東方生司妖   作:茸型衛星

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8.妖精神と生存競争

この時代の人間の住処は、とても安全で頑丈だった。

街には結界が貼ってあって、並みの妖怪では入れない。

一度こじ開けてみたら、すぐに発見されたので逃げた。

 

街の周りを飛んでいると、この前助けた人間が、数名の人を引き連れてやってきた。

私は木の陰に隠れ、聴力を強化して会話を盗み聞く。

 

「…奴は探知レーダーに映らないわ…」

「…ではどうすれば…」

「…双眼鏡で探さないといけないわね…」

「…しかし、見つけても倒せるとは限らない…」

 

誰かを探しているようだ。

暇だから手伝ってあげよう。

 

「何してるの?」

「あ!奴がいたわよ!」

「皆!奴だ!殺せ!」

 

こちらを見るなり光線銃を撃ってきた。

反応が遅かったせいか、光線が左腕に掠る。

掠っただけのはずが、左腕は無くなっていた。

 

「これ、普通の妖怪じゃ死んじゃうよ?」

「なっ…痛みを感じていない!?」

「諦めないで撃ち続けて!弱点はあるはずよ!」

 

この前会った銀髪の女が、仲間らしき人間に命令する。

私は右手で手刀を作り、妖力で強化してから、亜光速で人間たちの銃を破壊する。

封印を強めているので今はこれが最高速だ。

 

「銃が!もう武器が無いぞ!」

「なぜ銃しか持ってこなかった!」

「まだよ、私の弓があるわ!これで仕留められなかったら終わりよ!」

 

銀髪の女は、こちらに向かって矢を放つ。弓とは思えない速度で迫ってくる。

しかし、光線銃に比べれば圧倒的に遅く、移動しなくても平気で掴める。

 

「…あなたの勝ちよ。好きにして、覚悟はできているわ。」

「じゃぁ…人間の街に入らせて。無理矢理入ったら追い返されたからね」

「それは、街の皆も襲うってこと?それは月夜見様が許さないわよ」

 

物凄い勘違いをされている気がする。

私が人を襲うような妖怪に見えるのか。

 

「違う違う、人間と暮らしたいんだよ。」

「それはできないわね。妖怪が人間の街に住むなんて、嘘に決まってるわ。」

 

私が反撃してこないのを良いことに、人間たちは街へ帰っていった。

 

「妖怪だからって、街に入るくらいいいじゃない…」

 

少し離れたところにある湖の畔で、文字通り羽を休める。

 

なぜあの人達は私を襲ってきたのだろうか。

人を探しているように見えたのも、私を見つけて殺すためだったのだろう。

封印を緩めないと、あの光線で殺される恐れはある。

しかし封印を緩めれば、人間どころか妖怪にも敵視される。

幸い人間たちは亜光速についていけないようだから、油断しない限り殺されはしないだろう。

 

ザッ、ザッ、ザッ。

 

何かがこちらに近づいてくるようだ。

今度は攻撃されないよう、人間に擬態する。

 

藪の中から何かが現れる。

 

「おお、人間か?俺の縄張りで寝ころぶたぁ、いい度胸じゃねえか!」

 

藪から現れたのは、額に1本の角を生やした大男。道着のようなものを着ているが、上半身は裸。

能力で調べると、種族は鬼だった。

 

「おい人間、聞いてるのか?まぁいい、逃げ出す前に食っちまうぞ」

 

鬼はそう言い、飛び蹴りで攻撃してきた。人間なら即死するような威力だが、私は右手で跳び蹴りを止める。

 

「なんだてめぇ、人間のくせに強いじゃねえか」

「勝手に人間って決めつけないでよ」

 

私はいつもの妖精の姿に戻り、妖力を丸めた球で鬼を撃つ。反応が遅れた鬼の腹に、妖力弾が直撃する。

 

「妖精!?いや、妖精がこんな力を持っているはずは…」

「油断してるとやられるよ」

 

鬼の腹を、妖力を纏った手で思いっきり殴る。

鬼は遠くへ吹っ飛んで行き、やがて見えなくなった。

 

「…あ、やっちゃった。大丈夫かな、あの鬼」

 

少し疲れた体を休めるため、何事も無かったかのように寝ころぶ。

―左腕に違和感を感じた。

 

「あ、左腕負傷してたんだった」

 

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