ひぐらしのなく頃に~神楽舞   作:晃晃

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第43話 神様は甘いのがお好き☆

愕然とするしかなかった。

 

東京で何者かに撃たれて、目を怪我した梨花。そのとき飛んできて、救急車を呼んでくれたのが圭一だったと梨花には聞いていた。雛見沢に来てからの圭一を思えば、それはとても相応しい行いで、村の誰もその話に疑問をもっていなかった。

 

だけど……それが圭一の撃った弾によるものだとすれば、話はさかさまになってしまう。

 

「梨花ちゃんは俺がこの村に来ることと引き換えに許してくれたけど……、俺はまだ、俺自身を許してない。3ヶ月前の俺がこの場にいたら、殴り殺しちまうかもしれない」

 

拳を握り締め、奥歯をぎりっと噛み締める圭一。

 

その姿は僕の知っているいつもの圭一に近く見えて、ようやく混乱から立ち直る。

 

「圭一は……、だから、梨花が望んだとおりの圭一になろうとしていたのですね」

 

僕の問いに、圭一は静かに頷いた。

 

それでようやく納得する。

 

彼の強さも優しさも、ただの中学生の少年としては異常なほどのものだった。

 

かつての大嫌いな自分、梨花を撃った自分、その影を打ち消すために彼は演じていた。苛烈な意志をこめて、自分自身さえも騙せるくらいに演じ続けた。

 

「ここに来て、レナたちに沙都子や悟史を救うための相談を受けて真っ先に思った。他人のことにこんなに真剣に首を突っ込むなんて、こいつらは馬鹿か?ってさ」

 

それは他人に省みられることのなかった圭一にしてみれば、当然の考えだ。

 

だって……誰も、圭一をそんなふうに救おうとはしてくれなかったのだから。

 

「それからしばらくして、魅音が不良っぽい連中に囲まれてるところに出くわした。でも、俺は助けになんか行けなかった。傷つくのが怖くて、負けるのが怖くて、踏みにじられるのが怖くて、足がすくんじまった……でもさ、そこに悟史がいることに気づいたんだ」

 

その話は、いつだったか魅音に聞いた覚えがあった。三人組の不良、中学生一人で勝てるわけのない相手。そこに飛び込めなかったとしても、圭一を責める理由などあるはずがない。……でも、確か圭一は警察を呼んで、その時間稼ぎのために出ていったと聞いたけど。

 

「悟史も俺と同じように迷ってた。そらみろって思った。あいつらが必死で助けようとしてる悟史は、あいつらが苦しいときには見てみぬふりをする。だからあいつらだって、そのうち見なかったことにするに決まってるんだ、そう思ったのに……」

 

ゆっくりと、拳を下げる。酷く疲れた顔で。

 

「悟史は、踏み込んでいった。ちっとも強そうじゃないのに、殴られることも覚悟で、魅音を助けにいった。あいつは違う、俺とは違う。そのとき気がついたんだ、悟史がああいう奴だから、みんなは悟史たちを助けるためにあんなにも必死なんだって」

 

それが、まさに転機。

 

圭一はさっき沙都子に言ったのとまったく同じ理屈を見つけたのだ。

 

「そうだ。俺が誰も見捨てない人間、梨花ちゃんのついた嘘のとおりの前原圭一になることができれば……俺もあいつらを、いつか仲間と呼べる人間になれるって気づいた」

 

そこからは、僕たちが知っているとおりだった。

 

どんな荒唐無稽な嘘だって、その嘘をつき続け、その正しさを証明し続けたなら……それはいつしか本当の真実になる。

 

前原圭一はまさにペテン師、とんだ大嘘つきだった。

 

ありもしない鋼の意志をその拳にこめ、みえもしない希望をその強い言葉に託して、自分でさえ信じきれない不屈の炎をその胸に宿していった。

 

だからここにいる前原圭一の強さも、本当は彼の弱さの裏返し。

 

