転生者やめなって!キヴォトスでモビルスーツをばら撒くのは恥ずかしい行為なんだよ! 作:食卓の英雄
Q.転生者はどのくらいいるの?
A.最低でも2万人以上。コロニー立てまくったり死んだ後キラキラ空間でROMってたりで詳しい人数は把握できていない。殆どが開拓やコロニーにいるためキヴォトスに来るのはごく一部。
Q.ザク使ってるけどジオンなの?
A.最初のモビルスーツといったらザクだろ!というノリで作られたが、敵もおらず、みんな乗りたがったため生産性とデスルーラ時のコストを考えた結果ザクまみれになった。
正直作業するのにビーム兵器やトンデモ機動力とかは不要。その分のコストは移動手段や開拓などに使われた。技術的には全然もっと上にいる。
『うわあぁぁぁぁっ!?』『一撃で。一撃で、撃破か…!?あのマシンガンは、戦車砲並みの火力を持っているのか…!?』『あの巨体でこんなに動くのか!?』『クソッ、撃て!ってー!』『よしっ!どうだ!?……ぎゃあっ!??』『バカな。直撃のはずだ…!』『く、来る…!うわぁっ!?』『蹴り飛ばしただと…』『速い…。何という運動性…!』『待て、離せっ…!うわぁぁぁぁぁっ!??』『隊長ぉぉぉっ!』
砂漠に幾度の轟音と悲鳴が轟く。
放たれる火砲が空を立て続けに揺らし、けれど勝ち鬨の声を上げることなくそれ以上の暴力でもって蹂躙される。
クルセイダー巡航戦車を操る者たちは各々に動き、攻撃を加えていくものの、鈍重に見えるソレは外見とは裏腹に回避行動を取り、その運動性能は戦車とは比べ物にならない。
単純な走力で見るならば勝負になるかもしれないが、戦闘機動や自由度は遥かにソレの方が高かった。
相手の手元が輝くたびに、重量級であるはずの戦車が吹き飛び、弾幕の密度は数で勝る戦車隊を遥かに超え、戦車では回避も困難だ。
しばらく悲鳴と砲声が轟いたかと思うと、ある兵士の悲鳴を最後にぱったりと消える。
「……全滅、だと…」
そこから少し離れた位置にある基地にて、 ドローン越しにその映像を見ていた人物が呆然としたように呟く。
大柄な機械人である彼は、ここカイザーPMCの理事を務める男である。当然、大企業であるカイザーの系列であり、中でも軍事を司る部門であることから、個々人の戦闘力であるならともかく、その質と量には自信を持っていた。
それも当然と言えるだろう。ここ、キヴォトスにて起こる不良の暴動や事件において、戦車なんて1台あれば驚愕される程度には強力で高価な代物なのだ。
そして資金力にものを言わせたカイザーは多くの戦車を保有しており、中でもクルセイダー巡航戦車は3大校の一角であるトリニティで制式採用が為されている戦車だ。
その1個大隊が、ものの数分で全滅。しかも相手側に与えた損傷は軽微で、撃破数はゼロ。
的が大きいだけに、その戦果は考えられないものだった。
食い入るようにモニターを見つめるPMC理事のカメラアイに映るのは、最早無事な箇所など無いような程に壊された戦車の亡骸の群れに佇む、3体の緑色の単眼の巨人。
「どうです?我々のモビルスーツの力はご理解頂けたでしょうか」
そして、彼の背後からそう語りかけるのは、黒いサングラスをかけた優男風の男。それも機械人や獣人などではなく、ここキヴォトスでは存在しないはずの大人の男性であった。
投げかけられた声にハッとしたPMC理事は、服装を整えると、気を取り直して男へと向かい合った。
「いやはや、モビルスーツ。確かに素晴らしいものだった。あの巨体ながら戦車などよりも軽快に動き回り、40mm砲をも寄せ付けぬ装甲に、たった一発で戦車をお釈迦にする砲弾を機関銃の様に連射出来る武装…。どれを取ってもとてつもない兵器だ。……まさか、我がカイザーPMC精鋭である戦車大隊がたった数分で片付けられてしまうとは…」
