時は20XX年!
麻帆良学園、それはひとつの都市である。誇大な敷地内には(以下略)

互いに険悪な雰囲気が漂う関東魔法協会と関西呪術協会の友好を深めようという理由から出雲より麻帆良学園へ送り込まれた少年とひょんなことから出会ってしまった少女の物語

(なにを今更と言われる気しかしないが気にしない。気にしないたら気にしない。)

思いつきの見切り発車で、この一話しか考えてない!


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【まほら新聞 号外!!】

図書館島で再び怪奇現象! 「本が勝手に浮く」「冷たい手が触れる」被害続出
 
〜原因は悪霊!? 図書館探検部部長「調査中」とコメント〜

 麻帆良学園の誇る巨大図書館施設「図書館島」において、不可解な怪奇現象が続いている。
 主な被害報告は以下の通りだ。
・夜間に本が棚から勝手に飛び出す
・冷たい風とともに肩を叩かれる感覚
・古い洋書のページが血のような赤い染みで埋め尽くされる
・人影のようなものが書棚の間を移動する
・緑のひょうたんと白のもこもこが宙を漂っている

特に地下エリア入り口付近は被害が深刻で、夕方以降に近づいた生徒からは「見られている気がする」といった恐怖の声が相次いでいる。
図書館探検部部長は「原因究明に全力を尽くしている」とコメントを出したが、具体的な対策は未だ発表されていない。
一部の生徒の間では「これは本物の悪霊の仕業では……」という噂も広がっており、好奇心から肝試し目的で夕方以降に図書館島に近づく者も後を絶たないという。
学園側は「単なる集団心理や脳の錯覚(パレイドリア現象)の可能性あり」との見解を崩していないが、関係者の中には本気で心配する声もあるが——。

(取材・執筆:新聞部 協力:図書館探検部)


第1廻 猫と蛙と幽霊と踊る少年

夕暮れの図書館島1F、地下エリア入り口。

ここは一般生徒が滅多に近づかない、埃っぽくて薄暗い場所だった。

古い木の書棚が不規則に並び、ところどころにひび割れた窓からオレンジ色の夕陽が差し込んでいる。

空気は淀んでいて、かすかにカビと紙の匂いが混じっていた。

 

「シンガさん。また霊を祓っていくのですか?まったく……いい加減、もっと目立たないようにされた方がよろしいと思いますよ、いい意味で」

 

蛙?の姿をした小さな霊モツが、丁寧な敬語で愚痴をこぼしながら宙を漂っていた

緑の体に、糸目と赤いネクタイが特徴的だ。

 

「シンガちゃんも本当にお人好しだミャ……魑魅魍魎なんだから魔法関係者に任せておけばいいんだミャ」

 

おっとりとした猫?の姿をした小さな霊シチミが、新芽の左肩の上で小さくため息をついた。

白の毛並みが、夕陽に照らされて半透明だがかすかに光ってみえる。

 

恐山 新芽(きょうやま しんが)は軽くオシャレ総髪を指で整えながら、穏やかな笑みを浮かべた。

中学3年生とは思えない落ち着いた雰囲気で、麻帆良学園のブレザーを綺麗に着こなしている。

 

「まあ一応専門家だからね、立場的に来ない訳にはいかないでしょ…まぁ、なんとかなるよ。サクっと終わらせて帰ろう。」

(アンナ様には『麻帆良で余計なことをしないでちょうだい』と言われてるが…)

 

新芽の両手に握られたのは、ただの木の枝をちょっと加工した1対の簡易オーバーソウル棒だった。

 

それが淡く光を放ち始めると、モツが右棒に、シチミが左棒に滑り込むように憑依した。

 

「……来たミャ」

 

シチミが知らせてくれると書棚の深い影から、黒い靄のような悪霊がゆっくりと姿を現した。

人間の形を模しているが、顔の部分が歪んでおり、不気味に笑っているように見える。

 

(聞いていた話より強敵そうだんだが…)

「今回もなんとかなるか」

 

新芽は優しい声のまま、悪霊に向かって軽く踏み込んだ。

悪霊が爪のような手を振り下ろすが、新芽はシチミの力でするり受け流して回避。

そのままモツの力が込もった右棒で、悪霊の胴体に叩き込んだ。

 

