直死の魔眼持ちとなんか英霊になってる奴のブルーアーカイブ   作:夜月詠

12 / 12
帰るべきは何処・その8

 柴関ラーメンで分かれて数日。緑衣のアーチャーの宝具『▓▓▓▓▓(ノーフェイス・メイキング)』で身を隠し、私たちはアビドス各所にあるカイザーPMCに忍び込みまくっていた。

 

「まさか、何も分からないとは」

 

「資料一つ存在しないなんてね。……口伝か、それともクローズドの通信か」

 

 情報を持ってそうなロボットを捕まえられたら、アヴェンジャーの構成要素の一人が持つハッキング技術を以て情報を抜き出せる。

 が、ここまで厳重な管理をされているとなると情報を持つ存在(ロボット)も限られてくる。下手に攫えば直ぐにでも相手方にバレてしまうだろう。

 

「……私は最強の傭兵。負けることは許されない。アヴェンジャー、幻術師(プレラーティ)贋作屋(エミヤ)蒸気王(チャールズ)を召喚して」

 

 こうなればヤケだ。赤い外套のアーチャーでロボットを複製し、狂気の幻術師による幻術を施し、蒸気王によるプログラミングで細かな補正を行う。本物を拉致し、偽物と摩り替えてしまおう。

 単に攫うだけだからバレるのだ。偽物を置いて行って誤魔化そう。

 

「分かったよ──え!? マスター! アビドスが襲撃されてる!」

 

「……チッ、何処の不良?」

 

 カイザーに雇われた不良共は殲滅した筈だ。なら、今回の不良は新たに雇われた連中か。雑魚どもめ、私たちの仕事の邪魔をしてくれるとは。

 

「所属不明──いや、後方に便利屋(アルたち)がいる。……あー、カイザーが雇ったんだな」

 

 見慣れた召喚式が展開される。『英雄の集う場所』と云うあまりにもか細い縁を以て、世界各地の英霊を召喚するその術式の()を守護英霊召喚術式フェイト。

 我がサーヴァント、白紙の英雄アヴェンジャーが操るただ一つの魔術である。

 

 顕現するは、ライダークラスが一騎、最速の勇者(アキレウス)。緑の閃光となって空すらも駆け抜ける大英雄だ。

 

「分かった。連中は面倒。応援に戻る。皐月の王(ロビンフッド)、先行して『破壊工作』による妨害を。特に陸八魔に対しては念入りに。特に服が汚れるタイプの奴を」

 

 ──チッ、面倒だ。便利屋共による襲撃も、英雄(サーヴァント)の名を口にする際のテクスチャの張り替えも。

 

 おかげでマトモに英雄の名を呼べやしない。すべて、この世界の法則(テクスチャ)に塗り潰されて舌が絡まる。

 学園都市キヴォトスと云う現実(テクスチャ)を維持する為に、異世界の要素が拒絶される。

 

 私の存在なんて最たるもの。神秘が──神秘を火種に熾している魔力が尽きれば私は死ぬ。この世界から拒絶されて、虚無に消える。本当に、この世界は面倒だ。

 

「マスター、手を!」

 

 ライダーの戦車に乗り込んだアヴェンジャーが差し出した手を、しっかりと握る。音を越える飛行速度に耐える為に、アヴェンジャーにしがみつく。

 

「ライダー! アビドスへ行ってくれ!」

 

 ──きゅう。

 

 

 ◇

 

 

 どぉん、と腹の底まで響く轟音と共にアビドスの砂地に戦車が留まる。ライダーの宝具が一つ『▓▓▓▓▓▓▓▓▓(トロイアス・トラゴーイディア)』による蹂躙突撃。

 生徒共への直撃の寸前に掛けた急ブレーキで十二分に威力を殺す。直撃すれば円環(ヘイロー)による護りがあろうと、一般雑魚共は普通に轢き殺せるのだから。

 

「──便利屋を、殺す──!」

 

 別に八つ当たり等では無い。便利屋共のせいで、音速飛行で大変な目にあったからせめてボコボコのズタボロのボロ雑巾にしてやろう、とかそう云う訳では無い。無いったら無いのだ。

