キングカズマinヒロアカ   作:うさぎ

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とんでもなく長くなってしまった。


第9話

 

 

 

 

 雄英のカリキュラムはなかなかにすごい。

 午前は必修科目・英語などの普通の授業で

 プロのヒーローたちが教壇にたって授業をしているのだ!

 

 『んじゃ次の英文のうち間違っているのは?』

 

 (普通だ)

  (普通だ)

  (普通だ)

   (つまね)

   (関係詞の場所が違うから4番!)

    (多分3番だろう)

     (勘で選ぶなって言っただろボケガァ!

       関係詞の場所を考えろ!!)

       (心を読むな!)

      (あと答えは4番だこれ爆豪ありがとう!)

 

   昼は大食堂で一流の料理を安価でいただける。

   神システムだ。

   そして俺が常闇達と学食を食べている。

   中学の頃は常に一人でご飯を食べていたからこういうの

   少しいやかなり嬉しい。

 

   そして午後の授業

   ヒーロー基礎学の時間がやってきた!

 

   『わーたーしーがー!!…普通にドアから来た!!』

 

   ドアから筋骨隆々以下略のオールマイトが現れた。

 (本物だ)

 (本物だ)

 (本物だ)

 (本物だ)

 (なんで普通に入ってきたんだこの人)

 教室中がざわつく

 

 ほれみてみろ、緑谷やなんか感動して涙が出てるよ。

 出てないか。

 

 『早速だが、今日はこれ!!戦闘訓練!!!そしてそいつに伴って

 …こちら!!入学前に送ってもらった「個性届け」と「要望」に

 そってあつらえた…戦闘服!!!』

 

 「「「「おおお!!!」

 

 戦闘服ってテンション爆上がりだよねーかっこいいし!

 興奮するよね俺もその一人です。少しソワソワしちゃう。

 

 『着替えたら順次グラウンド・βに集まるんだ!!』

 

 「「「はーい!」」」

 

 俺の戦闘服は上は薄めのタイツと赤いジャケットのような物で

 下は衝撃に強く柔軟性に優れていて、足首を保護する為に靴は

 ごつくなっている。手にはグローブ腰にはチャンピョンベルト

 頭にゴーグルを付ける。

 

 前世で憧れたキングカズマそのものの姿になった。

 

  ――かっこいい。

 率直に言ってかっこいい。

 やっぱ男の子だから、こう言うのに憧れる!

 

 

 グラウンドβ。

 続々とクラスメイト達が集まる。

 流石は雄英みんな個性的な戦闘服だ。

 麗日は未来的なスーツ(パツパツ)飯田は全身アーマー夏場暑ない?

 

 常闇はいつも通り闇属性、夜中出てきたら少し怖いかも

 切島は漢らしい!

 葉隠さん?ほぼそれ全裸…

 八百万さん?ヒーロー志望だからいいけどそれほぼ痴女…

 緑谷お前は分かりやすくて面白いぞ。

 

 『戦闘訓練の時間だ!!これからみんなには2対2で屋内の対人

 戦をしてもらう!!』

 

 いきなり戦闘訓練だ。万助さんで慣れたけど。

 

 

「基礎訓練もなしに?」

 

「その基礎を知るための実践さ。ただし、今回はぶっ壊せばOKなロボじゃないのがミソだ」

 

 みんな理論は大事だけど肉体的指導の方が成長できるよ!

 投げられて飛ばされて吹き飛んでその毎日が…

 俺の目が死んでいった緑谷が声を掛けてくれた。

 

 「大丈夫?兎山くん」

 

 おっといかん修行のトラウマを思い出してしまった。

 緑谷には「大丈夫だ」とだけ言っといた。

 

 

 「勝敗のシステムはどうなります?」

 「ぶっ飛ばしてもいいんすか?」

 「また相澤先生みたいな除籍とかあるんですか?」

 「分かれるとはどのような分かれ方をすればよろしいですか?」

 

 みんな一気に質問しすぎだオールマイトは先生初めてだから

 パンクするて。

 

 『んんん〜〜〜!聖徳太子ィィィ!』

 

 ほららみろボケはじめたじゃないか。

 あと爆豪お前だけ物騒すぎだろ。

 

 オールマイトは今回の授業についての説明をした。カンペは隠そうよNo.1ヒーロー。逆かNo.1だから覚える暇ないのかも。

 

 状況設定は『ヴィランがアジトに核兵器を隠していて、ヒーローはそれを処理しようとしている。ヒーローは制限時間内にヴィランを捕まえるか核兵器を回収する事。ヴィランは制限時間まで核兵器を守るかヒーローを捕まえる事』である。

 

 なんか設定アメリカンだな?原作でもみんなこう思っているけど本当にこういうことがアメリカではあるのかな?

