「きりーつ、れい。さようならー」
魅音の号令で授業が終わり、放課後となった。
レナが入院して以来、部活は中止になっているし、放課後となればお決まりの光景が繰り返されていた。
「じゃ、診療所行くか」
魅音と圭一が、レナのお見舞いに行く件について押し問答を繰り広げるのだ。
「だから、今日は私がいくからいいってば。圭ちゃんだって毎日じゃ大変でしょ?」
「だが断る。レナを独り占めしようったってそうはいかないぜ、魅音の愛に俺の愛が負けるわけにはいかん!」
「いやいやいや愛じゃないよ、女の熱い友情だよ!?」
「うわああああ見える、二人きりの病室でレナと組んずほぐれつ友達という名の境界線をはみだす魅音が見える!」
「ちょ、それはなにか別の世界が見えてない!?」
「そんなのダメだせめて俺の目に入る場所でやってくれ、というか俺も混ぜてくれないとイヤだぁああッ!」
「け、圭ちゃん、なんてピュアな涙……!?」
……というような騒ぎの末に、不承不承魅音が圭一の同行を承諾し、圭一は病室での仲良し三人組プレイを夢に描きながら魅音についていく、というのがいつもの流れだ。
だけど僕、北条悟史はそんな流れに反逆する!
「圭一……、そういうことなら僕も行かせてもらうよ!」
すっと前に出ると、ふたりの視線が僕へと向けられる。
その視線を怯むことなく受けきって僕は続ける。
「魅音とレナに萌える一人の漢として、二人が道ならぬ恋に落ちてしまうのを止めたい気持ちは僕も同じさ……!」
「おお、悟史……! いや、同志サニー!」
感動に打ち震える圭一だった。
「美少女が美少女同士でくっつくなんて、絵的には嬉しいけどもったいないことこの上ないよK!」
「おう、そのとおりだぜサニー!」
力強く腕をクロスさせつつ、友情と決意を新たにする。
これぞまさしく、魂の共鳴……ッ!
「あの~もしもしお二人さん? だからそれ、誤解ですってば……聞いてくださーい。もしもーし」
魅音がなにか言っているが、この情熱は止められない。
何故なら、それが僕たちソウルブラザーだからだ。
「……というわけで、魅音がレナに不埒な行為に及ばないように僕もお見舞いに行くよ、魅音」
「……というわけで、悟史がレナに不埒な行為に及ばないように俺もお見舞いに行くぜ、魅音」
あれれ~?
圭一、そこでターゲットが僕になってるのはなんで?
「……もういいです、好きにしてください」
がっくりと肩を落とす魅音。
「それじゃ、わたくしたちはお買い物に行きましょうか。にーにー、レナさんによろしくですわ」
沙都子は、下駄箱で靴を履き替えながらそう言った。
「僕と梨花のぶんもお願いしますのです。僕はお買い物の当番ですし、梨花は境内のお掃除があるのです」
羽入ちゃんは、逃げようとした梨花ちゃんの手首を一瞬でつかまえて引っ張りながらもう片方の手を振った。
……い、意外に素早い。
「み、みぃぃぃぃぃぃ……羽入、見逃してぇ~! 今日はお掃除をすると不幸になるから、帰ってアニメ見なさいってオヤシロさまの詔なのよ~!」
「捏造乙なのです☆」
じたばたしながら引きずられていく梨花ちゃんを見送って僕たちも入江診療所に向かう道を歩きだした。
……レナがいない、部活がない、それだけの違い。
みんなはいつものように笑って、おどけているのに……、なにかが決定的に違ってしまったことを感じているのは、きっと……僕だけじゃない。
そして、ひょっとしたら……その決定的な理由をわからないままでいるのは僕だけなのかもしれないという、焦燥感がどうしても拭えなかった。
それはまるで、演じるべき台本を与えられなかった役者のようなもの。
この昭和58年の雛見沢を舞台に繰り広げられる、圭一を主人公とした物語には、最初から僕の配役が用意されていないのではないか、とさえ思えてしまう。
……駄目だ、こんなふうに考えちゃ……。
そう。
いつだって自分の人生は、自分が主人公であるべきだ。
そうだろ!?
