キングカズマinヒロアカ   作:うさぎ

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第6話

 

 

 

 

 

 雄英入試から三日たった。

 俺は落ち着かなかった。いや本当に落ち着かない。

 何をしていても、筋トレしていても、勉強していても気になる。

 ご飯を食べていても気になる。自己採点をしている時も。

 寝ようとしても気になる。

 そして現在俺は道場の床に転がっていた。

 

 正確には転がされた。

 万助さんにいつも通りに転がされていた。

 理不尽?

 今さらだというかそんなんは小学生の時に消えた。、

 俺は天井を見ながら呟く。

 

 「受かってますかね」

 

 万助さんは答えない。

 無言が一番怖いって知っていますか?

 数秒後。

 

 「知らん」

 

 それだけだった。

 まあな?となくだけど知ってた。

 こうなると思った。

 

 だが万助さんは少しだけ考えた後に珍しく言葉を続けた。

 

 「お前はやるべきことをやった」

 

 俺は目を瞬いた。珍しいいや、かなり珍しい。

 万助さんが長文を喋った事件である。

 今日は雪が降るかもしれない。

 

 まだ三月だからギリあるか?

 そして。

 

 「結果は後からついてくる」

 

 そう言った。

 たったそれだけだが。

 不思議と少しだけ肩の力が抜けたこれが万助マジック?

 だから俺は立ち上がる。

 

 そして次の瞬間に投げられた。

 

 ドガァン!!

 畳に背中から叩き付けられる。

 めちゃくちゃ痛い。

 感動を返してください。

 俺が抗議しようとしたら万助さんは平然と言った。

 

 「隙だらけだ」

 

 理不尽だが否定できないので悔しい。

 投げようとしたら吹き飛ばされた。

 そんな日々を過ごしながら。

 そしてとうとう

 運命の日がやってきた。

 朝から心臓がうるさい。

 ドクドク鳴っている。

 両親も落ち着かない様子だった。

 母さんなんて朝から五回くらい「大丈夫よ」と言っている。

 いや。

 言ってる本人が一番不安そうなんだけど。

 父さんは新聞を読んでいる。

 読んでいるように見える。

 だが同じページを三十分見ていた。

 完全に上の空である。

 家族全員がソワソワしていたすると。

 

 ピンポーン

 

 インターホンが鳴った。

 家の空気が止まった。

 数秒いや数十秒に感じた。

 そして、母さんが恐る恐るモニターを見る。

 

 「届いたわ……」

 

 雄英高校から。

 封筒ではない。

 金属製の丸いやつだった。

 デカいなんか未来的だ!

 

 学校から送るサイズじゃなくない?

 爆弾でも入ってるのかと思った。

 さすが雄英だ何もかもスケールがおかしい。

 前世の記憶で知っているけど。

 俺はゴクリと唾を飲み込むそしてケースを開いた。

 

 次の瞬間ホログラムが飛び出した。

 『私が投影された!!!』

 

 「うおっ!?」

 

 思わず後ろへ飛ぶ。

 普通にビビった。すると目の前に巨大な映像が映し出された。

 金髪で筋骨隆々そして笑顔。

 平和の象徴のNo.1ヒーロー。

 オールマイトだった。

 

 『兎山少年!』

 

 声がデカい。

 近所から苦情が来そうなレベルでデカい。

 俺も両親も固まっているようだ。

 

 『まずは結果から伝えよう!』

 

 心臓が止まりそうになる。

 

 オールマイトは親指を立てた。

 

 『君は見事――』

 

 長い無駄に長い。

 演出か演出なのか。

 そして。

 

 『合格だ!』

 

 合格?

 合格って言った?

 俺?

 マジで?

