キングカズマinヒロアカ   作:うさぎ

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第5話

 

 

 

 

 そんなこんなで爆豪と一緒にトレーニングをしたり。勉強したり。

 爆豪に教えてもらったりした。いや本当に助かったわまじで。 

 まさか人生で爆豪勝己から数学を教わる日が来るとは思わなかった。

 最初は酷かった。

 

 「なんでこんなのも分かんねぇんだ!!」

 

 とか。

 

 「脳みそ筋肉かテメェ!!」

 

 とか散々言われたよなー

 失礼な話だぜまったく否定できないけど。

 結果的に成績はかなり上がったこれには両親もニッコリ。

 ありがとう爆豪今度何か奢ってやろう。

 たぶん怒るけど。

 いろんなことをやっていたら気がつけばもう雄英高校の試験翌日

 になっていた。両親からは激励の言葉をもらった。

 

 師匠からは「頑張れ」と言われた。

 信じてもらえているのかいないのかどっちだ?

 

 まあ、万助さんのことだ。

 たぶんあれで最大級の激励なんだろう。

 「頑張れ」

 たった三文字。

 だがあの人が言うと妙に重みがある。

 もし落ちたらたぶん、

 「そうか」

 の一言で終わるだろうし。

 つまり落ちるなということだ。

 というか落ちたら俺は殺されるかもしれない。

 

 そして現在。

 俺は雄英高校の試験会場へ向かう電車の中にいた。

 周囲には受験生らしき中学生が大勢いる。

 参考書を読んでいる奴。

 緊張で顔が青い奴。

 既に寝ている大物。色々だ。

 俺は窓の外を眺めながら考える。

 とうとう来た。

 ここまで長かった。

 

 幼稚園、小学校、中学校。

 ずっと鍛えてきた。

 キングカズマの並外れた身体能力。

 万助さんの体術。

 そしてヒーローへの憧れ。

 死ぬ気で上げた偏差値。

 全部をぶつける日だ。

 すると。

 

 「おい」

 

 聞き慣れた声。振り返る。

 爆豪だった。

 なんでいるんだよ。

 いや受験だからいるのは当たり前なんだけど。

 なんか普通に隣に立っている。

 

 「何だ」

 

 「受かれよ」

 

 開口一番それだった。思わず固まる。

 爆豪も少し気まずそうだった。

 たぶん応援したつもりなんだろう。

 ツンデレかな?

 俺は少し笑った。

 

 「お前もな」

 

 爆豪は鼻を鳴らす。

 「当たり前だ」

 そう言って別の車両へ行ってしまった。

 なんだったんだ今のは、まあいいか。

 少なくとも、三年間一緒にいた仲だ。

 あいつなりの激励だったのだろう。

 電車が止まった。

 

 目的地に着いたようだ。

 ホームへ降りる。

 そして。

 見えた。

 雄英高校。

 何度見てもデカい。

 もはや学校というより要塞だ。

 

 校門へ向かう受験生の列に並ぶ。

 その途中にふと前を見る。

 緑色の髪で少し猫背そして緊張した様子。

 緑谷出久だった。 

 原作主人公なので当然いる。

 ちなみにお互い顔見知りではある。

 爆豪絡みで何度か話したこともあるだが友達ではない。

 クラスも違ったし。

 どちらかと言えば、

 "爆豪の知り合い"

 くらいの距離感だ。

 緑谷もこちらに気づいた。

 

 一瞬だけ驚く。

 そして会釈してきた。

 俺も軽く頷く。会話終了。

 うん。俺たちらしい。受かったらどうなるんだろう?

 そんなことを考えていると。

 

 ガッ

 

 突然大きな音がした。

 誰かが転んだらしい。

 前を見ると案の定緑谷が、転びそうになっていた。

 お前本当に主人公か?入試会場で転ぶな。

 しかも盛大に。

 

 周囲の受験生も少し引いている。

 あっ麗日さんが個性使ってたすけている。

 

 本編通りで俺は少しだけ安心した。

 知っている流れがあるというのは案外心強い。

 

 まあ。その知識に頼りすぎるつもりはない。

 俺がいる時点で本編とは少し違う。あと俺18巻くらいしか読んでない。

 何が起こるかわからない。

 

 だからこそ油断はしない。

 そして試験会場へ入る。

 大勢の受験生がいる張り詰めた空気そして緊張感。

 ここから先は実力勝負だ。

 

 席へ座ると周囲を見渡す。

 未来のヒーローたち。

 未来のライバルたち。

 そして。 

 