「……どしたの悟史?」
魅音が不審そうに僕を見るが、
「ククク……所詮この世は、椅子取りゲーム……っ!」
いつの間にか握っていた金属バットをゆらりと構える。
運否天賦じゃ駄目だ……勝つべくして勝つ……っ!
圭一、覚悟……っ!
「えいや☆」
魅音のスタンガンが僕の脇腹に突き刺さって火花が走り、身体が跳ねた。教育的指導というやつらしい。
「あふん☆」
幸いなことに電圧は最弱にしてくれたらしくて、一瞬力が抜けただけで済んだ。
「……むぅ、今日のところは諦めるよ。でも、野望を捨てるつもりはないからね、圭一。首を洗っておくがいいさ」
脱力感でうにょるにょると揺れながらも、不敵に宣言する僕カコイイ。
「むむむ、悟史め。隙あらば我がハーレム王国を脅かさんとするとは、油断のならぬ男よ……」
悪の総帥ばりに腕組みをしつつ渋面を作る圭一だった。
「あ、相変わらずそっちの世界については、私ゃさっぱりわかんないよ……」
その隣で、頭が頭痛で痛いと言いたげな表情の魅音。
うーん、こういう少年マンガみたいなインチキなノリは、魅音も好物だと思ったんだけどな。
……最近の魅音は、そうでもなかったか。
小さな村では数少ない同い年の幼馴染みである魅音だが、やっぱり中学三年生ともなれば男女差による趣味嗜好の違いが浮き彫りになってしまうものなんだろうか。
寂しい気もするけど……でも、そこに萌えを見出すのが、僕たちソウルブラザーなんだってば。
「時の流れのなかで変わりゆく魅音を、僕は『乙女魅音』と名付けようと思うんだ☆」
「むむむ、なかなかのセンスだサニー。だが俺は、あえて『ぷにぷに☆萌え魅ぃ』を推すぜ!」
いや、それはさすがにひねり過ぎじゃないかな、圭一。
「どこらへんがぷにぷにかと言うとだ……あふん☆」
興味深いことを言いかけたところでスタンガンで撃墜されてしまう圭一に、全僕が泣いた。
「……ふ、二人とも、なに言ってんですかッ!?」
恥ずかしそうに顔を赤らめながらじたばたと暴れる魅音はプリティだったけど、物凄い勢いでスタンガンを振り回しているので危なくて近寄れない。
だが僕たちは諦めない。
諦めるわけがない。
そこに愛でたい魅音がいるならば……北条悟史容赦せん!
「くっ……仕方ない。悟史、アレをやるぜ」
やはり圭一も同じ気持ちらしい。
「わかった!」
僕と圭一は視線を交わし、魅音めがけて同時に駆ける。
「ッ!」
その気配を察知した魅音が、素早く肩からバッグを落とすと同時、予備のスタンガンを取り出す。
「させませんッ!」
二刀流……!
僕たちのやることを察知して、ダブルスタンガンで止めに来た……さすが魅音、同じ敗北を二度はしないか!
