この乙女ゲームの攻略情報は、妹だけが知っている〜主人公の師匠ポジになってしまった兄より〜 作:ゲスト047562
ダイダラぼっち:私達、距離を置いた方が良いと思うの
天外理愛:嫌だけど
ダイダラぼっち:ワガママ言わないの! 全くこの子は〜
天外理愛:何でお母さん風なの?
ダイダラぼっち:俺といたら緊張感薄れるだろ。偶にはソロで試練の祠に潜って戦闘してきな
天外理愛:分かった! 後で結果送るね。また来週もよろしく
ダイダラぼっち:来週も1人で頑張れよ
天外理愛:嫌だよ?
天外理愛:【不在着信】
天外理愛:【不在着信】
ダイダラぼっち:うるせェェェェェ!! いつでも保護者同伴出来ると思ってんじゃねえぞ甘ちゃんが!!
天外理愛:強くしてくれる約束はまだ有効だもん!
ダイダラぼっち:俺がいたらまた心がヘタれるかもしれねえから、その弱さを自覚してこいって事! おk!?
天外理愛:ご褒美欲しい
ダイダラぼっち:じゃあ何が欲しいか考えとけ
◇◆◇◆◇
ここ暫く、天外に付きっきりだったせいで自分の強さに不安が出てきた。
だってあの子、人の教えを吸収するのがマージで早いんだもん。自信無くすわ。最近の若い子って、皆あんな感じなのかねえ……時代は変わったもんだ。
そんな訳で、天外とはしばしのお別れ。俺も自分のレベルアップに勤しむ事にした。
天外とは行けない、
「クク……我に挑んでから、我が攻撃を受ける事しか叶わぬとは。脆い脆い、やはり人とは脆弱で身の程も知らぬ愚者ばかり」
流石にここに天外は連れて来れないな。アイツは俺の言葉でシーソーみたいに心が揺れるし。
「威勢が良いのは最初だけだったな。否、我が強いだけか。幽世から現世の狭間に来て幾年、ようよう地上に我が降臨出来るのか」
……天外は強くなった。それは間違いない。後は最後の仕上げとして、1人でも戦えるという覚悟の土台が必要なのだ。
「ほう、この状況でも心に絶望は湧かず、身体は震え上がらぬか。その度胸だけは認めてやろう」
…………俺の目的の為には、彼女にはどうしても強くなって、出来ればイケメン達と恋仲になって、ラスボスを討伐して欲しい。
しかし、この考えはあくまでゲーム内でそうだったから、そうなって欲しいという希望的観測。彼女の選択を強制するつもりは無いし、彼女が世界の滅亡を選ぶなら、それならそれでまあ仕方ないよね。だって俺、別に原作やらキャラに愛着がある訳じゃないし。結は悲しむかもしれんが。
「ああ、楽しみだ……! 生の肉、しかも妖力をも含んだ極上の馳走。どうやって喰うてやろう、どうすればその顔w「さっきから五月蝿えなこのカス」……何?」
「人のモノローグの最中に喋ってんじゃねえよ。まだ俺が心の中で喋ってるでしょうが。自語りが好きなら壁とでも喋ってろよ老害蛇肉モドキがよ」
全身の鱗が人の腕で出来た、巨大な蛇に話しかける。瞳の部分には顔があり、俺を丸呑みに出来る程の巨大な口から覗かせる舌は、綺麗な女性の見た目をしていた。
イケノカミ。そう呼ばれるこのクソ蛇は、名前に「神」が付く通り、強い。強いんだが……まあうん、俺の
俺の罵詈雑言を受け身を固めていたイケノカミが笑い出す。そして、瞳に埋め込まれている顔が再び喋り出した。
「貴様……何と不敬な。この期に及んで、口から出る言葉がそんなものとは。滑稽を通り越し、いっそ哀れよのう」
「それな。妖魔にも認知症があるなんて思わなかったわ。無駄に何年も生きてるだけの老害は、見てるだけで可哀想で涙が出るわ」
「は?」
受けの練習はもう良いや。コイツの妖技も参考になったし、そろそろご臨終タイムにしてやろう。
剣を握り直し、止めていた足を前へ動かす。まだ全身に残る痺れを感じながら、無造作にイケノカミへ詰め寄る。
「ここんとこなぁ、受験勉強やら
「……そうかそうか。貴様は既に壊れておったか。恐怖を感じぬ肉に興味は無い。一息に呑んでくれよう」
イケノカミの腕状の鱗が逆立ち、無数の牙が生えた口を開ける。
俺を甚振る為ではなく、呑み込み捕食する為に奴は上から俺目掛けて落ちてきた。
「ははっ、人の話が聞けねえ所まで老害でやんの。後お前、名前負けし過ぎ」
名付けは大事だが、何でもかんでも強そうな名前を付ければ良いという訳ではない。神を冠する名前を付けたところで、それを扱う者に相応の実力が無ければ、それは自分を殺す刃となる。
まずは自分の身の丈を知る事。それが出来ないから、イケノカミは神以下の存在しかなれないし、それが奴の死因でもある。
「なっ──」
イケノカミが巨体を唸らせてこちらに飛んできた刹那、俺の剣が鈍色の光を纏う。
そこに込められた妖力に気付き、捕食から一転、イケノカミが俺から逃げようとした。だが、さっきから散々舐めプかましていた大蛇如きが、今更回避とは片腹痛いんだよなぁ!
