機動戦士ガンダムSEED DESTINY ~空白の少女~ 作:割戸三葉
機動要塞メサイア。
議長室のモニターには、ダイダロス基地から送られてきた通信記録が表示されていた。
レクイエムの使用を、プラント最高評議会は支持しない。
さらにデスティニープランについても、その効果とリスクの両面から議論の余地がある。
そこに並ぶ言葉を最後まで読み終え、デュランダルは静かに目を閉じた。
最高評議会そのものが彼を否定したわけではない。
デスティニープランの撤回を求める決議が出たわけでもなかった。
だが、今まで自分の言葉に従って動いてきた者たちの中から、明確な疑問が上がり始めている。
デュランダルには、その意味が分かっていた。
「……議論の余地、か」
低く漏れた声に、室内の幕僚たちは反応しなかった。
誰もが正面を向いたまま、次の言葉を待っている。
モニターの端には、別の報告も表示されていた。
ステーション1はすでに構造崩壊が進み、レクイエムの中継施設として復旧できる状態ではない。
メサイア周辺でも防衛隊は消耗を重ね、エターナルを中心とする部隊がダイダロス方面へ前進を続けている。
「議長。すぐにステーション1の復旧は困難です」
参謀の報告に、デュランダルは目を開いた。
「そうか」
「ダイダロス周辺の防衛部隊も、残存戦力のみでは敵部隊を押し返すことは難しいと」
「それも分かっているよ」
声は穏やかだった。
怒鳴ることも、報告を責めることもない。
その落ち着きが、かえって室内の空気を重くしていた。
デュランダルは椅子へ深く背を預ける。
自分の手元に残されたものは、確実に減っていた。
ステーション1を失い、レクイエムは少なくとも今すぐ本来の役目を果たせない。
最高評議会にも、自分の進め方をそのまま受け入れる空気はなくなりつつある。
それでも、不思議なほど胸の奥には静かな部分があった。
デスティニープランを公表した時から、すべての人間が喜んで受け入れるとは考えていない。
遺伝子によって適性を知り、それぞれが最も相応しい役割を担う。
それを争いを減らすための答えと見る者もいれば、自由を奪うものだと考える者もいる。
反発が生まれることも、それを押し切るために大きな力が必要になることも理解していた。
それでも進めた。
世界は同じ過ちを繰り返してきた。
ナチュラルとコーディネイター。地球とプラント。
互いが互いを恐れ、憎み、そのたびに多くの人間が死んだ。
ならば、人が自ら争いを生み出す前に、その原因となる迷いや競争を取り除けばいい。
その答えが正しいと信じていた。
いや――。
今も、間違いだとは思っていない。
だが、自分が見つけた答えだからといって、世界が必ずそれを選ぶとは限らない。
最高評議会から届いた言葉は、その現実を改めて突きつけていた。
このまま終わるのなら、それも一つの結末なのかもしれない。
そんな考えが胸をよぎる。
デュランダルはゆっくりと息を吐いた。
そして、その思いを自分の中で閉じた。
ここまで来るために、多くの将兵が戦ってきた。
自分の命令を信じ、メサイアを守り、ダイダロスを守り、すでに帰らない者もいる。
その者たちの前で、議長である自分が先に諦めることなどできない。
まだ手は残っている。
残されているのなら、使うだけだ。
「ダイダロスの現在状況を」
「敵部隊は基地外縁へ接近中です。エターナル、ジュール隊、それにオーブのムラサメ隊とドム・トルーパーを確認しています」
戦術表示が切り替わる。
ダイダロス基地の周辺へ、複数の敵性反応が集まりつつあった。
どの部隊も消耗しているが、進撃速度はほとんど落ちていない。
デュランダルは表示を見つめる。
自分に残された時間は少ない。
使える戦力も多くない。
それでも、出来得る手はすべて打つ。