「でも、甘い!」
僕と圭一は瞬時に身を沈めて、地を這うような超低空から一気に間合いを詰めた。
「ひっ……!?」
去年以降短いスカートを好んでいる魅音はさすがにその角度を警戒して両手でスカートを押さえてガードに入る。
「もらったッ!」
「ダブルにーにー・ライジング・トルネードッ!」
伸び上がるように手を伸ばし、同時に魅音の頭を撫でる。
電光石火のフォーメーションが、見事に決まった。
「ひぃやあぁあッ!?」
僕と圭一はとびっきりの笑顔を向け、
「すまんすまん、あんまり可愛いからさ!」
「からかってごめん。照れた顔も可愛いよ」
と撫で回した。
「な、なななな……なんなんですか、もお~!?」
泣き出しそうなくらい真っ赤になってむくれる魅音。
仲間うちではお姉さんポジションになることの多い魅音であるが、こういう仕草を見れば年相応に子供っぽかった。
「うぅ~、もー……二人とも、酷いよ……」
恨めしそうに頭を抱えて上目遣いの魅音に激しく悶えながらも二人でなだめつつ、診療所に向かう。
「…………」
圭一の笑顔はさっきまでのどこか硬質なものから、すこしだけ柔らかくなっていたので、ちょっと安心する。
その圭一を横目で見る魅音も、口を尖らせながらも肩の力が抜けた様子だった。
レナが入院して以来、二人の間に流れていた見えない緊張感がわずかながら緩んだ様子なのがわかる。
結局のところ、事情に取り残されている僕が二人のためにできることはこの程度なのだろう。
今はきっと、それでいい。
その細い肩に重責を負わされた魅音。
自ら負わなくてもいいはずの重荷を背負った圭一。
レナのことで二人が落ち込むのも自分を責めるのもわかるけど、そればかりでは疲れて余裕がなくなるだけだ。
僕はやっぱり、主人公じゃないのかもしれない。
……それでも、お気に入りの物語を悲劇で終わらせないために努力することくらいは許されるはずだ。
一年前、昭和57年の6月。
あのとき僕は自分を悲劇の主人公に仕立て上げて、一身に不幸を背負って舞台から降りようとした。
それを止めてくれたのは圭一や魅音たちだった。
そのおかげで僕は今ここにいるのだから、今度は圭一たちを止めることこそが僕がいる意味だろう。
「あ……今日も来てくれたんだね」
鷹野さんに案内されて病室に入ると、レナはベッドに寝たままの姿で僕たちに微笑みかけた。
起きあがろうとするのだが、魅音が駆け寄って止める。
「いいからいいから、寝てなよレナ」
「うん……、ごめんね?」
レナがどこかだるそうな様子なのはいつものことだ。
頭の怪我だからなのか治りが遅いらしく、目が覚めているときはかなり痛むのだという。それを抑えるために強めの痛み止めが投与されているのだそうだ。
「眠そうで無防備なレナもかぁいいよな~」
フヒヒと笑いながらレナの頬をつつく圭一。
「はぅ……、眠いんじゃなくてだるいのー」
「いいんだいいんだ、寝る子は育つっていうからな♪」
圭一の言葉で、ぴきゅ~ん☆と額に閃光が走った。
「ということは圭一、このままだとレナがますます育って雛見沢の我が儘ヴィーナス☆になるっていうのかい!?」
「ああそうさ悟史! その事実に気づいてしまった貴様を始末しなくてはならないほどになぁ……!」
瞬時に剣呑な空気が漂うけど、
「二人とも、病室で騒いじゃ駄目だからね?」
魅音の鋭い声と両手に構えたスタンガン(さらに両足でスカートを挟んでガードしている完璧な態勢)を前にして、僕と圭一は揃って両手をあげるしかなかった。
くぅ……魅音、恐るべし!
「それでさぁ、今日は圭ちゃんがお昼にねぇ……」
大人しく窓辺で小さくなっている僕たちをよそに、魅音はレナに優しい声で学校であった出来事などを話していた。
……ああ、去年は沙都子にこうしてくれていたっけ。
そうしている魅音の横顔は、とても綺麗で……一人っ子のはずなのに妹がいる僕の目からみても『お姉さん』らしい雰囲気に溢れていた。
あぁいいなあ、なんかいいなあ……。
僕が小さな幸せに浸っていたら、
「うわっ!? 身体が勝手にレナのベッドの中に……!」
どこかの劇場のモギリの人のようなことを言いながら圭一がレナのベッドに潜り込もうとするので、とっさに僕はその襟首を掴んで止めた。
ここで黙って圭一を行かせてしまったり、一緒にベッドに向かうようでは魅音のお仕置きモードに僕も巻き込まれることは必至だ。
いのちをだいじに。
「……ちぇ、俺もレナと話したいのに」
元通り丸椅子の上であぐらをかいた圭一が隣でぼやく。
つまらなそうに頬杖をつく姿は、魅音とは逆に子供っぽく見えた。そういえば圭一って、僕より年下だっけ。
などと当たり前のことを思い出す。
あの嵐の夜に僕を殴り飛ばし、打ちのめされたみんなを言葉ひとつで奮い立たせ、お魎さんの刃に素手で立ち向かって沙都子と僕をあの呪われた日々から救い出してくれた。
そして今回、レナを襲った不幸までもその拳で打ち砕いた雛見沢の英雄、前原圭一。
僕は、いつも圭一の背中ばかり見ていた気がするけど……それは果たして、圭一の望んだことだっただろうか?
