機動戦士ガンダムSEED DESTINY ~空白の少女~   作:割戸三葉

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04.女王との謁見

『対象機、撤退を開始』

 

レイが呟く。

 

「……逃がすかよ!」

 

シンがインパルスを急加速させた。

 

『シン、待て! 戻れ!』

 

アスランの声。

だがシンは止まらない。

 

「あと少しなんだよ! ここまで好き勝手やっといて、逃げられてたまるか!」

 

インパルスが単独で白いMSを追いかける。

 

『なにがあと少しだ! このままでは――戻――』

 

デブリ帯で通信状態悪化する。

 

「くそっ……!」

 

しかしシンは尚も前へ出る。

いいように弄ばれた、あの白いMSを目指して――

 

 

 

****

 

 

 

暗いデブリ群の向こうで、それは静かに停止していた。

待っている……そう見えた。

 

『接近継続を確認』

 

オープン回線であの少女の声が聞こえてくる。

 

空間支配(クイーンズ・ウェブ)を再展開します』

 

次の瞬間、ドラグーンが再び散開する。

赤線――

だが、今度のシンは止まらなかった。

 

「もう見えんだよッ!」

 

インパルスが急加速。赤線の隙間へ機体を滑り込ませる。

ドラグーンからのビーム――回避。

赤線――ビーム――回避。

普通なら不可能な軌道。

だがシンは強引に突破していく。

 

『……』

 

白い機体が僅かに動きを見せる。

そして次の瞬間、白いMSからドラグーンが追加で射出、再配置される。

だが、一瞬遅い。

 

「そこだぁッ!」

 

ビームライフル発射。

ドラグーンが1基爆散した。

 

『ドラグーン損失を確認』

 

少女の声は変わらない。

だが、赤い蜘蛛の巣に僅かな綻びが生まれた。

 

「やれるじゃねぇか!」

 

シンはさらに踏み込む。

赤線が減る。

包囲密度が落ちる。

そこへインパルスが突っ込む。

 

2基目、3基目――

 

ドラグーンが撃ち落とされていく。

 

『空間支配率低下…接近を許容』

 

それでも少女の声は淡々としていた。

だが次の瞬間、シンが突っ込んだ。

 

蜘蛛のような赤い線。強制的な回避誘導。精密射撃――

その全てを超えて、インパルスが真正面から踏み込んでくる。

 

初めて白い機体が大きく動いた。

旋回、同時に指先展開――ヒートクローが閃く。

だが、シンの動きは止まらない。

 

「うおおおおッ!!」

 

インパルスのビームサーベルが振り抜かれる。

そして閃光。

次の瞬間、インパルス背部が、敵のヒートクローによって切り裂かれる。

同時にレギナント左側スカート装甲が爆散した。

 

衝撃波と火花、そして警告音。

両機が弾き飛ばされる。

 

「っ……!」

 

シンが操縦桿を引き戻す。だが反応が鈍い。

攻撃を受けて背部スラスターの機能が失われていた

インパルスが制御を失い、デブリ帯へ流されていく。

 

その向こう。

白い機体もまた大きく姿勢を崩し停止していた。

砕けたドラグーン残骸が周囲を漂う。

 

だが、白いMSはまだこちらを見ていた。

残存しているドラグーンを展開、赤線形成

 

シンの喉が鳴る。

 

「まだやるのかよ……!」

 

インパルスがビームライフルを構える。

だが推力不足のせいで照準が安定しない。

完全に推力ユニットが破壊されていた。

しかし、相対する白い機体もまた微動だにしない。

 

長い沈黙。

 

突然、ドラグーンの光が消える。

赤線も消失。

完全停止。

 

「……は?」

 

シンが眉をひそめる。

撃墜した――そう判断するにはあまりにも静かだった。

 

だが機体はまだ爆発していない。

コクピット反応も微弱ながら残っている。

 

「……なんなんだよ、お前」

 

シンはビームライフルを向けたまま動けない。

今なら撃てる。

だが、引き金を引く気にはどうしても湧かなかった。

 

 

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