やまうちのなく頃に   作:おやまうちさま

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山内ハルキの憂鬱 エンドレステスト(完?)

 松雄、帰ってきてくれぇえええ。

 

 という、俺の願いは虚しく。今回は普通にDクラスに綾小路が居た。

 くっそー、あとちょっとだったのに。

 

 落ち込んでても進まないんだよなぁ、気持ちを切り替えるか。

 

 とりあえず、英語の参考書と銀英伝の外伝だけを購入した。

 前回超惜しかったじゃん。その中で何個か気づいたというか、学んだことがあるんだよね。

 

1、数学の参考書は必要ない。

 結局、ほとんど使わずに済んだんだよなぁ。中学レベルは中学レベルだから、ある程度身についたらそこまで戻る必要はなかった。これは油断とかじゃないぜ。それでしっかり突破できてたし。

 

2、社会の復習も必要。

 暗記系って忘れるんだな。40点取ってるから油断してたわけじゃないけど、もうちょっとしっかりやっとくべきだったと反省。

 

3、堀北は参考書を持ち込まない。

 これは1と絡む話なんだけどさ、俺ですら何周かしたら中学レベルの参考書とかいらなくなったんだぜ。俺より賢いはずの堀北がわざわざ中学レベルの参考書を持ち込むと思うか?

 

 つーことでさ、今更ながらようやく気付くことが出来たんだ。

 

 今まで参考書をくれない堀北を外れ堀北で、参考書をくれた堀北を当たり堀北って思ってたけど、実は逆だったんじゃね?

 あの参考書をくれた堀北がさ、中学時代の勉強を怠って復習が必要になってしまった外れ堀北だったんじゃねって。

 どうよ? 俺の名推理。だから堀北には最初から声をかけるのをやめた。外れ堀北だったら参考書貰えてラッキーだけど、クラスの勉強が不安になるじゃん。

 大人しく最初から自分で買うようになったってわけ。

 

 俺も成長したもんだぜ。

 今回は松雄がいないのが寂しいけど、絶対に突破してやる。

 

 

   ◇◇◇

 

 

 5月になった。

 

 今回は、クラスポイントが少ないのが寂しい。

 はい、暴君平田も松雄もいないってことで、Dクラスの底辺化を止められない。

 5月頭の時点で89ポイントしか残せなかったぜ。

 くっそー、前回中間テストを突破出来たら数百ポイント違ったのになぁ。

 毎月3万お小遣いが違ったら、生活がぜんぜん変わって来るのに。

 

 これを予知して、銀英伝の本伝10冊は後回しにしたからいいけどさ。

 最悪、本伝は図書館で読めるから、本当は手元に持っておきたいけどしゃーない。

 

 あとはどっちの勉強会に参加するかを決める時期だ。

 俺も成長してきたし、平田の奴でいいんじゃねっていう気持ちもある。

 

 ほら、しっかり復習しとけば、社会の失敗みたいなのは起きねえし。

 今の俺ならそれでもいいかなって。

 

 ただ健や寛治となんだかんだ一括りにされて勉強するのも楽しいんだよなぁ。

 前は横並びに近かったから、張り合うだけだったけど、俺の方が上の立場になったっていうか。

 

 別に馬鹿にする気はねえけど、健や寛治が躓いてる中で俺だけ順調に進んでたら、ちょっとかっこいいじゃん。櫛田ちゃんからの評価も上がるってやつ?

 

 

 つーわけで、綾小路からのお誘いはパスして、櫛田ちゃんからのお誘いに同意。

 無事に、堀北、櫛田ちゃん、俺、健、寛治の勉強会となった。……綾小路もおまけでいた。

 

 あ、健が簡単な二次関数で止まってる。

 よーし、成長した俺が教えてやるか。こんなの楽勝だぜ。

 

「ぷ、そこはそうじゃなくて」

「山内くん、あなたはあなたの勉強をしなさい」

「お、おっす」

 

 松雄から教えてもらってマシになったけど、英語がまだ弱いし、英語を中心に勉強しよう。

 ついでに、健や寛治に勝ち誇ってやるぜ。

 

 

   ◇◇◇

 

 

 結果発表ーーーー。

 

 英語46 国語48 数学57 社会51 化学45

 

 赤点が0。

 また失敗すると思っただろ。今回は突破したんだぜぇえええええ。

 いやっほーーーーーーい。

 

 引っ張りまくったけど、こうやっていざ結果を出しちまうと意外とあっさりしたもんだ。

 いやー、自信があったけど、長かったなぁ。

 これで俺も一皮むけたっていうかさ。

 

