廃人サバイバー、異世界へ行く   作:ドレットノータス

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第5話 まだ、名前のない家

点呼を終えて中央広場へ戻ると、拠点にはいつもの落ち着きが戻っていた。大型の子たちはそれぞれの寝床で身体を休め、ワイバーンたちは高所の岩棚で翼を畳んでいる。遠くからは恐竜たちの低い鳴き声や足音が聞こえ、ときおり風に乗って干し草や獣の匂いが漂ってきた。

 

主任も工房へ戻ったらしく、もう姿は見えない。正門では相変わらずカイザーがどっしりと構えていて、シルヴィアだけが私のそばから離れようとしなかった。少し歩けば後ろからついてくるし、立ち止まれば大きな鼻先を寄せてくる。相変わらず距離感がおかしい子だけれど、今はそんな甘えん坊なところも嬉しかった。

 

「……さて、と」

 

広場で立ち止まり、私は改めて周囲を見渡した。みんなが無事だったことは確認できたけれど、これで全部終わりというわけにはいかない。餌や水は足りているのか、設備はきちんと動いているのか。拠点そのものの状態については、まだほとんど確かめていなかった。

 

正直、今すぐベッドに飛び込みたいくらいには疲れている。それでも、必要なものが使えなかったり、どこかが壊れていたりしたら困るのは私だけではない。ひと通り確認しておけば、少なくとも安心して休むことはできるだろう。

 

「……よし、もうちょっと頑張ろう」

 

そう自分に言い聞かせて歩き始めると、シルヴィアが当然のようについてきた。振り返って名前を呼ぶと嬉しそうに喉を鳴らしたので、私はその鼻先を軽く撫で、一緒に正門の方へ向かった。

 

◆

 

改めて間近で見上げると、我ながらずいぶん大きな門を作ったものだと思う。

 

高くそびえる石造りの外壁に、金属で補強された巨大な正門。その両側には見張り台を兼ねた塔が立ち、遠くから眺めれば、なかなか立派な城塞に見えるかもしれない。もっとも、実際に近づいてみれば、左右の塔は微妙に形が違うし、外壁の高さも場所によってばらばらだった。

 

「……最初は、もっと綺麗なお城にするつもりだったんだけどなぁ」

 

確か、最初は左右対称の塔を持つ、西洋のお城みたいな拠点を作ろうとしていたはずだ。中央には立派な建物を置き、その周囲を頑丈な城壁で囲む。防衛設備もしっかり用意して、見た目も機能も申し分ない、そんな場所にするつもりだった。

 

ところが、実際に出来上がったものは随分と違っている。片方の塔は後から壁を継ぎ足したせいで不自然に太くなっているし、石造りの壁には金属の補強板が何枚も取りつけられていた。襲撃で壊れた部分を修理したり、拠点が大きくなるたびに防壁を広げたりしているうちに、最初の設計がどうなっていたのか、自分でもよく分からなくなってしまったらしい。

 

「……まあ、ちゃんと使えてるからいいんだけど」

 

苦笑しながら門の内側へ回ると、カイザーがいつもの場所で伏せていた。大きな尻尾が通路の端まで伸びていて、その周りだけ地面が妙に擦り減っている。ずいぶん長いこと同じ場所を使っているらしく、ここだけはもう完全にカイザーの定位置になっているようだった。

 

「カイザー、そこ通りたいんだけど……」

 

名前を呼ぶと、カイザーは片目を開けて面倒くさそうにこちらを見た。それから尻尾を少しだけ動かし、私が通れる程度の隙間を作ってくれる。

 

「ありがと。……でも、そこ一応通路なんだけどなぁ」

 

当然ながら返事はなく、カイザーはもう用は済んだと言わんばかりに目を閉じてしまった。どうやら場所を変えるつもりはないらしいので、私は小さく笑いながらその横を通り抜けた。

 

その後も外壁に沿って歩き、補修箇所や見張り台を確認していった。近くで見ると細かな傷はあちこちに残っていたものの、大きく崩れている場所はなく、今すぐ修理しなければならないような損傷も見当たらない。少なくとも防壁としての機能は維持できているようで、ひとまず安心してよさそうだった。