逃げたい、だから絶対に逃げないという嘘をつく。

 

動けない、だから決して止まらないという嘘をつく。

 

本来の彼はもっと冷静で思慮深く、それゆえに臆病ですぐに嫌な出来事から逃げ出すような人間だった。

 

だから、からっぽで弱い自分を嘘で塗り固め、それを真実にするために傷ついて血を流し、口先で絶望をはねのけて、過酷な現実のほうを嘘に変えてしまおうとする。

 

あまりにも重い嘘、圧倒的な大法螺。

 

でも彼は、ここまでそれをやりとげたのだ。誰もかも、自分をもその詐術で騙し続けてきた。誰にも見破れない手品なら、それは魔法と同じ……彼は正しく、口先の魔術師だった。

 

「だけどさ、羽入。俺は……怖いんだよ」

 

真夏だというのに、本当に震えながら圭一は言った。

 

「怖いんだ……ここに引っ越せば、俺はまたあの頃と同じ一人になる。親父やお袋はいるけど、二人はもともとの俺を知っている人間だ」

 

つまりそれは……、もう嘘をつく必要がなくなるということ。

 

僕や梨花と一緒に暮らしている限り、圭一は偽りの自分を演じ続けなければならない。明るくて、ノリがよくて、何事にもがむしゃらで、友人を決して見捨てない男、前原圭一でいなければいけない。それは困難な道だけど、圭一の望む道でもある。

 

でも……新しい家の、自分だけの部屋で一人になったなら?

 

以前からの圭一を知り、弱い圭一を認めてくれるご両親しか見ていなければ?

 

……人の子の意志など、流水と同じ。

 

いつだって高きから低きへと流れて落ちるのが世の理。それを高みへと押し上げようとするならば、いまの圭一のように強く激しい決意の奔流が必要なのだ。

 

甘えられる場所、自分を律する必要のない場所にいれば……圭一の仮面は、脆くも砕け散ってしまう恐れがあった。

 

もうすこしその天秤に載せられた罪が重ければ、嘘をつく強さを持ち続けられたかもしれない。もうすこしその嘘が軽いものであれば、圭一には自分を装う必要さえなかったかもしれない。

 

でも、圭一はここまで嘘をつき通してきた。

 

四年目の祟り、仲間たちを嘲弄するその巨大な運命に立ち向かう前原圭一は誰よりも強く、どんな重荷も軽々と背負って見せなければいけなかったから。

 

彼の罪は軽すぎて、彼の嘘は重すぎる。

 

本来の前原圭一自身には、そこまでの強さを貫く理由などどこにもないのだ。

 

「……圭一」

 

病室で彼が沙都子にそうしたように、僕は圭一の手を両手で包み込む。

 

「羽入……」

 

まったくいつもの圭一らしくない、僕にすがるようなその声。

 

……ああ、虫唾が走る。

 

「僕は許しません」

 

全身の敵意と悪意を総動員して、瞳へとこめる。

 

「ッ……!」

 

びくり、と圭一が目を見開いて僕を見た。

 

「僕の大切な妹を悪戯に傷つけ、僕と仲間たちに途方もない嘘をつき、偽りの希望を信じさせた卑怯者の前原圭一を、決して許さない!」

 

叩きつけたその言葉、身を切るような嫌悪の刃に打ちのめされて……圭一が、よろめくように僕から身体を離す。

 

「は、羽入……」

 

震えながら、怯えながら……僕から逃れたくて振りほどこうとするその手を、僕は爪さえ立てて離させない。

 

そう……、決してこの手を離すものか。

 

「……だから圭一、あなたは僕の大好きな前原圭一でいてください」

 

やっぱりだめ、これ以上彼に向けられる悪意など残っていない。

 

だって、目の前の人は……僕の大切な人だから。

 