 一瞬理解できなかった。

 すると横から母さんの悲鳴が聞こえた。

 

 「受かったぁぁぁぁ!!」

 

 泣いている号泣していた。

 父さんも珍しく笑っている。

 俺は呆然と立ち尽くした。受かったまじで受かった。

 本当に受かった。

 夢じゃない。

 するとオールマイトの映像が続ける。

 『君は敵Pだけでも56Pで合格圏内だ!』

 

 『そして我々にはもう一つのポイント救助Pこっちも50Pで高得点

 で合計106ポイント見事首席合格だ!!』

 

 『来いよ少年。4月から雄英が君のヒーローアカデミアだ!』

 

 『あと君筆記試験は割とギリギリだから勉強頑張って!』

 

 最後に変なことが聞こえたが気のせいである。

 

 オールマイトが力強くそういってホログラムは閉じた。

 びっくりした。

 

 家の中が妙に静かだった。

 いや正確には俺の頭が追いついていなかった。

 受かったそれは分かる。

 雄英ヒーロー科を合格。  

 

 だが。

 首席?首席って言った?

 俺が?

 待ってくれ俺はその場で思考を整理する。

 うん

 結構頑張った。

 あの0ポイントヴィラン殴ったし。

 でも首席?

 おかしくない?

 爆豪君はどうしたん?

 すると母さんが泣きながら抱きついてきた。

 

 「よかったぁぁぁ!!」

 

 苦しいめちゃくちゃ苦しい。

 だが振り払えないなー。

 嬉しそうに父さんも肩を叩いてくる。

 

 いつも落ち着いている人なのに。

 今日は少しだけ目が赤かった。

 俺はそれを見て力が抜けた。

 床へ座り込むと母さんが慌てる。

 

 「大丈夫!?」

 

 「たぶん」

 「絶対大丈夫じゃないわよ!」

 

 

 その日の夕方。

 俺はある場所へ向かっていた。

 道場だ報告しなければならない人がいる。

 師匠の万助さんへこれで投げられなくなった!!

 

 道場の扉を開く。

 する

 まるで俺が来ることを知っていたみたいに座っていた。

 たぶん知ってたな来ることなんとなくだかそんな気がした。

 俺は万助さんの前まで歩くそして、頭を下げた。

 

 「受かりました」

 

 短く言う。

 万助さんは黙っていた。

 なぜ黙る。沈黙が一番怖いって前にも言いませんでしたか?

 すると。

 「そうか」

 それだけだった。

 だが。

 今回は少し違った。万助さんは立ち上がる

 そしてこちらへ歩いてくる。

 

 俺は本能的に構えた。

 投げられる絶対投げられると思った。

 条件反射である。

 しかし万助さんは投げなかった。

 代わりに。

 

 ポン

 

 俺の頭に手を置いた。

 一瞬だが時間が止まった。

 道場の空気まで止まった気がした。

 そして

 「よくやった」

 それだけだった。

 俺は固まった。

 その短い一言がどんな賞賛よりも重かった。

 俺は思わず笑うすると。

 次の瞬間。

 

 ドガァァァン!!

 畳へ叩き付けられる。

 痛い。

 感動を返せよ

 俺が抗議しようとすると万助さんは平然と言った。

 

 「雄英で浮かれるな」

 

 そういうことか。

 この人なりの激励だ。

 分かりづらいなまじで本当に分かりづらい。

 だげど不思議と嫌ではなかった。

 

 そんなこんなで雄英入学まで頑張ろうと思った。

 

 

 

 教師視点

 

 

 『実技総合の結果が出ました。』

 

 大型モニターに受験生たちの順位が表示される。

 教師たちがそれぞれ資料へ目を通していた。

 

 『救助Pなしで2位とはなぁ!!』

 

 プレゼント・マイクが感心したように言う。

 画面には爆豪勝己の名前そして圧倒的な敵撃破ポイント。

 戦闘能力だけなら文句なしだった。

 

 『後半他が鈍る中、派手な個性で惹きつけているタフネスだ』

 

 セメントスが頷く。

 長時間戦闘でもペースが落ちていない。

 中学生離れしたスタミナだった。

 そして別のデータへ切り替わる。

 

 『対照的に敵Pなしで8位とは。アレに立ち向かう生徒はかなりいたけど久しく見てないね』

 

 根津が楽しそうに言った。

 モニターには緑谷出久。敵ポイントゼロだが大量の救助ポイント。

 あの映像を思い出した教師も多い。

 巨大な0ポイントヴィラン。

 逃げるのが正解だがそれでも飛び出した少年。

 『思わずYEAH!って言っちゃったからなー』

 プレゼント・マイクが笑う。

 実際言っていた。

 試験官席でかなり大声で。

 相澤は少し呆れた顔をしていた。

 