 

 チーム決めはくじ引きだった。21人だから1つ3人組ができる。

 結果がこれ

 

 A:緑谷、麗日

 B:障子、轟

 C:峰田、八百万

 D:爆豪、飯田

 E:芦戸、青山

 F:口田、佐藤

 G:上鳴、耳郎

 H:常闇、蛙吹

 I:尾白、葉隠

 J:瀬呂、切島

 

 原作通りだが問題が一つある。

 

 「あれ?」

 緑谷が首を傾げた。

 「人数合わなくない」

 「合わない」

 俺は頷くだって…

 「二十一人だからな」

 「あっ」

 そう俺がいる。

 そのせいで一人余っているのだ。

 オールマイトもその事実に今気付いたらしい。

 

 『……』

 『……』

 『……』

 カンペを見る。

 人数を見る。

 またカンペを見る。

 「HAHAHA!!」

 おいこら、誤魔化した。この人誤魔化したぞ。

 「いや笑ってる場合じゃ」

 『HAHAHA!!』

 「駄目だ聞いてねぇ」

 教師一年目である。

 暖かく見守ろう。

 

 その後先生が俺が入るチームを抽選してくれた。

 俺はIチームになった。

 

 『よし!!』

 オールマイトが満足そうに頷く。

 『これで問題解決だ!!』

 

 (本当に?)

 (本当に解決した?)

 (勢いで乗り切ってない?)

 

 だが誰もツッコまなかった。

 雄英生は優しいのである。

 

 

 1試合目は原作通りに終わったのだが、なんか漫画で見るよりも

 爆豪と緑谷お前らいかれてやがると思った。

 どんだけ拗らせてんだよ。まあ後はあいつらでどうにかするでしょう。

 

 『次のヒーローチームはB!敵チームはI!』

 

 これも原作と変わらないようだ。

 試験会場に移動して自己紹介をする。

 

 「私は葉隠透!個性は見た通りの透明だよ!よろしくね!

 あと耳触ってもいい?」

 

 元気で明るい子だな、クラスには一人はいるオタクに優しい枠

 の子みたい。耳は後で触らせてあげるとしよう。

 

 「俺は尾白猿夫。個性は尻尾で近接格闘が得意だよろしく。」

 

  真面目だ。実に真面目だ。

 そして爽やかな人

 このクラス常識人枠が少ないから貴重である。

 我々は飯田と尾白は保護しないといけない。

 ツッコミ担当が過労死する。

 

 「次は俺か」

 二人の視線がこちらへ向く。

 俺は軽く頭を掻いた。

 

 「兎山和真。個性は兎。兎っぽいことなら大抵はできる。

 近接格闘がメインで武術が得意だが、遠距離技はもっていない」

 

 核兵器の前で俺たちは作戦会議をしていた。

 

  「で、どうする?」

 

 尾白が聞いた。流石常識人まず、作戦会議から入る

 偉いなぁ爆豪くんにも見習ってほしい。

 

 「正面から轟とやり合うのは避けたいな」

 

 俺は即答した。

 

 「だよね」

 葉隠も頷く。

 姿は見えないけど。

 「轟の氷は広範囲攻撃だ」

 「つまりみんな相性が絶望的に悪い」

 「うん」

 全員一致だった。

 

 しばらく考える。

 俺。尾白。葉隠。

 そして相手は、轟。障子。

 戦力差は正直かなりあるだが。

 だからこそ

 「奇襲だな」

 俺は言った。

 

 「奇襲?」

 「葉隠がいる」

 「おっ」

 

