直死の魔眼持ちとなんか英霊になってる奴のブルーアーカイブ   作:夜月詠

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呼符で来たのでウルズ宝具2。水着ナグサ?すり抜けだよ


帰るべきは何処・その9

「チッ、逃げられた。毎度毎度、逃げ足の速い連中」

 

 この距離は、もう有効射程外だ。仮に当たったとて、円環(ヘイロー)に護られた生徒にとっては軽く小石を当てられた程度のダメージにもならないだろう。

 

「どうせまた来る……次は確実に殺す」

 

 次に連中が襲撃してきた時は陸八魔アルの首を取って、アビドスの校門に飾ってやる。カラス避けと同じ原理で不良避けに使い潰してやる。

 

「アヴェンジャー、シキの目が据わってるんだけど。本気じゃないよね?」

 

「どうだろう」

 

「駄目じゃない、それ?」

 

 喧しい。

 

「えっと、シキさん、アヴェンジャーさん、応援ありがとうございます。おかげで不良達を──便利屋68を撃退できました」

 

 後方支援を担当していたであろう奥空書記がノコノコてくてくと校庭に出てきて、タブレット端末を片手に口を開く。

 

「便利屋68──ゲヘナではかなり危険で素行の悪い部活(せいと)として知られており……正直、私たちだけじゃ拮抗状態以上には持ち込めませんでした」

 

 便利屋の阿呆共だが、連中、あれで能力だけは本物だ。

 伊草ハルカ(キチガイ)は下手なサーヴァントより耐久してくるし、陸八魔アル(悪い虫)の狙撃能力は神業の領域。

 情報収集と破壊工作に異常なまでに秀でた鬼方カヨコ(推定留年生)、爆薬の運用を得手とする浅黄ムツキ(クソガキ)

 たった四人で空崎ヒナ抜きの風紀委員会に匹敵する実力者集団だ。

 

「連中は阿呆の馬鹿で変人だけど、能力だけは本物。後先考えない馬鹿の癖して運まで悪いからパッとしない、けど。それでも実力だけはある。危ない所だった」

 

 ……そんな連中+雑魚不良(いっぱい)とたった5人で拮抗していたアビドスの生徒達も相当強い。おかしいな。キヴォトスでも上位に位置する連中ばっかりだ。

 

「いやぁ〜本格的だね〜?」

 

「社長さんだったんですか! すごいですね♪」

 

「いえ、飽くまでも"自称"です。そもそも、部活として正式に認められていないので……」

 

 そりゃあそうだろう。あんなポンコツの阿呆をリーダーにしていれば、ゲヘナの公認なぞ貰えるわけが無い。

 せめて、鬼方カヨコをリーダーに置けば政治はどうにでもできるだろうに。

 

「それで、現在もまだアビドスのどこかに潜伏しているものと思われます」

 

 潜伏されるのは面倒だ。鬼方カヨコと浅黄ムツキの2人が揃っていれば幾らでも身を隠せる。その上、このアビドスはあちこちに廃墟がある。潜伏にはうってつけだ。ふぁっきゅー。

 

「それで、その人達はそんなに危険なの?」

 

「その気なら、空崎ヒナ抜きの風紀委員会に匹敵する。頭と運が悪いから大した脅威にはならない、けど」

 

 リーダーの陸八魔アルが全体的にポンコツなのだ。そんな阿呆に伊草ハルカも、浅黄ムツキも、鬼方カヨコすらも付き従っている。

 あんなでも人望はあるのだろう。私は絶対に従ってやらないが。

 

「問題無い。先生の指揮下にあるアビドス生と、私たち傭兵バロールなら便利屋は撃滅できる。撃ち滅ぼして陸八魔の首を校門に飾ろう」

 

「ず、随分と気合が入ってるんだね……」

 

「ん。気合いが入っているのは良い事」

 

「とにかく! そんな危険な組織が私たちを狙っているのです! もっと気を引き締めて行かないと……!」

 

 奥空書記が声を張り上げると、ちょっと怖い。普段滅多に怒ったりしない人が怒ると恐ろしく怖いのと同じ理屈だ。

 ……この状態で、『情報は特にあつめられませんてした』なんて言ったらどうなるのだろう。

 あれだけ大口を叩いた手前、出来ませんでした、なんて言い難い。

 

 今からでも何か情報を集めねば。せめて、何か……何か……連中の落とし物でも分析してみるか……?