どのような手を使ってでも。
「ダイダロスへ通信を」
「議長自らですか?」
「その方が早い。繋いでくれ」
通信士官が端末を操作する。
やがて正面モニターの表示が切り替わり、ダイダロス基地との回線が開いた。
デュランダルは姿勢を正す。
「私だ。状況は聞いている。これより作戦を伝えるので、各部隊に伝えてくれたまえ」
その目は冷たく刃のように鋭かった。
---
灰色の月面を背に、傷ついたMS群がダイダロス基地へ迫っていた。
先頭を行くムラサメ隊は、すでに編隊飛行と呼べるほど綺麗な状態ではない。
片翼に焼け跡を残した機体、ライフルを失って残った武装だけで飛ぶ機体、スラスターの噴射が不安定な機体。
それでも互いの死角を補いながら、巨大な基地へ向けて進み続けている。
その近くでは3機のドム・トルーパーも同じ速度で前進していた。
装甲にはメサイア防衛隊との戦闘で受けた傷が残り、細かな破片が機体の周囲を漂っている。
ヒルダは正面モニターに映るダイダロス基地を見据え、機体状態を示す警告表示を一度だけ確認した。
「ようやく見えてきたわね」
「長かったな」
マーズの声に、ヘルベルトが鼻を鳴らす。
「ここまで来て、またメサイアみたいな数が出てきたら笑えねぇぞ」
「出てきても進むだけよ。あれを残して帰る気?」
「まさか」
短いやり取りの後、3機のドムがわずかに速度を上げる。
彼らの後方にはエターナルがいた。
その周囲をジュール隊が囲み、前方へ出たムラサメ隊とドムの後背を守っている。
イザークたちの機体も無傷ではなく、メサイア周辺で受けた被弾痕が各所に残っていた。
「ダイダロスまで、もう大した距離じゃないな」
ディアッカが周囲の反応を確認する。
「気を抜くな。まだレクイエムが残っている」
「分かってるって」
「なら余計なことを喋るな」
「はいはい」
いつものような返事だったが、ディアッカの声にも疲労があった。
それでも、誰一人として引き返す様子はない。
ステーション1が破壊され、レクイエムは現在の経路では照射できない。
しかし兵器そのものがダイダロスに残っている以上、いずれ別の中継施設を用意される可能性はある。
何より、一度はプラントを焼いた兵器をそのまま残して帰るという選択を、ここまで来た者たちは考えていなかった。
ムラサメ隊の通信に声が飛ぶ。
「レクイエムさえ潰せば、今度こそ終わる!」
「そのためにここまで来たんだ!」
「機体が動く奴はついて来い。ダイダロスまで一気に行くぞ!」
「了解!」
「了解!!」
返事が重なる。
そこに大きな声を出す余力のない者もいた。
だが、傷ついた機体は前へ進む。
いつ再び撃たれるか分からないレクイエムを止めるという一点だけが、疲労を押しのけていた。
その時、イザークが前方の異変に気づいた。
「……敵の動きが変わった」
ディアッカも戦術表示を見る。
ダイダロス基地外縁に展開していたザフト防衛隊が、少しずつ距離を取り始めている。
先ほどまでこちらの接近を阻むように位置していた機体が、基地側へ向けて後退していた。
「下がってるな」
「ああ」
「本国からの話が届いたか?」
ディアッカの問いに、イザークはすぐには答えない。
少し前、メサイア防衛部隊との戦闘中に、エザリアから最高評議会の決定は伝えられている。
最高評議会はレクイエムの使用を支持していない。
さらに、事態を早期に収拾するため、この戦闘を終結させるべきだという意向も示されていた。
イザークは、そのことをすでに知っている。
「それなら楽なんだけどな」
「敵が撃ってこないからといって勝手に決めつけるな。各機、警戒を維持しろ」
「了解」
ジュール隊は後退する敵を追わず、エターナルの周囲へ位置を寄せた。
前方ではムラサメ隊とドムも速度を少し落とし、基地の動きを窺いながら進んでいる。