 

◆

 

次に向かったのは、作業場や倉庫が集まる工業区画だった。

 

居住区から少し離れたそこには、作業台や炉、修理用の設備などが並んでいる。建物の中へ入ると、先ほどまでの獣や干し草の匂いに代わって金属や油の匂いが漂い、辺りの雰囲気も随分と変わった。

 

「……うん。ここもそのままだ」

 

設備の配置は覚えているとおりで、近くの収納箱を開けてみると、中にはきちんと整理された資材が収められていた。金属に石材、繊維や皮、予備の道具類まで、どれも見覚えのある場所にあり、荒らされた形跡もない。

 

餌の保管場所にも十分な量が残っていて、水場も問題なく使えそうだった。これなら当面の間は、みんなの食事や水を心配する必要もなさそうだ。

 

「……よかった。これなら少しは安心かな」

 

もっとも、これだけの数の生き物がいるのだから、いつまでも備蓄だけに頼るわけにはいかない。今後どうやって食料を確保するのかは考えなければならないけれど、それも周辺の状況を調べてからになるだろう。

 

そんなことを考えながら棚を確認していると、奥の方に小さな箱を見つけた。何気なく蓋を開けてみると、中には赤や青、白などの塗料と、使いかけの筆が入っている。

 

「あ、これ……」

 

主任のヘルメットを塗ったときのものだ。さっき工房で見かけた、あの塗装の剥げたヘルメットを思い出し、思わず笑みがこぼれた。隣の箱には小型の子たちに使うための餌入れがあり、その奥には、シルヴィアに似合いそうだと思って取っておいた装飾用の材料まで残っている。

 

「……こんなのまで取っておいたんだ」

 

生き残るために絶対必要なものではないし、もっと優先して作るべきものもあったはずだ。それでも、こういうことをしている時間が楽しかったのだと思う。主任のヘルメットだって、別に被せなければ困るものではなかったけれど、今となってはあれ以外の姿が想像できないくらいだった。

 

箱を元の場所へ戻し、改めて工業区画を見渡してみる。

 

設備はそれなりに揃っているものの、拠点全体の大きさから考えれば、ここが占めるのはせいぜい二割か三割ほどだろう。最初は生産設備を中心にして、何でも作れる便利な拠点にするつもりだった気がするけれど、いつの間にか居住区の方がずっと大きくなってしまっていた。

 

「……まあ、あれだけ増えればねぇ」

 

大型の恐竜が一頭増えるだけでも、必要な寝床や餌場の広さは大きく変わる。新しい子を迎えるたびに建物を増やし、通路を広げ、ときには壁まで取り払ってきたのだから、こうなるのも当然だった。

 

ひと通り設備に異常がないことを確かめ、私は工業区画を後にした。

 

入り口の外ではシルヴィアが待っていて、私の姿を見るなり長い首を下げてきた。さすがに建物の中までついてくるには身体が大きすぎるのだろうけれど、ちゃんと外で待っていてくれたらしい。

 

「お待たせ。ちゃんと待ってて偉かったね」

 

鼻先を撫でてやると、シルヴィアは得意げに胸を張った。どうやら褒められるのを期待していたようで、その分かりやすい反応がおかしくなり、私はもう一度首を撫でてから次の場所へ向かった。

 

◆

 

その後は、居住区の設備も簡単に確認して回った。

 

大型組の区画にある補強材や、ワイバーンたちが休むための高い足場。小型の子たちが使う水場や餌箱も、見て回った範囲では特に問題なさそうだった。さっきの点呼ではみんなの顔を見ることばかり考えていたけれど、改めて設備に注目すると、この拠点がどれだけ増改築を繰り返してきたのかがよく分かる。

 

大きな子が通りにくそうにしていたから道を広げ、翼をぶつけそうだったから天井を高くした。小さな子が大型の子に踏まれないよう、専用の通路や仕切りを追加した場所もある。どれも最初から計画していたわけではなく、そのとき困っている子がいて、どうにかできないかと考えた結果だった。

 

「……だから、こんな形になっちゃったんだね」

 

