昨日投稿していた話で少しだけ修正しました。
「──── やっぱりダメです、電話が繋がらない……家にも居なかったし……」
「お店の方にも連絡しましたが、セリカちゃんはシフトの時間ピッタリに帰っていると……」
憔悴した表情で、目に涙を浮かべながら携帯から耳を離したアヤネと、すぐにラーメン屋に連絡を取ったノノミが心配そうに眉を下げる。
「ん、ホシノ先輩と先生も調べに行ってる。多分今……」
シロコが静かにそう告げた、まさにその時だった。アビドス対策委員会の部室の引き戸が開き、ちょうどホシノと銀時が並んで部屋に入ってきた。
二人の表情はいつになく硬い。そして何より、銀時の大きな手には、見覚えのある黒い銃が握られていた。
「これ、セリカちゃんの……!」
アヤネが悲鳴に近い声を上げて立ち上がる。手元に戻ってきたそれは、激しい衝撃を受けたのか、あちこちに痛々しい擦り傷が刻まれていた。
「……シャーレの権限を強引に使ってさ、セリカちゃんの携帯の電源が最後に切れた場所を調べて、そこに行ったら落ちてたんだ」
ホシノがいつもの緊張感のない口調をすっかり消し去り、淡々と事実を告げる。
「アイツが消息を絶った場所、色々と調べてみたらどうやらカタカタヘルメット団の主力が根城にしてたエリアらしいな」
銀時は手元にあったセリカの銃をそっと机の上に置くと、死んだ魚の目をかつてないほど鋭く細めた。
「うん、多分アイツらが拉致したんだと思う。銃が転がってた場所の地面の抉れ方からして、かなりの重火器……それこそ対空砲クラスを持ち出してるのは確かだよ」
ホシノの言葉に、部室の空気が一気に凍りつく。セリカが、あの連中に連れ去られた。最悪の確信が一同の胸を突き刺していた。
──────────
ドン、と乱暴に腰に硬いものがぶつかり、セリカはその痛みで目を覚ました。
周囲は薄暗く、油臭い匂いと激しい横揺れが身体を震わせている。トラックの荷台と思われる暗い空間だった。
「つ、痛たた……。わたし、たしか……あ、カタカタヘルメット団の奴らに……!」
ハッと記憶を取り戻し、セリカは即座に立ち上がろうとした。しかし、手首と足首を頑丈なロープで固く縛られており、身動きを取ることができない。
「くっ、この……!」と少し呻きながらも、這うようにして荷台の扉のわずかな隙間に目を凝らすと、流れる景色の中にアビドス郊外の荒涼とした線路跡が見えた。学校からも、あのラーメン屋からも、遠く離れた砂漠の境界。
「どうしよう、こんな場所に来ちゃったら携帯も繋がらない……!」
じわじわと、冷たい恐怖がセリカの胸を支配していく。
いつも強がって、大人の助けなんて要らないと突っぱねていた。けれど、本当はただの、一人の女子高生に過ぎないのだ。
「私、このまま誰も知らない場所に埋められるのかな……」
「そしたら、みんなに……街から勝手に逃げ出してっちゃったって思われちゃうのかな……」
誰も助けに来ないかもしれない。自分がここで消えても、誰も気づかないかもしれない。そんな最悪の思考が頭を巡り、視界が涙で歪んでいく。
「……うう、そんなの、やだよぉ……」
ぽろぽろと大粒の涙が溢れ、床にシミを作っていく。
「ホシノ先輩、シロコ先輩、ノノミ先輩、アヤネちゃん……」
仲間たちの顔が浮かんでは消える。そして、最後に脳裏をよぎったのは、昼間にあれほど突っぱねてしまった、あの白髪の男の姿だった。
「……せんせぇ……」
膝に額を押し付け、俯いて静かに泣き始めた、その時だった。
──ガガガァン!!!
突如として荷台全体に凄まじい衝撃が走り、何かが金属を殴りつける轟音が響き渡った。トラックの車体が大きくスピンするように歪む。
「ひゃっ!?」
セリカが恐怖に目を見開き、音のした方向──荷台の天井を見上げた、その瞬間。
バリィィィィン!!!