 葉隠が反応した。

 「透明人間は強い」

 「もっと褒めて!」

 「最強だ」

 「もっと!」

 面倒くさいなこの子。

 

 「葉隠は姿が見えない」

 「障子の索敵を抜ける可能性がある」

 「なるほど」

 尾白も納得する。

 「俺と尾白で正面を引き受ける」

 「うん」

 「その間に葉隠が核を守る」

 「守るの!?」

 「じゃあ何するんだ」

 「分かんない!」

 駄目だった。

 

 結局俺が遊撃。尾白が防衛。葉隠が隠密。

 という形になった。無難である。

 でもこうするのが一番手っ取り早いんだよね。

 葉隠さーん?いくら透明人間でも全裸は人として何かを

 失いますよー?

 

 始まりの合図が鳴って数秒、俺の勘と耳が違和感をキャッチした。

 俺はすぐに跳んだ。

 

 「尾白!葉隠を頼む!!」

 尾白も最初はその意味を理解していなかったがすぐに理解してくれた

 のでなんとかまだ近くにいた葉隠を抱えて跳んでくれた。

 

 開幕ブッパはせこいって!

 まぁデメリットなしでメリットしかない作戦だけど…これはひどない?

 

 床。壁。天井。

 全部が氷もはや廊下ではない氷河である。

 「うわぁ……」

 思わず声が出た。

 これは酷い。知ってたけど酷い。見せ場なくなるやん。

 

 「兎山無事か!?」

 「なんとか回避できた」

 

 兎の五感は鋭くて、聴力にいたっては3キロ先の音が聞こえるほどである。視力は人間よりも悪いが暗いところならよく見える。あとはあまり役に立たん。

 

 「なんでぇー!」

 葉隠が不満そうな声を上げる。

 姿は見えないけど絶対ほっぺ膨らませてる。

 たぶん。

 「全員止まっていないと全員止まるまでこれが来る。」

 俺は氷の廊下を指差したら、尾白もすぐ理解したらしい。

 「ああ……なるほど」

 「だろ?」

 

 轟達にとっては簡単だ。

 俺たちが動く。

 ↓

 氷を流す。

 ↓

 動けなくなる。

 ↓

 勝ち。

 以上。

 脳筋戦法に見えて実はかなり合理的である。あっちには時間制限があるが、ぶっちゃけずっとこれをやられると正直めんどい。

 

 俺は耳を澄ませた静かだ。

 だが遠くで

 ミシミシミシ音がする。

 氷を作る音じゃない。

 歩いている音だ。

 

 

 「全員止まっているか?」

 「一人だけ動いてる奴がいる」

 「ひとりなら二人がかりでいけるだろう」

 「二手に分かれて探すぞもしヒーロー側にあったら応援をよべ」

 「分かった」

 

 

 「轟一人か……?」

尾白が身構える。氷漬けになった部屋の中で、吐く息が白く染まる。

 

  「いや、障子も近くにいる。でも、足音を立てて接近してきてるのは轟一人だ。障子は一歩引いた位置で、複製腕を壁に当ててこっちの動向を探ってる」

 

 俺は長いウサギの耳をピクリと動かし、氷の冷気を肌で感じながら状況を分析する。

格闘戦なら負ける気はしないが、相手はあの「半冷半燃」だ。まともに氷結に巻き込まれれば、自慢の脚力も死ぬ。

 

「どうする、兎山くん? 私、もう寒さで凍えそうなんだけど……!」

 

 ガタガタと震える声が聞こえる。姿は見えないが、全裸(グローブと

 ブーツのみ)の葉隠さんにはこの極寒ステージは地獄のはずだろう。

  これ以上長引かせるわけにはいかない。てか自分の髪を使って遠形先輩みたいに戦闘服作ればいいんじゃね?