いや……、もちろん望んだのだろう。
圭一は、なんでもかんでも望んで背負ってきた。
雛見沢に来たばかりなのに、最初からいた僕なんかよりもずっと大きなもの、重いものを笑って背負ってみせた。
それは本当に尊敬すべきことだったし、僕もそうありたいと願う気持ちに変わりはない。
でも。
目の前の圭一は、鋼の英雄なんかには見えなかった。
ただの……、僕の友達に過ぎなかった。
「?……なんだよ悟史」
じっと見ている僕に気づいたのか、圭一が視線をこちらに向けてくる。
「……なんでもないよ」
そう答えて、肩をすくめた。
単純な話なんだ。
僕の役割なんて、あの嵐の夜から決めていた。
脇目も振らずに前に突き進むしか能のない、この天下御免の大馬鹿野郎の、無防備過ぎる背中を守ること。
「にやにやして、変なやつだな」
ぺし、と拳を頬にあててくる。
「圭一のほうが変だよ」
びし、とお返しに拳を返してやった。
「女装がデフォルトの奴に変とか言われたくない」
ずびし、とチョップが頭に入った。
「圭一だって、女装似合うじゃないか」
ばしん、と裏拳を顔面に叩きつけた。
「俺はやりたくてやってるわけじゃねーよ!」
どごん、と大振りの拳が僕の頭に決まった。
「レナのセーラーを着たとき嬉しそうだったろ!」
ずがん、と脇腹を蹴ってやった。
「あれは、レナの匂いに恍惚としてだなぁ……!」
そのまま立ち上がって臨戦態勢になった途端、
「あんたら……アフリカ象とどっちがタフな心臓の持ち主なのか、どうしても比べたいワケ?」
ばちばちと青白く放電を放つ最大出力のスタンガンを手にした魅音が、怒りの表情でこちらを睨んでいた。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
思いっきり土下座するしかない僕たちだった。
……やっぱり魅音は怒ると怖いです。
そうこうしているうちにレナが可愛い寝息を立てて寝入ってしまったので、僕たちは静かに退散することにした。
「はぁ……今日は悟史が邪魔したから、レナを堪能できなかったぜ。欲求不満になったらどーしてくれる」
診療所から出るなり理不尽な文句を言う圭一だが、
「梨花を迎えに行ってそのまま帰る。じゃあな」
肩をすくめると僕が反論する暇さえ待たずに神社のほうへさっさと歩み去ってしまった。
遠ざかるその背中が……なんだか小さく見えた。
「……行っちゃったね」
「そだね。……私たちも、行こうか」
取り残された僕と魅音も、気を取り直して歩き出す。
……すこし、緊張する。
よく考えてみれば、魅音と二人で村の中を歩くなんて以前ならそうそうなかったことだ。
魅音とは同い年でずっと一緒にいたのに、僕が北条で魅音が園崎だというだけで見えない壁のようなものが二人の間に横たわっていたことは否定できない。
でも、今は違う。
園崎家は事実上僕たち兄妹を後見してくれているから、その関係は極めて良好だと言っていいだろう。
ちらりと魅音の疲れたような横顔を見る。
不意に、天啓のように閃いたことがあった。
「……魅音」
僕はその場に立ち止まると言葉に力をこめて、彼女の名を呼んだ。
考えごとをしていたのだろうか、魅音はやや遅れて立ち止まると、僕のほうを振り返った。
「……ん、なに?」
不思議と落ち着いた気持ちだった。
「いままで、気づかなくてごめん。僕にとって魅音がどういう存在なのか、いま、ようやくわかったんだ」
「…………は?」
ぽかんと口を開け、目を丸くして僕を見る魅音。
あまりにびっくりしているその顔が、なんだか可笑しくて僕は小さく微笑む。
「どうして、いままで気づかなかったんだろうね。こんなに……近くにいたのに」
二、三度瞬きをした魅音は、何故か息を呑んだ。
「え、まさか……悟史、く……」
どこか挙動不審な仕草の魅音も、とても可愛かった。
思い切って告げよう。
「魅音は、僕の……」
僕の見つけた、揺るがない事実を。
「幼馴染みキャラだったんだ」
なぜか、空気が凍ったような気がした。
……ふと気がつくと僕は道に横たわり痙攣していて、火花を放つスタンガンを手にした魅音が無表情にそれを見下ろしていた。
そんな馬鹿な……いったい何が起こったんだ!?