やがてエターナルから通信が入る。
「前方のザフト部隊、交戦距離から離れています。こちらへの攻撃も停止しつつあります」
ラクスの声に、イザークは基地から目を離さず答えた。
「こちらでも確認している。だが撤退と判断するには早い。エターナルは今の位置を維持するべきだ」
「分かりました」
敵が下がっている。
それ自体は、こちらにとって好都合だった。
しかしイザークの中に残る違和感は消えない。
攻撃をやめるなら、そのまま基地を明け渡すのか。
レクイエムを破壊されると分かっていながら、何の抵抗もしないのか。
答えが見えないまま、ダイダロス基地がさらに近づいた。
その時、基地の巨大な外壁が動いた。
最初に声を上げたのは、前方にいたムラサメのパイロットだった。
「待て! 発射口が動いてる!」
全員の視線が同じ場所へ向く。
ダイダロスの一角。
レクイエム発射口を覆っていた巨大なハッチが、ゆっくりと左右へ開いていく。
「散開! レクイエムが来るぞ!」
ムラサメ隊が即座に左右へ広がる。
ドム3機も進路を変え、ジュール隊はエターナルの前面へ展開した。
「エターナル、照射軸を確認しろ!」
「計算中です!」
「急げ! 発射されたら避ける時間なんてないぞ!」
イザークの声が飛ぶ。
エターナルも艦体を傾け、発射口の正面から外れる方向へ進路を変え始めた。
巨大なハッチがさらに開く。
その奥から、レクイエムの照射設備が姿を現していく。
通信から声が消えた。
プラントを焼いた光。
アルザッヘルを消し去った光。
その威力を知っている者たちにとって、開いていく発射口を前に平静でいられるはずがない。
数秒が過ぎる。
誰もが次の瞬間に巨大な光が放たれると身構えていた。
しかし、何も起こらない。
さらに数秒。
発射口は完全に開いた。
それでもレクイエムから高出力の光が生まれる兆候はなかった。
「どうなってる?」
ムラサメ隊から戸惑った声が上がる。
エターナルの艦橋では、観測結果の確認が続いていた。
「照射設備に高出力反応なし。発射準備に入った形跡も確認できません」
「発射口だけを開けたということですか?」
ラクスの問いに、オペレーターは答えられない。
周辺のザフト機もこちらへ向かってこない。
基地外縁の防衛隊は距離を取ったままで、行く手を塞ぐMSは1機もいなかった。
イザークが目を細める。
「……妙だな」
「だな」
ディアッカも同じものを感じていた。
発射口が開いた。
敵は退いた。
レクイエムは撃たれない。
あまりにも都合よく道が開いている。
前方ではヒルダも機体を止め、発射口の奥を見据えていた。
「ヒルダ、どうする?」
マーズの問いに、ヒルダはしばらく答えなかった。
発射口の奥に敵影はない。
今なら、このまま内部へ入れる。
「怪しいわね」
「やっぱり?」
「怪しいに決まってるでしょう」
「じゃあ下がるか?」
ヒルダは鼻で息を吐く。
「下がって、次にあれが開いた時に本当に撃たれたらどうするのよ」
誰も返さなかった。
罠かもしれない。
しかし好機でもある。
敵が退いた今なら、レクイエムそのものへ直接近づける。
反対に、ここで慎重になりすぎれば防衛隊が態勢を立て直し、再び発射口へ近づくことすら難しくなるかもしれない。
エターナルから通信が入る。
「皆さん、内部の詳細な反応は確認できません。ですが、レクイエムを止められる機会がいつまで続くかも分かりません」
ラクスの声は落ち着いている。
「ムラサメ隊、ドム・トルーパー各機は警戒を維持したまま内部へ進入してください。ジュール隊はエターナルの護衛をお願いします」
「了解!」
ムラサメ隊から複数の返答が重なる。
ヒルダたちもすぐに機体を前へ向けた。
「聞いたわね。行くわよ」
「了解」
「ここまで来たんだ。最後まで付き合うさ」
