この乙女ゲームの攻略情報は、妹だけが知っている〜主人公の師匠ポジになってしまった兄より〜   作:ゲスト047562

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第2話 転生特典は前世の妹

『おにい、ゲーム得意でしょ』

 

『お? 何だ何だ』

 

『今やってる乙女ゲー、バトルがちょーむずいの。ウチの代わりにやってよ』

 

『何で乙女ゲーにバトル要素あんだよ。ちょっと面白そうじゃねえか』

 

『でねでね。この人使ってほしいの! 一緒に祠攻略して!』

 

『祠? ああダンジョン的なサムシングね。おけおけ』

 

 

 

 

 

『……意外とバトル面は作り込んであんのね。これキャラのレベル低いんじゃね? つか主人公ちゃんの適正エグいな。適正上げるのって、攻略キャラの色に染まる的な?』

 

『キモ』

 

『おっと殴るぞ?』

 

『はいありがとおにい! 今度詰んだらまたよろしく!』

 

『はいはい』

 

 ◇◆◇◆◇

 

 ……なーんて事があったのを今思い出した、中学3年の夏。テレビでとある高校のCMを見ていた時、急に昔……所謂前世の記憶と知識が蘇ってきた。

 どうやら俺は転生したらしい。それも、正式名称すら知らないゲームの世界に。確か、前世で妹がハマって、一緒にラスボスをクリアした程度の知識しか知らない。

 ん? そんな程度の知識しかないのに、何故その世界に転生した事が分かるのかって? それはね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え!? カミカゴの世界!? ウチ転生しちゃってる!?」

 

 隣で一緒にテレビ観てる妹がそう言ってるからですね。

 つかお前も転生者かい! 一人称まで変わって……おん?

 

「……ウチ?」

 

「あ、ヤバ……あ、アハハ〜どしたのおにい……ちゃん?」

 

「ああ、おにい呼びで良いぞ。前世でもそう呼ばれてたし」

 

「ぜ、ぜぜぜ前世!? なななナンノコトか分からないヨ!?」

 

「カミカゴってアレだろ? 確か乙女ゲーのRPG……」

 

「! うんうん! 『神の加護の下、君と』ってタイトル! でねでね。今って──」

 

「スマン、俺バトル要素しか知らねえんだ。ちょっと設定から頼むわ」

 

 『神の加護の下、君と』(初めてタイトル知ったわ)。日本神話をベースとした神や英霊から、加護を授けられた者達がいる。この世界で彼らは『加護持ち』と呼ばれ、妖魔という人の感情を喰らって生きる化け物達から、加護を持たない一般人(パンピー)を護っている。

 物語は、『国の危機が迫っているから、ちょっと特例だけど加護を授けるわ』とかいう神託が下され、その加護を授かるのが主人公ちゃん。彼女は神託の巫女と呼ばれ、加護持ちが通う高校に強制入学させられ、そこで色んな出会いをする事になる、王道学園モノの乙女ゲームらしい。

 

「ほーん、そういう設定だったのか」

 

「あー良かった! この世界に転生したのがウチだけじゃなくて! 言えてすっきり! つかおにい、何でバトル要素あるの知ってたの?」

 

「妹の手伝いで、バトルだけやってたんだよ」

 

「あー! ウチとおんなじじゃん! 前のおにいに一緒にバトル部分だけ手伝ってもらったんだヨ!」

 

「手伝うっつーか、ほぼ俺がやってただろ。お前レベル上げも武器も揃えず進めてたから、ボスめっちゃ苦戦したわ」

 

「だってとにかく推しのルート行きたかったんだもん! ……え? 何で知って」

 

 うん、こいつ我が妹だわ。まさか今世でも兄妹になるとは。

 

「……うそ。お、おにい?」

 

「おう」

 

「……〜〜おにいおにいおにいおにい!」

 

 はっはっは、突進してきおって。可愛い奴mグボァ!? てめっ加護持ちだったなそういや! 俺は加護無しなんだぞ、手加減しろ。

 久しぶりの再会のハグを終え、とりあえず現状の確認をする。

 

「……で。今って原作始まってんの?」

 

「まだ始まってないヨ。今攻略キャラが中3だから、原作通りなら来年スタートする筈」

 

「ん? 何で知って……あー、中高一貫校だったか」

 

 物語の舞台は、神霊学園。さっきCMで流れたやつだ。

 本来、加護持ちは12歳までになるらしい。その為、神や英霊との共鳴を深め、来る災厄に向けた訓練をする為に、中学からそういった教育がされるそうだ。

 主人公が加護持ちとなるのは、確か中3の時。だから、最初は周囲の人間から奇異な目で見られながら、様々な試練を攻略キャラと乗り越えていくんだそうな。

 加護持ちである我が妹はその学園に通っているから、時系列をしっかり把握出来ているって事ね。俺? 近くの公立ですが何か?

 

「しっかしお前……」

 

「ふふーん。可愛いでしょ」

 

 改めて妹……結の姿をマジマジと見つめる。

 青い長髪のポニーテール。華奢で小柄な体格に童顔な顔立ち、光を弾く程白い肌。ちょっと信じられないぐらいの美少女だ。

 まさか妹に異世界を感じる事になるとは。本当に兄妹なのか疑うぐらい、俺とは似ても似つかないな。

 

「……ソシャゲのSSRキャラっぽい」

 

「キモ」

 

 感想言ったのに罵倒しやがって。

 

「おにいは……うん、普通だね。ソシャゲのレアくらい」

 

「それなら十分良いだろ。にしてもお前、これからどうすんの?」

 

「え? どうって……」

 

「お前の推しが生きてる世界だぞ。もしかしたら、推しの死亡ルートを潰せるかもじゃん」

 

「!! 確かに!」

 

 結の目が輝きだす。

 こいつの場合、好きな人がいる世界に転生したんだから、その人に猛アタックでもするのかもしれない。しかも同じ学校にいるんだから大チャンスだ。

 もし主人公が妹の推しとくっ付くルートに入ったら、うん……脳破壊されるかもしれんな。面白そうだからそれはそれで見てみたいが。

 

「ウチ、推しが死なない様にする! おにいはどうするの?」

 

「俺? そうだなー……」

 

 まさか自分が転生……しかも乙女ゲームの世界に来るなんて思ってもなかったから、今一度身の振り方を考える。

 大体こういうのって、原作のバッドエンドルートを回避したい派or原作から距離を置きたい派に分かれるところだ。因みに俺は後者。

 別にこのゲームに思い入れなんて無いし、主人公の選択でバッドエンドいくならそれもアリだろ。つか、この世界の主人公でどうにも出来ないなら、他がどう介入しようが絶対無理じゃね?

 っつー訳で、事勿れ主義で今まで通り過ごしていきたい。

 と、言いたいところだがなあ……。

 

「? どしたのおにい」

 

「……」

 

 

 

 

 

『どう゛じでだヨ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!?』

 

『何だ何だ。うるせえな』

 

『推しが……推しのルートで推しが死んだあああああああ!!』

 

『草。主人公庇ったのか。メリバじゃん』

 

『ざっけんな運営死ねええええええ!!』

 

『俺はメリバ好き』

 

『ヤダ! ねえヤダー!』

 

 

 

 

 

「……おら」

 

「わぷっ? ひゃにしゅんにょ!」

 

 無抵抗な妹の顔を弄んで、自分の心を整理する。

 

「……よし」

 

 とりあえず、強くなるか。

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