 なんつうの、中間テストを突破したことよりも、普通に授業についていけそうな感じなのがデカい。

 ずっとテストの度に、直前の勉強会を必死にやって誤魔化して突破してきたけどさ、これからのテストは授業も活かしつつ余裕をもって挑めそうな感じじゃん。

 

 あ、健はやっぱり英語が赤点になってた。

 でも、謎の力で救済されてた。

 

 あれ本当に何なんだろうな。健だけ弱みでも握ってんのかな。

 

 なんにしても、これでエンドレステストは卒業だぜ。

 やったぜ。

 

 

   ◇◇◇

 

 

 あっという間に夏休み。

 無人島に上陸する日がやってきた。

 

 いやーー、勉強の成果ってすんごいんだな。

 期末テストがいつもより余裕で突破することが出来た。赤点から全教科5点以上余裕があったぜ。

 あれだけひーひー言いながら頭に詰め込んでたの何だったんだろうなぁ。

 

 俺は山内春樹、勉強のできる男って名乗りたいくらいだ。

 

 それはそうとして、健の暴力事件。

 中間テストの突破で浮かれてたからさ、佐倉のスマホを救うのを忘れちまった。

 

 最初で躓いたらダメだな。

 ほら、家電量販店のおっさんって殺人鬼じゃん?

 せっかく中間テストを無事に突破できたのに、変なところで躓きたくねえし。

 スマホが壊れちまった以上は、近づかない方がいいよなって思って佐倉は放置したんだけど、まあ、どうにかなったっぽい。

 

 なんか今回は当たり佐倉だったみたいで、健の暴力事件もしっかりやってくれたみたいだから、クラスポイントを残したまま無人島に辿り着くことができた。

 

 なんだよ、当たり佐倉だって知ってたらスマホも助けてやったのに。

 早く言ってくれよなぁ。

 

 スタートから残せた分と、中間テストで増えた分の165ポイント。

 それが今のDクラスのクラスポイントだ。

 Cクラスが492ポイントだから、まだまだ差がついてるけど、無人島と優待者試験と特別試験が続くから、一気に逆転もできるはず。

 

 バスの中に戻されるようになってからCクラス入りできたのって、暴君平田がクラスを支配した時だけだし、どうにか自力でCクラスに行きたいもんだぜ。

 

 そのために、無人島をどうするか。

 

 女子トイレとシャワーの設置って必ず起きてるし、この2点は防ぎようがないっぽい。

 防げるとしたら水と食料の出費を減らすことしかなさそうなんだよなぁ。

 

 伊吹ちゃんの合流も防げないし、下着泥も防ぐのが難しいみたいだし、どうすりゃいいんだって問題点は山済み。防げないものは仕方ないから、できることをやっていくしかねえか。

 

 よーし、水と食料をしっかり確保する。

 その方針で頑張ろう。

 

 

   ◇◇◇

 

 

 上陸して6日目。

 

 うん、いつになく順調に来てる。マジで来てる。

 こんなに上手くいってるの初回以来じゃね?

 

 健はリタイアしてねえし、下着泥になりかけた寛治もなんだかんだ切り抜けたし。

 

 下着泥を防がなかったのかって?

 止めようと思ったんだけど寝ちまってた。

 しっかり昼間に食料とか集めてたからさ、疲れてたんだって。

 

 で、朝に女子テントが騒がしくなったから、伊吹が動いたと思って慌てて寛治から距離を取ったって寸法よ。

 おかげで巻き込まれずに済んだ。

 なんか平田がどうにかしたっぽい。軽井沢は平田の彼女だし、今更軽井沢の下着の1枚や2枚で動じたりしないんだろうか。

 

 で、6日目まで来たってわけよ。

 

「……俺が何もしない方が上手くいってね?」

 

 気のせい、気のせいだよな。

 ほら、今回は食料がいつもより多めなのは俺のおかげだし、そんなことないって。

 うん、やっぱ俺が状況を動かすことで好転するんだよなぁ。

 

 クラスポイントがいきなり0だったのが、残せるようになったのは俺のおかげだし。

 

 よーし、今後も頑張って動いていかないと。

 

「山内、ちょっと食料探しに行かないか」

 

 はい出た、綾小路のイベント。

 どうせいつものメンバーで出かけて、堀北を泥だらけにするんだろ。

 もうその罠には乗らないぜ。俺だって成長したんだからさ。

 