  『さて』

 根津が言う。

 『では首席くんについて話そうか』

 画面が切り替わる。

 そこに映し出されたのは、

 兎山一真。

 敵P五十六、救助P五十。

 総合百六。

 堂々の一位である

 

 会議室が少し静かになる。

 何度見ても数字がおかしい。

 特に救助ポイント。

 普通はどちらかに偏る。

 戦闘型なら敵Pで救助型なら救助P。

 だが。

 この少年は両方高いそれが異質だった。

 

 『敵も倒す』

 

 セメントスが言う。

 

 『人も助ける』

 

 ブラドキングが続ける。

 

 『しかも両方高水準』

 

 エクトプラズムも腕を組む。

 

 『珍しいタイプだな』

 

 モニターでは入試映像が流れ始める。

 1ポイントロボ撃破。

 3ポイントロボ撃破。

 さらに撃破。

 さらに撃破。

 教師たちは無言になる。

 効率が良すぎるし迷いがないしかも戦い方が妙に洗練されている。

 個性頼みではない体術が混じっている。

 それもかなり。

 

 『中学生の動きじゃないな』

 ブラドキングが呟く。

 

 『訓練経験が長い』

 

 相澤も頷いた。

 そして映像は終盤へ移る。

 0ポイントヴィラン出現。

 受験生たちが逃げ出す。

 しかし。

 一人だけ立ち止まる。

 兎山一真だった。

 

 『来た来た』

 

 プレゼント・マイクが身を乗り出す。

 何回見ても面白いらしい

 映像の中では瓦礫の下敷きになった受験生を発見し迷いなく救助へ向かっていった。

 そこまではいいだが問題はその後だった。

 

 『いや毎回さっきの子といい思うんだけどさ』

 

 プレゼント・マイクが言う。

 

 『なんで挑みに行くの?』

 

 教師たちが頷く。

 本当にそうなんで行く?

 合理性がない上勝算もない。 

 

 だが行った。

 そして思い切り跳んだ。

 教師たちは無言になる。

 異常に高い。

 中学生の跳躍力じゃない。

 

 『ウサギだからかな?』

 

 プレゼント・マイク多分違う。

 

 映像の中で拳が振り抜かれる。

 0ポイントヴィランの顔面へ直撃。

 巨大な頭部がひしゃげる。

 会議室の何人かが初見と同じ顔になった。

 

 『やっぱりおかしいな』

 ブラドキングが言う。

 

 『おかしいですね』

 セメントスも言う。

 

 『おかしいな』

 エクトプラズムも言う。

 

 全員同意だった。

 フィジカルがおかしい。

 すると相澤が映像を止めた。

 ちょうど少女を抱えて退避する場面である。

 土煙の中傷だらけでボロボロでそれでも救助を優先している。

 その姿を見ながら相澤は少し考えた。

 そして

 

 『厄介だな』

 

 そう呟く。

 教師たちが笑う

 だが相澤は真面目だった。

 『能力が高い』

 『助ける意思も強い』

 『だが考える前に動く』

 それが問題だった。

 ヒーローとしては長所だが教師としては胃痛の種。

 すると隣でオールマイトが小さく笑った。

 『だが』

 会議室が静かになる。

 オールマイトは映像を見つめた。

 

 あの日。

 敵へ向かって走った少年。

 そして0ポイントヴィランへ挑んだ少年。

 その姿を見ながら。

 静かに言う

 

 『だからこそ伸びる』

 

 教師たちは黙る。

 オールマイトは続けた。

 『力は教えられる』

 『技術も教えられる』

 『判断力も経験で身につく』

 そして

 『だが、人を助けたいという衝動だけは教えられない』

 会議室が静まり返った。

 誰も反論しなかった。いやできなかった。

 その言葉の重みを教師たちは知っていたからだ。

 根津は満足そうに笑ったそして資料を閉じる。

 

 『さて』

 『問題児候補が揃ったね』

 教師たちは一斉にため息を吐いた。

 今年の一年A組。

 間違いなく。

 平穏とは程遠いクラスになりそうだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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