通路の途中で立ち止まり、継ぎ足された壁を眺める。材質も色も違う壁が不自然な角度で繋がっていて、城として見ればお世辞にも綺麗とは言えない。それでも、そこで暮らしている子たちは、みんな気持ちよさそうだった。

 

ワイバーンたちは十分に翼を広げられる場所で休み、大型の子たちは広い寝床で身体を伸ばしている。小さな子たちも、それぞれの場所で好き勝手に過ごしていて、窮屈そうな様子は見られなかった。

 

最初に思い描いていたお城とは随分違うけれど、こうしてみんながのびのびと暮らしている姿を見ると、これはこれで悪くないような気がする。自分で作ったものを自分で褒めるのも変だけれど、少なくとも住み心地については、それなりに自信を持ってもいいのかもしれない。

 

設備の確認もひと段落したところで、私は拠点のさらに奥へと向かった。

 

◆

 

そこには、ほかの区画とは明らかに雰囲気の違う場所があった。

 

通路を進むにつれて壁の材質が石や木から金属へと変わり、周囲の空気もどこかひんやりとしてくる。生き物の気配が遠ざかった先には、青白い光を放つ無機質な装置群が整然と並んでいた。

 

「……あった」

 

TEK設備だ。

 

『ARK』でも、かなりやり込まなければ手に入らない高度な技術の数々で、普通の作業設備とは比較にならないほど高性能なものばかりだった。これだけの設備が残っているなら、今後の生活でもいろいろと役に立つだろう。

 

見覚えのある装置が、記憶のとおりの場所に並んでいる。青白い光も、整然とした配置も、何度も画面越しに見てきたものだった。だから最初は、ここもほかの区画と同じように、懐かしく感じるものだと思っていた。

 

ところが、実際に足を踏み入れてみると、どういうわけか落ち着かなかった。

 

「……あれ?」

 

思わず足を止め、周囲を見渡す。何かがおかしい気がするのに、それが何なのか自分でもよく分からない。

 

さっきまで見て回った区画では、記憶にあるものを見つけるたびに安心できた。壁の傷も、使い込んだ道具も、みんなが休んでいる場所も、よく知っているものばかりだったからだ。

 

ここだって同じはずなのに、なぜかそういう気持ちになれない。

 

私は首を傾げながら近くの端末へ歩み寄り、表示を確かめてみた。見覚えのある画面が淡く光っていて、少なくとも電力は問題なく供給されているらしい。操作盤にも警告は出ておらず、設備そのものに異常があるようには見えなかった。

 

「……おかしいなぁ」

 

もう一度周囲を見渡してみるものの、装置の配置も種類も記憶にあるとおりだった。知らない機械が増えているわけでもなければ、どこかが壊れているようにも見えない。そもそも、何を気にしているのかさえ分からないのだから、確認のしようがなかった。

 

そのとき、視界の端で青白い光がわずかに揺れた。

 

振り返ると、一番奥にある端末が一度だけ明滅し、すぐに元の状態へ戻った。警告音が鳴ったわけでもなく、画面にも変化はない。TEK設備なのだから、この程度の動作は珍しくないはずだった。

 

それなのに、なぜか妙に気になった。

 

「……なんだろう」

 

しばらく端末を見つめているうちに、ふと奇妙な考えが浮かんだ。まるで、私がここへ来たことに気づいて、何かが反応したみたいだ。

 

そこまで考えて、私は思わず眉をひそめた。

 

そんなことがあるのだろうか。もちろん、何らかの装置が人の接近を検知すること自体は珍しくないだろうけれど、今の反応がそうだったと判断できる理由は何もない。単なる待機動作だったのかもしれないし、自動点検の途中だった可能性だってある。

 

気になって端末へ近づき、もう一度表示を確かめてみたものの、そこには見慣れた画面が映っているだけだった。何かを知らせるような表示もなく、ほかの装置も静かに動き続けている。

 

「……気のせい、かなぁ」

 

そう口にしてみても、どうにも納得できなかった。

 