火花を散らしながら、見覚えのある薄汚い木刀の先端が、トラックの金属製の天井を真っ向から突き破って出現した。
そのまま、まるで缶切りでも使うかのように、メリメリメリっ……! と凄まじい怪力で天井の鉄板を引き裂いていく。
強烈な月光が差し込み、砂まじりの夜風が吹き込んできた。
「……よう、迷子の迷子の黒猫ちゃん。あなたの先生が迎えに来てやりましたよーっと」
ぽっかりと開いた夜空のような裂け目から、ひょっこりと顔を覗かせたのは──
あれほど憎たらしく思えて仕方がなかった、あのやる気のない死んだ魚の目。
銀時は、いつもと変わらないヘラヘラとしただらしない笑みを浮かべながら、風に白髪をなびかせてそこに立っていた。
「せん、せい……? どう、して……」
ぽかんと口を開けたセリカの視界に、次々と見慣れた顔が飛び込んできた。
「ん、泣き顔のセリカ発見」
『本当ですか!? よかった、本当によかった……! 無事で、本当に……っ』
「なあにい!? 可愛い私の後輩が泣いてるだってえ! そんなに寂しかったのね、お母さんが悪かったよー! もう離さないからねー!」
「泣かないでくださいセリカちゃん! 私がその涙を拭ってあげます☆ 今すぐ抱きしめに行きますからね!」
銀時が豪快にぶち破った天井の裂け目から、ひょこ、ひょこ、ひょこと楽しげに顔を覗かせるシロコ、ホシノ、ノノミ。そして、銀時の耳元にある通信機の向こうからは、涙で声を詰まらせたアヤネの声まで聞こえてくる。
絶望のどん底から一転、あまりにもいつも通りで騒がしい仲間たちの登場に、セリカは驚きに目を見張りながらも、慌てて袖で涙をゴシゴシと拭った。
「み、みんなまで……!? て、てか泣いてないし! 砂が、砂漠の砂がちょっと目に入っただけだし!」
「なんだ、結構元気そうじゃねーか。減らず口叩けるなら上等。よかったよかった」
銀時はセリカの強がりをあっさりと流すと、大きく割かれた荷台の中に手を伸ばし、手足を縛られているセリカをひょいと軽々と引き上げた。
まるで荷物でも運ぶかのように平然としている銀時だったが、その背後でホシノがオッドアイをニヤニヤと歪ませる。
「うへ〜。それにしても驚いたよ〜? 先生ったらさ、セリカちゃんがいないって分かった瞬間、連邦生徒会に必死に掛け合って街の防犯システムだとかに全部アクセスして居場所を特定したんだよ? それで場所が分かったら、すぐに鬼のような形相で駆けてっちゃうんだもん。おかげで後ろを追いかけたおじさん、もうヘトヘトで足がちぎれそうだよ〜」
「ん。普段は死んだ魚の目なのに、あの時は完全に獲物を見つけた猛獣の目ですごいダッシュだった。チャリ乗ってる私より速かったかも」
「ふふ、先生もセリカちゃんのことが、すっごく心配だったんですね☆」
仲間たちから次々と暴露される「必死すぎる大人の姿」に、さっきまでセリカを抱え上げていた銀時の顔がみるみるうちに真っ赤になっていく。銀時はセリカをノノミにパスすると、大慌てで首を激しく横に振った。
「お黙りんす!! お前らマジでそーゆーこと言うのやめてくんない!? 違うから! 俺はただ、ここで女の子一人見殺しにしたら少年ジャンプの主人公としての株が大暴落するのを恐れただけだから! 少しは銀さんのミステリアスでクールな大人の顔を立てる努力をしてくんない!?」
それを聞いて、セリカは丸い瞳をぱちくりとさせた。
