超人(ガチ)系Vtuberは世界を救う夢を見るか 作:蓮太郎
『やっす、
『おまけのスーパーヒーロー、ヒロイ・スパナ』
:やっす
:こんばんわー
:オマケじゃないだろ
『主催者はゲットだからオマケみたいなもんだろー』
:常連はオマケじゃないのよ
:コラボといったら大体出てくる奴
:チート野郎じゃん
男二人、生放送している画面に並んで立っていた。
正確にはVtuberなので立っているという表現は可笑しいが、ヒーローと近未来に居そうなメカニックの作業服イケメンが並ぶという若干むさくるしさを感じる絵面であった。
月に数度かコラボ配信をする中ではあるが、普段から視聴者数は事務所勢と比べたら少なめである。
ただし、今日だけは違った。
『えー、本日はいつメンだけでなくゲストを交えてやっていきたいと思います!さあ、自己紹介どうぞ!』
さっさと二人の自己紹介的な前座を済ませて
『ご紹介にあずかりました、ワタクシ武道家兼料理研究家兼ネイリスト「
清廉な声、流れるような自己紹介と共に大和撫子という言葉が似合い、何故かバブリーな衣装を身にまとった立ち絵が2人と反対の位置に堂々と表示された。
『やけに長い肩書だなおい』
『あらまあ自称スーパーヒーロー様にそう言われるのは感激ですわ』
『マジの武道家だから煽りの能力が高い』
『ゲーム内の暴言が楽しみだ』
『おーっほっほっ!このワタクシに負けはありませんことよ。優雅に華麗になぎ倒して差し上げますわ!』
御嬢様言葉で高らかに笑うその姿、まさに令嬢そのものであった。
大和撫子でバブリーでお嬢様という時点で属性過多なのに、この上程で最後まで持つのかと疑問に思うだろう。
事実、お嬢様風味は決して抜けきることは無い。ヒロイも予習はしており、彼女の動画はしっかりと拝見させてもらっている。
だからこそ、この後の展開がまるっと読めてしまう。
:辛辣で草
:言い負かされてやんの
:お嬢様、俺も罵って『¥500』
:くたばれチーター
『スパチャありがとうございまし。あらまあ、豚の相手はしていないのですが?』
『お前、粘着されてる?』
『ちょっと練習中に変なのにぶつかって…………』
:ありがとうございます!ありがとうございます!
:特殊性癖怖い
:これくらい普通だろ
:ありがたや…………
今回配信で行われるゲーム、『ウォーズ・ランウェイ』と呼ばれる作品はチームを組んで戦争の中を駆け回り陣地をとったりキル数を競い合ったりする内容である。
もちろん初見でプレイするのも良かったが、足を引っ張るのはいけないと考えて練習はしてきたのだ。
ただ、キルデス比が余りにも傾き過ぎており、チートを疑う相手もいたのだ。
IDネームから配信場所も当てられ、そこから一時的に悪質な視聴者が粘着しているのだ。
当のヒロイは暇な奴だと思いながら視聴者が増えた事に少し喜びを得ていたりする。
コラボ開始から少々の雑談を済ませた後にチームを組んで3人はゲームマッチに参加できるよう待機する。
そして試合が始まり…………
『んぎいいいいいっ!今どこから撃たれました!?ヘッショはずるですわよ!ぶっ殺してやる!』
『お嬢様、言葉遣いが荒いですわよ』
『リベンジ取っといたからこっち攻めれる!』
:い つ も の
:絶妙に戦い理不尽に死ぬ…………これが春夏秋冬ですか
:今のエイム何?
:お嬢様の喘ぎ助かる
びっくりするくらいボコボコにされていた。
『あいつらこっちを一点狙いしてますわ!』
『俺かなぁ……俺かも……』
『何したんですか!?』
『あー、これ目ぇつけられてるな。どっかのコミュニティが懸賞金賭けてるのかも』
『本当に何しましたの!?』
『そんなまさか、キルデス比が20/3くらいしか』
『チートやってやがります?』
『失礼だな、超人だから出来る事です』
『実際、アーカイブ見てたら頭おかしい速度でエイム動かしてるもんな』
『動体視力が無いのが悪い』
事実、ヒロイ・スパナの画面では高速でマウスカーソルが動いて画面も動き続けている。
『ウォーズ・ランウェイ』に登場する銃器はどれも腰だめ撃ちをするとエイムが非常に悪くなる。そのため弾幕をばら撒く以外では構えて撃つことが正しい使い方なのだが、その速度が尋常ではない速さで動いているのだ。
ヒロイの使う武器はスナイパーライフル、構えると視界が悪くなる代わりに命中精度と威力が格段に上がる定番の代物だ。
無論、ずっと覗き込みっぱなしでは周囲の状況を読み取りづらくなる。
それを回避するためにひたすら周囲を見渡して視界内に敵が映りこんだ瞬間に発砲、それを感度最高にしてちょ王高速で動き回る視界の中からやり遂げているのだ。
:ヒロイの視点どうなってんの
:もうプロやれよ
:天才か?
:チートしかないだろこんなの
『スーパーヒーローだから動体視力はいいんだよ。銃弾程度避けられるし、そもそも避ける必要もないからな。あ、やべ死んだ』
『視界外からの攻撃と地雷に弱いからなこいつ』
『弱点といえませんわよねそれ。かーっ、これだから天才は』
『お嬢様からそんな嫌味聞きとうなかった』
ゲームが始まると口が物凄く悪くなるタイプのお嬢様であった春夏秋冬明乃は今日も清楚とは真逆に品の無さが垣間見える活動を続けるのであった。
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