じっくりと弾を観察する。後ろにあった大きな弾だが、妖夢が斬りつけた瞬間に無くなっている。
弾を見る感じ、大きな弾を斬りつけて大量の弾を出した感じか。妖夢の後ろでは大きな弾がまだまだ広がっていっている。定期的にアレを斬りつけて小さな弾幕を生み出すのだろう。
小さな弾達のの速度は、差があるが余り速くない。もう少しだけ観察する猶予がありそうだ。
しかし、今のところいい避け方や逃げ場所が見つからない。弾の斬りつけられた弾一つ一つの広がる方向が微妙に違っているため、どうしてもその場その場の対応が必須になるだろう。
そう考えていた刹那、張り巡らされた弾幕が段々と速度を上げ始める。
「っ!やばっ!?」
私は咄嗟に右へと体を反らし、正面の小さな弾を躱す。すぐさま体勢を立て直そうとするが、すでに次の弾が正面からから一つ、左斜めから二つほどが来ていた。
私は体勢を立て直すことを諦め、スカートめくれないように手で押さえながら更に右へと体を預ける。
来ていた弾は私がいたはずの場所をすり抜けたことを確認しながら、次に来る弾へと目を向ける。
体勢を立て直す余裕は一切ない。大きい弾の間にいる私の右肩を小さい弾幕が掠めていく、その前には中くらいの弾が三つ、左からは小さな弾が一つ来ているのを確認すると、正面と左の弾の間が埋まるギリギリを瞬時に速度を上げて滑り込む。
しかし、滑り込んだことを私は後悔する。
そこは大きい弾が左に、先ほど正面から来た弾が右に、後ろには左から私の後ろを通るように広がっていた弾があり、一瞬だが完全な袋小路になっていた。
そこへ、私にトドメと言わんばかりの弾が来る。
♦♦♦
私の弾幕が、魔理沙を追い詰める。一瞬できた袋小路だが、弾の大きさで速度が若干違うため後ろ側にほんのわずかにすり抜ける隙間ができていたのだが魔理沙は気づかない。当然だ、人間の目は360°いつでも見れるわけじゃないし、私だって後ろに退路がないことを確認したら前にしか集中しない。
私は勝利を確信した。魔理沙から早くなけなしの春をとり、後の二人を追わねば…。
次の行動へと思案に更けていた私は、直ぐに勝利の確信を手放す。
魔理沙からとんでもない量の魔法の集約を感知すると、咄嗟に回避の姿勢を取り直す。
直後、一本の小さな光が私の左を通過する。
おそらくこれは、魔法の余波であり、これから通る光の通過点。
「─────恋府「マスタースパーク」。」
魔理沙がそう言い終わると、集約していた魔力を一直線に解き放つ。
「んなっ!?」
私は全力で右へと空気を蹴り、姿勢が崩れることを承知の上で前のめりになる。
放たれたのは、私の体の何十倍もあろうかというデカさをもつ光線。前のめりになったことが功を奏したのか、ギリギリで避けきれた。…私は。
「は、半霊がぁ~!!?」
私は半人半霊の家系であり、私の周りを常に浮いている幽霊がいる。
決して痛みを共有しているだとかそういうわけじゃないが…。私の半身であることに変わりはない。
そんな私の半霊が、私のそばにいた半霊は回避が間に合わず被弾してしまい、ものすごい勢いで吹っ飛んでいった。
「あぶなかった…。いい弾幕だったな、あまりの剣技の美しさに油断してたぜ。」
「わっ私の半霊をよくも…!」
「半霊?なにいってるかわからんが、そういえば名乗りだけでスペカの枚数宣言をしてなかったな。私は今打った一枚だけで十分だ。もう油断はしないからな」
「1枚で十分…。その発言、後悔しないでくださいよ。」
「ああ、するつもりはないぜ。で、そっちはあと何枚で私を仕留められるつもりでいるんだ?」
「あと1枚…でいいでしょうが確実に貴方を倒す為に2枚にしましょうか。」
「その心意気でいいと思うぜ。」
若干上から目線のその態度にムッと来たが深呼吸をつけて落ち着かせる。感情的になってしまうと弾幕ごっこにおいて不利だ。
「貴方のその根拠のない自信を、完膚なきまでに叩きのめしてさしあげます!」
私はそう宣言したと同時に、弾幕勝負が再開されたのだった。