大群が攻めてくる。それも、ざっと百万匹はいるよ。」
「なっ…この街の全戦力でも防げないじゃない!そんなことがあるはず無いわ。」
「え~り~ん、ようかいってなぁに?」
「まぁ、私が言いに来たのはそれだけ。じゃぁね。」
空気を読んで少し遠くにいた白銀を呼び、街の上空へと飛んで行く。
妖怪たちが集まっている広場が見える高さに陣取り、変化を解く。
「主、人間を救うつもりか?」
「ごく一部だけね。こんなに発達した科学は、滅んでしまう方が良い。人間のためにも、妖怪のためにも。」
歴史の大きな分岐点まで、あと15分。
人妖大戦での被害…またオリキャラが増える予感!