 俺自身の未来。全てがここにある。

 俺は静かに目を閉じた思い出すことにした寝てるわけじゃない。

 幼稚園での孤独、小学校での偏見、万助さんとの修行。

 爆豪との競争。爆豪に教えて貰った英語。積み重ねてきた時間全部。

 

 無駄にはしない、そして。

 教壇へ一人の男が現れた。サングラスをつけて派手なジャケット。

 大きな声で虫が嫌いなことが特徴のプレゼント・マイクだ。

 前世では画面越しに見ていた存在が今は目の前にいることに

 

 少しだけ感動した。

 だが感動している暇はない。

 プレゼント・マイクが叫ぶ。

 

 『今日は俺のライブにようこそー!エヴィバディセイヘイ!』

 

 会場が静まる。

 

 『こいつぁシヴィー!!!受験生のリスナー!』

 

 心臓が高鳴る。緊張が止まらない

 

 『俺からは以上だ!!最後にリスナーへ我が校訓をプレゼントしよう』

 

 『かの英雄ナポレオン・ボナパルトは言った!「真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者」と!“Plus Ultra”!それでは皆、良い受難を!』

 

 試験会場で待機していると突然の

 

 『START!!!』

 

 プレゼント・マイクの合図と同時に俺は一気に飛び出した。

 なんかアニメで見たやつだ。

 

 いや実際にアニメだったんだけど今は俺もその中にいる。

 不思議な感覚だ。

 まあ感動している場合じゃない全力で受かりに行きます。

 地面を蹴る。

 

 ドン!!

 

 速い。相変わらず速い。

 前世では50メートル7秒台の俺がが今では、自転車の個性の人を抜いている。

 人生何があるか分からない改めて思った。

 そして最初の角を曲がった瞬間。

 いたヴィランロボ。

 1ポイント。

 ロボットはこちらを認識すると赤い目が光る。

 腕を上げるだが遅い。

 

 びっくりするくらい遅い。

 俺はそのまま懐へ飛び込んだ。

 拳を握る。

 そして。

 

 ドゴォ!!

 

 ロボットの頭が吹き飛んだ。 

 

 撃破できた。

 うん。弱い。

 いや。

 

 普通の中学生なら強いんだろう。

 でも万助さんと比べると弱い。

 比較対象がおかしい?

 それはそう。俺だってそう思う。

 

 だが仕方ない。

 俺の基準は万助さんに上がってしまっている。

 あの人より弱いなら怖くない。

 

 そういうことになっている。

 そして次さらに次また次。

 ロボットを見つけては壊し。

 

 見つけては壊し。

 見つけては壊す。

 

 なんだろう。

 だんだんゲームみたいになってきた。

 昔やった無双ゲームを思い出す。

 あれだ、雑魚敵を倒してポイントを稼ぐやつ。

 唯一の違いはこっちは現実である。

  

 自分でも思うけど雄英怖い。

 受験でロボットを殴らせるな。

 

 そしてしばらくすると。

 建物の屋上へ飛び乗った。周囲を見渡すと受験生たちが戦っている。

 爆発してる奴や空飛んでる奴。

 なんか腕伸びてる奴。

 

 個性社会だなぁと改めてそう思う

 50ポイントくらい稼いだから合格圏内にはいると思っている。

 

 ガシャアアアン!!

 近くのビルからロボットが飛び出してきた。

 3ポイントの大型。

 俺に向かって突進してくる。

 

 危機感?そんなものはない。

 残念ながらないのである。

 俺は屋上から飛び降りた後空中で回転。

 そして蹴り。

 

 ドガァァァァン!!

 

 ロボットの顔面が吹き飛んだ。

 そのまま地面へ墜落。

 撃破完了。

 よし順調順調。かなり順調だ。

 このままいけば合格できるだろう。

 

 たぶんいやしてくれ。頼む。

 俺の人生がかかっている。

 そんなことを考えていると突然。

 

 地面が揺れた。

 ゴゴゴゴゴゴゴ……

 

 ん?なんだ?地震?

 いや違う。

 

 周囲の受験生たちも異変に気付いているようだ。

 そして遠くの建物の向こうから。

 巨大な影が現れた。ビルより高い。

 圧倒的な巨体に受験生たちがざわつく。

 

 俺は知っている知っているぞ。

 前世知識が全力で警報を鳴らしていた。

 

 ついに来た。

 0ポイントヴィラン。原作名物。

 受験生全員のトラウマ製造機。

 

 いやデカくない?

 本編で見た時よりデカくない?気のせい?

