ちなみに、タイトルの宵薬は酔い薬で普通にお酒のことです。なんとなく中二病っぽくしてみました。
中二恋、そりゃ昔の作品なので今の時代見てる人が少ないしれませんがマジで見てほしい。マジで。神なので。
そして私のためにもっと二次創作をみんなが作って供給してください。
時計の針がチクタクと動く音がリビングに鳴り響く。
悶々と勇太は次に六花になんと声をかけるべきか迷っていた。
「まずは可愛いって言ったのは間違いじゃないって訂正するべきか?
それともここは何も気にしていない風を装って男らしい余裕をアピールするか?
それとも...」
ガチャ、とドアが開いた。
まだ言葉はまとまっていない。
だが、何か話さねば。と無理やり口を開こうとする。
「りっ「勇太」
それを、六花が遮った。
驚き、硬直する勇太に六花は続けた。
「今日、一緒に寝たい。部屋で待ってる」
それだけ告げて、そそくさと勇太の部屋に引っ込んでいってしまった。
六花の可愛らしいアホ毛の残像が、まだ勇太の目には焼き付いていた。
◆◆◆
温かいシャワーを浴びながら、勇太の脳はそれ以上に熱を帯び、思考がスパークしていた。
(おおおおおおお落ち着け富樫勇太17歳、あの六花だぞ、いくらキスまで行ったとはいえもう少し間に段階ってものがあるだろう!
まさか俺、本当に卒業しちゃうのか!?
いやいや早まるな、ここは男側の我慢が大切だ。
決して勢い任せに六花を傷つけるようなことはしてはならない!
例え我が破壊の運命を持つダークフレイムマスターだとしても!
ああでも、さっきの六花可愛かったな...念の為、身体は丁寧に洗っておこう...)
あまりの緊張に、中二病だかなんだかよくわからない病気が発動していた。
風呂から早々に上がり、勇太は自身の身体の異変に気がついた。
風呂上がりとはいえ、妙に身体が熱い。
クリスマスパーティで食べたケーキでは酔わなかったのだが。
疲れ度合いなどにも左右されると言うし、そういう関係もあるのだろう、と自分を納得させ、思考を切り替える。
パジャマに着替え、ゆっくりと六花の待つ自室へと歩みを進める。
そして、ドアの前で立ち止まり、ノックを2回。
「六花、いるか?」
「...どうぞ」
「どうぞっていっても俺の部屋だけどな」
とつっこみつつ中に入ると、ちょこんと勇太のベッドに座る六花の姿があった。
髪は少ししっとりと濡れており、それが普段とは違う艶めかしさを演出している。
パジャマは当然のように漆黒で、そこに薔薇の柄が目立たない程度に散りばめられていた。
まだ夏ではないとは言え6月。
すこし蒸し暑くなって来たので半袖だ。
そのせいで六花の白い肌がふんだんに露出しており目に悪い。
特に六花の白い太ももが部屋の電球の光を反射しており、いかんというのに目が吸い寄せられる。
平静を保つため、コホン、と咳払いを一つ入れてから話し始める。
「じゃ、じゃあ寝るか」
「うん」
六花がベッドで横になり、ぽんぽんと隣を叩く。
「ゆーた、来て」
六花が自分を呼ぶ声が先ほどまでより柔らかくなっており、その変化に勇太の心臓が跳ねる。
「お、おう」
勇太の声は少し裏返っていた。
勇太がベッドに足を乗せると、ギシ、と音を立ててベッドが少し軋んだ。
びく、と六花は身体を震わせ、壁の方に身体を向け、勇太に背中を向ける形になる。
なんとなく勇太も小っ恥ずかしくなり、六花に背中を向けて横になる。
体勢が定まらないのか、もぞもぞと動く六花の背中が勇太の背中に軽く触れた。
今度は勇太がびくりと身体を震わせ、緊張が走る。
しかし、ほう、と六花が息を吐くのを感じとり、勇太の方も緊張を解いた。
そして、互いに背中から伝わる温もりに集中する。
「...あったかい」
ぽそ、と呟く六花の言葉に、勇太も同意する。
「そうだな」
「ゆーた、こっち向いて」
「お、おう」
くるりと体勢を変え、今度はお互いが向かい合って横になる。
先ほどから距離が近かったのもあり、六花が勇太の身体の中にすっぽりと収まった。
六花のアホ毛が首元に当たってくすぐったい。
「ゆーたの匂いがする...」
「恥ずかしいからやめてくれ」
と言いつつ、勇太も六花の甘い香りを全身で堪能していた。
本当に同じシャンプー使ってるよな...?と疑問に思いつつ、六花の背中に手を回す。
「あ...」
びっくりしたように六花が身体を縮こまらせるが、軽く抱き寄せてやると六花も頭を勇太の胸の辺りに預け、遠慮がちに六花も手を回してくる。
勢いで抱き寄せてしまったが、勇太の脳内は現在ショート寸前のパニック状態だった。
先ほどまでよりも六花の甘くて脳まで溶かしてしまいそうな香りが、
勇太よりも平均体温が高く、さらにそこにアルコールが燃料を注いでいる六花の体温が、
すぐに折れてしまいそうなほど華奢で、とても柔らかくて離れ難くさせる感触が。
六花から伝わる情報の全てが、全力で勇太の理性を破壊しに押し寄せてくる。
勇太が自身から湧き上がる衝動と戦いを繰り広げる中、六花は以前丹生谷から受けたアドバイスを思い出していた。
