やまうちのなく頃に   作:おやまうちさま

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まさかのAクラス編その4 ラインハルト改めキルヒアイス山内

 俺の叡智によって龍園を退け、拠点確保がスタート!

 

 で、問題はスポット探しだよなぁ。

 どうすっかなぁ。今ならDクラスが毎回拠点にしている川辺スポットも余裕で抑えられそうなんだよなぁ。水があればだいぶ節約できるし、慣れた場所だし便利っちゃー便利だし。

 けどよ、それやっちまうとDクラスがどうなるんだって心配がある。

 

 分かってる。俺はAクラスの生徒なんだから、Dクラスは敵でしかない。

 つっても、はい敵ですって割り切れるかっていったらさ、ほら、いろいろあるじゃん。

 

 とか悩んでいたら、葛城さんがグイグイ森の中を進んでいく。俺は慌ててその後を追った。

 

「葛城さん、どこに向かっているんすか」

「……しばらくついて来い」

「分かったっす」

 

 葛城さんの動きは、迷いが感じられない。初めての無人島のはずなのに、明らかにどこかの目的地に向かっている。

 

 あれ? 葛城さんも、もしかしてループしてる?

 ま、まさかな。

 そのうち毛がある葛城回とかあったんだろうか。

 いや、ハゲてない葛城さんなんか、葛城さん(ハゲ)じゃないし。

 

 ん? なんか間違った気がする。

 

「おお、すっげーーー、洞窟じゃないっすか」

 

 しばらく歩くと少し開けた場所に出て洞窟が待ち構えていた。

 山の一部にポッコリと穴が開いている。

 

 穴が開いているってちょっとエロいよな。

 いかん煩悩が出てるじゃん。葛城さんの頭を見て落ちつこう。

 ありがたやーーー。

 

「葛城さん、ラッキーじゃないっすか。洞窟っすよ、洞窟」

「春樹、あまり騒ぐな。どこで聞かれているのか分からないんだ」

「すみません」

 

 始まったばっかの時間帯に、ここまでくるような奴はいないって、心配性だなぁ葛城さん。

 

「それにラッキーではない。気になるアナウンスがあったはずだ」

「アナウンスっすか?」

 

 これから上陸するとかは、あった気がするけどなんかあったっけ。

 うーん、もう4,5回くらい聞いてるはずなのに、そんなの知らない。

 

「船が島の外周を一周した。あれは学校側が用意したヒントだ。森を切り開いた道は見えていたから何かあると予想はついた。洞窟とは知らなかったが」

「へー、そうだったんすね。さすが葛城さん」

 

 無人島試験ってそんなヒントが出てたのかよ。

 寛治と適当に探し回って川を見つけたのは、運が良かっただけかぁ。

 知ってたら場所が分からなくなって、健が腹痛でリタイアみたいなこともなかったのに。

 教えてくれよ。

 

「で、どうします?」

「……合流が優先だ。一存で決めるわけにはいかない」

「俺がここを守っとけばいいっすか?」

「そうだな。任せよう」

 

 葛城さんを一人で行動させるのは、ちょっと心配だ。まあ、来た道を戻るだけなら大丈夫か。

 

 よーし、誰が来ても俺が撃退してやるぜ。

 そのためのマッスル山内だからな。

 

 20分後、葛城さんがAクラスの生徒を率いて戻ってきて、無事にAクラスの拠点が決まった。

 

 

   ◇◇◇

 

 

 洞窟スポットをベースキャンプに抑えたAクラスは、そのまま岸を降りた先にあった釣り小屋スポット、山の中にあった湧き水スポットを確保した。

 どちらも見つかりにくい場所にある。

 

 洞窟近くには、他に見晴らしのいい塔のスポットもあったけど、こっちはスルーだ。

 目立つスポットは、どこから見られているのか分からないからダメらしい。

 

 洞窟を抑えた段階で、周囲にスポットがあることにも目星をつけていたとか、葛城さん半端ね―――。これがAクラスのリーダーってやつか。

 

 つーわけで、懸念だった水問題も湧き水で解決したから、後は食料をどうするのかだけだ。

 洞窟のお陰でテントはいらねえし、今のところ150ポイント以上残せそうな感じ。

 坂柳ちゃんがリタイアしてなかったら、200ポイントも狙えたかもしれねえ。

 

「春樹、キャンプは得意なのか?」

「火起こしとかは結構経験してるんで」

 

 葛城さんの質問にも、胸張って言えるぜ。もはや十八番と言っても過言じゃない。

 乾いた枝を集めて、もちろん細い枝もだ。

 ちょちょいのちょいで、あっという間に火起こし完了だ。

 

 洞窟前に設置したシャワーやトイレとは反対側に、焚火を作る。

 湧き水は大丈夫だと思うけど、一応煮沸したほうがいいもんな。クラス中の飲み水を作ろうとしたら結構大変なんだよなぁ、暑いしさ。

 ま、いいか。しばらく作り続けておこう。

 

 汗をかきながらしばらく火と格闘していると、食料班が帰ってきた。

 今日はとりあえず森の食料って感じだ。そのうち魚も釣らねえとだな。

 

「あ、それエゴノキじゃん。食えねえ奴だぞ」

 

 一人が抱えてきたものに、健を苦しめた元凶を見つけて慌てて声をかけた。

 

「そうなのか?」

「食ったらお腹壊すから絶対食っちゃダメだ」

「分かった。捨ててくる。山内って詳しいんだな」

「おうよ、任せとけって」

 

 へへん、どうよ。今までの経験で大体食べられるかどうか分かるんだぜ。

 健の犠牲は、無駄じゃなかった。

 ありがとう健。

 

「どうせならBクラスのキャンプ近くに捨てようぜ」

「……山内ってえぐいんだな」

「おうよ、任せとけって」

 

 どうよこの策略?