「いきなり何を言い出すかと思えば……真剣にいろいろと考えちゃった私が馬鹿みたいじゃないですか!?」
なんで泣きそうなの!?
幸いなことに電圧は最大になっていなかったらしく、命があったことをオヤシロさまに感謝しつつ僕はよろめきながらその場に立ち上がる。
「いや、あのね……幼馴染みなんだから、悩みごとがあるなら遠慮なく僕に相談してよ、とこう続けたかったんだ」
取り繕うようにそう言ったけど、魅音は不審そうな眼差しを隠そうともしなかった。
「……魅音がなにか隠してるのは、わかってるよ。それを言ったら圭一やレナたちもそうだ。言ってくれないのは、なにか理由があるんだと思う」
僕が知る必要のないことなのか、知っても役に立たないからなのか、それともまだ知るべきじゃないことなのか。
理由なんてどうでもよかった。
「だけど、いまの魅音や圭一みたいに隠してるのがつらいって顔をしながら隠すくらいなら、話してほしい。助けになれるかどうかはわからないけど……」
僕は自信をもって言った。
「なんでも試してみるものさ!」
よっし、いま僕いいこと言った。
まさにいい男!
……などと内心で自画自賛しているのに、どうして魅音はますますジト目になるんだろう!?
すこし視線を泳がせて考えるそぶりをしてから、ため息をひとつ。気持ちを切り換えるように苦笑を浮かべて魅音は肩をすくめた。
「ホント、馬鹿ですね」
むぅ……ちょっとぐさっときたよ。
直球で馬鹿に馬鹿って言うのはよくないと思うんだ。
せめてその台詞、幼馴染みらしく照れ隠しで言ってる感じでお願いしたかった。
「違いますよ、馬鹿なのは私」
魅音は意外なことを言った。
「あれ、いつの間に成績の話に?」
不思議に思って尋ねたら、何が気に障ったのか魅音は笑顔でスタンガンの電圧を最大に上げた。
「待って待って、落ち着こうよ!? コミュニケーション不全は死亡フラグだと思うんだ、雛見沢的に考えて!」
生命の危機を感じて全力で説得する僕だ。
魅音は、さわやかな殺ス笑顔で、
「うん、それ無理☆」
鬼がいるよ、間違いなく園崎家は鬼の末裔だよ!
「ひぃいいっ!?」
……かろうじて惨劇にはならなかった。
必死でかわしたら着ていたエプロンの端をかすめて一瞬で焼け焦げたので、魅音もさすがに思いとどまってくれた。
「うわ……さすがにコレは洒落にならないね」
洒落ですますつもりだったんだね魅音……(泣きそう)。
平和な日常の中に惨劇フラグが潜む刺激的な生活。
鉈、スタンガン、トラップ、腹黒幼女……。
あなたもスリル満載の雛見沢で暮らしてみませんか?
もうやだこの村。
「……馬鹿なのは、いまさら悟史くんたちを巻き込んじゃいけないなんて考えていたことです」
本気で疲れた様子でスタンガンのスイッチを切る。
魅音は顔を上げて、自嘲気味に笑った。
「とっくに私たちみんな、当事者なのに」
どこか捨て鉢で、とても哀しげで……なのに。
見とれてしまうくらいに綺麗な笑顔。
その笑顔の持ち主が、よく知っている僕の幼馴染みの少女ではないことを……僕はこの日、知ることになった。
<雑談>
あんなに連続して投稿して沈黙とか、ないですよね。
すんません...個人的に忙しくて、ハーメルンのサイト自体を開く時間もなかったです...
コツコツと投稿してるつもりですので、完結まで走り抜けるつもりです!
話は反れますが、ひさしぶりにUAなど、見ると結構人気出ててびっくりです。ほんとここまでたくさんの方に見てくださって、ありがとうございます。