「僕の大好きな圭一は、梨花の危機を救ってくれました。悟史の暗く澱んでいた心に光を与えてくれました。沙都子のために必死で戦ってくれました。レナの笑顔を見つけてくれました。仲間たちを束ねる魅音を支えてくれました。無力な僕に本当の強さを教えてくれました。それが全部全部、嘘だと言われてしまったら……」

 

涙が、零れ落ちる。

 

「みんなの信頼は、僕の恋する気持ちは、いったいどこへ行けばいいのですか!」

 

発した自分自身、それを悲痛だと思える叫び。

 

圭一は息を呑んでじっと僕を見つめ、その瞳に迷いを浮かべていた。

 

「圭一、圭一、圭一……、聞いてください、圭一。僕の大好きな男の子の名前は、前原圭一と言うのです。彼は強くて優しくて、彼がいなければ僕たちはきっと四年目の祟りに打ちのめされて、もう誰も前に進むことができないほどに傷ついていたのです」

 

告げながら、ぎりぎりと頭の中に痛みが生まれていることに気づいていた。

 

でも、それを振り払って、夢中で叫び続ける。

 

「彼を百年も前から知っていたように、僕は彼の心を感じられます。彼が本当はどんな人なのか、僕は最初から知っているのです。暗い旅路、血塗られた闇の中で見せた彼の強さも弱さも知っています。ときには心無い言葉で惨劇の引き金を引き、ときには自らが祟りの担い手となってその手を汚しました。だけどいつだって!」

 

ぎゅっとその手をありったけの力で握り締める。

 

「……いつだって圭一は、仲間のために涙を流せる、本当に強くて優しい人でした。だから僕は彼のことが大好きでした。もしも彼の耳に僕の声が聞けるなら、繰り返す謝罪なんかよりも頑張ってって言ってあげたかった。もしも彼の目に僕の姿が見えるなら、とっておきの笑顔で彼の繰り返す悲しみを癒してあげたかった。もしも彼の手を僕が触れるなら、そのあたたかな手を握り締めて大好きですって伝えたかった。悲しい過去よりも未来を選べるなら、僕は彼の隣で過ごす未来を選んだはずなのです!」

 

感情のままにあふれて流れる涙を止めるすべなんか、この世にはない。

 

そしてこの自分でも意味のわからない言葉の羅列は、きっと僕の心が流す涙だった。

 

「だから彼を嘘にしないでください、僕の大好きな前原圭一を嘘だなんていわないでください! 一度嘘をついたなら、責任とってつき続けて、僕を、みんなを、もっともっと幸せにしてください!」

 

胸が苦しい、頭がずきずきする。

 

ありえない記憶が、気の遠くなるような長い間に積み重なった思いがこの小さな胸を駆け抜けて、脳をオーバーヒートさせる。

 

「彼に恋した僕まで、嘘にしないでください、けいいち……ッ!」

 

喉の奥から搾り出すようにそう言って、……窒息しそうになっていた。

 

空気が痛い。

 

光が突き刺さる。

 

肉の身が重い。

 

記憶が堰を破る。

 

意識が溺れかける。

 

この世界が……ここにいるはずのない“僕”を、拒絶している!

 

存在をつなぎ止めていた何かが砕け散る、乾いた音がした。

 

「羽入ッ!?」

 

一瞬で、その肉の塊に包み込まれる。その四肢にみなぎる強靭な意志が、散逸しかけた私の存在の意味を、かろうじてこの仮初めの形骸へと押しとどめる。

 

「……ぅ、あぅ……!」

 

しかし終焉は始まっていた。自分が人間ではないという記憶が蘇れば、ひと夏の幻のように“古手羽入”は消えていくしかない。

 

「羽入、羽入、どうしたんだ、おい!」

 

引き絞られ、千切れそうになる思考の狭間で、目の前の何者かを認識する。私を象った肉と骨の塊を抱きしめている、ああそうか。これは圭一。前原圭一だ。梨花がこの輪廻の中に招き入れ、この旅路をともに歩き続けてきた非凡なる凡人、時の悪戯が出会わせた偶然の落とし子。

