直視の魔眼持ちとなんか英霊になってる奴のブルーアーカイブ 作:夜月詠
死と白紙・その1
英霊、サーヴァントと云う存在があるらしい。
人類史にその記録を、生き様を、歴史を刻み付けた英雄達。人類史の脅威に際して顕現し、脅威を討ち滅ぼすもの。
彼は、そんな存在の
「まぁ、正式な英霊という訳でも無いんだけどね。英霊に為るには霊基の数値も、信仰も足りないし、そもそも汎人類史にオレの記録は存在しない。だから、複数の──」
これも何度目の台詞だろう。幾度も聞いた、彼の言葉。
正式な英霊では無い。正当な英雄では無い。守護者として抑止力に身を置く事も無かったのだと、彼は何度も口にする。
彼自身が、自分の事を英雄だと思っていないから。
そんな彼に目を向ける。眼球に意識を廻す様にして、眼に"魔力"を流し込む。これも彼に教えてもらった、マスターとしての技術の一つ。契約したサーヴァントの能力値を測り取る、マスターの汎用技能。
── ── ── ── ── ──
真名:▓▓▓▓/▓▓▓▓
クラス:アヴェンジャー
筋力:E 耐久:E+ 敏捷:E 魔力:D 幸運:C 宝具:EX
スキル:『境界を越えるもの:A』『人理の灯:A』『召喚術:E』『人理装填:C』
クラススキル:『復讐者:EX』『純化されし片鱗(復讐者):A』『忘却補正:D+』『陣地展開:B』『分割思考(偽):EX』
第一宝具:『▓▓の▓来たれり、▓は▓▓を▓▓もの』
第二宝具:『▓▓の▓来たれり、▓は▓▓を▓▓もの』
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契約サーヴァントの、ステータス認識。
マスターに依って視え方は変わるらしいが、私にとってはこの様に。文字列として読み取れる。
宝具の疑似展開、或いはスキル『召喚術』の限界起動で
「アヴェンジャー……仕事に、行く。今日は、不良の制圧。ヴァルキューレが、懸賞金を掛けてる、から」
「分かったよ、マスター。何時ものように、ライダークラスとオレで護衛して、アーチャークラスの遠距離攻撃で制圧、アサシンクラスに回収して貰う。それで良いかな?」
「異論、無い。そも、私より、貴方の判断を信じる。歴戦の英雄に、任せる方が合理的。貴方は、違うの……?」
そも、サーヴァントの戦闘速度はおそろしく速い。
三騎士クラスや、ライダー、バーサーカー等の正面戦闘に向いたクラスは瞬間的には音速に到達し、凌駕する。
私の眼では、私の処理速度では戦闘に割り込めない。タイムラグが大きすぎる。それをどうにかするには、予め指示内容を決めておくか、先読みする必要がある。そのどちらも、私にはできない。
「基本的には皆に任せてるよ。オレが判断するのは礼装や令呪での支援、宝具の発動順、討伐か制圧か、とかだね。後は皆の仲裁とか……改めて考えてみると、中間管理職みたいな事やってるな……」
「……マスターには、絶対服従の
「それでも、だよ。令呪で無理矢理押さえ付けてばかりだと、信頼関係も産まれない。それに、オレの──オレたちの為に応えてくれた人達に、あまり命令はしたくないんだ」
優しい人だと、思う。
善も悪も等しく接し、それでも直向きな善性を保ち続ける稀有な──けれど、それでも。人は斯く在るべきだと、そう思う。
「……行こう、アヴェンジャー。仕事を、始める」
生きる為に、不良を狩る。
何かの弾みで道を踏み外した人達。銃社会の此処、キヴォトスに於いての迷惑者達。銃火器を手に、方々で暴れ回る無法者。
それを捕らえ、
◇
「アーチャー:▓▓▓、制圧をお願い。アサシン:▓▓の▓▓▓、不良たちを回収して」
彼が召喚した赤い外套の
彼はいつもこうして、私の判断を尊重しようとしてくれる。
こくり、と首を縦に振って制圧を開始する。
何処かに姿を隠したアーチャーがその黒い弓を射って不良達の銃火器を撃ち抜いて破壊し、その衣服を壁や地面に縫い止めて行く。
遠くに不良達の悲鳴や怒号、困惑の叫び声が聞こえてくる。
当然だろう。突如として撃たれる──それも、銃では無く、弓に。時代遅れも時代遅れの
「アサシン、回収を始めて欲しい。できるだけ、怪我はさせないように」
次いで、髑髏面の暗殺者達が音もなく不良達のただ中に忍び込む。アサシンクラスのクラススキル『気配遮断』。攻撃態勢に移るまで、誰にも気付かれない様な隠密行動を可能とするスキル。
その恩恵と、生前より積み重ねた技術を以て、彼等彼女等は制圧された不良たちを次々と縛り上げて回収してくる。
「ライダー:▓▓▓▓▓、今回もオレとマスター、それと不良達を戦車に乗せてくれるかな?」
緑色の髪をしたライダーは、鷹揚と頷いてぐっと親指を立ててサムズアップしてくれる。
いつも気軽に、神造兵装だとか云う凄い
私たちの護衛は、いつもそう云う
「……分かった。マスター、制圧完了だよ。さぁ、ヴァルキューレに連れて行こう」
音もなく顕れた暗殺者達。皆一様にぐるぐるに縛り上げられた不良を抱えている。猿轡と目隠し、それに手足を縛り上げた徹底的な捕縛態勢だ。
暗殺者達がライダーの戦車に不良を詰め込む──正確には、戦車の各所に括り付ける──と、アヴェンジャーに手を引かれて私は戦車に乗り込む。どうもこの身体は、死の淵でもなければ禄な運動の出来ない
馬鹿力の
……いや、この戦車に乗るのが厳しいだけかも知れない。
だって出せる速度が異常だし。軽く音速を越えて空を駆けるこの戦車は、アヴェンジャーかライダーに支えられていなければ吹き飛ばされそうになってしまうから。
「──う──わ──ぇ──あ────!」
「──ライ、ダー──! サーヴァントに、なっても、この戦車──苦しいんだけど──!?」
びゅう、と私たちは一陣の風となってキヴォトスの空を駆け抜ける。時折、何処かの生徒か不良達が銃で撃ってくるが当然当たる事は無い。だって音速越えてるんだし。
……それはそれとして、なんで
「──アレは、連邦生徒会の……? それに……! ライダー、停められな──やっぱり無理かぁ──!!!」
念話を通じてアヴェンジャーが脳内に直接話し掛けてくる。
──召喚されて始めて、サーヴァント以外の、人間の男の人を見た、と。