この乙女ゲームの攻略情報は、妹だけが知っている〜主人公の師匠ポジになってしまった兄より〜   作:ゲスト047562

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第6話 誰だって外面は良く見せたい

「おはよう、弟子。今日は稽古に来ないんじゃなかったのか?」

 

「あ、そこからなんだ」

 

 改めて紹介しよう。この女性は献魂院奏(けんこんいんかなで)。献魂護身術の跡取りであり、献魂院荒人先生の孫娘である。俺より1つ年上で、よくお姉さん風を吹かせてくるが、あのだらしない姿を見れば威厳は消え去るというもの。

 だがそんな先程までのだらしない姿は消え去り、ボサボサだった髪はポニーテールにして一纏めにされ、道場に相応しい道着を着こなしている。見目を整えれば、凛々しくて女性人気の高そうな美人の完成だ。

 

「実は急用が出来て、先生に会いに来たんすよ」

 

「そ、そうか……私に会いに来た訳では、ないのだな……」

 

「? んー、まあ暇があったらついでに稽古してもらおうと思ってますが」

 

「そうかそうか! そこまで言うなら良いだろう、今日も師範たる私が稽古をつけてやろう」

 

 顔がコロコロ七変化してる。フッ、おもしれー女。

 献魂護身術の復興。それが彼女の夢らしい。だから、先生と2人で道場を切り盛りしてた時、俺が来て凄い喜んでたんだよな。師範と呼んでいるのも彼女からの要望で、そう呼ぶだけで凄く喜んでたし。

 だからこそ、新弟子を迎えられなかった事が心苦しいというか……。

 

「……ん? まだ何か隠しているだと?」

 

「オイそこの神霊余計な事言うなや」

 

 そうだった。この人、加護持ちで神霊学園の生徒だったわ。先生に俺の妖力の事教えたのもこの人か。

 神霊学園が全寮制なのは中学まで。高校生になったら、そのまま寮生活か自宅登校かを選べるらしい。

 つか神霊さんよぉ! 何本人が言い出しづらい事を伝えてる訳? 人の心とか無いんか?

 ……無いか。神霊だもんな。

 

「何だ? 師範たる私に隠し事か? そこの()()に言えて私には言えないのか? ん?」

 

「おっふ流れ弾〜」

 

 師範は、まるで警察犬の様に顔をグイグイと近づけて来る。

 男子なんだから隠し事ぐらいあるやろがい! えーとえーと、あっせや!

 

「あー……俺も神霊学園目指そうと思うんすよ。高校の一般入試で」

 

「何!? 本当か!?」

 

「妹が加護持ちなんで、俺もついでに行こっかなーって」

 

「良い! 良いと思うぞ! 弟子も来年は高校生か! そしたら私は先輩になる訳だな!」

 

「ですねー」

 

 凄い喜びよう。本格的にワンコに見えてきた。

 ヨシヨシ。この後身体を動かす事で、他の内容は綺麗さっぱり忘れるって寸法よ。ククク……クールビューティーに見えて、根はだらしなピュアガールだからなこの人は。

 

「ん〜? ワシゃその話は初耳なんじゃがの〜」

 

「は?」

 

「ちょ」

 

 何で急に横槍入れてくんねん! お孫さんの目がガン開きになってもうたやろがい!

 

「弟子……嘘だよな?」

 

「もも勿論っすよ。先生のいつものボケっすよ」

 

 瞳孔が開いた目で、悲しそうにこちらを見つめてくる。その視線をかわそうと、ジリジリと身体が退がる。

 初弟子が嬉しいのは分かるが、俺と師範は身体だけの(ド)突き合いしかしてないでしょ! 師弟関係の距離感がおかしいって!

 

「モノボケとは心外じゃな。ちゃんと覚えておるわい。確か……」

 

 オイオイオイ、もう余計な話はしなくて良いって。それよりお孫さんに異性との距離感を注意してあg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「団坊がデキ婚の相談に」

 

「いやどこの会話思い出してんだァァァァァ!!」

 

 やっぱ最初の会話寝てただろ! 中途半端に覚えてるせいで最悪な話題と合体させてんじゃねえか!

 

「おい口閉じろ! これ以上変な事喋るんじゃねえ!」

 

「何じゃお主! 年上への敬意というのを知らんのか! これじゃから最近の若者は……!」

 

「俺の風評とんでもない事になってるから言ってんですがぁ!?」

 

「……プッ。はっはっは」

 

 口封じをしようと取っ組み合う俺達を見て、先輩が笑い出す。彼女の笑みに俺への嫌悪は感じられない。

 

「ふふ、すまない。先生がいきなり面白い事を宣うからつい、な」

 

「あ、ああ! そうそう、先生の冗談っすよ。俺がンな事する訳ないじゃないっすか」

 

「そうだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だって私達は、まだキスもしてないのだからな」

 

「?????」

 

「?????」

 

 何を言ってるか分からず、思考が止まった。

 え? ん? いきなり何言ってんだこの人。アンタの話じゃなくて俺の話なんすけど。何でキス? 誰と?

 

「どうした? 弟子」

 

「こっちの台詞なんですが。どうしたんですか師範。頭大丈夫ですか?」

 

「私はいつだって正常だぞ?」

 

「じゃあおかしいな」

 

「何だと」

 

 うーん噛み合ってるようで噛み合ってない。

 先生に聞いて……あっこの人も理解出来ずに思考停止してら。でも自分から聞くのは怖いな、何か深淵を覗きそうで。

 

「ところで弟子。そこの老人の冗談とはいえデキ婚なんて話が出るとは、随分爛れた生活を送っているな。君は私の弟子なんだが? 弛んでるんじゃないか?」

 

「いやぁ、さっきの師範程じゃ」

 

「黙れ」

 

「はい」

 

 師範が謎に圧力を高めながら、少しずつ迫って来る。

 あの、拳を鳴らす必要は無いのでは? 乙女というか、完全にヤーさんの仕草だよそれ。

 

「良し、これから稽古を付けてやろう。その煩悩も跡形も無く消え去る様な特別メニューだ。嬉しいな?」

 

「……ウス」

 

「この道場が門人で埋め尽くされるまで、絶対に不埒な真似は許さないからな?」

 

「それだと一生出kフオオッ!?」

 

 この後、妖力がガス欠になるまでボコボコにされた。

 

 

 

 ……思ったんだけどさ。

 あんな美人がいるのに道場が寂れてるのは、この人が下心見え見えの奴らを全員ボコボコにしてるから説、あると思います。ぐへぇ。

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