 

それがわかると、途端にこの抱擁が心地よく思えてくる。意味を失ったこの私がここから消えてしまうその前に、彼を抱きしめたくて夢中で腕を伸ばす。

 

うまく抱けたかどうかわからない、でもぬくもりは感じている。

 

ああ、彼が抱いていてくれるからだと思い出す。

 

……限界、だろうか。

 

「羽入、いくなッ!」

 

色彩の入り交じる闇の中に、奇妙な信号が飛び込んでくる。

 

虚ろへと還ろうとする我が現し身の口に触れるもの……。

 

私が求めたのか、彼がそうしたのかはわからない。

 

どんな直感につき動かされたのかも知らないが、この瞬間において、それはおそらくたったひとつの正解だった。いいだろう、前原圭一。人の子の身でありながらあなたがこの形骸の存在を望み、その楔になろうとするならばこの私も、あなたが起こしてくれたこの奇跡に、最後の力を振り絞ろう。

 

口腔へと押し入ってきたのは彼の舌、その唾液を啜って生命の鍵を読み取り、それをもとに零れた欠片を繋ぎ合わせ、人の子としてのあるべき姿を取り戻すために圭一との縁という名の糸でその現し身の綻びを紡ぎなおしていく。

 

「羽入、羽入、羽入、羽入……ッ!」

 

混乱しながらも必死で叫び、“僕”を求めてくれるその声と強い意志とが、私に足りない力を補ってくれる。ほどけかけた存在の結び目をつなぎ、遠い記憶と、この場に必要のない“私”を、再び意識の箱の奥底へとしまいこむ。まったく無茶をする……隙間から中を覗く程度ならばともかく、感情に呑まれてこの蓋をこじ開けるほどに強い執着を宿した覚えはないのに。

 

“私”のときのように、悔やむような結果にならなければいいのだけど。

 

ああ、眠い。これ以上留まることはできそうにない。

 

……最後に、泣きながら“僕”を見つめている圭一に微笑んだ。

 

 

 

安心なさい、圭一。

 “神”は無力ですが、無慈悲ではありません……。

 

 

 

「あ……ぅ」

 

……気がつけば、圭一に抱きしめられていた。

 

「羽入、大丈夫なのか!?」

 

泣きながら叫ぶ圭一の顔が近い。……あぅ、近すぎる。

 

「あぅう……僕は、どうしてしまったのですか……?」

 

「わけがわからないんだ……いきなり苦しみだしてさ、その……消えそうだった。姿がぼやけだして、こう、空気に溶けていくみたいに……」

 

狼狽を隠せずに、自分でも自分の言っていることを信じていないような様子で圭一が言う。

 

「……あぅ? 圭一がなにか電波なことを言い出したのです」

 

「うるせぇ! でもとにかく大丈夫なんだな!?」

 

なにを言っているのかよくわからないけれど……とにかく、さっきのひどい頭痛みたいなものはもうどこにも残っていなかった。なにかわけのわからないことを喋っているうちに意識が飛んでしまったような気がするのだけど……あまり時間は経っていないようだった。

 

「もう平気です、圭一」

 

「本当か……? また消えちまうんじゃないだろうな?」

 

あまりに心配そうに逃がすものかと僕を抱きしめたまま見つめてくるので、こっちまで自分が消えてしまいそうな錯覚に襲われる。

 

「……圭一はどうやって、僕を呼び戻してくれたのですか?」

 

「え、いや……、なにか、夢中でキスしたら、身体が戻ってきてさ」

 

「キ……、あぅあぅあぅ。意識のないときにそういうことをしないで欲しいのです!」

 

まるで眠り姫みたいな話だと思ったけど、でも。

 

それが僕をこの世界につなぎとめてくれたのだという確信が胸の奥から沸き上がってくる。

 

「……そうだな。意識のあるときのほうがいいよな」

 

「あぅ?」

 

ぐっと抱き寄せられる。

 

「戻ってきてくれてありがとな、羽入。それから……“俺”を取り戻してくれて、ありがとう」

 

そう言って、唇を重ねた。

 

じん、と痺れるような甘い感触に目を閉じる。

 

……あぅ、そういえばさっき告白してまったような覚えが……?