「
剣を振り向く。その軌跡から生じた幾つもの剣閃が、イケノカミの身体を削り落としていく。
「ガアアアアオオオオオオッッ!?」
「うーむ、切れ味が悪いな。もっと改善の余地はあるか」
「き、キサマアアアアアアアアアアアア!!!」
鱗を剥がされ肉が剥き出しになったイケノカミが激昂する。怒りに震える巨体が、俺に向かってくる。
反撃する余力があるのか。見た目程ダメージは受けてないんだな。
「ゴッ──……」
「まあ、だから何だって話なんだが」
俺に敵を甚振って愉悦する趣味がある訳でもなし。言葉も解さなくなった大蛇の首を、一刀で刈り取る。
イケノカミが消え静かになった試練の祠で、俺は剣を納める事なく構えた。
「で? 次はお前か」
先程から物陰で隠れている奴に声をかける。俺とイケノカミの戦いをひっそりと眺めていた奴は、俺が気が付いていると分かったのか姿を現し……って。
「師範じゃないっすか」
「ああ。見事な戦いだったな」
幻影や変身の類……では無いな。本物の師範だ。
試練の祠で師範と……いや、人と会う事自体初めてだ。結によると、加護持ちは恒常的に試練の祠に潜るから、休日は試練の祠には行かないのが殆どらしい。
だから普段は会わない筈なんだが、何でいるんだ?
「最近、学園がどこか物々しい雰囲気でな。落ち着かなくて修行していたら、偶然お前がイケノカミと戦っているのを見かけたのだ」
「ほーん。なるほど」
「苦戦しているようなら、師範らしく手助けに入ろうと思ったのだが……随分と強いんだな? 弟子」
「強くなる為に来てるんで」
「それに口が悪いな」
「ウス」
それはガチでサーセン。性分なもので。
師範の服装は、いつもの道着じゃない。動きやすい軽装の胸当に、関節を守るプロテクター。戦国シミュレーションゲームの姫武将みたいな出立ちだ。
修行に来ているという意気込みは本物のようだ。なら邪魔する訳にはいかないな。
軽く会釈して、先輩に踵を返す。回れー右。
「じゃ、頑張って下さい。俺は」
「ま、待てっ!」
「ハァイ?」
何故か呼び止められ、説教は嫌だなーと思いながら振り向く。はい回れー右。
師範は、見慣れない装いを見られるのが恥ずかしいのか、若干モジモジしながら俺に目配せを送ってくる。
……「似合いますね」なんて言う場面じゃないよな? どうしたんだ?
「その……今日は一緒に、挑まないか……?」
「…………うん?」
別に良いけど、何で?
「ほら、師範たる私が、実はどれ程強いのか弟子は疑問だろう?」
「いや別n「それに弟子の今を知らなくては、何を教えて良いのか分からなくなるからな!」」
「まあたs「ここで会えるのも縁だと思わないか? 今日は共に修行しようじゃあないか」
「あの、良い「そうかそうか! よし、なら先に進むか。安心しろ、私は強いぞ?」話を聞けやァァァァ!!」
一々言葉を被せないと会話出来ねえのかこの人!