超人(ガチ)系Vtuberは世界を救う夢を見るか   作:蓮太郎

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超人、防衛について

 

『もしテロリストがビルを占拠したら、どうやって制圧するか?』

 

 ヒロイ・スパナは配信中に投げかけられたコメントを読み上げた。

 

『うーん、まず前提があるよな。ビルの規模もそうだし相手の人数、武装、人質の数も想定しないと』

 

:それはそう

:やっぱ数によるよな

 

『それに、どこまで破壊すればいいのかって話でもある』

 

 画面の前で腕を組み、上半身を軽く逸らすと立ち絵もやや上方向へと向いていく。

 

 それが考えるポーズと見えるのが不思議なところだ。案外、人は考える時に相手を見ないものなのだ。

 

 ヒロイの脳内で地図がどうなるかを想定して描いてみる。

 

『とりあえず5階建てくらいに考えておくか。で、やっぱり一番いい部屋は最上階か?』

 

:多分そう

:メンテとか考えたら上から2番目とか3番目カモ?

:金庫は一階にありそう

 

『となると、メインは人が多そうな一階占領で、次点で最上階の偉い人の部屋ってところか』

 

 妄想とはいえ、武装した相手の事も考える。

 

 わざわざビルを占拠するレベルの武装をしているなら銃器は持ち込んでいるだろう。

 

 バットだけで武装し戦おうとは余程のヴィランでなければ発想はでないだろう。

 

 スーパーヒーローだからって素手で戦おうとするヒロイも大概だが。

 

『だったら、最初は人質救出のために最上階から狙うか』

 

:その心は?

 

『偉い人を人質として守るのは当然として、そこに人数を割くことは殆ど無いと思うからだ。人質として目立たせるなら下に居る一般の方、そっちを先に救出しようとして抵抗されたら、流れ弾が飛んだときどうする?』

 

:大問題

:結構ヤバい

 

『だろ?だからあえて人が少なく、そして一番狙われにくそうな場所に突貫する』

 

:突貫ww

:ツッコむなよ

 

『一応だけど透視能力もあるし?それを考えたら外から不意打ちで一掃は出来る』

 

:一掃w

:力技が過ぎる

 

『それに、テロリストのリーダーが箸にも棒にも引っかからない奴の元に居るわけが無い。自分から人質の中でも偉いやつの前に立って現場を指揮するだろ?それに上の階層って大体人が居ないイメージもあるし、そして何よりも出入り口が少ない。つまり侵入経路が階段と窓くらいしかない』

 

:確かに

:守るのに最適だな

 

『そこを外から壁をぶち破って侵入、偉い人を守るテロリストを排除したら現場は混乱、指揮系統が治りきる前にいきなり登場してぶちのめすのが手っ取り早い』

 

:急に脳筋になるな!

:やはり暴力は全てを解決する…………!

 

『だって考えてみろよ。暴力しか手段がなくなったやつを相手に暴力以外で何が出来るんだよ』

 

 ケラケラ笑いながら、笑い事ではない言葉を吐く。

 

『んで、上からの指令が来なくなった混乱に乗じて即座に駆け降りて人質を救出ってとこか』

 

:人質に流れ弾が来たらダメじゃん

:盾にされたら終わりじゃね?

 

『そこら辺のものを投げつけるだけで昏倒できるからな。俺のコントロールは超弩級野球選手ばりだぜ』

 

:まあ極論、外さなきゃいいか

:殴るより難易度高くない?

 

『そもそも俺が銃撃されても怪我すらしないし、身体に当たった球が跳弾しない方が心配だ』

 

 肉体強度には自信があり、ちょっとした角度で銃弾があらぬ方向へ弾いてしまう方が気になるヒロイ。

 

 自分の事は全く心配していないあたり、頭のネジは外れているのだろう。

 

『そう言った輩は自分が痛い思いをしないと止まらない。止まることもないかもしれないから暴力が必要になるんだ。だからヒーローが居る…………って言いたいんだけど平和過ぎて仕事がなさすぎるんだよね!』

 

:草

:平和が一番ですしおすし

:警察が忙しくしてるのが一番嫌ってそれ一番言われてるから

 

『そゆこと。だからみんなも俺に会いたいからって犯罪はやめようね!』

 

:する訳ないw

:経歴に傷が付いちゃう

:清く正しく真面目に生きまーす

 

 軽いノリだが実際に守らなければならない大事なことだ。

 

『さて、今日も配信は終わり!みんな、明日はインディーゲームでもしようと思うからよろしくな!』

 

:おつかれー

:またねー

 

 配信停止ボタンを押して、ルーチンのように水を飲んでからSNSで配信終了宣言をする。

 

 そしてふと何を思ったか事件のワードを入れてSNSで大きな話題が無いか検索し始めた。

 

「…………まあ、何もないよな」

 

 一体、何を期待していたのかは分からない。ただ、世界は今のところ平和だという事だけはっ分かった。

 

 そもそも、裏でこそこそ何かをしている輩が居たとしても夜間パトロールはしていないし、そんな事をすれば裏の組織ではなく国に目をつけられてしまう。

 

 良い方向で考えるなら国防の要としておかれるかもしれない。だが悪い方向にも考えないといけないのだ。

 

 そう、人体実験やクローンという倫理に反する行動をとる可能性だってある。

 

 超人とは夢の様な存在である。故に倫理を、理性を捨ててまで研究しようとする者もどこかにはいる。

 

「平和が一番…………まあ当然一番…………」

 

 何のために自分が居るのかを考えながらも、何事もない事が一番と自分を納得させるヒロイであった。

 




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