 

「う、うわぁあああ!!?」

 

「急に降ってきた奴が何か言い出したぞ!?」

 

「し、シキちゃんにアヴェンジャー!? どうして……っていうか、どうやって空から!?」

 

「便利屋ぁ! 陸八魔は何処だぁ!!」

 

 陸八魔アル。アヴェンジャーにアウトローだダークな格好良さだ何だと言い寄る女狐。駄目悪魔。

 今度こそ、今回こそ。二度とアヴェンジャーに言い寄る事のできない様にしてやる。

 

「!? な、何!? 誰、な、の──し、シキ!!?? なんで此処にいるよ──!!!」

 

 第一、ポジションが被っているのだ。狙撃手兼指揮官なんて私とキャラクターがだだ被りだ。

 

「あ、アル様に向かって……! な、無名(ななしの)シキ、今度こそ、わ、私が──! そしてアル様に……!!」

 

 粘着質な笑みを狂ったように零しながら突撃してくるゲヘナ生。奴の名は伊草ハルカ。陸八魔アルを信奉するキチガイだ。

 異常な耐久性を盾にショットガンで突撃し続ける突撃兵。いつもの百花繚乱正式ライフル - 魔術礼装改良型では威力が足らず、一撃で意識を刈り取れない。故に。

 

「アヴェンジャー!」

 

「──霊基主権編制──!」

 

 伊草ハルカに相対するはアヴェンジャー。霊基主権の切り替えによる、能力変動。表出するは魔女の息子たる魔術師。植物科(ユミナ)の狂人、快楽殺人鬼。彼が扱う呪詛を以て、伊草ハルカの意識を狩る。

 

「ぁ、な、あ、ヴェン、ジャー、様……」

 

 気絶、或いは入眠を齎す簡単な呪詛だ。崩れ落ちた伊草ハルカに対し、ダメ押しの狙撃を行いつつ白眼を剥いたままの陸八魔に銃口を向ける。

 

「ちっ、アヴェンジャーまで。どうするの社長。シキとアヴェンジャーに加えて、アビドスまで相手するのは無理だけど」

 

「そーだよ、アルちゃん。アビドスの連中も予想以上に強かったし、そこにシキちゃんとアヴェンジャーはねぇ」

 

 白黒髪の鬼形カヨコ、白髪チビの浅黄ムツキ。態々好き好んで便利屋68とか云う零細企業の所属を名乗る変人共だ。ゲヘナなそんな奴ばっかりだが、この連中も例に漏れていない。

 

「そ、そうね! て、撤──!」

 

「問答無用。死ね、陸八魔──!」

 

 狙撃、狙撃、狙撃。次いでに狙撃。みぞおち、脳天、こめかみ、額に一発ずつ弾丸を叩き込んでやろうと引き金を引く。

 チッ、奴め、勘が良いのか身体を動かして避けやがった。

 

「ちょっと! 私たち逃げようとしてるじゃない! なんで撃つのよ!?」

 

「アヴェンジャーに寄り付く悪い虫は全て狩る。アヴェンジャーは私のもの」

 

 ──復讐者(アヴェンジャー)……何だか格好良い響きね! ねぇ、便利屋に興味は──。

 覚えている。ちょっと目を離した隙にあの女狐に言い寄られているアヴェンジャーと、目をキラキラさせる陸八魔の姿を。

 

「悪い虫!? "悪い"の所が一番掛かってるのは貴女の方──痛ぁ!?」

 

「逃げるな陸八魔! 大人しく投降して、そして私が処す!!」

 

「処すって言ってるじゃない!!!」

 

 当然だろう。私たちに喧嘩を売ってきたのだ。服を剥いて校門に吊るした後、ゲヘナの風紀に──いや、万魔殿(パンデモニウムソサエティ)に引き渡してやる。

 だから。

 

「陸八魔ぁ──! 待て──!」

 

 逃げ足の速い連中め。

 

「……チッ」

 