 

「……この型番、もう取り引きされてない筈……奥空書記、詳しく調べて」

 

 便利屋共が持ち出していた兵器の破片。適当に手に取ったソレに、運よく型番が刻まれているのが見て取れた。私の記憶が正しければ、現在はもう取り引きされていない型番だ。

 生産中止になった兵器が手に入る場所と云えば、

 

「ブラックマーケット」

 

 私たちのホーム。私たちの本拠地たるスラムみたいな無法地帯。

 連邦生徒会の敷く法も何も知った事では無いと、平然と違法行為の執り行われる暗黒街だ。

 

「……その通りです。流石は、ブラックマーケットで名を馳せる最強の傭兵ですね」

 

 ブラックマーケットに何らかの手がかりがある。そう云う事だろう。とは云え、あそこで私たちの調査から逃れられる場所と云うのは数少ない。というか、数えられる程度しか無い。

 招待制オークション、銀行、その他幾つか程度だ。シャーレの名を盾に全て検めてやろう。

 

「よし。そうと決まれば早速ブラックマーケットに行こう。オレたちが案内するよ」

 

 ブラックマーケットは私たちの庭だ。マーケットガードを捻り潰し、不良を薙ぎ払い、違法取引の現場を抑え、数多の企業を物理的に倒産させてきたのだから。

 あそこで私たちを恐れない者はいない。私たちがいれば、ブラックマーケットの連中は言いなりだ。

 

 我らは恐怖を以て君臨する、直死の魔眼の保有者(ホルダー)と、英霊"復讐者(アヴェンジャー)"のタッグなれば。

 

 くく、何だか格好良い響きだ。最強の傭兵たるもの、格好良い二つ名とか、通り名とか、そう云うのが山程欲しい。

 確か今あるのは"賞金狩り"に"死神(バロール)"、"召喚師"、"壊し屋"、"亡霊"、"鬼火"だったか。そこに新しく何か名前が欲しい所だ。"陸八魔殺し"とか。

 

「よし、それじゃあ決まりだね〜」

 

「ブラックマーケットを調べるわよ!」

 

 ……とは云え、学校をこのままにしていくのも如何なものか。便利屋の連中が逆戻りして再襲撃してこないとも限らない。

 仕方ない。サーヴァントに護って貰おう。マスターから離れれば離れる程、魔力供給の効率が落ちてサーヴァントの能力値は低下する。その上、限界の維持も難しくなってくる。けれど、それでも並の生徒よりは強い。

 便利屋連中が相手でもそう簡単に競り負ける事は無いだろう。

 

 ──アヴェンジャー、単独行動持ちを召喚して。

 

 スキル『単独行動』。マスターから離れても、数時間から数日程度の単独行動を保障するスキルだ。高ランクの単独行動持ちともなれば、マスターを失ったとしても数日間の単独行動を可能とする。

 

 ──来て、アーチャー:▓▓▓▓▓。

 

 アヴェンジャーの背後に召喚されたのは赤毛の騎士の姿。竪琴を改造した妖弓を手にした円卓の一人。

 その真名()哀しみの子(トリスタン)。誇り高き栄光の円卓、その一席を預かる騎士だ。

 

 コクリと、騎士は頷いてその身を魔力(エーテル)に解いて行く。霊体化して誰の目にも止まる事無く、彼は一人でこの学校を護るのだろう。己が栄光の為でなく、騎士の本懐を果たすが為に。

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