 これがラインハルト山内の知性ってやつよ。

 あ、今は葛城さんのナンバー2だから、キルヒアイス山内か。

 

 キルヒアイスはそんなことしない気がすっけど、それはそれ、これはこれだ。

 ほら、Dクラスは攻撃できねえし、戦うならBクラスとかCクラスじゃん?

 

 Aクラスからの食糧おすそ分け大作戦だ。上手くいくといいなぁ。

 

 

   ◇◇◇

 

 

 そんなこんなであっという間に、結果発表の日となった。

 

 俺は、火を起こしたり、食料を集めたり、魚を釣ったり、スポットを回って更新したりと三面六臂の大活躍だったぜ。

 おかげで、使ったキャンプポイントは96ポイントに抑えることが出来た。

 にしても、背中がバキバキする。洞窟に雑魚寝はちょっときつかったなぁ。

 

 キャンプの利用で-96ポイント

 坂柳ちゃんのリタイアで-30ポイント

 坂柳ちゃん派のスポット誤使用(やらかし)で-50ポイント

 スポット確保ボーナスで+59ポイント

 

 で、183ポイントの予定だ。

 

 リーダーあては、葛城さんの方針で、不参加に決まった。

 Dクラスのリーダーは、堀北だって知ってるけどさ。無人島試験中に手に入れた情報なら使うけど、事前に知ってたで元クラスは売りにくいよなぁ。

 葛城さんが慎重派だから、確証がない限り不採用って方針で助かったぜ。おかげでそこまで悩まずに済んだ。

 

 坂柳ちゃん派だけで、80ポイントマイナスとかありえねえよなぁ。

 それが無かったら263ポイントで大勝利予定だったのにさ。

 坂柳ちゃんの足は仕方ないとしても、スポット誤使用ってなんだよ。

 

 うーん、Aクラスだから楽勝じゃんって思ってたけど、外から見てる分と中に参加すると全然違うっつーか、葛城さんと坂柳ちゃん派のギスギスって想定以上でビビる。

 スポット誤使用が不注意ならいいけどさ、わざとだったらクラスにマイナスになっても、葛城さんの足を引っ張りたいってことだろ。

 マジかよ。

 Dクラスも健とか寛治が足を引っ張りまくってたけど、わざとマイナスになるような真似はしたことないのに、Dクラス以下じゃんか。

 

 あ、高円寺がいたっけ。あいつはどうしようもねえヤツだからなぁ。

 

 こんなんでこれから戦っていけんのか?

 

 結果発表前に、他クラスの様子を確認しとくか。

 

 Bクラスは、全員揃ってるっぽい。

 くっそー、エゴノキのおすそ分け大作戦は失敗か。

 2,3人くらいリタイアになって欲しかったのにさ。

 

 Cクラスは、龍園一人だけだった。相変わらずのニヤニヤっぷり。

 葛城さんと組まなかったけど、結局やることは変わらず他はリタイアして豪華客船だ。

 正直、龍園以外はちょっとうらやましいけど、結果が出なかったらダセエよな。

 

 Dクラスには、堀北がいた。

 堀北がいたってことは、本気堀北が登場しなかったってことのはず。

 やっぱ、堀北を泥北にするのは俺にしかできないのかなぁ。

 

 まあ、そんな重要な役を任せられるのは俺だけだもんな。

 俺がいないDクラスは、そんなもんよ。

 

「結果を発表する。最下位は、Cクラスの0ポイント」

 

 やっぱ0ポイントじゃん。自信満々の龍園は、なんだったんだろう。

 龍園の『なんだと!?』って表情がたまんねー。これだけで白飯3杯食えそうだぜ。

 

「3位は、Dクラスの128ポイント」

 

 うん、びっみょーーーー。

 やっぱ俺がいないとダメじゃん、ドンマイ。

 

「2位は、Bクラスの140ポイント」

 

 2位がBクラスってことは、もしかして。

 いや、まて慌てるな。

 こっからAクラスの生徒が集まっているところに隕石が振ってくる可能性も0じゃないし、喜ぶのは結果を聞いてからにしねえと。

 

「1位は、Aクラスの183ポイント。以上だ」

「うぉおおおお、やったぜ!!!」

 

 おっしゃーー、波乱とか特に起きずに予定通りのポイントのまま逃げ切ってるじゃん。

 さっすが、俺と葛城さんが組んだら無敵だぜ。

 

 ただでさえ1位だったのに、さらに突き放しに成功した。

 これでトップ独走態勢に入ったんじゃね?

 

 よーし、この勢いで優待者試験もAクラスで1位を獲ってやる。

 

 そのためには、まず俺が優待者に選ばれないと。

 ふふん、実はもう仕込みは終わってるんだぜ。

 

 試験が終わる前にさ、徹底的にAクラスのベースキャンプ地を綺麗にしたってわけよ。

「来た時よりも美しく」を合言葉にさ、ゴミ拾いとかして徳を積みまくった。

 

 これで俺が優待者間違いなしって寸法よ。どうよ、この完璧な作戦。

 キルヒアイス山内は、クールに行くぜ。

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