この白髪の男が、どこかお節介で優しいのは分かっていた。けれど、それはきっと大人の余裕というか、表面だけの適当なものだと思っていたから。
自分のために、そこまで必死になってくれる大人がいるなんて、これっぽっちも思っていなかったのだ。
「先生、も……?」
ぽつりと呟いたセリカの、どこか複雑で、けれど確実に何かが溶けかけたような視線が刺さる。銀時は居心地が悪そうに顔をさらに真っ赤にすると、両手を激しく振り回して叫んだ。
「違うからな!? いや心配はしてた! 確かに心配はしてたけど! そこまで必死にはなってなかったから! 勘違いしないでよねふん!!!」
「うっわあ、アラサー男のツンデレテンプレって本気で気味悪いー。おじさん全身に鳥肌立ってきちゃったよ〜。シロコちゃんちょっと塩持ってきて、塩」
「ん。粗塩ならサドルバッグに入ってる」
「誰がアラサーのツンデレだァァァ!! 違うっつってんだろマジでさあ!!」
全力で取り乱す銀時の姿に、ノノミやアヤネの笑い声が重なる。
トラックの荷台の上、夜の砂漠を駆ける風は相変わらず冷たかったが、縛られていたセリカの心には、いつの間にかじんわりと温かい灯が灯っていた。
「……せーんせ、騒いでる暇はないみたいだよー? ほら、人質運んでたトラックを壊されたのに気付いて、あっちから対空戦車まで出してきた」
ホシノがいつもの眠たげなオッドアイを鋭く細めた。その視線の先、砂煙の向こうからキュルキュルと重々しいクローラーの音を響かせて近づく巨大な鉄の塊──『FlaK41改』を搭載した対空戦車と、それに追従するように銃を構えて現れたヘルメット団の大群が見える。
「おー、そうかそうか。ちょうどいいわ。今銀さんさ、すっげえ虫の居所悪ぃから。アイツらにちょっと大人の八つ当たりってヤツを身をもって体験させてくるわマジで」
さっきまで散々揶揄われたことを未だに引き摺っているのだろう。銀時はギリギリと額に青筋を浮かべ、引き攣った怒髪天の笑みを浮かべながら洞爺湖の木刀を構え直した。それと同時に、手首のスナップだけで木刀を軽く一閃させる。風を切り裂いた鋭い剣気が、セリカの手足を縛っていた頑丈なロープだけを精密に断ち切った。
「あんだけの数だ。不意打ち食らって身体がまだ痛んでるとこあるだろーが、全力で突っ走れ。そんくれえの根性は残ってんだろ、ツンデレ猫娘」
顔をこちらに向けないまま、広い背中を向けたまま、銀時は少しだけ声を落としてセリカにそう声をかけた。
天井をぶち破って助けに来てくれた瞬間は、本当に童話の王子様か何かのようにも思えた男。さっきは自分を心配したことを指摘されて子どものようにムキになる情けない姿を見せて、そして今は──今まで見てきた、どんな汚くて身勝手な大人の誰よりも、遥かに大きくて頼りがいのある背中をしている。
セリカはまだ目に浮かんでいた涙を、制服の袖でぐしっ、と乱雑に拭い去った。そして、自分の愛銃をノノミから受け取り、チャキリとチャージングハンドルを引く。
「……あったりまえでしょ! アンタなんかに言われなくたって、あんな奴ら全員一瞬でハチの巣にしてやるわよ!」
不敵に、けれどどこか嬉しそうに笑みを浮かべたセリカの猫耳が、今度は戦うための鋭い意志を持ってピキィンと立ち上がった。
「上等。……俺があのガラクタ引き受ける。テメーらは周りの小汚ねえ奴らを引きつけな」