 近くで見ると想像以上なんだけど。

 受験生たちが一斉に逃げ始める。

 

 当然だよなポイントにならないし倒しても意味がない。

 危険なだけだ。

 合理的に考えるなら逃げるべきだ。俺もそう思う。

 思うんだけど。

 

 目の前で人が困っていたら?助けを求めていたら?

 ヒーローはどうする?そんなことを考えていると。

 悲鳴が聞こえた。

 

 女性の声。

 俺は反射的に振り向く瓦礫に崩れた建物。

 

 そしてその下敷きになっている受験生。

 足が挟まっているので逃げられない。

 0ポイントヴィランはどんどん近づいてくる。

 周囲の受験生は避難している。

 

 当然だろう自分の身も大事だ。

 責める気はないだけど。

 俺は立ち止まっていた。

 心臓が鳴る。

 ドクンドクンドクン。

 

 正直に言おうめちゃくちゃ怖い。

 あんなのと戦いたくない。

 デカすぎる。パンチしたら絶対に痛い。

 だがそれでも俺は思う。

 ヒーローになりたいんだろ?

 異形型でも人を救えると証明したいんだろ?

 

 だったらここで逃げるのか?

 俺は静かに息を吐いた。

 そして拳を握る。

 

 視線の先には巨大な0ポイントヴィラン。

 ビルを踏み砕きながら近づいてくる怪物。

 

 普通なら逃げる正しい判断だだが。

 俺は、キングカズマに憧れた男だ。

 ならやることは一つしかない。

 

 「……やるか」

 

 そう呟いた瞬間。

 俺は地面を蹴った。

 目の前の受験生を救うために。

 巨大な0ポイントヴィランへ向かって。

 一直線に駆け出した。

 あとこのシーン原作にあった大きいカニを倒すみたいで少し

 興奮している。

 いや。

 少しじゃないなかなり興奮している。

 だって見ろよあれをデカい。

 めちゃくちゃデカい。

 サイズ感が完全にボスキャラだ。

 

 「おお……」

 

 思わず声が漏れた違う。

 怖くてじゃないテンションが上がっている。

 男子は巨大な敵を見るとテンションが上がる生き物なのである。

 仕方ない。

 俺だけじゃない。

 

 絶対そう。

 

 たぶん万助さんも若い頃ならちょっとワクワクするだろう。

 いやあの人なら今でもワクワクするかもしれない。

 怖いな師匠。

 

 そんなことを考えているうちに距離が縮まる。

 0ポイントヴィランだが近くで見るとさらにデカい。

 ビルくらいあるというかビルよりデカい。

 何食ったらこんなサイズになるんだ。

 

 ロボットだけど。

 すると瓦礫の下敷きになっている女子受験生が見えた。

 足を挟まれている。必死に抜こうとしているが動かない。

 顔も青いそりゃそうだ。

 あんなのが迫ってきたら俺だって青くなるだろ

 まあ今の俺たぶん毛で分からないけど。

 俺はさらに加速した。

 

 ドンッ!!

 

 アスファルトが砕け耳元で風が唸る。

 女子受験生がこちらを見るそして目を見開いた。

 たぶん

 「なんで来たの!?」

 と思っている安心しろ。

 俺もそう思ってる。

 だが足は止まらない。

 

 キングカズマが逃げる姿とか見たくないし。

 俺も見たくないだから行く。

 女子受験生の前へ到着してまずは瓦礫を持ち上げる。

 重い思ったより重い。

 

 くっそ重い。

 前言撤回。めちゃくちゃ重い。

 俺は歯を食いしばった。

 

 筋肉総動員。

 

 うおおおおお!!

 

 ガコンッ!!

 瓦礫が浮いたことで女子受験生が驚く。

 「えっ!?」

 「逃げろ」

 俺が言うと彼女は慌てて足を引き抜いた。

 よし第一段階クリア。

 

 しかし。

 

 問題はここからだった。

 

 ゴゴゴゴゴゴゴ……

 

 0ポイントヴィランが迫ってきていた。

 近いな思ったより近い。

 めちゃくちゃ近い。

 そして。

 デカい。やっぱりデカい。

 何回見てもデカい。くどいようだがでかい。

 俺の脳みそが語彙力を失っている。

 だが仕方ないデカいんだから。

 すると巨大な腕が持ち上がった。

 

 影が落ちる周囲が暗くなる。

 やるしかないと思い俺は深く息を吸った

 思い出す万助さんとの修行。

 何度も投げられた日々。

 何度も叩き込まれた体術。

 そしてキングカズマ。

 

 ラブマシーンへ立ち向かったあの姿。

 世界一のアバター。俺が憧れたヒーロー。

 

 ならば!