 

「葉隠さんと尾白、お前達はここで核の絶対防衛を頼む。轟のワンバックを警戒しつつ、もし障子が突入してきたら迎撃してくれ」

「わかった。でも、轟はどうするんだ?」

 

「俺が前線で食い止める」

そう言って俺は全力で駆け出した。これでも首席だ全力で行く。

 

 シュバッ!!と氷の壁を蹴り、廊下へと飛び出す。

 曲がり角の向こうから、冷気を纏った轟焦凍が歩いてくるの 

 が見えた。その右半身からは、絶え間なく霜が蒸発している。

 

「……避けたかもう一度凍らせればいい話」

 

 「次で確実に仕留める」

 

 轟がオッドアイの視線を鋭くし、再び右足を前に踏み出す。

 彼が床を踏み締めた瞬間、先ほどよりも遥かに巨大な氷の津波が、廊下の全方位を埋め尽くしながら押し寄せてきた。

 みしり、みしりと空気が凍りつく音が鼓膜を刺す。

 

「っは!」

 

 俺は迫り来る氷の壁の「わずかな凹凸」に目を凝らした。

 持ち前の跳躍力で真上に跳び、迫る氷の波頭をギリギリで躱す。そのまま天井に張り付いた氷の柱を両足で強く蹴りつけ、今度は斜め下へと跳ねるように加速した。

 

ピンボールのように壁と天井をジグザグに蹴り、轟の頭上を完全に飛び越える。万助さんの無茶苦茶な投げ技を躱し続けた日々に比べれば、直線的な氷の軌道は十分に先読みできる!

 

「なに……!?」

 轟の顔に初めて明確な動揺が走った。

 

 そのまま轟に蹴りを入れようとするが流石は推薦入学者、一瞬の硬直から即座に反応し、目の前に強固な氷の盾を分厚く生成した。

 

 ドガァァァン!!!

 

 凄まじい衝撃音と共に、俺のキックが氷の盾を粉砕する。

 飛び散る氷の破片が視界を遮る中、俺は着地と同時に低空からの鋭いローキックへと繋げたが轟はそれを左腕でガードする。だが万助さん直伝の重い一撃を受け止めきれず、氷の床を数メートル後方へと滑っていく。

 

「チッ……障子! 敵の一人が前線に出てきた! 残りは核の部屋だ、お前はそっちを回れ!」

 距離を取った轟が、すかさず無線に向かって叫ぶ。

 正しい判断だ、だがもう遅い。俺は縮地を使いすぐさま轟の懐へ潜り込んだ。轟は慌てて凍らせようとしたが俺の技の方が早い。

 

 「鉄山靠」

 

 

 ドンッ!!!

 

 背中で爆発的な踏み込みの力を伝え、轟の胸元へ容赦なく体当たりをぶち当てる。

 中国武術の一つ八極拳の接近破壊技。

 この体の俊敏さと万助さんの地獄の修行で培った破壊力が、完全に轟の不意を突いた。

 

「が、はっ……!?」

 

 肺の空気を強制的に搾り出された轟が、まるで弾丸のように後ろへ吹き飛ぶ。

 何枚もの氷の壁を背中で突き破りながら、廊下の突き当たりまで派手に転がっていった。

 

「ふぅ……」

 

 息を吐き出し、すぐさま残った右足に意識を向ける。

 轟を一時的に無力化した。

 だが、さっき彼が無線で障子に指示を出していたのが引っかかる。

 長い耳をピクリと動かし、核(オブジェ)のある部屋の方角へと神経を集中させた。

 

――微かな、衣類の擦れる音。

そして、床の氷がメキメキと踏み荒らされる音。

 

(足音が一つ……障子だ! もう部屋の目の前まで行ってる!)

 

「やばい!」

 

 俺は地面を蹴り、今来た廊下を猛スピードで引き返した。

曲がり角を曲がった瞬間、核のある部屋の直前で、複数の腕を大きく広げた障子の背中が見える。その巨体は、まさに部屋へ突入せんとする瞬間だった。

 

「障子! そこを動くなぁ!」

 

 俺は廊下の壁を蹴り、弾丸のような速度で障子の背後へ肉薄する。

 だが、流石は索敵特化の個性。障子は背後に作った耳と目で俺の接近を完璧に察知し、振り返りざまに太い複製腕を文字通り盾のように構えた。

索敵特化の個性なのに並大抵のやつよりも近接強いのせこくね?

 

「兎山か! 轟を突破してきたのか……!」

 

 ドガァン!!

