直視の魔眼持ちとなんか英霊になってる奴のブルーアーカイブ   作:夜月詠

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死と白紙・その2

 アヴェンジャー。英霊が持つ、復讐と云う()の業火を司る側面。理不尽に応報する応報(アヴェンジ)

 正義を冠した暗い焔。それが、私が呼び出した彼のクラス。

 

 強大に過ぎる英霊は、現界に際しその能力を劣化させる。

 クラスと云う金型に押し込める範疇でしか、その能力を発揮できない。英霊という上位存在を、人間は使役できないからだ。

 サーヴァントと云う名の、英霊の劣化コピー。本来より大幅に劣化して尚、その能力は常人を凌駕する。

 

 ──いや、それどころか。ゲヘナ最強や、戦略兵器──キヴォトス最強格達ですらも。

 

「アヴェンジャー。何度でも、聞くけど。貴方は、何故、そのクラスなの?」

 

 復讐者。応報する者。憎悪の炎を以て自分諸共焼き尽くす者。

 私には、彼が業と恩讐を核にした存在とはとても思えない。彼は優しい人だ。絶対的な正義では無く、絶対的な悪でも無く。

 ただ、ヒトとして正しく。善悪の、そのどちらにも偏りきらないヒト。中立にして善、と云うのが正しいのだろう。

 

「……適性自体はあるんだ。オレの、復讐者(アヴェンジャー)としての側面は、決して誰にも呼び掛けられる事が無い、っていうだけで」

 

 復讐心(ほのお)は、大切な人達に預けて来たから。

 そう言って、彼は何処か哀しく笑う。遠い昔、もう会えない人達との思い出を懐かしむ様に。遠い視線と、声色で。

 

「だから、此処にあるオレは、イレギュラーだ。

 クラス:アルターエゴ、その特性。英霊の一側面を、一瞬の、一分の感情切り抜いて純化し、足りない数値を他の要素で補う違法霊基(クラス)

 

 彼のクラスは『復讐者(アヴェンジャー)』と云うよりは、『純化されし復讐者(アルターエゴ・アヴェンジャー)』と云う方が正しい。

 かつて抱いた復讐心。それだけを切り抜いて、サーヴァントとして成立する様に数多の霊基を継ぎ接ぎしたパッチワーク・サーヴァント。

 

 "彼"という個人には、復讐心しか無い筈なのに。それでも、彼は優しく振る舞う。私にも、誰にでも。殺し合いよりも話し合いを望む優しいヒト。

 だから、きっと、復讐者足り得るのだろう。愛しているからこそ、憎悪する。憎む程に愛する。それはきっと、同じ事だから。

 

 アヴェンジャーと云うクラスは、総じて愛情深いのだろう。

 だって、そうで無ければ復讐(アヴェンジ)の銘を冠さない。

 正当な報復。復讐足り得るからこその復讐者(アヴェンジャー)

 

 自分勝手な、それこそ独りよがりの復讐は、復讐者(アヴェンジャー)では無く狂気を司るクラス(バーサーカー)に分類されるのだろう。

 

 ──彼は、一体何の為に。誰の為に、憎悪の炎を灯したのか。

 

「英霊としてのオレそのものが、アルターエゴの継ぎ接ぎ英霊(ハイ・サーヴァント)みたいなものだからね。どのクラスでも、アルターエゴの特性が出てしまう。

 けど、今回はバグみたいなものだと思うんだ。生存を願うキミに応える為に、『自己回復(魔力)』を持ち込もうとした結果、アヴェンジャーとして現界した、っていう所かな。……まぁ、肝心の自己回復(それ)は、他のスキルに統合されてるけど」

 

 それが必要無い位に魔力が潤沢なのは予想外だった、と彼は笑う。サーヴァントの存在を維持するのに、彼が戦う為に必要なエネルギーリソース"魔力"。

 一般人なら、大した魔力量では無いだろう、と此方(わたし)に気を使って顕現した彼だが、私が高位の魔眼の保有者(ホルダー)であったのは予想外らしかった。

 

「魔眼。この、忌まわしい眼のお陰で、貴方が在る。それは、嬉しい」

 

 直死の眼。魔眼の中でも最上級の"虹"の魔眼とも呼ばれるそれ。それを保有しているお陰か、それとも生来の特性か、私の魔力量は凄まじく高かった。

 燃費の悪さはA級サーヴァント並、と自称する彼と、彼が召喚した複数のサーヴァントを同時に運用できる程に潤沢な魔力のプール。

 