 いつの間にやら他の不良共も撤退し、後にはポカンとした表情のアビドス生と私たちだけが残された。

 

「……や、やぁ、アビドスの皆。応援に来たよ?」

 

 沈黙を引き裂くように、アヴェンジャーが片手をあげてアビドス生の方へ振り向いた。

 

「えっと……お友達なんですか? あの子たち。シキちゃんがアレでしたけど」

 

 友達な訳があるか。

 

「まぁ、そんな感じだね」

 

「違う。連中は敵。決して友達などでは無い」

 

 困った、アヴェンジャーと見解の相違が発生してしまった。

 ので、むむむむとアヴェンジャーに視線を送る。

 

「……ほら、シキこんなだから」

 

「なるほど! ツンデレ、という奴ですね☆」

 

 私は決してツンデレなどでは無い。デレの様に丸い部分の無い、ツンの純度100%の、剣山みたいな人間だ。全身全霊で方々を刺しに行くクールな女。ツンデレなどと云うネタキャラでは無いのだ。




ウルズ狙いで回してたら虹回転からアーチャー通常セイントグラフが出てきました。許さんぞ陸八魔アル
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

透き通った青春世界で生きる(作者:濡羽 シズキ)(原作:ブルーアーカイブ)

gnチャンネルに脳を焼かれていて個人的に書いていた物をとあるきっかけでハーメルンに同士がいると分かったので出してみます▼初投稿なので生暖かく見てください


総合評価:1310/評価:9/連載:19話/更新日時:2026年06月10日(水) 22:25 小説情報

シャーレの先生がポケモントレーナーである場合にありがちなこと(作者:子々(ネネ))(原作:ブルーアーカイブ)

キヴォトスの外からやって来た大人――通称「シャーレの先生」。▼彼の身の回りには、何やら不可解な生物の影がいるとまことしやかに噂されている。▼その正体は―――――▼ブルアカ×ポケモンの何番煎じか分からないクロスオーバー二次創作です。▼①先生はポケモン世界の住民▼②キヴォトスにポケモンは存在していない▼主にこういう世界観の話になります。▼注意事項▼・作者はポケモ…


総合評価:873/評価:7.48/連載:15話/更新日時:2026年05月24日(日) 05:01 小説情報

ティファレトだったら美少女だろうがッ!!(作者:思いつきで書き出す見切り発車の化身)(原作:ブルーアーカイブ)

鋼鉄の心臓にアンチしようとしたら逆に脳を焼かれたアホの話▼※他作品ネタのタグを追加しました


総合評価:2625/評価:8.51/短編:6話/更新日時:2026年04月28日(火) 12:12 小説情報

アンダーボスはキヴォトスへ(作者:ただの紅茶好き)(原作:ブルーアーカイブ)

都市に転生し、生き残るために親指に所属して死に物狂いで出世したアンダーボスは指令にてW列車に乗り目が覚めるとキヴォトスへ▼アンダーボスは青春都市で平穏に過ごすことができるのか▼本作はLimbus Company9.5章縒り合せ、及びブルーアーカイブ第二部EXロア追跡作戦第一章正午の陽炎までに公開されたストーリーを元に投稿しています。そのため、それ以降のストー…


総合評価:454/評価:8.13/連載:16話/更新日時:2026年05月31日(日) 07:00 小説情報

七囚人『災厄の狐』(成り代わり転生者)(作者:百合って良いよねって思う)(原作:ブルーアーカイブ)

七囚人『災厄の狐』狐坂ワカモに成り代わったブルアカユーザーが、色々破壊しつつ頑張ってキヴォトスが滅ぶのを阻止する話。▼なお、若干二名ほどは彼女が先生であった時の記憶がある模様。▼一部、年齢や神秘などに関して独自設定・独自解釈があります。▼途中からガッツリ百合要素入って来る予定なので注意です。▼ほぼないも同然ですが性転換要素があります。▼また、「先生に惚れてな…


総合評価:8959/評価:8.8/連載:13話/更新日時:2026年06月05日(金) 18:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>