PMC理事は、脳裏で開発計画を進めていたゴリアテの改造品を思い浮かべる。
既存のゴリアテを改造した専用機の予定だったが、巨大な人型機動兵器というカテゴリで見れば似たような代物にも思える。
だがしかし、ゴリアテのサイズや操縦席などという点で見ればそれはモビルスーツに劣り、またゴリアテでは精密作業や多岐にわたる作戦行動は不可能だ。
まして、こうして複数生産されデモンストレーションに使われるくらいなのだから数もあるのだろう。
「そうでしょうとも。操縦に慣れさえすれば、人の体のように扱うことが出来、人と同じ五指のマニピュレーターは多くの武装や作戦行動が可能なのです。的が大きいというデメリットはありますが、超硬スチール装甲に加え、人型ゆえの機動力で補うことが出来ます。正に次世代の兵器と言えるでしょう」
PMC理事の賛辞に得意げに語る男。自身の最大の機甲戦力がなす術なくやられたというのに、PMC理事が冷静であることには理由がある。
どこか興奮を隠せないといった様子のPMC理事は、冷静さを装いながらも強く問いただす。
「それで、モビルスーツを我々カイザーPMCに売りつけたい、ということだったな?」
渡された資料に目を通していたPMC理事は、その脅威のスペックや整備性やエネルギー効率などのデータを更に確認し、価格を見て頬を緩ませる。
あれだけの暴れっぷりを見せていながら、その価格は旧式の戦車5両程度といった所。キヴォトスでは武器などの価格帯が相応に下がっていることを考えても、破格の値段だ。
「ええ。カイザー系列の軍事部門ともなれば、このモビルスーツの性能をご理解頂けると思ったゆえです。資金力も相応にありますので、あわよくば…といった次第ですね」
「ふふふ…そうか。貴様……いや、貴方方の企業は見る目がある。キヴォトスの外からやってきた企業だと聞いて疑ったが、こちらの想像を超えてきた。……いいだろう。あのモビルスーツ、いくつか見繕ってもらおう。どの程度用意できる?」
「ええ、はい。今直ぐでしたら、5日以内にザクⅠが20機。新型のザクIIは5機程は確実にお届けできます」
「ほう…!それは素晴らしい!では全て買わせてもらおうか!」
「…全て、ですか?それはこちらとしても願ったり叶ったりですが、本当によろしいのですか?」
「何、不安がることはない。私はこのモビルスーツという兵器にそれだけの価値があると思っている。真に価値あるものには金を惜しまんよ。それに数があれば慣熟訓練も進みやすい。我々カイザーPMCが先導者となる訳だ」
「それはそれは。……了解しました。それではこちらの書類にサインを」
「ふふふ、御社とは長い付き合いでいたいものだ。
「ええ、私もです。カイザー程の重客はキヴォトス全土で見てもそうはいませんからね」
二人の男が悪どい笑みを浮かべる。その様子はさながら古いドラマの悪代官の様であったが、それを指摘する者はどこにもいなかった。
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ここは神秘の匣庭“キヴォトス”
空には光輪が浮かび、多数の学園が国家の代わりのように君臨する世界。そこに住む人々は生徒、獣人、オートマタとして分類される。
生徒は頭上にヘイローと呼ばれる非実体性の光輪を持ち、神秘とされるものを内包している。外見的特徴は一般的な人類に近いものの、角や長耳、動物的な特徴を有していたりと差異がある。そして、生徒はみな成人前の女性で構成されている。
獣人、オートマタらは人間として、大人として存在しており、生徒らと違ってヘイローを持つことはない。
キヴォトスは、彼らを主体に廻っているのである。
だがしかし、このキヴォトスにおける共通点として、彼らは非常に頑丈な存在であることが挙げられる。