 

 俺の飛び蹴りが障子の防御腕に炸裂する。

 だが、その圧倒的な体格とパワーで、障子は俺の一撃をなんとか踏みとどまって受け止めた。

 さすがのホールド力。

 

「だが、ここを通すわけにはいかない!」

「それはこっちのセリフだっての!」

 

 俺は着地と同時に、障子の巨体を揺さぶるような高速の掌打を連打する。

 障子も複数の腕を駆使してそれを受け流し、あるいはカウンターの拳を繰り出してきた。

 千手観音かな?手が多すぎてめんどくさい! だが、武術の技術なら俺が上だ。大振りのパンチを最小限の頭の動きで躱し、ガードの間を縫うように鋭い打撃をボディへと叩き込む。

 

「くっ…!」

 障子が苦悶の声を漏らし、わずかに体勢を崩した。

 

チャンス!

 このまま一気に押し切って捕縛テープで――そう思った瞬間。

 俺の耳が、部屋の「中」から響く微かな音を捉えた。

 

 カツン、と小さく床の氷が鳴る音。

 それは障子の足音ではない。もっと冷徹で、聞き覚えのある……。

 

(嘘だろ、もう追いついてきたのか!?)

 

 「……そこまでだ」

 

 背後から、凍えるような声が響く。

 振り返るよりも早く、足元から凄まじい速度で這い上がってきた氷結が、俺の両足を膝下までガチガチに固定した。

 

「しまっ……!」

「冷や冷やさせやがって。あの一撃、まともに喰らってたら気絶してた。だが、これで動きは止まったな」

 

 廊下の向こうから、胸を押さえ、少し息を荒くした轟が歩いてくる。どうやら、体に氷を纏わせていたな?あの一撃を喰らって、もう動けるのかよ。タフすぎるだろ推薦入学者。

 

 これで俺は完全に足を封じられ、前には障子、後ろには轟という絶体絶命の挟み撃ち状態。

モニターで見ているオールマイトやクラスメイト達も、「これで勝負ありか」と思っているに違いない。ここから助かる保険がほしい!

 

 だが、俺の心はまだ折れていなかった。

いや、むしろここからが『キングカズマ』の本領発揮といこうか。

 

 「足が止まったら終わりと思うよな」

 俺は目をニヤリと細めた。

 

「なんだと?」

 轟が警戒を強め、再び右手を構える。

 

「尾白! 葉隠さん! 作戦変更だ、合図したら一斉に頼む!!」

 

 俺は部屋の中に向かって叫ぶと同時に、捕縛された両足に全身のバネを集中させた。

ウサギの脚力は、ただ走るためだけにあるんじゃない。溜めて、跳ねる――その一瞬の爆発力こそが真骨頂だ。

 

「いくぞ……フンッ!!」

 

 バリィィィィン!!!

 

 渾身の力を込めて足首を捻り、太い氷結を無理やり粉砕して引き剥がす!

 皮が擦れる痛みなんてアドレナリンでかき消した。あっ嘘少し痛いかも。

 自由になった両足で、俺は轟と障子の頭上へ向けて、本日一番の大跳躍をぶちかました。

 

「障子、上だ!」

 轟の叫びと同時に、俺は空中で体を反転させ、天井を強烈に踏み付けた。

 目指すは部屋の中、核の真上だ。

 

「今だ、やれ!!」

 

 俺の合図と同時に、部屋の奥からガタガタと震えながらも気合の入った声が響き渡る。

 

「いっけええええ! 聖なる光(仮称)ーーー!!」

 

 葉隠さんだ。

 彼女が自身の体を大きくひねった瞬間、部屋の中に視界を完全に白く染め上げるほどの強烈な閃光が炸裂した。

 

「うおっ!? 目が……!」

「なっ……光……!?」

 

 突入しようとしていた障子も、背後から狙っていた轟も、突然の目眩ましに完全に視界を奪われ、その場に棒立ちになる。

 これこそ作戦会議の時、「全裸で隠れる以外にできることない?」と聞いた時に判明した、葉隠さんの隠された能力――屈折した光を増幅させて放つ閃光弾だ!