『方法はなんでも良いわ。手伝いをする流れで富樫くんに近づいて、ふっと顔を上げるの。
そしたら2人の顔が至近距離まで接近して、富樫くんもドキドキするに違いないわ。
これなら言葉もいらないし、中二病が発動する隙はないはず』
当時その作戦を実行した時は、勇太の顎に六花が頭突きをかますという色気のかけらもない結末に終わってしまったが、今ならば。
六花がふっと顔を上げると、勇太がこちらを見ている目と目が合った。
互いの息遣いが聞こえるほどの距離まで接近し、バクバクと心臓の音が鳴り響いていた。
これは自分の心臓の音なのか、それとも相手の心臓の音なのか、お互いにわからないままで。
勇太が唇をきゅっと噛み締め、そして眼を細めた。
六花の好きな眼だ。
勇太は決して強い男の子じゃない。
もちろんダークフレイムマスターは邪王心眼の次に最強だが、勇太とて常に暗炎龍の力を100%引き出せるわけではない。
怖がりながらも必死に考えて、六花を救うために勇気を振り絞り、六花がいつ何処にいても見つけ出して来てくれる、そんな特別な眼。
その眼を見るだけで、六花は愛おしさで胸の奥がきゅう、と締め付けられる。
勇太が顔を近づけてくる。
六花は自分が逃げ出してしまわないよう勇太のパジャマの裾を掴み、目を瞑る。
2人の顔が近づき、そして、唇が触れた。
どれくらい経っただろうか。
勇太が唇を離した。
「ふぁ...」
六花の名残惜しそうな甘い声が、勇太の理性をさらに揺さぶる。
間髪入れず、もう一度唇を重ねた。
「ん...」
六花の吐息に、勇太のボルテージが上がる。
勇太の舌が六花の口をこじ開け、強引に押し入る。
んちゅ、くちゅ、と淫靡な音を立てながら、六花の口内を勇太の舌が犯し始めた。
ぷは、と口を離し、口元を拭う勇太。
結局六花の可愛さに我を忘れてしまったと反省し、六花の様子を伺う。
「すまん六花...だいじょうb「もういっかい」
六花を気遣う言葉は、六花本人の力強い言葉にかき消された。
「...はい?」
聞き間違いかと思い、一応聞き返す。
「ゆーた、もういっかい...だめ?」
彼女に小首を傾げながら上目遣いでそんなこと言われて、我慢できる彼氏がいるだろうか。
「......はいはい」
そう言ってもう一度唇を合わせた。
今度は勇太が好き勝手するのではなく、六花に合わせるように気をつけながら。
夜が、更けていく。
◆◆◆
カーテンの隙間から日が差し、勇太の瞼を優しく焼いていくので目が覚めた。
頭が痛い。どうやらあのケーキ、予想以上にアルコール分が強かったらしい。
ふと横を見ると、六花がすやすやと寝息を立てて眠っていた。
その寝巻姿は少し乱れており、なんだかとてもいかがわしい雰囲気を纏っている。
(俺、あのまままさか最後までしてしまったのか!?
六花が『もういっかい』と言ったところまでは覚えているが、その先が全く思い出せない!
もっと初めては大切にしようと思ってたのに、こんなあっさり...)
「暗炎龍よ、今こそ封印されし記憶を解放せよ!」
現実逃避も兼ねて、額に手を当ててポーズを取りながら中二病モードに入る。
「...ゆーた、どうしたの?」
「あぁすまん、起こしちゃったな」
「うぅ...」
「どうした?」
「あたまがわれる...」
「俺もだよ。というか、原因は間違いなくお前がもらって来きた凸守のケーキだろ」
「記憶が曖昧...私は確か...」
そこまで言って、六花は自身の状態を確認する。
はだけた服、そして肩のあたりに赤い腫れが。
いや、というよりこれは吸い跡のような...
「んなっ!?」
一気に顔に熱が集まり、頭から煙が上がり始めた。
「ゆーた...まさか...」
「いや違う!いや違わないかもしれない!とにかく俺にもわからないんだ!」
腕を胸の前で抱き、ジト目で視線を送る六花。
「信じてくれ!酔っていたとはいえ、俺が六花を傷つけるようなことをすると思うか!?」
「思わない...だが、証拠は揃っている。この状況で、何も無かったと考えるのは不可能」
「そりゃ何も無かったとは俺も言わないが、最後の一線は超えちゃいないはずだ!
ダークフレイムマスターはその辺りの節度は弁えている!」
「ぷっ」
必死に弁明する勇太を見て、堪えきれないように噴き出す六花。
「な、なんだよ...」
困惑するしかない勇太に、ひとしきり笑った六花が言った。
「怒ってない。大丈夫」
「そ、そうか...」
ホッ、と安心して息を吐く勇太の耳元に、六花が急接近して囁いた。
「ゆーたとなら、シてもいい」
言い終えると、顔を林檎みたいに紅く染めた六花が早足で部屋を出て行った。
その様子を見送り、勇太は手を顔に当ててベッドに倒れ込んだ。
「照れるくらいなら言わなきゃ良いのに...」
そう呟く勇太の顔は、ダークフレイムマスターの炎よりも熱く燃え上がっていた。
『真実がどうであれ、記憶に残らぬものはノーカウント』
そう勇太の中の神様が言っていた。
よって、あくまで2人が進んだのは深いキスまで。
ということにしておこう。今日のところは。
つづく?