人間ならば即死するような弾幕や爆発であってもその肉体を貫くことはなく、複数発程度の銃撃はその身で受けても平然としている。
銃撃や爆発が致命傷足りえない存在。死の存在が遠い故に銃の引き金は軽く、小競り合い感覚で激しい銃撃戦が起こるという、外の世界からすれば異質な常識がこの世界を覆っていた。
また、それらに目がいきがちで注目されにくいが、その技術力や個人間の力量などにも大きく差異が出たり、いわゆるオカルティックな存在が潜んでいる噂もあるのだとか。
そんなキヴォトスにおいて、随一の科学力を誇る学園がある。
ミレニアムサイエンススクール。
あらゆる技術の最先端を行き、機械工学や電子制御、学術算術等に始まり、多くの研究を進めている学園だ。
キヴォトスにおける最先端、最新鋭とされるものの多くはこのミレニアムサイエンススクールから開発されたものであり、その影響力は新興でありながら古い歴史と文化を持つ「ゲヘナ学園」や「トリニティ総合学園」とも並んで“三大校”とも称される程。
しかし、そのミレニアムサイエンススクールでさえもこの星の内に留まり、無人の探査機を飛ばす程度で、直接降り立った天体は最も近い衛星である月に留まっている。
それも当然だ。宇宙へと飛び出すには技術は勿論宇宙空間への耐性や訓練が必須。いくら頑丈なキヴォトスの者といえど、宇宙空間では短時間で死に至る。
孤立無縁の暗黒宇宙の中では、銃撃戦に耐えられる体を持っていても、安全性など保証できない。
しかし、
星の海を征く巨大な船が列を成し、大気の中では考えられないほどの速度で進行する。
目指す先には巨大な円筒状の構造物。それは
スペースコロニーの内部に広がる大地には緑が広がり、街や施設が建設され、人々が行き交っている。特に軍事施設は顕著に目立っているのか、発着場には多くの宇宙船や人型の機動兵器、モビルスーツがコンテナを運搬していた。
キヴォトスの誰も存在を把握しておらず、またこれを成した存在はこの世界の存在ではなかった。
転生者。この世界の外から訪れた存在達によって、この宇宙に人の活動範囲は広げられたのだ。
彼らはいつの間にかこの世界に存在しており、実体を持たない存在として現れた。彼らは独自のネットワークを介して交流を深め、意見を出し合い、そしてある共通点を持っていた。
――『機動戦士ガンダム』
そう呼ばれるSF作品に関して何かしらの関わりを持っていることだった。
転生者達の意識は謎の空間*1にあり、外部に干渉するために肉体を経て受肉し、作業にあたったのだ。
当初はこの異様な事態に混乱と疑問が沸き起こってはいたものの、各々で話し合いながら活動を進めることで、自然と落ち着いていった。
そして判明したいくつかの事実。彼らは実体を持たない精神生命体の様なもので、受肉した身体が死んだとしても、再び謎の空間に引き戻されること。仮想の肉体は一般的な人との差異はなく、かつての姿を小綺麗にしたような外見をしていること。そして前世の世界における一大コンテンツを築いた作品『機動戦士ガンダム』に登場する架空の技術を身に着けていることだった。
何かきっかけがあったわけではない。ただ漠然と出来ると感じて、それが可能であったというだけだ。
そんなこんなで、突然宇宙空間での活動を余儀なくされた彼らだったが、幸いにも機動戦士ガンダムにおける知識は宇宙で人が活動するための糧となった。
宇宙を漂うコロニーと共にこの世界に現れた彼らは、その知識と限られた資源を活用して、宇宙空間でも活動可能な地盤を整え、暫しの放浪と探索の末、人類文明の発達した星、キヴォトスへと降り立ちその勢力を広めていったのである。
彼らはキヴォトスにおいては珍しい人型の大人の人物であったが、優れた科学技術を応用したパワードスーツの着用や外の世界から来たというこの地にある類似した存在を隠れ蓑にしてキヴォトスの地に根を下ろしたのであった。