3機のドムが加速する。
イザークは内部へ向かう機体を見送りながら、ジュール隊へ指示を飛ばした。
「ジュール隊はエターナル周辺を維持。防衛隊の動きを見失うな」
「了解」
「中に入った連中を追う必要はない。俺たちの役目はエターナルを守ることだ」
ディアッカがライフルを構え直す。
「こっちは任せろってことだな」
「最初からそう言っている」
先行するドムとムラサメ隊が発射口へ近づいていく。
巨大な開口部は、複数のMSが同時に進入しても余裕があるほど広い。
その奥にはレクイエムを構成する設備や支持構造が、暗い空間の中を幾重にも走っていた。
ヒルダのドムが最初に内部へ入る。
マーズ、ヘルベルトが続き、その後ろからムラサメ隊が次々と発射口を越えていった。
「内部、敵影なし」
マーズがセンサーを確認する。
「熱源はあるが、ほとんど設備のものだ」
「前へ進む。左右も見て」
ヒルダの声に、後続のムラサメが応じる。
「了解。こちらも警戒を続ける」
基地内部は広い。
しかし宇宙空間のように自由に動ける場所ではなかった。
巨大な支持柱が視界を区切り、整備用の足場や配管が進路を狭めている。
大型MSが数機並んで通れる空間はあっても、急な回避をすれば構造物へ衝突しかねない。
ムラサメ隊は自然と隊列を細くし、ドム3機の後ろへ続いた。
「レクイエム本体までは?」
「もう少し奥だ。構造図と現在位置を照合中」
「急げ。でも隊列は崩すな」
傷ついた機体ばかりだった。
内部で不意を突かれれば、外ほど自由には逃げられない。
誰もがそれを理解している。
それでも前へ進む。
最後尾のムラサメも発射口へ入った。
外ではイザークが、その機体が闇へ消えるところまで見届けていた。
「突入隊、全機内部へ」
ディアッカが報告する。
「ああ」
「これで本当に敵が何もしなかったら、俺たち相当疑い深いな」
「そうだったら笑ってやる」
イザークはそう答えながらも、周辺から視線を外さなかった。
後退した防衛隊の反応は、まだセンサーに残っている。
距離は開いているが、戦場そのものから離脱してはいない。
その瞬間、発射口の奥を低い振動が走った。
ヒルダが振り返る。
大きく開いていたハッチが、左右からゆっくりと中央へ向かって動き始めていた。
「……発射口ハッチが閉じるわ!」
その一言で、突入隊の空気が変わった。
最後尾のムラサメも、すでに発射口からかなり奥へ進んでいる。
ここから引き返しても、全機が外へ出る前にハッチが閉じる可能性が高い。
ヒルダは一瞬だけ距離を見て、そのまま機体を前へ向けた。
「戻らない。このまま進むわよ」
3機のドムが加速する。
ムラサメ隊もそれに続き、閉じていく入口を背にレクイエムの中枢を目指した。
ほぼ同時に、外でもダイダロス防衛隊が動いた。
距離を取っていたMS群が一斉に反転し、エターナルへ向けて加速する。
最初のビームが届くより早く、イザークはジュール隊を艦の前面へ展開させた。
「全機、迎撃! エターナルへ近づけるな!」
ジュール隊が散開する。
傷ついた機体同士が位置を入れ替え、飛来するビームをかわしながら反撃した。
エターナルも対空火器を開き、防衛隊との間に無数の光が交差する。
イザークは敵を牽制しながら発射口を見る。
ハッチはすでに半分ほど閉じていた。
罠だった。
その考えが浮かんだ直後、内部からも戦闘開始の報告が入る。
照明の落ちた設備の陰から、複数のMSが姿を現す。
側面の整備区画だけではない。
上部の構造物や、突入隊が通過した後方からも防衛隊が現れ、狭い通路へ一斉に火線を通した。
最初の攻撃でムラサメ隊の陣形が崩れる。
だが、混乱は長く続かなかった。
先頭のドム3機が正面の敵を押さえ、その後ろでムラサメ隊が左右へ広がる。
