やまうちのなく頃に 作:おやまうちさま
うう、失敗したぁ。
なあ知ってたか? 盗撮がバレたら退学するんだぜ。
なんて厳しい学校だよ。
最初の時は、盗撮が失敗したんだよなぁ。失敗して良かったと思う時が来るとかさ、想像もつかねえじゃんか。
もう二度としねえよ。
だから、盗撮動画だけ見せて欲しかった。
それだけがマジで心残りだ。ううう……櫛田ちゃんのおっぱいが見たかった。
ってダメじゃん。性欲に流されたせいで、ひどい目にあったぜ。
あーあ、俺なんてバカなことしちまったんだろう。
けどよ、性欲って誰もが持ってた当たり前じゃん。抗えって方が無理じゃね?
「……運動でもしてみっか?」
とりあえず、勉強は頑張って成績を上げることに成功した。
これは超プラスじゃん、誇っていいはず。
勉強が上手くいったら次は運動とか、安直っちゃー安直だけどさ。
性欲で失敗した今なら、運動も頑張れる気がするんだよなぁ。
体育祭で健に褒められっかな?
いっつも怒られてたし、健を見返してやるか。
よーし、やる気出てきた。
さあ、今回も頑張るぞっと。
◇◇◇
どうせ、中間テストで失敗すると思っただろ?
俺だって馬鹿じゃないんだからさ、それなりに勉強は続けてるし、何より授業についていけてるからさ。前みたいな失敗はしない。
「でもよ……どうしてこうなっちまったんだ」
前みたいな失敗はしなかった。
けど、新しい失敗っつーか、成功し過ぎたっつーか。なんでこうなったのか分からない出来事が起きてしまった。
「せっかく運動頑張りだしたのに、健が退学かよ」
いきなりの展開でビビるぜ。
とりあえず。俺の把握してる範囲で説明するけどさ。
俺の勉強は、順調だったのよ。そりゃ、自力で中間テストを突破できる学力を身につけてるんだからさ、今更中間テストで苦戦したりはしない。
あ、今回の目標だった運動の方もやってるぜ。
ケヤキモールにジムがあったから会員になった。まだ成果は感じねえけど、最近飯が上手く感じるのは運動の成果かもな。
話を戻すけど、俺の勉強は順調だった。
で、健とかの邪魔をしたりとかもしていない。
勉強会は、今回は平田の方に参加したから健たちがどうだったのか、分からないくらいだ。
で、迎えた本番。
正直言えばさ、別に過去問とかに頼らなくても突破できる自信はあった。
けどよ、一回高得点ってのを取ってみてえじゃん?
だからさ、櫛田ちゃんの過去問で中間テストの対策もばっちりやったんだぜ。
その結果がこれよ。
英語98 国語88 数学85 社会90 化学83
圧倒的じゃないか、我が軍は。
特に英語。
単語の綴りとかある程度頭に入ってたからさ、暗記のしやすさがダンチよダンチ。
途中から楽しくなってきて頑張ってたらまさかの最高得点。1問だけケアレスミスしちまったけど、解き終わった後は満点を確信したくらいだぜ。
当然オールオッケーで赤点回避したんだけどさ。
健のヤツが英語で引っかかっちまった。
まあ、ここまではいつも通りなんだけどさ。
こっからはいつもと違ったんだ。
健は赤点を取ってもなぜか救済される。
そのルールがあるから余裕ぶっこいてたのに、今回は救済が発動せずに、そのまま退学になっちまったってわけ。
なんでだよ。
経験則が崩れたらどうしようもないじゃん。
うーん、実は今までと何か違ったとか?
「なんかあったっけなぁ……俺が高得点を取ったくらいじゃん」
松雄不在のいつものDクラスだから、あとは大体一致しているはず。
せいぜい、英語の赤点ラインがいつもの40点じゃなくて41点だったくらいで。
「健があと2点取れてたら違ったんだよなぁ」
健は39点で2点足りなかった。
ん? 2点?
そういえば、いつもは1点じゃなかったっけ?