 

「ぁ、う……」

 

告白の直後だからなのか、それとも彼の話が本当ならたったいま僕を目の前で失いかけたからなのか……圭一は、本当に容赦なく僕の唇を求めてきた。息苦しい上に舌まで絡められてしまって、なんだか頭がぼぅっとして全身の力が抜けていくのを感じる。

 

前に僕が圭一にした、そっと触れるだけの“悪戯”とはなにもかもが違う、まるでワインで酔っ払ったみたいなふわふわした感じ。ワインなんて飲んだことないはずだけど、絶対にそんな感じで……今の圭一に抵抗は無意味だと思ったので、とろけそうな気分のまま身を任せることにした。

 

だって、ここにいるのは僕の大好きな、前原圭一だったから。

 

「……で、俺はまた肉体労働をしているわけだが」

 

とっぷりと日が落ちてしまった帰り道、僕は圭一の背中におぶさって顔を赤くしていた。圭一も耳まで真っ赤なまま、とぼとぼと歩いている。

 

なんというか……じゃれ合いというにはあぅあぅ過ぎることになってしまったので、とても気まずい。でも無言のままもどうかと思ったので、せめて怒った声を出す。

 

「圭一は、強引すぎです」

 

「……おっしゃるとおりです」

 

「圭一は、ムードとかないです」

 

「……返す言葉もございません」

 

「これからは、鬼畜王Kと呼ぶのです」

 

「……それだけは勘弁してください」

 

そこで同時に、くすくすと笑みがこぼれる。

 

「許してほしかったら、今度シュークリームを買うのです」

 

「ああ、食べきれないくらい買ってやる」

 

そう返す圭一は、もうすっかりいつもの圭一の顔をしていた。彼は嘘をつき続けるほうを選んでくれた。前よりももっと強固な嘘を。

 

あなたはひとりの女の子がついた小さな嘘を本当にするために、これから先何十何百の嘘を重ねていくのでしょう。

 

でも圭一、気づいていないようだからひとつだけ。過去を偽ることは罪ですが、未来を偽ることは罪ではありません。

 

「食べ物を粗末にしてはいけません、圭一。ひとつでいいのです」

 

勝ち目のない戦いを前にして望みがないと語ることは、正直で賢いけれど誰にでもできること。必ず勝てると言うならそれはただの愚か者か裏切り者。

 

「ひとつ?……意外だな」

 

でも少ないけれど勝ち目はあると偽って人々を奮い立たせ、勝利をもぎとった詐欺師がいるならば、人々はその勝利を奇跡と呼び、詐欺師を英雄と呼ぶでしょう。

 

「それを圭一が食べるのです」

 

あなたが未来に至るまで嘘をつき通してあなたの望む前原圭一であり続けたなら、過去のあなたを知っている人だってこう言うでしょう。

 

……彼は、“変わった”と。

 

「へ?……甘い物は俺も好きだぞ。罰になってない」

 

彼の耳もとで、小声で囁く。

 

「……食べ終わって口の中が甘くなったところで、今日僕にしたことを最初からやり直してくれたら、許してあげますのです。もちろん……甘~いムードで☆」

 

ちょっと意地悪なことを言ってみたつもりだけど、忘れていた顔の熱がまた上がり始める。こういうのは僕より梨花の役回りかもしれない。

 

圭一もやっぱり真っ赤になって、でも僕にだけ聞こえるような小さな声で答えた。

 

「仰せのままに」

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