正面へ火力を集中させながら、後方へ回り込もうとする敵も別の機体が牽制した。
内部は狭く、外のように自由な回避はできない。
基地の防衛隊は構造物を盾にしながら、突入隊を奥へ進ませまいと射撃を重ねる。
それでもムラサメとドムは互いの死角を補い、少しずつ前線を押し上げていった。
被弾したムラサメが鉄骨の陰へ下がる。
その前へ別の機体が入り、火線を引き受ける。
ドムの射撃で正面の敵が退いた瞬間には、数機のムラサメがその隙を抜けてさらに奥へ進んだ。
もう入口へ戻るという選択肢は消えていた。
外部との通信にも雑音が増えている。
それでも辛うじて残った回線から、ヒルダはイザークへ状況を伝えた。
「こっちはこのままレクイエムへ行く!」
返ってきた声の向こうでも、激しい戦闘音が続いていた。
外ではジュール隊がエターナルを守りながら、防衛隊の攻撃を受け止めている。
イザークは一度、発射口へ向かおうとした。
だが、その動きを見た敵がすぐに進路へ回り込み、同時に別の部隊がエターナルへ攻撃を集中させる。
イザークはそこで相手の意図を理解した。
発射口を開き、レクイエムを破壊しようとする戦力を内部へ誘い込む。
十分に入り込んだところで入口を閉ざし、外に残ったジュール隊と切り離す。
そのうえで両方を別々に叩く。
単純な罠だった。
だが、レクイエムを止めるためにここまで来た以上、あの好機を無視することもできなかった。
「……最初から、これが狙いか」
イザークは発射口から視線を外した。
今ここでジュール隊まで内部へ向かえば、エターナルが無防備になる。
敵が狙っているのも、まさにそこだった。
「陣形を崩すな! エターナルを守れ!」
ジュール隊が艦の周囲へ戻る。
ディアッカの射撃が接近する敵の進路を塞ぎ、イザークたちはそこへ斬り込んでいく。
内部でも戦況は同じように激しくなっていた。
ドム3機が前方を押さえ、ムラサメ隊がその隙から奥へ抜ける。
損傷の大きい機体は後方へ回り、まだ動ける機体を援護した。
防衛隊も次々と新たな位置から姿を現す。
それでも突入隊は止まらない。
彼らの目的は敵を全滅させることではない。
レクイエムを破壊することだ。
その一点だけを目指し、敵を押し退けながら進み続ける。
やがて発射口のハッチは、残り僅かな隙間を残すだけとなった。
それもやがて閉じられ、暗闇の基地内部はビームの光だけが走るようになる。
誰が撃ったものなのか、外からではもう判別できない。
イザークは戦いながら通信を開く。
「突入隊、聞こえるか!」
激しい雑音の中から、ヒルダの声が返る。
「聞こえてる」
「俺たちも入口を――」
「こっちのことはいい」
ヒルダは即座に遮った。
「私たちはレクイエムを潰す。そっちはエターナルを守れ!」
イザークは一瞬だけ黙った。
その間にもハッチは閉じ続けている。
「……必ず止めろ」
「そのつもりよ」
通信が大きく乱れた。
最後に残った隙間から内部の閃光が一度だけ漏れる。
次の瞬間、巨大なハッチが完全に閉じた。
内部との通信は、ほとんど雑音だけになった。
イザークは閉ざされた発射口を見つめる。
しかし敵は待ってくれない。
横から飛んできたビームをかわし、そのまま正面のMSへ斬り込んだ。
「中は任せるぞ……!」
ジュール隊が再びエターナルの周囲へ集まる。
巨大な隔壁の向こうでは、ムラサメ隊とドム・トルーパーが退路を失ったままレクイエムへ向かっている。
外ではジュール隊がエターナルを守り、ダイダロス防衛隊を迎え撃っていた。
ほんの少し前まで、同じ場所を目指していた部隊は完全に二つへ分けられた。
互いの姿はもう見えない。
それでも戦いは続く。
外ではエターナルを巡って。
内ではレクイエムを巡って。
分断された二つの戦場で、砲火はさらに激しさを増していった。