 なんだろう使うのがJKの全裸を利用した閃光弾というパワーワードすぎるな。

 

 光が遮られた一瞬、ゴーグルをつけている俺だけは、すべてがスローモーションのように見えていた。

 

「終わりだ!」

 

 空中から位置を見定め、視界を奪われて戸惑う障子の背中に着地。その勢いのまま、彼の巨体を背負い投げの要領で前方の床へと叩きつける!

 

「ぐはっ!」

「そして後は尾白」

[まかせろ!」

 

 障子は尾白に任せるのことが出来た。

 

「よし、あとは――」

 

 俺はすぐさま反転し、未だ目が眩んで視界が戻らない轟へと向き直る。

右足を一歩引き、次の一撃で完全に決めるべく、自慢の脚力に力を溜めた。

 

「あとは、お前だけだぞ。轟」

 

 視界を奪われた轟は、一瞬だけ動きを止めた。

 だが、そこは修羅場をくぐってきた推薦入学者。

 すぐに左腕を顔の前にかざし、周囲の気配を「音」と「肌に触れる空気の揺らぎ」だけで察知しようと試みる。わかるのか?それ?

 

「……そこか!」

 

 轟が勘だけで右手を突き出す。お前まじかよ。

その瞬間、俺の目の前に鋭い氷の棘が数本、槍のように突き出してきた。

視界がない状態での反射にしては的確すぎる。だが、

 

「遅い!」

 

 俺はゴーグルの奥で目を細め、上半身を紙一重でひねって氷の槍を回避。そのまま、溜めていた脚力を一気に解放した。

床の氷を爆音とともに踏み砕き、轟の懐へと滑り込む。

 

 狙うは、さっき「鉄山靠」を叩き込んだ胸元。同じ場所だ。

 轟は迫る俺の気配に気づき、今度は防壁ではなく、自身の周囲全体を拒絶するように広範囲の氷結を放とうと、右手を大きく振り上げた。

 

(それを使わせたら、またこっちの足が止まる……!)

 

「しまわせてもらうぞ!」

 

氷が放たれるよりも早く、俺は床に手を突き、逆立ちの体勢から独楽(コマ)のように回転しながら、轟のある右手に鋭い蹴りを叩き込んだ。

 

「くっ……!」

 

 右手を払われた轟の体が、わずかに浮き上がる。

 氷結の展開がコンマ数秒遅れた。その一瞬の隙を見逃すほど、万助さんの地獄のシゴキは甘くない。

 

 俺は回転の勢いのまま、バネのように体をしならせて跳躍。空中で一回転し、無防備に浮いた轟の胸元へ、今度は踵(かかと)を真っ直ぐに突き出す強烈なドロップキック――カズマ流の飛び蹴りをブチ当てた。

 

 ドカァァァン!!!

 

「が、はっ……!!」

 

 本日二度目の、文字通り弾丸のような衝撃。

 轟の体が再び廊下の奥へと吹き飛び、壁に背中から激突して、今度こそ完全に動きを止めた。その場に崩れ落ち、荒い息をつきながらも、もう立ち上がる力は残っていないようだった。

 

「ふぅーーーっ……!」

 

 着地し、深く息を吐き出す。

さすがに足首がじんじんと痛む。氷を無理やり引き剥がしたツケが今更回ってきたが、なんとか耐えきった。まじで痛いリカバリーガールに治療してもらおう。

 

 背後を振り返ると、部屋の中では尾白が、まだ目が眩んでいた障子の背後に回り込み、見事な身のこなしでその巨体に捕縛テープを巻き付けているところだった。

 

「よし、障子くんの捕縛完了だ!」

 

 尾白の爽やかな声が響く。

 そして、そのすぐ横からは、ガタガタと激しく歯を鳴らす声。

 

 「う、うう……勝った……? 勝ったよね……!? もう服、着ていい……!?」

 

「葉隠さん大手柄だ。すぐ服着て! 」

 

 俺が叫んだのとほぼ同時に、建物内に大音量のサイレンと、聞き慣れたあの豪快な声が響き渡った。

 

『敵チームの勝利ィィィ!!!』

 

 モニター室のオールマイトの声は、どこか興奮と、そして驚きを隠せていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

 

 

   

 

  




感想と評価と誤字脱字報告お願いします。
あとヒロインは作るべきか否かも今検討中です。
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