超人(ガチ)系Vtuberは世界を救う夢を見るか   作:蓮太郎

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超人、手加減する

 

『うーし、BANも明けたしやっていくぞ』

 

:懲りないな

:またBANされるって

 

 今日も今日とてヒロイ・スパナは配信をする。

 

 大手の基本無料なFPSゲームのBANが明けて、久しぶりにプレイしようとしているのだ。

 

『そう、いつも通り思うままにやれば同じことの繰り返しだ。そこで!』

 

 いつも通りやればまた同じように、もしかしたら永久追放されてしまうかもしれない。

 

 しかし、いつまで経ってもやられっぱなしのスーパーヒーローではない!

 

『これをこうして…………』

 

 設定メニューを開き、操作に関わる画面にマウスカーソルを合わせる。

 

 そこにあるのは常に最高感度で設定されていたエイムの線を右から左へと動かす。

 

『最低感度に設定して遊んで行こうかと思います』

 

:草

:縛りプレイかよww

 

『だってぇ、俺の動きが早すぎてチートを疑われるなら遅くして疑われない方が良いよな?』

 

:理屈は間違ってない…………のか?

 

 今までは速すぎることと正確過ぎることが問題視されていた。

 

 なら二つの内一つを犠牲にすれば清く正しく遊べるのではないか?

 

 そう考えた結果が最低速度のエイムでバトロワ挑戦である。

 

『いつもなら敵を見つけたら即殺だったからな…………油断は一瞬で死を招くことになるぞ』

 

 当然の事を言っているが、この当然なことすら超人にとって非日常的な話なのだ。

 

 自分の反応速度についていけないのが悪い、そう言いたくとも集団的に偉業が居れば淘汰されると言うもの。

 

 敢えて自分から弱者に合わせるべきだ、というか今までそうしてきた。

 

 ネットという匿名の海だからこそ心を失っていたのかもしれない。

 

 今だけは人の心を取り戻し、人と同じ目線に立たなければならない。

 

『おっっっっっそ!狙えねえよこんなの!こんな速度で戦えるか!』

 

 早速折れそうになっていた。

 

『敵を狙うにしても遅すぎて避けられる…………射線から退くのが早いんだよ』

 

:スナイパーライフルはそんなものでは?

:今までが異常定期

 

『そんなものか…………そうか…………』

 

 自分が常識はずれなのは分かっていても、いざ現実を突きつけられたら意気消沈しそうになる。

 

 それでも諦めることはない。何故なら配信者が簡単に諦めては視聴率が集まらない。

 

『うーん、戦い方を根本的に見直す必要があるな』

 

 全ては模索、解決策を見つけるところから始まる。

 

 精密に狙う間に避けられては撃たれる、今までのプレイスタイルを使えなくなった故に逆転の発想がヒロイの頭に思い浮かぶ。

 

『ならば、避けられない攻撃をする?』

 

:どんな攻撃だよ

 

『あるだろ、銃と言ったらあの方法が』

 

 そう言いながらヒロイは再度バトロワのマッチを開始する。

 

 懲りてない訳ではなく、思いついた秘策を実行しようとしているのだ。

 

『まずはアレがあるか…………よっし、ラッキー!』

 

 どうやら目当ての武器を見つけられたらしく、早速拾い上げていく。

 

 ただし、一つの武器で成り上がれる訳ではないので他のアイテムを拾いにいく。

 

 そんな中で敵に出会うのは必然。

 

『うっし、先制だオラァ!』

 

 ヒロイが考えた手段、それは…………

 

『乱れ撃ちだぁ!』

 

 ただひたすらに弾幕を張り全てを吹き飛ばす作戦である。

 

 確かにエイムが遅ければ狙うものも狙えない。ならば細かく狙うより最初から大雑把に狙えばいい。

 

 一撃必殺度合いはかなり低いが、何発も打ち続けるため相手が逃げようとしてもゆっくり追いかけることで圧をかけることもできる。

 

 大量に弾薬を消費してしまうとは言え、超低感度エイムにとって最善ではないが一番しっくりとくる方法であることを確信したヒロイは続ける。

 

『これなら文句ないだろ!全員ぶっ殺してやる!』

 

:物騒!

:言い方がヴィランなのよ

 

『スナイプ生活が一番なのは違いないけど、マシンガンも悪くない』

 

 何度もBANされてフラストレーションが溜まっていたのか、マシンガンでガンガン暴れまくる。

 

 後でスナイパーで仕留められてしまうが、今後のプレイスタイルに大きく影響する事になる。

 

『弾幕はパワー、確かに名言だな…………』

 

 スーパーヒーローだって変わることがある。良くも悪くも縛りプレイとしてしばらくは超低感度エイムで遊ぶことでBANを避けるのであった。

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