「……違いってそれか!?」
1点ってかなり惜しいじゃん。1点までなら学校側がオマケしてくれるのかも。
あれ? でも、松雄の時に俺が社会が引っかかった時は、1点足りずだったじゃん。
わっかんねー。
あってるかしんねーけど、俺が点数稼ぎまくるのもよくねえのかもな。
次があるかしんねーけど、一応覚えとくか。
あーあ、俺がジムに通い出して体育祭で結果を出そうとしたらこれかよ。
俺が健の代わりに活躍しまくるしかないか。
◇◇◇
「平和じゃん……」
健が退学するとこんなに何も起きないんだな。
どんだけ問題児だったんだよ、健。
流石、1人でクラスポイント150減らしたヤツ。
健の暴力事件は当然、起きない。
だから佐倉のデジカメもどっちでもいいし、俺はジムに足しげく通う日々だ。
おかげで力がついてきたし、もうちょっとポイントに余裕が出来たら食事とかにも気を遣いたくなってきてる。でも、健の退学でクラスポイントが吹っ飛んで0になっちまった。
栄養とかタンパク質とか食事のタイミングとかはさ、やっぱり持つべきものが無いと中々実現しにくいんだよなぁ。
せいぜい、納豆とバナナと牛乳を毎日食べるようになったくらい?
期末テストも余裕の突破で、夏休みに入り無人島生活が始まった。
◇◇◇
「山内くん、すごーい」
「へー、意外と力持ちなんだ」
「へへ……ジム通ってるからさ、任せてよ」
配布されたテントとかの持ち運び。筋トレする前は、楽な道具を運ぶことだけに全神経を集中してたけど、今回の俺は一味違うぜ。
なんつーの? せっかく鍛えた筋肉があるじゃん、使わなきゃ損っつーか、使いたくなったっていうか。
一番重いテントを率先して運んで、ちょっとワーキャー言われるっていうオマケつき。
こういう力仕事って健が率先してやってたけど、健の場合は普段が普段だからあんまり評価されないんだよなぁ、ちょっと可哀そう。
寛治が見つけてきたいつものスポットまで運んで、ついでにテントのセッティング。
おお、杭打ちがかなり楽チンじゃん。筋トレパワーすげぇええええ。
「女子テントはここでいいんだっけ?」
「うん、ありがとうね、山内くん」
「こういうのは男の仕事だし、行くぞ平田」
「うん、頑張ろう」
なんだかんだテントの設営もすっかり慣れっこになっちまったなぁ。
1回目はああじゃないこうじゃないって組み立ててたのが懐かしいぜ。
寛治とかがそうじゃない、とか指導してたっけ。
「あ、そこは斜めにしないと抜けるぞ」
「よく知ってるな」
「こんなのは基本っしょ、基本」
他の男子の協力もあって、あっという間に男女それぞれで2つずつの4つのテントが完成した。
なんだ、健が居なくても順調じゃん。
つーか、健が居ない方がいいくらいじゃね? いきなりウ〇コするし、余計なもん食ってリタイアするし、寝る時はテントが狭くなるし、寝言はうるせえし、寝ぼけて首絞めてくるし。
「……あいつ本当に足引っ張ってばっかだよなぁ」
坂柳ちゃんの入れ知恵で余計な事しなけりゃ、俺じゃなくて健が退学になってたんじゃねえの。
……因縁のクラス内投票。
まだ俺が退学になったっきり経験出来てねえんだよなぁ。
今回は、どうにか辿り着きたいもんだぜ。
◇◇◇
無人島が終わった。
あれ? 綾小路、堀北泥だらけにしなかったけどいいのか?
検証する気満々だったのに、綾小路が何も言ってこないからそのまま終わってしまった。
ただ、堀北はやる気のない外れ堀北だったらしく無人島で稼げたポイントは、93ポイント。
うーん、プロテイン生活はお預けかぁ。
やっぱ堀北を泥だらけにすることが、堀北のやる気スイッチなのか。
つっても、頼まれてしぶしぶやるならいいけど、自分から進んでやるとか死んでもごめんだけどな、死にかねないし。
それよりも今は優待者試験だ。
優待者に選ばれるのかどうかで全部が決まるし、今回こそは優待者に選ばれたいもんだぜ。
4回目の正直、神様どうか俺に優待者を持ってきてくれーーー。
「選ばれないんかいっ!!!」
こうして俺の夏休み特別試験は終わった。
怪しいやつがいないんだよなぁ、やっぱ俺が優待者になって勝ち逃げするしかない試験だよなぁ、この試験って。
豪華客船のジムがケヤキモールの奴よりも充実してたし、食事も豊富だったから俺の筋肉に磨きがかかったことだけが収穫かぁ。
けどま、体育祭が待ってるし、十分な成果っつーことで。
あ、プールが待ってるけど、盗撮とかしねえからな。
盗撮はもう卒業したんだ。盗撮できるのは、1回退学になるまでな。
せっかく肉体が引き締まってきたし、ブーメランパンツにでも挑戦しよっと。