直死の魔眼持ちとなんか英霊になってる奴のブルーアーカイブ 作:夜月詠
壁を蹴る。
三角跳びの要領で世界を跳ね、荒れ狂う兵器の下へ吶喊する。
「接近を確認。非脅威存在と認定──エラー。未確認超常機構を確認。排除します」
私の方へ向けられる数多の銃口。それは、調月リオが引き連れていたAMASの武装。AL-1Sにハッキングされ、その操作権を奪い取られた機械の数々が我が身を砕かんと鉛玉の雨を放つ。
「直死、
横薙ぎに切り裂きながらの突進で弾丸の礫雨を弾く。
礫を裂いて運動エネルギーを殺し、ただ其処にあるだけの鋼へ変えてこの身で弾く。
「先生、これで分かったかしら。あれは、このキヴォトスの脅威なのだと」
「けど、これがアリスの意思とは限らない。まだ、方法があるかも知れないじゃないか……!」
ナイフ一振りで弾丸の雨を捌くのは中々骨が折れる。ただの一閃で数多の弾丸に奔る死の線を断つか、弾丸の起動を曲げる必要がある。
故に、然程の距離を動けない。その隙を見逃す程度の存在がキヴォトスの脅威になる筈も無く。
地面に着地したこの身に、一つの射線が重なる。
「脅威度修正。主砲、光の剣:スーパーノヴァ」
レールガンの、その銃口が私を向く。バチバチと帯電する鋼の銃身、その脅威がこの生命を穿つ為に。
機械らしい、優先順位の切り替え。この場で最も優先すべき脅威は、万物の終焉にして死たる私だと、そう理解して。
けれど、私は
「『修験道』、『天体魔術』そして、『遷延の魔眼』──」
影すら見せぬ神速によってアヴェンジャーがAL-1Sの懐へ踏み込む。其処で放たれる天体魔術の蒼い爆光。それを影にアヴェンジャーの眼が赤く輝く。
「──
それは可能性を司る魔眼の発露。戦乙女と謳われた降霊科の才女が有していた宝石の如き神秘が、科学の粋たるレールガンの『内部回路がショートを起こす』と云う可能性を手繰り寄せた。
「──! 内部回路のショートを確認、事象干渉発生、優先順位変更──」
バチ、と火花を散らして停止する光の剣。その一瞬の停滞と困惑に付け入って、AL-1Sに向かい突撃する。
狙うはその四肢。未だ、捕縛任務である以上完全破壊する事はできない。故に、抵抗を封じるが為の四肢の破壊が精一杯だ。
「四肢は不要、我が
だが、死なない訳では無い。
「マスター、拘束はオレが!」
終焉とは、この宇宙に産まれたあらゆるモノが内包する
我が眼の前に、壊れぬモノのあるべきか。
「駄目! アリスを傷付けないで──!」
「ネル、シキを止めて!!」
振り下ろしたナイフの、その刃を撃ち抜く一つの弾丸が在った。
それは、美甘ネルが有するツイン・ドラゴンの、その射撃。
「てめえ、チビの手足を落とそうとしてたな……!」
弾丸に砕かれたナイフを投げ棄てて、バックステップで後退する。後退したのは、AL-1Sと美甘ネルを丁度視界に収められる様な絶妙な位置。
この局面で敵が増える、と云うのは実に面倒──な訳では無い。
「セイバーはそのままロボットを! アサシン、マスターの援護を! オレはこのままAL-1Sを抑える!」
未だ召喚維持しているサーヴァント四騎から
その何れもが悪を厭わぬ英霊なればこそ、大義のために
「先生、これは明確な対立。ミレニアムに対する叛逆行為」
背負っていたライフルを構え、そのスコープに先生の腕を収める。シッテムの箱を保持した右の掌、そこに射線を合わせたままサーヴァントに指示を下す。
「ネル。これは命令よ。武装を捨て投降しなさい。そうすれば、シャーレの命令に従ったという事にして処理するわ」
私たちを囮に、アサシン三騎は霊体化と気配遮断を行う。
目の前で消えれば警戒されるのは当然だ。だが、彼らは私から目を逸らせない。目を逸らしたが最後、真正面から強襲されると理解しているから。
「リオ、何考えてんのか知らねえけどよ、てめえ、あたしの後輩に何しようとしてんだ……!」
「あれは貴女の後輩では無いわ。その学籍からして不法なもの。元よりミレニアムの生徒では無いのだから。そもそも、生徒ですら無い。それは、兵器。キヴォトスを脅かす魔王よ」
「そんな訳ありません! アリスは、アリスは、兵器なんかじゃ……!」
「では、アレをどう説明するのかしら。あの、破壊兵器としての在り方を。……あれが、天童アリスと云う存在の本質。このキヴォトスの脅威なの」
不当に対する怒りも、悲痛な声も、その全てに意味は無い。
あの存在が兵器であり、キヴォトスの脅威であると云う現実を否定する材料にはならない。如何に後輩、如何に友であろうとも、アレは兵器。キヴォトスを壊す──
その存在は決して許容されない。
「それでも、アリスは──!」
「……はぁ。話にならないわね。
時間の無駄にしかならない。──では、ミレニアムサイエンススクール、セミナーの名の下に、ゲーム開発部及びC&Cを重犯罪者に指定します。そして先生を、自治権侵害の
セミナー会長の命令に従わない部活動による武器を用いた抵抗。
即ち内乱罪。これだけで、生徒会が犯罪者として裁くに値する正当性となる。
そして、先生もまた同様に。
連邦生徒会より与えられたシャーレの特権、その域を超えているか否かは判断の別れる所だが、それでも生徒会が持つ自治権の侵害は行なっている。
「……一応、警告する。武装解除し投降しろ。応じれば痛め付けはしない」
故に、
脅威たるAL-1Sを見逃す事など出来ぬが故に。それを邪魔するのであれば、排除する。
対する返答は──
「リオ!!」
咆哮。激情のままに、ミレニアム最強たる約束された勝利の象徴が弾丸を放った。