銀時は木刀を肩に担ぎ直し、迫り来る対空戦車を睨み据えた。
「へえ、いよいよあの動画みたいな活躍をおじさん達に見せてくれるんだ? 楽しみだな〜」
ホシノがショットガンを構えながら、お気楽なトーンでオッドアイを細める。
「おお、あの動画の光景がいよいよ目の前で見られるんですね☆」
「ん、特等席。楽しみ」
ノノミが機関銃の銃口をヘルメット団へと向け、シロコも愛銃を構えながら淡々と期待の目を銀時に向けた。
不良達が繰り出した戦車を木刀一本で制圧したという、あの「バズった動画」の再現を誰もが期待していた。
「バカ言え、あんだけネットでバズってたんだぞ? どーせアイツらだって学習して、今回はハッチをこれでもかってくらいガッチガチに硬く閉じてるだろーよ。あんな鉄の塊、力任せに叩いたってこっちの右腕が腱鞘炎になるだけだわ」
銀時は不敵に鼻で笑うと、木刀で自分の肩をとんとん、と叩く。
「だから今度は別のアプローチでサクッと片付けてやるさ。……行くぜ」
そう言って銀時がコンテナから飛び降りると同時に、他のメンバーも素早く夜の砂漠へと駆け抜けてゆく。
アヤネのドローンによる精密な空中支援を受けながら、まずはノノミがガトリングレディの名の通り圧倒的な弾幕を張って敵の動きを制限。たまらず遮蔽物に身を隠しながらも、様子を見るべく顔を出したヘルメット団を、シロコが正確無比な銃撃で確実に仕留めていく。さらに、パニックを起こして身を隠し続ける残党の元へとホシノとセリカが肉薄し、至近距離から容赦のない銃撃を叩き込んで戦線を完全に分断した。
仲間たちが完璧に周囲の雑魚を引きつけているその隙に、銀時は本命である対空戦車へと一気に肉薄していた。
しかし、今回の戦車はやはり前回の動画を研究し、銀時への対策を徹底しているようだった。懐に入り込ませまいと、車体に据え付けられた機関銃が火を噴き、凄まじい弾幕を張って銀時を拒絶してくる。
「おっとっと! 相変わらずキヴォトスの歓迎は手荒いねぇ!」
銀時はジグザグに、残像を残すほどの不規則なステップを踏んで弾丸の嵐を紙一重で避けながら近づくと、地面を力強く蹴って戦車の正面へと大きく跳躍した。
「かかった! このまま空中で吹き飛ばしてしまえ!」
今回の乗組員は相当に練度が高いのだろう。空中に逃げた銀時の動きを完全に見切り、巨大な『FlaK41改』の砲口はピッタリと銀時の身体を捉えていた。ゼロ距離での砲撃。回避不能の必殺のタイミング。
勝った、とヘルメット団の誰もが確信したその刹那。
宙に浮く銀時は怯むどころか、にやり、と底意地の悪い笑みを浮かべてみせた。
「吹き飛ぶのはテメーらだコノヤロー!!」
引き金が引かれるのと、銀時が両手で木刀を真っ直ぐに突き出したのは同時だった。
弾丸を撃ち出すために凄まじいガスが光を放ち始めた砲撃寸前の砲口──そのわずかな穴の中へと、銀時は狂いなく『洞爺湖』の先端を力任せに突き刺した。
「……え」
戦車の照準器を覗いていた乗組員の少女たちが、一斉に目を丸くした。
そうなると起こることと言えば……当然、砲身の破裂である。
完全に物理的な質量で出口を塞がれた状態のまま、8.8cmの砲弾が木刀によって強引に停止させられ。それを力任せに押し出そうとした激しい燃焼ガスは、行き場を失って砲身内で一気に膨張し──瞬時に限界を迎えて勢いよく暴発した。
ドゴォォォォォン!!!