銃弾、爆発、事故傷害。あらゆる破壊と暴力が渦巻くキヴォトスにおいて、戦闘行為に必要な兵器産業や破壊のたびに訪れる復興のための作業用機械などは容易く受け入られていった。
彼らは幾つかのグループに別れ、キヴォトスにおける経営のメインは『ジオニック』『ツィマット』『MIP』など会社を筆頭に有するジオン系列グループと『タキム重工』『ヤシマ重工』『ボウワ』など多くの傘下を有するU.C.連邦*2系列グループなどは目覚ましい業績を叩き出し、新進気鋭ながらに実力派企業として名を馳せた。
そんな折に、その一つである『ジオニック』社が新商品として人型機動兵器である『モビルスーツ』を発売した。
パワーローダーやゴリアテ等、これまでにも大型の人型兵器は存在していた。
だがしかし、モビルスーツは既存のそれらを過去のものにする自由度と汎用性を持っていたのだ。
パワーローダーよりも遥かに馬力が高く、安全性や運動性は圧倒的に上。
ゴリアテよりも搭乗者への保護性が上で、マニピュレータに射撃・格闘武装を携行できることで固定武装とは違い、状況に応じて適応した装備に換装が可能。
無論、刃が立たないという訳では無い。
けれど、圧倒的な汎用性とコストの低さ。既存の兵器とは異なる制御システム等から見ても、魅力的な兵器だった。
とはいえそれも実物を知らなければ尻込みするもの。
現にこの兵器の発表直後の反応は芳しいものではなかった。いくら名を挙げていた企業とは言え、完全新規の兵器に払うには旧式とはいえ戦車5両に匹敵する値段は高く、逆にゴリアテなどを知っている層からはその価格の低さから、誇大広告だろうと性能を低く見られていた。
加えて、それらの兵器会社や小売店で仕入れられないということは、市井で触れる機会もないということで、一般の生徒や企業などはその殆どが名前すら知らないという有様であった。
故に、彼らはここキヴォトス最大手の企業である『カイザーグループ』系列の民間軍事会社『カイザーPMC』へと売り込みを仕掛けたのである。
懐疑的だったカイザーPMC理事も模擬戦を通してその性能が偽りではないことを理解したようで、この先モビルスーツの時代が来ると確信したらしい。
故に今ある在庫分を全て買い付け、慣熟訓練とモビルスーツを用いた部隊編成を急ぎ、他が尻込みする中でスタートダッシュを決め込んだのである。
良くも悪くも力があり動向に目を向けられているカイザーの軍事部門が動いたという事実は、モビルスーツという核心には至らぬまでも、同時期のジオニックの動きから両企業間で何らかの取引が成されたという噂は同業者内で瞬く間に広がり、ジオニックにも注目が集まることとなるのであった。
また、この後に起こるとある事件がモビルスーツの知名度を大きく上げることになるのだが、それはまだ預かり知らないことである。
人物紹介
『総帥』
何かファーストペンギンしてたら総帥になった人。ちょっと色気のあるオジサン。掲示板上ではふざけるが、普通にいい人。人望はある方で、頼り先としては間違いないという共通認識をされている。
最近の悩みは腐女子の転生者から自分が受けのナマモノ本を送りつけられること。
初ガンダムは逆シャア。
専用機として指揮官仕様の青いギラ・ズール(ブレードアンテナ付き)を保有している。
このギラ・ズールは他の技術なども取り入れて専用のカスタムが施され、ジェネレーター推力は3060kw、スラスター総推力107000kgと同世代の専用機にも劣らない程の魔改造を施されている。
総帥ということでキヴォトスにばら撒く予定のMSを凌駕する性能であり、外見上の技術差がバレにくい機体が選ばれた。
ヅダに乗って星になったことがある