 この眼が有って良かったと、そう思える数少ない利点の一つだ。

 

「……分かってると思うけど、その眼は人間には不可が高過ぎる。余り使わない様にね?」

 

 その言葉に眼鏡(・・)のズレを直しながら応える。

 

「分かってる。頭痛は、懲り懲り」

 

 魔眼殺し。魔眼の効果を抑え込む魔術礼装の一つ。

 魔術礼装等を作成するスキル『道具作成』。その高ランク保有者、複数騎の協力によって作成されたものだ。単なる魔眼の無力化だけで無く、多種多様な魔術的防護効果が付与された最上級の品らしい。

 

「バロールさん、アヴェンジャーさん、報奨金の確認が終わりました。こちら、ご査収ください」

 

 腕章を身に付けた、ヴァルキューレ警察学校の生徒が茶封筒を手渡してくる。普通は口座振り込みらしいのだが、これは私たちが無理を言って(キャスタークラスに暗示を掛けてもらって)、手渡しにして貰っている。だって、口座とか無いから。

 

「分かった。確認する……問題、無い。アヴェンジャー、お願い」

 

 数ヶ月分の生活費にはなるだろう大金を確認して、アヴェンジャーに手渡して管理して貰う。非力な私より、彼に持っていて貰った方が安定する。

 

「それと、連邦捜査部S.C.H.A.L.Eの"先生"から、一度話をしたい、と伝言を預かっています。強制ではありませんが、S.C.H.A.L.Eの持つ権限は強大です。一度、顔を出された方が宜しいかと」

 

「……S.C.H.A.L.E……"先生"の着任は、高々数時間前の筈。なのに、もう手が回っている……?」

 

 連邦捜査部とやらの権限は強大らしいが、それにしたっておかしいだろう。幾らヴァルキューレが連邦生徒会の直轄だからと云って、この速さで根回しする、なんて早業にも程がある。

 ──おそろしく優秀な秘書(サポート)か、それとも補助AIでも居るのだろうか。いや、"先生"がそれ程に有能だと云う可能性もある。

 

 が、意図が読めない。

 所属不明の私や、アヴェンジャーを不審視したのか。はたまた、何か他の要因があるのか。

 

「噂にはなっていましたからね。このキヴォトスで唯一の……唯一だった、大人の男の人と、所属不明の賞金狩りのコンビは。恐らくは、その為かと。"先生"も、大人の男の人、という事ですしその辺り、何かあるのでは?」

 

 まぁ、噂にはなる。機械でも獣でもない、人間(ヒト)の男性。それとタッグを組んで数多の賞金首を捕らえた所属不明(わたし)。厄災の狐だとか云う不良を狩ってからは、その手の噂も一段と増えている、と把握している。

 

「……了解。連邦生徒会の、その肝入りに、睨まれたくは、無い。アヴェンジャー、これから、D.U.に移動する」

 

 目標はS.C.H.A.L.E、そのオフィスに座す"先生"。

 私の──私たちの生活を脅かす様であれば、キャスタークラスに頼んでの暗示や記憶処理も厭わないと、そう決めて。

 ヴァルキューレの分校(分署)を後にする。




『召喚術:E』
過去、或いは未来から霊体を喚起する魔術。
生前終ぞ自力での行使が叶わなかった魔術であり、その旅路の終を共にした▓▓▓▓▓▓▓の、ただ一つの魔術。

『純化されし片鱗(復讐者):EX』
アルターエゴ:アヴェンジャー。特殊スキル。
クラス:アルターエゴのクラス特性そのものであり、本来の英霊・▓▓▓▓/▓▓▓▓からカリカチュアして切り出された、復讐者としての側面の純化。復讐者の欠片を、他の要素で補強する事で強引に成立するアヴェンジャーの霊基。

第一宝具『▓▓の▓来たれり、▓は▓▓を▓▓もの』
種別:対界宝具 ランク:EX 最大捕捉:1〜72 レンジ:--
アルス・ノトリア。
▓▓▓▓▓▓▓▓、その再現。
▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓▓。
数多のサーヴァントを連続召喚する魔術宝具であり、固有結界に似て非なる大魔術。
数多の英霊を以て、ただ一つの敵を打倒する獣狩りの一種であり、マスター、英霊・▓▓▓▓/▓▓▓▓の意思に呼応して、その召喚数と規模は無尽蔵に増大する。
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