「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」
自分たちの放った火力が内側から炸裂し、粉微塵となって吹き飛んだ戦車から、乗組員の少女たちが派手に夜空へと打ち上げられる。彼女たちはそのまま頭から砂漠へと溺れるように突っ込み、綺麗に足を天に向けて戦闘不能となった。
ちょうど同じ頃には、シロコたちアビドスメンバーも周囲のヘルメット団を既に片付け終わっていた。
『FlaK41改、沈黙……! ほ、本当に木刀一本で戦車を片付けちゃいました……!』
一番最初にあのバズ動画に釘付けとなっていたアヤネが、通信機の向こうで大興奮の歓喜の声を漏らす。
「ん、特等席どころかもっといいもの見せてもらえた。大満足」
「本当にすごいですね先生☆ あーあ、今のシーン、動画に撮っておけばよかったです……! またバズったのに!」
「うへ〜、あんな無茶苦茶な戦い方、よくやるよね〜。……本当に何者なの、先生ったら〜」
仲間たちからの大絶賛を受け、銀時は着物の襟をパタパタと仰ぎながら、これでもかと得意げに鼻の穴を広げた。
「いや〜、あんま褒めんなよ。銀さん照れちまうだろ? ま、これが本物のプロの戦車道ってヤツよ。お前らのいい勉強に──」
ふふん、と勝ち誇った顔で鼻を鳴らした、その瞬間だった。
ヒュルヒュルヒュル……と上空から虚しく回転しながら落ちてきた、爆風で遥か高くまで吹き飛ばされていたハズの愛用の木刀が、ピンポイントで銀時の脳天へとまっすぐ降ってきた。
ゴツン!!
夜の砂漠に、信じられないほど綺麗で鈍い音が響き渡る。
「ぶふっ」
銀時は鼻で笑うドヤ顔を完全に固定したまま、白目を剥いてゆっくりと、丸太が倒れるように前方へ向かって砂へと突っ伏していった。
静まり返る砂漠。倒れた白髪の男を囲み、一同は一斉に冷ややかな視線を突き刺す。
「「「『……かっこわる〜……』」」」
そんな冷ややかな空気が流れる中、三人に囲まれて頭から砂に突っ込んでいる銀時へと、真っ先に慌てて駆け寄ったのはセリカだった。
「ちょ、ちょっと! 先生! 大丈夫、先生!?」
セリカは銀時の傍らに膝をつき、その肩をガタガタと激しく揺さぶる。白目を剥いて完全に気絶している銀時のマヌケな顔を見て、その瞳には再びじんわりと涙が浮かんできた。
「しっかりしてよ、ねえってば! 私を助けるためにあんな無茶苦茶したのにバカじゃないの!? 死んだら承知しないんだからね!!」
必死に叫ぶセリカのその姿は、もう「変態白髪」と突っぱねていた頃のトゲは完全に消え失せていた。命懸けで自分を救い、目の前で規格外の強さを見せてくれたこのだらしない大人に、すっかり心を奪われてしまっているのは一目瞭然だった。
そんなセリカの様子を見て、隣にいたシロコが小さく「……ん」と声を漏らす。いつも感情を表に出さないシロコだったが、銀時の隣をセリカに占領されたのが面白くないのか、ぷくー、と目に見えて分かりやすく頬を膨らませた。そして、セリカを押し退けるようにして銀時のもう片方の脇にぴたりと寄り添う。
「先生、私のサドルバッグの粗塩、気付けに鼻に詰める?」
「シロコちゃん、気絶してる人にそれは追い打ちだから! ☆」
ノノミはセリカの必死なツンデレ泣き顔と、シロコのささやかな嫉妬の攻防を見て、口元を隠しながらくすくす、と楽しそうに微笑んでいる。
『あわわわ! 先生、大丈夫ですか!? 脈拍は!? セリカちゃん、ひとまず気道を確保して、頭を少し高く……! ああっ、すぐに救急箱と冷たいお水を用意しますから!!』
通信機の向こうでは、アヤネが完全にパニックになりながらワタワタと救急薬品や包帯の準備を始める音が、慌ただしく響いていた。
そんな少女たちの喧騒を、少し離れた場所から眺めていたホシノは。
「うへ〜、モテモテだねぇ、先生」
口元だけは、いつものように小さく、のんびりとした笑みを浮かべていた。
──けれど。
そのオッドアイの目の奥だけは、一切笑っていなかった。
ここまで読んでくださり本当にありがとうございます。
本編もそうですが小話もちょくちょく挟みたいなぁとは思いつつどーしたものかと。
勘で既出済みの生徒と銀さんを絡ませようか、時間軸をとりあえず考えずに絡ませるか……まあ、後々考えます。
感想評価など、送っていただけたらとても嬉しいです。
これからもよろしくお願いします。