「ギャアアアッ!」

 

悪霊は甲高い悲鳴を上げ、体を激しく震わせながら後退した。

しかし完全に消滅するには至らず、再び攻撃の姿勢を取る。

 

「中々に手強いですね……シンガさん、もう少し本気を出された方がよろしいのでは?優しすぎるのも考えものですよ。いい意味で」

 

モツがからかうように言う。

 

「それより眠いミャ。余計なことしないでちゃっちゃと終わらせて帰るミャ。」

 

シチミがゆるく喋りはじめる。

新芽は小さく笑い、棒を軽く回転させて巫力(ふりょく)を流し込む。

右棒の全体が淡い緑の光に包まれ、モツの力を最大限に引き出す。

 

「はぁぁ!」

 

掛け声ととも棒を突き出すと一瞬にして伸び、強烈な一撃が悪霊に当たる。

そして悪霊の黒い靄は一瞬で粉々に砕け散り、空気に溶けるように消えていった。

 

「……ふう。これで解決っと。」

 

新芽が息を整え、ホッとした表情を浮かべた。

モツとシチミが憑依を解き、肩の近くに浮かび上がる。

 

「上出来です、シンガさん。」

「お疲れ様ミャ、シンガちゃん。帰って夕飯食べようミャー」

 

新芽が「そうだな」と微笑んだ、その瞬間——

背後に、人の気配を感じた。

 

「……!!」

 

ゆっくりと振り返る。

 

そこに立っていたのは、黒髪の少女だった。

制服を完璧に着こなし、手には新聞を握りしめている。

その瞳は驚きと、強い好奇心、そしてわずかな警戒心で鋭く光っていた。

綾瀬 夕映(あやせ ゆえ)——図書館探検部のメンバーだ。

 

彼女の様子を見るに先ほどまで噂の怪奇現象を調査していたらしい。

夕映は一歩も引かず、冷たいながらも震えを抑えた声で言った。

「……あなた、今のは何ですか?あの黒い靄……そして、あなたの肩付近で浮いている二匹の生き物は……?なんなんですか?説明してください!全部!今すぐにです!」

 

モツが新芽の右肩から顔を出し、敬語のままニヤニヤと笑った。

 

「ほう、これは完全に目撃されてしまいましたね、シンガさん。ド派手に霊を祓うところを……いい意味でぇぇ……」

「シンガちゃんもタイミングが悪いミャ……」

 

夕映の視線はモツとシチミをはっきり捉えていた。

彼女は本好きで、それがこうじてオカルトにも詳しい。

だが麻帆良特有の魔法を認識しないゆるいノリに流されないタイプ。

普通の生徒より冷静に状況を分析できてしまう。

新芽は困ったように頰をかき、いつもの柔らかい笑顔で頭を軽く下げた。

 

「あはは……完全にバレちゃったか。まあ、なんとかなると思うんだけど……まずどう説明しようか」

 

夕映は冷たい声で続けた。

 

「あなたは……この図書館島の怪奇現象と関係があるということですね?私は綾瀬 夕映。図書館探検部として、この事件を調査兼見回りをしています。今更隠し事はなしでお話していただきたいです。さもなくば……学園側に報告します。」

 

新芽は少し困った顔をしつつも、穏やかに彼女を見つめ返した。

 

「わかったよ。……とりあえず、ここじゃ落ち着かないから少し移動しない?ちゃんと説明するから。」

 

夕映はしばらく新芽をじっと見つめていたが、やがて小さく頷いた。

 

「……わかりました。ついてきてください。一般生徒が知らない図書館島の隠し部屋その11に案内します。」

こうして、恐山新芽と綾瀬夕映の奇妙な出会いは、静かに幕を開けたのだった。

 




<<図書館探検部とは>>
麻帆良学園内の部活動の一つであり、中高大合同サークルでもある。
主な活動内容は、増築によって迷宮化した図書館島を調査・解明すること。
みんなも本当に本しかない世界へ飛び込もう!(麻帆良学園公式HP部活動紹介より抜粋)。

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