ガンダムSEED-廻る運命の中で- 作:C*C
あぁ···、困ったわ。
地球軍に入隊する、と息巻いたのは良い物の、私は早速壁にぶち当たる事になる。
それは知識が無い事。
体作りは何とかなるとして、問題は知識が圧倒的に足りない事に私は嘆いた。
フレイに転生したは良いものの、私の記憶とフレイの記憶の中にはもちろんその手の知識などある訳もなく、フレイの記憶に関しては、流石年頃の女の子···美容と自分磨きの情報くらいしか入っていないのだ。
これはまずい。
パパに教わるにしても、忙し過ぎるパパに教わるなんてお願い出来ないし、···と、言う事でパソコンは分かるとして、肝心のOSとは何ぞや?と疑問を解決すべく、邸の書庫へ来ていた。
まず、OSを理解出来ないとあんな大きな機体動かせないからだ。
SEED序盤では、キラはキーボードでストライクの調整をしていた···SEEDの世界での機体の調整はOSとキーボードによるもの、それが主流よね···と言うか、それしか見たことが無いし。
「あったわ···」
好都合にも目の前に。
これって転生の···、いえ、考えるのはやめましょう。
今は違う事を考えている暇はないのだから。
私はパラパラと軽くページを捲り、パタンと閉じた。
とりあえずこれを部屋に持ち込みましょう。
それにしてもこの時代、SEEDが放映されたのがだいぶ前だからスマホなんて当然無かったし(存在はしてたかもしれないけれど)、DESTINY時代でもガラケーだったのよね。
今更になって不便に感じるなんて。
調べたい物を気軽に調べられないのは億劫だわ。
いいわ!
今はこの本の内容を読んで、とことんノートに書き写して覚えなきゃ。OSが理解し切れなきゃ死ぬと考えてもいいんじゃないかしら···。
それに、同時進行でタイピングも早く打たなきゃならない···。
ひくっと、私の口が引きつった。
とりあえず、優先順位はOSを理解する事よ。
それが理解出来なきゃ始まらない。
えーと、OSとは···パソコンを軸に家電などでも使われているらしい。へぇー、···確かにスマホにも入っていたものね、と読めば読むほど面白い情報が入って来る。
気が付けば私は、文字の羅列に引き寄せられるかのように、夢中で文字を追っていた。ぺらぺらとページをめくる度に入って来る情報はとても新鮮で、何故か面白いとも思ってしまう。
❖
「お嬢様、そろそろ休憩されてはいかがでしょう?」
「···、あら、もうそんな時間?」
エマに声をかけられるまで、どうやら私は没頭してしまったらしい。私は読んでいたページに栞を挟み、パタンと閉じた。内容は不思議な事に1度しか読んでいないのに頭に残っている。フレイは記憶力がいいのかしら。
「ありがとう、エマ」
移動したテラスで、エマに淹れて貰ったミルクティーを飲みながらぼんやり考え事をしていた。テラスに移動する前に持ち出した気になる本を1冊持って、1ページずつぺらぺらとめくった。
キラがいる工業ガレッジに入るなら、OSの他にもロボット工学も覚えた方がいいわよね、となんとなーく手にした本。ロボットの部品から始まり動線の配置などイラストと共に事細かに記載されており、私はまるで小さいバージョンのガンダムの設計図を読んでいるような気分になった。
出来上がったロボットにOSのハードディスクを組み込み、そこへキーボードで調整···。パパを助けるのであれば、それなりのキーボードの速さが関わって来るわけで、私と言えばキーボードなど触れたことなど数える程。つまり速さが命取りなOSが書き換えが必要な場面では役に立つどころか即死決定···。
(何か···何かないかしら。キーボードを叩かなくても操作出来る方法···)
ロボット···人形···キーボード···、パソコン!···。
そうだわ!パソコンと人形···。
「それだわ、それよ!!」
「お嬢様···?」
私が突如声を上げた事により、怪訝そうな声音でエマが首を傾げた。「ちょっといいアイデアが浮かんだの!」と私ははしたなくも椅子からガタンと立ち上がった。
こうしてはいられない。
人型のパソコンを作ってしまえばいいのよ!
···まずはパパに必要な素材をお願いして、それまで私は設計図に取り掛かりましょう!読んだだけじゃ理解なんて得られないから、まずは触っ手組み立てる。
出来れば可愛いパソコン人形にしたいわ。
トリィやハロのように言語機能が付いていて、出来れば日常会話とか出来る子を作りたいわ。そこには専門用語とOSを書き換えできる機能も追加して。
やたらごっついプロテクトとOSを組まないといけなくなるけれど、ここはガンダム作っちゃうくらいの世界だし、そこら辺の部品と道具は何とかなるでしょう。
「エマ!私、しばらく部屋に籠るからパパが帰って来たらおしえてちょうだい!」
「承知致しました、お嬢様」
さぁ、そうと決まればおちおち考えてる時間が勿体ないわ!
私は自室に戻ると、コピー紙を取り出してどんな子を作りたいのか、サラサラと書き出した。
髪はピンク色で、瞳はオレンジ、髪はボブでゆる巻のふわふわにして···ボディは完全防水。衝撃吸収剤も使って衝撃にも強いボディが良いわね。耳は人間と同じ形にして、頭の中には繋ぐプラグ端子も装備して···と、もろもろ設定を詰め込んだ結果···、私ははた、とある事実に気がついた。
これって···ちょびっ〇···。
···。
まぁ、この世界に置いてこの子は初の人型パソコンよ!
名前は···『チェリー』。
待ってなさい!アスランも顔負けするようなロボットを作り上げるわ!なんたって私の命がかかっているのだもの!
真っ白い紙がほぼ黒に染まった頃、パパが帰宅したようだった。
エントランスが騒がしくなり、私は部屋を出てパパを出迎えに向かう。
AIロボットの事は、今はまだ私の秘密だ。
「パパ!お帰りなさい」
「ただいま、フレイ。今日は何やら部屋にこもって勉強していたようだね」
「えぇ、私何も知らないから、ヘリオポリスに入るなら少しでも勉強しておかなきゃって思って。とりあえず書庫で機械工学の本があったから、読んでみたの。そうしたら思いのほか面白くて、読んででしまったわ!」
「そうかそうか···(どうしよう···フレイが思わぬ方向に進もうとしている···私としては心配だが、フレイが何よりも楽しそうだ···もう少し様子をみようとするか···)」
「···パパ?」
少しだ困ったように笑ったパパに、私は首を傾げた。
もしかして、心配させてしまったのでは···?と思い、私は続けた。
「大丈夫よ!だって私今覚える事が楽しいんだもの。それに、新しい友達だってできるかな?とか、悩むのも些細な楽しみなの。げど、その前にはきちんと勉強しなくちゃ。ヘリオポリスって宇宙でしょ?シャトルに乗るのもちょっと楽しみなの。ねぇ、パパ、私やってやりたい事を見つけたの。だから応援してくれたら嬉しいわ」
「あぁ、もちろんだとも。さ、食事にしよう。話はまだまだあるんだろう?」
「うん!」
と、私は頷いた。
そう、何としてでも、この手でパパを救うのよ!