 ここで止まるわけにはいかない。

 俺は膝を曲げ力を溜める。

 全身の筋肉を連動させる。

 そして跳んだ。

 

 ドォォォン!!!

 

 地面が砕け体が空へ打ち上がる。

 周囲の受験生が驚いている。

 知るか。

 

 俺も今びっくりしてる。

 思ったより跳んだ。

 

 高いめちゃくちゃ高い。

 そして巨大ロボットの顔面が見えた。

 目の前まできた。ここだ。

 俺は拳を握る為に全身の力を込める。

 キングカズマなら絶対にここを殴る。

 だから俺も殴る。

 理屈?

 知らんぞそんなもん。

 気合だそして。

 

 「うおおおおおおおおおお!!」

 

 人生で一番大きな声を出しながら。

 俺は0ポイントヴィランの顔面へ。

 渾身の一撃を叩き込んだ。

 

 凄まじい衝撃そして拳がめり込む。

 いや、めり込んだだけだった。

 

 え?

 

 終わり?

 

 俺の脳内に嫌な予感が走る。

 待て待て待て。

 原作だとこういうのって一発で吹っ飛ぶやつじゃないの?

 主人公補正とかないの?

 

 俺も転生者なんだけど?

 

 すると。

 

 ピキッ

 

 小さな音がした。

 ん?

 

 ピキピキピキピキッ!!

 顔面部分に亀裂が走る。

 

 おっ?

 おお?

 いけるか?

 次の瞬間。

 

 バゴォォォォォン!!

 

 ロボットの頭部が大きくひしゃげた。

 受験生たちから悲鳴とも歓声ともつかない声が上がる。

 だが止まらない。

 ロボットはまだ動いていた。

 

 「うそだろ!?」

 

 思わず声が出た。

 いやだって頭殴ったぞ?

 

 顔面へこんだぞ?

 

 普通終わるだろ!

 ゲームならHPゼロだろ!

 雄英製ロボット頑丈すぎない?

 予算どうなってるんだ?

 そんなことを考えている間にも俺は落下していた。

 まずい。

 普通にまずい。

 

 高すぎる件について。さっきは勢いで飛んだが。

 今冷静になったが地面遠くね?

 

 ドガァァン!!

 

 なんとか着地できた。

 膝に衝撃が走る痛い。

 

 めちゃくちゃ痛いでも折れてはいない。

 流石キングカズマボディ。

 耐久力もおかしい、その時。

 

 ゴゴゴゴゴゴゴ……

 

 ロボットが大きく揺れ始めた。

 受験生たちが立ち止まる。

 試験官たちもモニターを見ている。

 そして。

 ゆっくりとゆっくりと

 巨大な体が傾いた。

 

 「あ」

 

 思わず声が出た倒れる。

 これ倒れる。

 そして。

 倒れる方向を見た。

 女子受験生がまだ近くにいる。

 

 「マズい!!」

 

 俺は反射的に走った。

 考えるより先に体が動く。

 

 「間に合え!」

 

 その思いだけだった。女子受験生の腕を掴むそして全力で跳ぶ。

 

 次の瞬間。

 

 ズドォォォォォォン!!! 

 

 巨大ロボットが地面へ倒れ込んだ。

 地面が揺れ土煙が舞う。

 爆風が吹き荒れる。

 

 俺と女子受験生は地面を転がった。

 

 痛い。

 

 だが生きている。

 女子受験生も無事だ。

 しばらくそのまま空を見上げる。

 そして思う。

 終わった?

 終わったよな?

 俺頑張ったよな?

 すると。

 

 試験終了のサイレンが鳴った。

 その瞬間に全身の力が抜けた。

 

 「あー……」 

 

 疲れた本当に疲れた。

 だが不思議と後悔はなかった。

 ポイントが足りているかは分からない。

 

 合格できるかも分からない。

 だけど。

 もしもう一度同じ場面に戻ったとしても。

 俺はきっと同じことをする。

 キングカズマに憧れたからじゃない。

 ヒーローになりたいからでもない。

 目の前に助けを求めている人がいたからだ。

 それだけだった。

 

 そして遠くのモニター室では。

 ある教師が思わず呟いていた。

 「……やるな」

 その視線の先には。

 土煙まみれになりながら大の字で寝転がる兎山一真の姿が映っていた。

 なお本人は

 「受かったかなぁ……」

 ということしか考えていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

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