逆行ソラウの聖杯戦争   作:真桑瓜

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ソラウ、二週目の人生を始めるの巻

ランサー陣営が昼ドラ並みにドロドロする原因の一つこと、ソラウが主役の作品ってあんまり見かけないな〜。
そうか!!私が書けば良いのか!!
そんな感じのノリで書いた作品になります。
何気に初投稿作品なので、お手柔らかにお願いします!!


二周目の始まり

意識が深い深い闇に沈んだ時、私は初めて自分が死んだことを自覚した。

その瞬間、自分が死んだ理由を辿るようかのように記憶が頭の中に流れてくるのと同時に、私はあることを強く自覚した。

私ことソラウ・ヌァザレ・ソフィアリという存在が死んだのは、他の誰でもない私自身が犯した過ちによって引き起こされたのだと。

 

あの日あの時、ランサーの黒子に込められた魅了の呪いに抗っていたらならば──ケイネスに愛していると伝えていたら、この運命は変わっていたのだろうか?

いや、そもそも彼からの愛に気が付かずに偽りの愛に溺れた時点で、私の結末は決まっていたのかもしれない。

 

死んでしまった今、彼になんて言えば良いのかが分からない。

仮に私が心の底から謝ったとして、彼がそれに応える形で許したとしても──私は───

 

「──本当に馬鹿な女よね」

 

思わなそう声を漏らした時、突然意識が急上昇するかのような感覚になったかと思えば、そのまま一度閉じたはずの重い瞼を開いた。

そして、視界が開かれるのと同時に見覚えのある光景が広がっていたため、私はゆっくりと体を起こす形でベッドから起き上がった。

 

間違いない、ここは私の部屋──ソフィアリ邸の一室だ。

でも、どうして死んだはずの私がここに居るのだろう?

 

もしかすると、これは夢?

そう思いながら、夢か現実かを見極めるために手の甲をつねってみたものの、普通に少しだけ手の甲から痛みを感じたため、これが夢ではないことを再確認した。

 

──これが夢ではないのなら、一体何なのかしら?

もしかすると、ユリフィス家の人間が蘇らせたの?

突拍子もないことを頭の中でグルグルと考えていた時、その場に屋敷で働くメイド達が入ってきたため、私はそのメイド達に対して確認を取るようにこう言った。

 

「ねぇ、どうして私はここに居るの?ケイネスは無事なの?」

 

やって来たメイド達に対し、ケイネスの安否確認も兼ねてそう声を掛ける私。

 

ただ、その言葉を聞いたメイド達は何故だかよく分からないけど、何を言っているのだろうという様子の顔になっていた。

けれども、すぐに主人である私の質問に答えようと思ったのか、そのまま息を整えると私に向けてこう告げた。

 

「いえ、ケイネス様はもう既に時計塔に向かわれているはずですが──どうかされたのですか?」

「──え?」

 

ケイネスがいつものように時計塔に向かった。

一人のメイドの口から出た言葉を聞いた時、私は強い違和感を感じていた。

 

あの時、ケイネスはセイバーのマスターの策略によって魔術回路が暴走した影響で、二度と魔術を使うどころか歩くことすら出来ない状態になっていた。

そんな状態と化した元魔術師が、魔術師の学び舎である時計塔に行くはずがない。

 

一体、何がどうなっているの?

そう考えたところで答えが出るはずもないので、私は別の質問をする形でメイドに向けてこんなことを言った。

 

「と、とりあえず今日の日付を教えてくれる?」

 

私がそう言ったところ、メイドは丁寧に今日の日付と年を教えてくれたのだけれども、その言葉を聞いた瞬間に私は目を見開く形で驚いていた。

何故ならば、その彼女の口から今日が聖杯戦争の一年前だという事実が飛び出したため、私はメイドの口から語られた衝撃的な事実に対して少しだけ震えていた。

 

私は、ケイネスが聖杯戦争で脱落するキッカケを作った戦犯だ。

ランサーと一緒になりたいがために彼を罵り、そしてマスターに成り代わろうとした。

その結果があの結末だとしたら、私が犯した罪は変わらない上に消すことなんて出来るわけがない。

 

でも、もしかの世界が本当に過去の世界なら──少なくとも、聖杯戦争までにある程度の準備が出来るはず。

私自身、ロード・ユリフィスの娘として一応は魔術を基礎を学んでいたとは言え、まだまだ魔術について学ぶことが出来るのなら、私は魔術師の一族の令嬢として更に魔術を習得した方が良いのかもしれない。

 

それに、相手の魔術師が正々堂々戦うとは限らない。

現に、私とケイネスは魔術師らしからぬ男の策略に嵌ったことによって、自分の命共々敗退することになったのだから、そこら辺のことも警戒して損は無いだろう。

そうでもしないと──また、私どころかケイネスが死んでしまうのなら、二度目の人生を歩むことになった意味がないのだから。

 

「──ソラウ様?」

「い、いえ、何でもないわ」

 

そう答えた後、私に向けて一礼した後に部屋から出ていくメイド達。

その後ろ姿を見つつ、私はこれからのことを考えていた。

 

今の今まで、私は傲慢な令嬢としての生き方しか知らなかった。

でも──ケイネスはそんな私を心の底から愛してくれたからこそ、ランサーとの関係性が拗れてしまった。

全ては、私がランサーの黒子の呪いを受け入れたばかりに。

 

私は──心の底から湧き上がる恋情を優先し、婚約者であるケイネスを裏切った最低な女だ。

今がまだ聖杯戦争の一年前なら、少しでも死なないための努力の他に彼との関係改善にも力を注げるはず。

これは私のエゴなのかもしれないけど──それでも、私は聖杯戦争が始まるその時まで貴方の隣に居たい。

 

そう思ったとしても、それが償いや贖いになるかどうかは分からない。

でも、もしも叶うのなら──私は

 

「例え、聖杯戦争に参加したとしても──貴方と共に生きたい」

 

あの日あの時の二の舞にならないように生きたいと願うことは、ある種の傲慢な願いなのかしら?

 

そう小声で呟きつつ、部屋のカーテンを開ける私。

そして、その窓から太陽の光が差し込んだ瞬間──私は改めて決意した。

今度こそ、魔術師ケイネス・エルメロイ・アーチボルトの婚約者として、どんな形であっても生き残ってやるのだと。

 

それが、逆行する形で蘇った私に出来ることなのだから。

 

「聖杯戦争までにあと一年もの期間があるのなら──やるしかないわね」

 

これは、聖杯戦争に敗退した末に命を落とした愚者の物語じゃない。

これは── もう一度ソラウ・ヌァザレ・ソフィアリとして二度目の人生を歩むことになった私の物語だ。




ソラウ・ヌァザレ・ソフィアリ
ケイネス共々殺されたかと思えば、聖杯戦争の一年前の時間軸に逆行する形で復活したソラウさん。
その結果、自身のやらかしによってケイネスの陣営がギスギスしたことに加え、そのケイネス自身が心の底から自分を愛していたのだと理解したようで、ランサーの魅了の呪いを受け入れた自分に対し、本気で後悔した上で反省したとか。
そのためか、ケイネスとの関係改善をしながらも聖杯戦争への準備のためにもう一度魔術を学び直した模様。
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