設備に異常が見つからない以上、これ以上調べても仕方がない。けれど、最初に足を踏み入れたときから感じている違和感は、まだ消えていなかった。

 

見た目も配置も記憶にあるとおりなのに、何となく落ち着かない。まるで知っている場所が、ほんの少しだけ知らない場所になってしまったような、そんな妙な感覚だった。

 

「……まあ、今はいいか。後でちゃんと確認しよう」

 

結局、私はひとまず引き返すことにした。昨夜からほとんどまともに眠れていないのだから、疲れのせいで余計なことを気にしている可能性もある。設備が動いていることは確認できたし、詳しい点検は休んでからでも遅くないだろう。

 

通路を戻りながら一度だけ振り返ってみたけれど、奥の装置群は相変わらず静かに青白い光を放っているだけだった。その様子を見ても、最初に感じた違和感が消えることはなかった。

 

TEK区画を出て通路を上がっていくと、次第に馴染みのある草や土の匂いが戻ってきた。入り口の近くではシルヴィアが待っていて、私の姿を見るなり嬉しそうに鼻先を寄せてくる。

 

「はいはい、ただいま。……って、まだ拠点の中なんだけどね」

 

その大きな鼻先を軽く撫でてやると、シルヴィアは気にした様子もなく喉を鳴らした。いつもどおりの反応に思わず笑みがこぼれ、先ほどまでの落ち着かない気持ちも、少しだけ和らいだ。

 

◆

 

最後に向かったのは、自分の部屋だった。

 

巨大な恐竜たちのために作られた区画とは違い、こちらは人間の大きさに合わせた普通の入り口になっている。見慣れた扉の前に立つと少しだけ緊張したけれど、ドアノブを回してみれば、何の抵抗もなく扉が開いた。

 

中にはベッドと机、収納棚、それから小さな窓があった。豪華な家具が並んでいるわけでも、特別な設備があるわけでもない。必要なものを置いただけの、ごく普通の部屋だった。

 

「……ああ、うん。私の部屋だ」

 

なんだか拍子抜けするほど、記憶にあるままだった。机の位置も、ベッドの向きも、収納の場所も覚えている。どこに何があるのか分かるのに、実際にここで眠ったという実感だけは、どうにも湧いてこなかった。

 

試しにベッドへ腰を下ろしてみると、思っていた以上に柔らかく、身体がゆっくりと沈み込んだ。昨夜は硬い岩にもたれて眠っていたのだから、まともなベッドがあるというだけでありがたかった。

 

「……ああ、最高……」

 

思わずそのまま後ろへ倒れ込みそうになったけれど、どうにか踏みとどまる。さすがにここまで歩き回って疲れたし、今すぐ眠ってしまいたい気持ちもある。それでも、まだ少しだけやっておきたいことがあった。

 

「……あとで、ちゃんと寝よう」

 

そう自分に言い聞かせて立ち上がり、窓の方へ歩み寄った。

 

そこからは、拠点の一部を見渡すことができた。増築を繰り返した建物の屋根が幾重にも重なり、その向こうには大型の子たちが暮らす広い区画がある。少し目を上げればワイバーンたちの高い足場も見え、ちょうど一頭が翼を広げているところだった。

 

考えてみれば、この部屋を作ったときも、なるべくみんなの様子が見える場所がいいと思っていた気がする。

 

巨大な恐竜たちのために広げてきた拠点の中で、ここだけは私一人のために用意した場所だった。あの子たちに合わせて何度も建物を作り直してきたけれど、この部屋は最初から私が使うための大きさになっている。

 

日本にいた頃の自分の部屋とは違う。それでも、ここも間違いなく、私が使っていた場所だった。

 

窓の外でゆったりと過ごしている恐竜たちを眺めていると、そのことが少し不思議で、少し嬉しかった。

 

◆

 

部屋を出たあと、私は拠点全体を見渡せる高い場所へ向かった。

 

見張り台を兼ねたそこからは、正門や工業区画はもちろん、増築を重ねてきた居住区まで一望できる。改めて眺めてみると、我ながら本当に大きな拠点を作ったものだと思う。

 