「櫛田ちゃんが一緒ならいいぜ」

 

 ま、食料探しには付き合うけど、櫛田ちゃんとおしゃべりしたいし。

 

 

 しばらく楽しい時間を過ごした。

 あ、いつものメンバーって言ったのは訂正する。

 佐倉のスマホを解決した時に、やっぱり綾小路と仲良くなったらしく佐倉もついてきていた。どうせ綾小路目当てだから、俺からしたら微差みたいなもんだけど。

 

「山内、相談がある」

 

 楽しい時間を終わらせる綾小路(悪魔)のささやきだ。

 

「嫌だよ」

「聞け、損はしないはずだ」

 

 絶対損するやつだからそれ。

 それにしてもなんで綾小路は堀北を泥だらけにしたがるんだろう。

 そんなに堀北のことが嫌いなのかな。

 それとも綾小路って泥マニア? うーん、マニアックすぎるだろそれ。

 

「実は、テレビ電話を櫛田にかけてしまって」

 

 はいはい、どうせ風呂上りか、うなじだろ。

 

「それで風呂──」

 

 風呂上がりパターンかよ。そっちは魅力的だけど、命には代えられねえんだよなぁ。

 

「──に入っている櫛田が出て」

「ちょっと待て」

「どうした」

「にゅにゅにゅ、入浴中だと!?」

「そうなるな」

 

 風呂上がりじゃなくて、風呂に入ってる!?

 え? どんな奇蹟的なラッキースケベなんだよ。

 なんで綾小路がそんな当たりイベントこなしてるんだ。

 

「どうしたの、山内くん。大きい声出して」

 

 あああ、思わずデカい声を出しちまって女性陣に気付かれた。

 誤魔化さないと台無しだ。

 入浴、入浴、何かねえかな、考えろ俺。ニュー山内は賢いんだろうが。

 

「いや、急にクイズ番組ごっこがしたくなってさ、ニューヨークにいきたいかぁああああ」

 

 俺が勢いよく叫びながら右手を突き上げた。

 

「おー……」

 

 佐倉が小声ながら小さく右手を上げてくれた。

 さ、佐倉、そこに反応してくれるのかよ、キュンとしちゃうじゃんか。

 

「あはは、なにそれ……ニューヨーク?」

「む、昔、そんな番組があってさ。綾小路と盛り上がってたんだ」

「そっか、仲良しだね」

 

 どうにか櫛田ちゃんを誤魔化すことが出来たらしい。

 よーし、これで櫛田ちゃんのニューヨークならぬ入浴シーンをゲットだ。

 

 綾小路の肩に腕を回して仲良しアピールしつつ、小声で同意する。

 

「綾小路、やる」

「そうかやってくれるか山内」

「当然だ。ちょっと待ってろ」

 

 ターゲットに突貫する前に、深呼吸を1つ。

 慌てるな、慌てるとまた堀北の犠牲者になってしまう。

 

 まずは、川の確認が先だ。

 よーし、見える範囲に岩は無し。水中に隠れてたらこええけど、水がクッションになってくれるから大丈夫だろ。

 

 しゃがんでぬかるんだ地面から泥をかき集め、こっそりと堀北に近づく。

 抜き足、差し足、忍び足。

 

「くらいやがれ、堀北ぁあああ、参考書の分じゃぁああああああ」

 

 俺は、参考書をくれなくなった恨みも込めて、堀北の頭を泥だらけに塗りたくった。

 そして、腕を掴まれて宙を舞う。

 

「うわぁあああああああ」

 

 一瞬、これまでの出来事が脳裏をよぎった。

 勉強を頑張ったこと。

 健の暴力事件をスルーしたこと。

 佐倉のスマホをスルーしたこと。

 寛治の下着泥の濡れ衣をスルーしたこと。

 

 あれ? 俺スルーばっかしてね?

 やっぱり俺が動かねえほうが、よかったんじゃ──

 

 

 

 

「死なねえけどな!!!」

 

 どうにか水面で受け身を取ることを成功し、生還。

 これで櫛田ちゃんの入浴シーンをゲットだぜ。

 ニュー山内は一味違うのよ、一味。




 アニメが終わるまでに完結させる予定でしたが明日のアニメ最終回までに終わりませんでした。
 今後はペースがかなり落ちて週1程度の不定期更新になります。

 ほぼ連日の投稿にお付き合いいただきありがとうございました。
 あとどの程度になるのか作者にも読めませんが、お付き合いいただければと思います。
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