最初に作ろうとしていたお城の面影は、外壁や塔に少し残っている。けれど、その内側に広がっているのは、私が思い描いていた整然とした城とは随分違う光景だった。

 

大型の子たちが暮らす広い区画に、ワイバーンたちの高い寝床。小型の子たちのための小さな建物や、採取組が使う広場。それぞれが必要になるたびに増えていった結果、建物の形も通路の配置も、すっかり複雑になってしまっている。

 

工業区画は思っていたより小さく、TEK設備も奥まった場所にまとめられていた。その一方で、拠点の大部分を占めているのは、恐竜たちが暮らすための場所だった。

 

「……なんか、すごいことになってるなぁ」

 

思わず笑ってしまった。最初は立派なお城を作ろうと思っていたはずなのに、いつの間にか、こんなに大きな恐竜たちの住処になってしまっていたのだ。

 

けれど、別に悪い気はしなかった。

 

ここが広くなったのは、仲間が増えたからだ。通路が複雑になったのも、壁がちぐはぐになったのも、全部あの子たちと暮らすためだった。いつからそうなったのかは覚えていないけれど、目の前に広がる光景を眺めていると、少なくとも私は、みんなが快適に過ごせる場所を作りたかったのだと思う。

 

「……お城っていうより、もうお家だよね」

 

そう呟くと、隣にいたシルヴィアが不思議そうに首を傾げた。

 

「だって、ほら。みんな住んでるし、ご飯食べてるし、寝てるし。……うん、やっぱりお家だよ」

 

自分で言っておかしくなり、くすりと笑う。

 

ここには、みんながいる。シルヴィアも、カイザーも、主任も、それから数えきれないほどの子たちも。それぞれ好きな場所で過ごし、私が名前を呼べば、いつものように返事をしてくれる。

 

昨日の夜は、知らない場所に一人きりで、どうすればいいのかも分からなかった。今だって、ここがどこなのか、どうしてこんなことになったのか、何ひとつ解決していない。日本へ帰りたい気持ちもなくなっていないし、お父さんやお母さん、家にいる子たちのことを考えると、胸が苦しくなる。

 

それでも、少なくとも今は、一人きりではなかった。

 

私はもう一度、眼下に広がる拠点を見渡した。不格好な防壁に、増築だらけの建物。その間を恐竜たちが行き来し、高い足場ではワイバーンが大きな翼を広げている。何もかもが現実離れした光景なのに、そこにいるのは私がよく知っている子たちばかりだった。

 

「……ただいま」

 

自然と、そんな言葉がこぼれた。

 

すると、隣にいたシルヴィアが嬉しそうに喉を鳴らし、大きな鼻先を私の肩へ寄せてきた。私はその温かい鱗を撫でながら、もう一度、小さく笑った。

 

「ふふっ、うん。ただいま、シルヴィア」

 

まだ分からないことは山ほどあるし、これからどうすればいいのかも決まっていない。それでも、少なくともこの場所には、帰ってきたと言っていいのだと思う。

 

立派なお城を作るつもりだったし、便利な拠点にするつもりでもあった。けれど、出来上がったのはそのどちらとも少し違う、みんなが一緒に暮らすための場所だった。

 

名前は、まだない。今すぐ何かをつけようとしても、きっとしっくりくるものは思い浮かばないだろう。

 

それでも、この場所が私と、みんなにとって何なのかは、ようやく分かった気がした。

 

まだ名前のない、『家』だった。




青白く光る装置群について

今回、拠点の一番奥に出てきた青白く光る装置群は、ARKに登場する高度な未来技術を元にしています。

ARKは、石の道具や木の家から始まるサバイバルゲームですが、進めていくと金属装備や電気設備、さらにその先にあるSF的な装備や施設も登場します。
ARKでは、そうした最上位の未来技術をTEKと呼びます。

TEK系の装備や施設は、恐竜や原始的な自然環境とはまったく雰囲気が違います。
青白く光る機械的な建材、発電設備、防衛装置、転送装置など、いかにもSFらしい見た目をしています。

簡単に言えば、TEKとは、
恐竜サバイバルの果てに現れる、ARK世界の超未来技術
です。
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